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-短編集-


ー酒癖の悪さは人知れずー

 

「はぁ~。平和だなぁー…」

木の上で両膝に手を置き、ぽけっと青空を眺めながらクロルが呟く。


「平和なのは貴様の頭の中だ」

「んー…?」


下から声がして見下ろすと、ハンナが腕を組んでこちらを見上げて眉を潜める。


「キルが風邪ひいて寝込んでるってのに、貴様は貴様でボーっとしてるし」

「んー。勿論キルの事は心配だよ」

「全く心配してるようには見えないんだが?」

直ぐ後ろに見える宿屋に目を向けもう一度クロルに目を向けると、地面に降りて来る。


「しょうがないよ。今までキル、ウィルスのせいで時間に余裕が持てなくてデリートばかりしていたし、今風邪で寝てる分、やっと体の負担を和らげられるから…」


「あー……」


じっと見るクロルを今度はハンナがぽけっとして見上げる。



「クロルって結構考えてなさそうで意外と深く考えているよな」

「…キルみたいな言い方だね」

「仕方ない」


一言で返し、財布をポケットから取り出す。

「そうそう。今から薬を買いに行くんだが、貴様も付き合ってくれ」

「ぁ、それを言う為に来たんだ?」

「まぁそれもあるが、晩飯の食材も買わなきゃいけねーから荷物持ちにな」


「そっか。分かった」


こくんと迷いなく頷き、

「行くよ」

あっさりと承知してハンナと共に買い出しへ向かった。

「それで、今キルの様子はどうなの?」


街道を歩き移動しつつハンナに聞いてみると、はぁ…と溜め息をつかれた。


「高熱で下がらないままだ。咳は酷くないが、結構しんどそうだったな」


「じゃあ今から買いに行くのって高熱剤?」

「そうだ。ほんとは病院がいいんだが、近くにないしな…」

「……………」


元気がない様子のハンナの表情に、思った事を口にする。



「…心配なんだね」

「当たり前だ。心配しない奴なんてどこにいるんだ」

「お母さんみたいだよ」

「はぁ!?」

バッとクロルに顔を向け口を歪める。



「やめてくれ。例え冗談でも笑えないぞそれは」

「俺にはそんな感じに見えたんだけどな…」

「それを言うと…」


あ、とまた一つ思い出したようでニヤリと笑みを浮かべる。



「そういやぁ、今キルの看病してんのリリーお嬢ちゃんなんだよなぁー」

「リリーが?」

「そ。キル自身は移るからいいって断ったが、嬢ちゃんが心配だからって無理やり看病してんだよ」


「無理やりって…」

言い方が少し…。

「けど結構いい雰囲気だったぜ~。お互い話して笑ってたし」

「…前から思ってたけど、キルってリリーと話す時笑ってる事多いよね」

「素直になれる唯一の人って事じゃないか?」

そこまで言って、小さく声にだす。

「いいよな…、それって…」


「………………」

そんな話しをしつつ薬を買い、食材屋であ、とハンナが何かに目を奪われる。



「やべ。ワインがある」

「ほんとだ」

店の商品にワインが売られていたので、ジッと見る。


「うまそうだなぁー」

「う~ん…。飲んだ事ないからよく…」

「を? なら一緒に飲んでみるか? どうせ自腹でワイン買うし」

「そうなの?」

「貴様は確かフィリより上でハタチ超えていたよな。なら酒飲めるじゃねーか」

「飲めるは飲めるけど、俺お酒自体飲んだ事ないよ」

「嘘だぁ~」

「ほんとだよ」

「おいおい。フィリなら兎も角、貴様なら一度や二度は飲んでるだろ」

「え、ないよ?」

首を傾げ、ハンナをきょとんとして見る。


その反応を見て逆にハンナがぽけっとする。



「………………」



マジっぽそー…。



「え、なんか変?」

「いやいやいやいや。別に~? 貴様の言い分はよく分かった。取り敢えず買おう。そして飲もう」

「どう言っても飲ませる気なんだね?」


「一度は飲まなきゃ損だって。貴様もそう思うだろ?」

「いや、俺は別に…」


「よし。じゃあワイン一本くれ」


ワインを指差し即購入する。


「えー………」


拒否権無しー…?




