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~サラの記憶~


シュール
…………ー
(地下牢に音を立てないよう走る)

…………。
(長く暗い階段を降り)

‘コッコッコッコッ…ー!’
…………ー
《心/…あの時…、私の見間違いではなかったらここに…ー》
(階段を降り、地下牢に着いて立ち止まる)

…………
(地下牢の中を覗くが誰も居ない)
………やはりここには誰も…ー

スピア
(黒コートで顔を隠してる)
………お前が、ネインの者か…?
(シュールの背後から少し離れた場所にいつの間にか立ってる)

シュール
…………ー!
(バッと後ろを振り向きスピアを見る)

スピア
………?
…少しイメージが変わったか…?

シュール
………気のせいでしょう…。(少し警戒し)
…アナタは…ー

スピア
俺の名前か?言ってなんになるか分からないが…まぁいい。
俺は最高機関総本部、ダーク・アイ(闇の目)のスピア。
お前はネイン家の一人だろう?

シュール
さぁ…。どうでしょう…

スピア
とぼけても意味がない。
ちゃんと報告書類にお前の名前と写真が載ってる。

シュール
……………。
…私に何の用ですか?

スピア
実はな、機関の最高指導者からお前からイヤリングを取り戻せと指令が送られた。

シュール
…イヤリング……ですか…


スピア
お前、イヤリングを持っているか?

シュール
質問するのは正しいですね。
ですが、あいにく私は所持していませんよ。

スピア
持ってない?
(黙り冷静に少し考える)
……情報ミスか…?(ボソッと呟く)

シュール
逆に私から質問します。

スピア
ん…?(シュールを見る)

シュール
“サラを殺した人物”は…、アナタですか?

スピア
…………ー!
(少し驚いた仕草をする)

シュール
サラを知らない筈はありませんよね…
さっきアナタは最高機関のダーク・アイと名乗りました。
サラはその機関と最も繋がりが深い…
…いえ、“サラ自身がダーク・アイの中心”と言ってもおかしくない…
(眼鏡に手をかけ)

……そうでしょう?

スピア
……………………。

スピア
…そう…。(静かに言い)
…そうだ…。俺達が知らない筈がない…。
だがな、俺はあの感情も名のしれないドール(人形)を殺していない。

シュール
本当とは信じがたいですね…

スピア
俺にはあんな“物”を殺してもなんの利益もないからな…。
それを言うと、お前がイヤリングを持っていないと言ったのも信じがたい…ー
(両手を横にかかげ、黒い霧が現れる)

シュール
………………殺る気ですか…
(すぐに旗を取り出し構える)


スピア
………殺しはしない。

シュール
…アナタはどの時間から来た人物ですか…?

スピア
そう遠くない…な…
あのドールが消滅した後、すぐに来た。その時はイヤリングなんて持っていなかったからな…

シュール
………その呼び方、止めてもらいますか…。

スピア
呼び方になんか意味がない。
俺はただ指令をこなすだけだ。

シュール
…………虫酸が走りますね…
(バチバチと身体が緑色に光り電流が流れる)

スピア
…電流……
…アトリビュート…か…
(煙が針の形になりシュールに飛ばす)

シュール
……ー!
(旗の布でガードし、すぐ斜め上に振り上げて雷を放出する)


スピア
………ー
(バッと手のひらを向け黒い陣を出しガードする)

シュール
…………
(ヒュッと旗を下に向け)
………今日が一番大事な時期…。
アナタとやり合っている場合ではありません。

スピア
……俺も急いでいるんでね…。
力ずくでもイヤリングを見つけ出すまでだ…

スピア
…………ー
(走り、一瞬消えたかとおもえばシュールの背後にまわり、腕を振る)

シュール
………ー!
(バッと後ろを振り向き避けるが頬に煙がかすめる)
くっー!
(旗を横に振り雷を当てる)

スピア
………ー!
(コートの腕が破け少し傷を負い後ろに下がる)

シュール
……ーー
(すぐに奉陣を組み、旗を回し振ると陣から強力な雷がスピアに向かう)

スピア
ぐっ…!
(なんとか横に倒れ避けるが起き上がる前にシュールが顔面に旗を向け動きを止める)
…………!