「おう嬢ちゃん」


購入した矢先、ハンナとクロルの背後から声をかけられ、後ろを振り向く。



「あ゙?」

振り向くと、見るからに暴力団体の五人の男が二人を見下している。



「そのワインなぁ~、最後の一本じゃねぇかぁ?」

「そうだが?」

「うちの大将がその酒の好物なんだがよ」

「で?」

「俺達に譲ってくんねぇかなぁ」

明らかにメンチをきって脅迫している団体にハンナが動じず口を歪める。

「おいおい今どきカツアゲですかぁ? んなもん早い者勝ちに決まってんだろ」

店員に手渡しされたワイン瓶をぶんぶんと肩で回し、いつものハンナらしい態度で拒否する。


「てめっ、自分の立場をわきまえて言ってんのか!!」


「うわ~。お決まりの台詞ですね~。はいはい。面白いおもしろ~い」

パチパチと脳天気に拍手するハンナにふるふると体を震わせる。と交渉を持ちかけてきた相手の隣に立っていた男がにやりと笑みを見せハンナを見下ろす。



「まぁまぁ落ち着けよ」

なだめる相手を見てクロルがハンナに小声で話しかける。



〈…なんか面倒な事になりそうだし、さっさと行こうよハンナ…〉


「だな。いい加減買うもんは買っといた方がいいし、相手にしない方が…」


「おっとー。まだ帰ってもらっちゃ困るぜー? こっちも捕るもんは捕ってねぇからなぁ」


道を塞ぐ男にむっとして目だけ上げて睨みつける。


「邪魔なんだよ…」

「いいや。お前らが話してんのを聞いたが、名前からして女だよなぁ?」

「それがどうしたよ?」


「なかなか肝が備わってるらしいからよ、酒の変わりにあんたを拉致るんなら…ー」


‘バキッ’


最後まで言い終えそうになった途端、ハンナが男にストレートパンチを食らわす。


「おい。今言ったの誰だ…」


「「その人です」」

頭から煙りを吹き出す男を足で踏みつけ、ギロッと残り四人をにらみつける。


そんなハンナにたじたじに応える団体。


「まさに滑稽…」


「あぁ!?なんだとゴラァ!!」

クロルがぼそっと呟くと一人がすぐさま反応した。

「一撃で倒されるくらいなら、それくらいしか実力がないんでしょ?」

「はぁ?」

「だったらもっと実力をつけなくちゃ…」


「…何言ってんだこいつ」


意外な事を言われ、団体の方は眉を潜める。


「おいグラサン。助言なんかしてもどうせコイツらは弱いままだって」

「んだと? 表んでろよ嬢ちゃん達よぉ」


「既に表だろカス共」


目の前でバッサリと言い切るハンナにふるふると震え上がり、手を振って叫ぶ。


「俺らをナメんなよぉ…。…“カッター”」


「「…………ー!?」」

男性が魔術を唱え、ハンナとクロルの袖と裾に風で切り裂いた。


「…今のは魔術……」


クロルが冷静に魔術を発動させた男性に呟くと、へっへっへとばかにするように笑いだす。


「悪いが俺ら全員魔術を扱えるんでな。皮膚が切れるのが嫌ならさっさと酒をこっちに渡しな」


「ほぉ………」

腕を組んでちらっと流し目で握ったままのワイン瓶を見る。




「そう来たか…。魔術ねぇ…」

「……………」


考える素振りを見せ、ようやく決まったらしく団体を見る。

「よし。貴様ら裏に来いよ」


「「はぁあ!!」」

全員ハンナの発言に耳を疑うような反応をみせる。



「魔術使えるんなら俺らも納得出来る。このワインを手に入れるために魔術で賭けるならいいんじゃねーの?」


「賭けるだと…?」


「貴様らはワインを賭けてタイマンを売る。俺らは…そうだな。貴様ら全員がはめてるその“シューリングスキル”を貰おうか?」


四人の内一人の腕にはめられているブレスレットを指差すと、全員ピクリと腕を動かす。


「魔術を出してんのは…、そのお陰なんだろう…?」


にやりと小さく笑いかけると、先程まで自信満々だった男が多少顔を引きつらせるが、余裕の笑みを浮かべて腰に手を置く。


「いいだろう。なかなか観察力があるじゃねぇかよ。おいお前ら。路地裏に行くぞ!」


三人が路地裏へ向かい、指示した男が振り向く。


「お前らもちゃんと来るか俺が見張ってるからな。逃げるんじゃねぇぞ…」


「んなセコいようなお前らと一緒にすんじゃねぇよ」

「基準を俺らにすんじゃねぇ!?」

一々反応する男にクロルがジーンと眺める。


(ちゃんと反応して清々しい人だなぁ…)

男が見張りながら路地裏に着き、三人と一人の男が合流したあと、振り返ってにやりとする。


「さぁて、これで逃げらんねぇなぁ…」


振り返ったがハンナは酒を持ったままタイヤに座り息をついて寛いでいる。



「って寛いでんじゃねぇよなめてんのかゴラァ!!」


「いや、俺なんかがやんなくてもそこのグラサンがやってくれるからいいんだよ」


「あぁ…?」

「え?」


クロルが顔だけハンナに向けて自分を指差す。


「俺が相手するの?」

「他にグラサンかけてる奴なんか居ないだろ? ボディーガードと思って頑張ってくれよ」

「いや……」

クロルと男が並んでハンナを眺めるが、理不尽な命令に理解出来ない男が更に声を張り上げていく。


「いやいやいやいや。いやっ、それはないだろう!?嬢ちゃんそれはないって!」


「何か不満でも?」


「あるよおおありだ。自分からタイマン買って他の野郎に任すのはねぇだろ嬢ちゃんよぉ。そもそもあんたらの関係性ってのは一体…」


「さっきから嬢ちゃんって呼ぶんじゃねぇよ…。三下が…」


「はい」


急にどす黒い声と表情で睨み付けるハンナに素直に返事をする男に後ろの三人が慌てだした。

「ちょ、なに圧されてるんですか!? これじゃあ俺達が弱いみたいじゃないですか!」


「お、おおおう。そうだな。俺らにはこのリングがあるんだ。魔術で仕留めることなんて…」


シューリングスキルを起動させ、先程のような風の塊をだす。


「朝飯前だよなぁぁぁ!!」


ハンナではなくクロルに向けて飛ばす。

不意をつかれクロルが振り返ったのと同時に当たり、煙りが吹き上がる。



「おぉー。さっすが!」

「はん。口ほどにもないボディーガードだなぁ」


「は? なに言ってんだ貴様」

笑いかける男に真顔で対応して後ろを指差す。


「あいつなら貴様らの後ろに居るぞ?」

「はぁ!?」


バッと全員見ると、さっきまで居た位置に居なく、いつの間にかかけられていた鉄の棒を握ってそこに立っていた。


「ふぅ。いきなり飛ばしてきたからびっくりしたー…」

「お、お前…っ、いつからそんな場所に…、さっき直撃したような感じだったじゃねぇか」


「あぁ…。薄いバリアを張ったからだよ」

「バリアぁ?」


眉を潜めて表情を歪める男達に、ハンナがクツクツと面白そうに笑いだす。

「コイツ、ちょっと変わった体質の持ち主でよぉ。貴様らには分からねーだろうよ」


「くっ。だったら火でどうだ! おい、やっちまえ!」

別の男に指示すると、今度は炎を発火させ飛ばす。


「“ファイア”!」

‘ジュアァァァ’