シュール
どうですか?今の気分は…

スピア
………………
(静かにシュールを見上げる)

余り、いい気分ではない…。


シュール
………(警戒し)

スピア
俺よりも…、自分の事に気を使った方がいい…。

シュール
………?
(ガクッと突然力が抜け、膝を落とす)
……なっ…ー!

スピア
さっきお前の頬に傷を負わせた時、闇を仕込んだ…。
数分もしない内に気絶するだろ…
(立ち上がり)

シュール
……くっ……ー
(心/うかつでした…ー)

スピア
…さてと………
(両手から煙を出し)

シュール
……………
(表情をゆがませ見上げる)

スピア
……終わりだ……(手を振り上げる)

ジョーカー
……………
(口を動かさずスピアの片耳にかけてるヘッドホンに話しかける)
《…ストップ。スピア…。》

スピア
………ー!
(ピタッと止まり)

シュール
…………?
(意識が朦朧とし)

ーーーーーーーーーーーーー

ジョーカー
………………ー
《ソイツはイヤリングを持っていない。イヤリングの在処は二時40分過ぎに時計台に現れる…。その間“屋敷”の者を全て殺せ…》
(銀色の目が鋭くなり通信を切る)

スピア
………了解…ー
(バッと背を向け離れ、走って階段を上がり姿を消す)

シュール
待っ…ー!
(ガクッと倒れうつ伏せ目がだんだん閉じていく)
…………皆さん…ー

…逃げて下さい……
…サラ…ー(ゆっくりと気を失う)



サラ(過去)
…………ー
(ホールを歩いていると何か感じ取り、メイドに話しかける)

シュールはどこ…?
(メイドが分からないと言う)


…………そう…
(下を向くと、突然屋敷中から悲鳴があがる)
……ー!

メイド
何事でしょうか…!?(驚き)

サラ
…………
(階段を見ると、血に染まった使用人が倒れサラを見る)

使用人
…サラ…様…ー、早くお逃げ下さい…ー

シュール様は時計台に向かわれました…ー!
早く…ー!
(うつ伏せて反応が無くなる)

サラ
…………時計台…ー
(銀色の懐中時計を握りしめ)

メイド
ここは私達に任せてシュール様を負って下さい!サラ様!
(走り階段を上がる)

サラ
…………皆さん…ー
(無表情だが瞳に悲しい表現が映り)
………ー!
(ダッと屋敷を出て走る)

ーーーーーーーーーーーーー




(洋館の揺り椅子、ベッド、一つだけ小さい窓に白いカーテンがある白い部屋)


サラ(過去)
…………雨…
(揺り椅子に座り、雨が降っている窓の外を見て呟く)

シュール(過去)
…………雨は…お嫌いですか…?
(ベッドとサラの間に立っていて聞く。眼鏡をしていない)


サラ(過去)
……(無言で小さく首を振り)
………雨は……
…感情を無くしてしまった私の感情を…、現してくれるみたいで…好き…

シュール(過去)
………感情…ですか…?


サラ(過去)
……シュール……
…私は…、もしも“殺され”生まれ変わる事が出来るなら…
…“雨になりたい”…ー

シュール(過去)
…………ー!(目を見開き)
…お嬢様…、それは…ー

サラ(過去)
…………ー
(シュールを見、窓の外にゆっくりと視線をうつす)


サラ(過去)
……私には…“心で感じる”事が…、よく分からない…。
………こんな状態になった私も…、ずっと感情が生まれないかもしれない…

泣く事だって出来ない…
…だから……、感情を現してくれる…
雨に私はなりたい…ー

シュール(過去)
……………。
(サラを見つめ、黙って雨が降り止まない窓の外を見つめる)






ーーーーーーーーーーーーー

シュール
……ぅ…ー
(目を覚まし、バッと膝を降ろしたまま起きる)
…………!
…確か私は…ー


男(黒いコートを着て顔を隠してる)
…お目覚めのようだね…
…シュール……

シュール
……ー!アナタは…ー!
(バッと立ち上がり)


そう警戒しないで貰えるかな…?
…シュール……。

シュール
…………さっきの人物では…、ないようですね…



スピアの事かい…?
まぁ…、あの時は俺も騙されたものだよ…
(クスクス笑い)

シュール
…………………
(心/あの時…?)