今度は炎による煙りが吹き上がり、何かが溶ける音がした。


「よし! 今のは手応えあるぜぇ!」


「うわ!? う、上!?」

団体の男達が上を見上げると、店と店の間を渡る橋の通路の真下にクロルがぶら下がっている。


「あー。危なかった…」

「な、なにぃぃぃィィッ」


「一人相手にみんな気合い入り過ぎだよー?」


「う、嘘だろ? 何であんな場所に…、ジャンプして届く距離じゃないだろ?」

「よっと」


すたっと地面に降りて下に落ちていた鉄パイプを拾い上げる。


「おいクロル。それでなんかやれよ」

見ていたハンナが後ろから提案を持ちかけてきた。



「何かって…、そもそもこの人達俺たちの敵じゃないんだから構わなくても…」

「敵じゃないってどういう事だぁ!」


「ばぁか。敵になってんだから仕方ないんだよ。あっちはスキルで武器にしてんだからよ。こっちもハンデでさっきみたいな逃げ方しないで、そいつで真っ向勝負しようや」


「んー……」


ジッと鉄パイプを見つめてこくんと頷く。

「それもそうだね。うん、分かった。これで相手するよ」


鉄パイプを団体に見せる。

表情一つ変えないクロルに、指示していた男がギリッと歯を噛み締める。


「…随分とハンデだの敵だのボロクソ言ってくれんじゃねぇか……」

「ぼろくそ言ってんだよ」


「お前は黙ってろよ金髪」


後ろに立っている三人に目を配らせ、こくんと全員頷いた後、クロルに目を向ける。


「だったら俺らはハンデを買って卑怯を売らせてもらうぜ?」


全員がバッとクロルにシューリングをはめた手を向けると、それぞれが魔術を発動する。


「おらぁ!さっきみたいに避けてみろよ!」

‘キュイィィーーー’


4つの属性が一遍にクロルへ向かってくる。



「…………ーー!」

だが持っていた鉄パイプをグッと握り締め、素早く振り回して全て正確に叩き消す。


「なっ!?」


‘ガンッ’

縦にした鉄パイプを地面に突き刺すように打ちつけ、無表情のまま団体を見据える。



「もう…、いいよね?」



「「……………っ…」」


全員何も言えずにいると、ハンナがはぁ、と溜め息をはく。

「もう終わりとか萎える。こっちは魔術とか奉術みたいなやつ使ってねーのに、ただの物体で決着つくのかよ。うっわぁ~、おかんやおとんが泣いちゃうぜ~」


馬鹿にするハンナに、黙って聞いていた男がクックックと深み笑いをする。


「…まだ決着はついてないだろう? なぁ…、お嬢ちゃんよぉぉぉ!!」

今度はクロルではなく座っていたハンナめがけて風の魔術を発動させる。


「おっと」

位置を見切ってジャンプし、間違えて持っていたワイン瓶を離し、クロルの真上に飛ぶ。



「ぁ」

ぽーんと飛ぶ瓶をぼーっと見上げて鉄パイプを離し、両手を上に上げてスタンバイを取る。


‘パリンッ’

だが両手でキャッチ出来ずタイミングが遅れ、そのままクロルの頭にぶつかり割れてしまった。


「あ…」


「うわ」


真顔で様子を見るハンナと、汗をかいて妙な間があく団体。






ガクリと膝を落とし俯いているクロルの毛先からは、ポタリと赤いワインの雫が地面に落ちる。



「…い、今のは俺達じゃねぇ…よなぁ?」


三人に聞いて全員無言で頷くが、鉄パイプを握り、ゆらりと
起き上がる。




「………………」


しかしいくら待ってもだらんと鉄パイプを持って俯いたまま動かないので、男がゆっくりと近づいていく。

「お、おいおい兄ちゃん。賭けにされたワインが無くなっても、決着はまだ…ーおぶっ!?」


「………ー」

ピクリと顔が動いたのと同時に男の頬に強い衝撃が走り、一瞬にして三人の団体達を横切りごみ捨ての方へと一直線に吹き飛ばされた。



「…………ぇ?」


三人の内火を飛ばした男が遅れて振り向き、飛ばされた男を見ると、目を回して頬に怪我を負って気絶している。


「………………」

もう一度前を向いてクロルを見ると、鉄パイプを内側に振ったような体勢で、俯いていた顔をゆっくりと上げると、ギンッと影のかかった顔に目が緑色に鋭く光り睨み付けてきた。


「ひっ!?」


とっさに一人の男が無数の岩の魔術を発動させ、クロルに飛ばす。



「ー……………ーー」

すると豹変したクロルが先程よりも迅速に無数の岩を打ち砕く。


‘カンカンガンガガガガッ’


その中で最も大きな岩を砕かず、そのまま発動させた男に打ち返す。



「がはぁっ!?」

ガンッと額に当たり、地面に倒れる。



「お、おいおい…、なんだよコイツ、さっきと別人じゃねぇか…っ」


倒れた仲間を見て逃げ出す男に、火を扱う男がとっさに止めに入る。

「ばか!? 逃げんじゃねぇ! それじゃあ俺一人に…ーっ」

逃げ出した男を見て前にぬっと俯いたままのクロルが現れる。



「………ウゥゥゥ…ーー」


「…い…いや、ほら…謝るし俺らの負けって事で…さ。シューリングスキルだってほら…」

ギンッと男に光る目を向ける。


「ひっ!?」


‘ゴスッ’


びびって腰を抜かし目を瞑ると、鈍い音が響いた。





「………………」


ふらぁ…と豹変したクロルが隣にうつ伏せで倒れ、カランと握り締めて指の跡がついた鉄パイプを、離し落とす。



「おら。今は寝てろよグラサン」

「………ぇ」


いつの間にかハンナが前に立っており、クロルを見下して腕を組んでいた。

どうやら気絶させたらしい。



「さてと、さっき貴様負けって認めたよな?」


地面に座っている男に冷たい目を向けると、ハッとしてシューリングに目を向ける。


「そ、そうは言ったが、一人逃げてどこに行ったのか…」

「あれなら俺が仕留めといたから安心しろ」


くるくるとシューリングスキルを振り回して見せびらかす。


「…ぇ…じゃ、じゃぁ…」


嫌な空気を感じ取る男に、にこっと満面の笑みを見せる。


「うん。消えろ」











‘ドス’








先程よりも鈍い音が響き渡り、ドサッと涙を流して倒れる男をそっちのけに周りを見渡す。


「あ~ぁ。またワイン買わねーとなぁ…」

クロルが先程使っていた鉄パイプを拾い上げ、真顔で眉を潜める。


「流石は兄弟。フィリだけだと思っていたが、クロルも酔うと怪力な部分を発揮するんだなぁ…」


ポイッと投げ捨ててクロルの頭をペチンと叩き起こす。

「おい起きろグラサン」

「う…うぅ…。ぁ、ハンナ…。あれ? もう終わったの?」

「みたいだ。ワインが割れたから夕食の材料と一緒にまた買いに行かねーとな」


「そっか…。結局全員ハンナが倒したの?」

全く覚えていないようで、まわりに倒れている団体の男達を眺める。


「あぁ。貴様が瓶に当たって気絶してる時にな。あぁ、髪は洗ってからな。それから酒はもう飲まなくていいや」


「え、なんで?」



「なんとなくだ。とっととシューリングスキルを拝借して、買い出しの続きをするぞ」


「……………うん」





こくんと頷いて立ち上がり、気絶している男達のシューリングスキルを全て取り外して店で売り払い、買い出しを再開する。




因みに売り払ったお金はというと、風邪で寝込んでいるキルの為に料理を頑張った結果、破壊された宿屋の修理代に回されたという。




ーおしまいー

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