さてと、今君は二つの選択を決めなくてはいけない…。一つは懐中時計を俺に渡す。もう一つは敵である俺と戦い外に出る…
…君はどちらを選ぶかい…?

シュール
……………そんな事、決まってるでしょう…
(旗を構え)
…二つ目です…ー
(バチバチと電流が流れ)


やっぱり、
…君はそう簡単に、渡さないようだね…
(チェーンを取り出しシュールに投げつける)

シュール
…………ー!
(電流が流れてる旗を男に振る)


おっと…ー(鎖で巻きつける)

シュール
……っ…ー!!
(目を見開き、鎖から逃れようと旗を動かすが相手も粘る)


……君は理解出来るかい…?

シュール
………ー…?(男を見る)


俺達はあの全ての元凶となる人形を造りだし、君はそんな人形の近くに存在してしまった為にこんな“世界”を構築してしまった。

シュール
………ー‘ギリ…ギリ…!’


君は…、あの感情も名もない人形に執事としてではなく、“それ”以上に別の感情を抱いているんだろ…?
(ニヤリと微笑する口元だけ見える)


……どうせなら…
…君が“あの時”時計台に行かなければ全てを守りきれたのにね…

シュール
…………ー!(目を見開く)


……あんな人形の近くに居たから…ー

シュール
………………。
……確かに…、そうです…ね…。
(旗にグッと力を入れ)
…もし、私があの時…ー
………アナタを追い掛けなければ…っー!!
(バッと片方の手にジョーカーに渡された黒いカードを男の胸に押し込む)


………ー!!
(目を見開き、カードが白く光り無くなると、硬直状態になる)

シュール
……………ー
(心/ー…本当に…、ここで使って良かったのでしょうか…)


…………ー(動かず)

シュール
………ー
(懐中時計の時間を見ると二時五十分を指してる。)

シュール
…………っ…ー!
(バッと後ろを向き、階段を上がる)


……………ー
(しばらくすると、黒く光り動く。手の人差し指と中指の間から黒い光りと共に先ほどのカードが現れる)
……………このカード…
(呟きニヤリと微笑)
…なる程…ね…
(黒い光りに包まれ姿を消す)

シュール
…………ー!
(屋敷の中を見る。屋敷中の使用人、メイド、護兵士がみんな血を流し倒れてる)

……………やはり…
…間に合わなかったんですね…
(静かに呟き屋敷の扉を開ける)






ーーーーーーーーーーーーー

サラ
………ー
(走り、洋館の入り口前に出て一旦立ち止まり周りを見渡す)


ジョーカー
……………ー
(ビュッとサラの後ろに浮いていて赤いトランプを投げつける)

サラ
…………ー!
(すぐに後ろを振り向き、手のひらから雷をジョーカーに放出しトランプが焼け焦げる)

ジョーカー
…………ー
(シルクハットに飾られた小さいハートを親指で前にはじき赤いハートの陣が現れ雷をガードする)

サラ
……………アナタ……
(見上げ)

ジョーカー
(ハートの陣がピンに戻り自動的にハットに戻る)
どうも、名の知れない人形さん…
僕はジョーカーと言います
(黒い翼で浮いており、ハットを深くかぶってお辞儀する)
実は君が持っている懐中時計を奪いに来たんだよね…

サラ
……………。(黙り)

ジョーカー
その懐中時計は僕にとって大事な物なんだ…。
こっちに渡して貰えるかい…?

サラ
……………ー
(ギュッと懐中時計を胸元で握りしめ、身体が白銀に光る)

…………ー
(背中から白銀に光る翼が左右に現れ羽ばたかせ上空に飛び、ジョーカーを無表情で見る)
…これは…、渡さない…
……絶対に…ー

ジョーカー
……そう…
残念だね…ー。
(赤いトランプをクロスするようにまわりに飛ばし、サラに攻撃する)

サラ
…………ー!
(横に飛ぶが沢山のトランプが追いかけて来てとっさに洋館の屋根に飛び逃げる)


……ー……ーー
(高速で詠唱を唱え、両手を向けてこちらに来るトランプにかざすと、曇ってる雲から巨大な雷を落とし、一気に焦がす)


ジョーカー
………ヒュー…、やるねぇ…(ニヤリ)

サラ
……………ー
(直ぐに庭の方へ飛び逃げる)

ジョーカー
…逃がさないよ…ー
(追いかける)

ジョーカー
…………ー‘パシッ!’
(まわりで高速回転してる赤いトランプからクラブを一枚取り出し、サラに投げつけると、数個のクローバーが現れ飛んでいく)

サラ
…………ー!
(振り返って左手のひらを前に出し白い陣を出しガードする)

ジョーカー
まだまだ
(トランプを多く飛ばす)

サラ
…………っ…ー!
(無表情だが若干表情を歪ませ何とか避ける)
………ーー
(四方八方からくるトランプに雷を何度か当てて逃げ惑う)




シュール(過去)
……ハァ…ー!…ハァ!
(時計台から森へ走る)

……サラ…お嬢様…ー!
(段々雲が怪しくなり雷が鳴りだす)




ジョーカー
………さてと…
…一体君はどこまで僕を手こずらせてくれるのかな…?
(サラを見る)

サラ
…………。
(少し瞳が揺れ、ジョーカーを見る)

…何も…、感じないの…
…アナタは………

ジョーカー
感じない?それは君の方だろう?
初めから君は存在していなかったただの人形…
名前も無ければ感情も無い…。

だが君は一つだけ素晴らしい能力を備えていた…ー!
(バッと手を横に広げ)

ジョーカー
“光”だよ…
本来アトリビュートは“光”と“闇”がなかった。
“闇”は色々な属性を組み合わせればすぐ創り出せたのに、“光”だけはどんな属性を組み合わせても構成出来なかった…。
それは何故か?

僕達が本来限られた人間にしか操れない属性は最初から別々なんかじゃなかった…!
全ての始まりはそう!
“光”だったんだ!
(声を張り上げ)

サラ
……………ー(黙り)

ジョーカー
君のその背中から生えてる羽根が何よりの証拠…。
だが君は懐中時計に光を封じ込めてしまった…ー
……“あの時の僕”は懐中時計なんか見向きもしていなかったからね…

サラ
……………私は…ー
(グッと懐中時計を握り締め)

……これだけは絶対に渡さない………
……命を落としても…ー

ジョーカー
ー……………(黙り)
……フフ………

…面白い冗談だ…ー
(不気味に笑い)

サラ
……………ー
(バッと後ろを向いて飛ぶ)

シュール(過去)
……くっ……ー!
(走り、庭につく)

……一体どこに…ー!
(まわりを見渡し屋敷の方を見るとサラが白銀色の翼で上空から飛んで来る)

サラ
……………ー!
(シュールに気づき)
………シュー…ル…ー!!
(バッと左手をシュールに伸ばす)

ジョーカー
…………ー
(キッと銀色の瞳が鋭くなり)
……ー…ーー
(スペードのピンを上にはじき、青い剣に変わると手に持って構え、身体を動かしサラに勢いよく投げつける)

シュール(過去)
…………ー!!
ー…“サラ”っ!!
(左手をサラに伸ばすと、遠くから雷が鳴る)

サラ
…………ー
(伸ばした手がもう少しで届きそうになる)

……………ーー!‘ドッ!!’
(雷の光りと同時に剣が背中から心臓に突き刺さり、目を見開く)

シュール(過去)
……………ー!
(サラを見る)



サラ
……………ー
(フッと飛ぶ力を失い、ゆっくりとシュールに向かって落ちる)

シュール(過去)
ー………サ…ラ…
(フワッと両手でサラの背中から抱き、膝を落とし背中から肩に腕を回したまま地面におろす)

ジョーカー
………………
(何も感じないように、ただ微笑したまま見てる)
…………消滅完了…
(小さく呟くと、サラに突き刺さった剣を消し、同時に自身も霧雨の中へと姿消した)

サラ
………シュー…ル…ー
(無表情だが瞳が微かに揺れ、翼が段々剥がれていく)

シュール(過去)
…サラ……(少し息が荒く)

サラ
………名前…
…初めて名前だけで…呼んでくれた……ー
(シュールを見)

シュール(過去)
…………!!

サラ
…………ねぇ…
…前に私が言った事…
覚えてる…?
(途切れ途切れに話し)
……雨は…、感情の無い私の感情を現してくれてるようで好きだって…ー

シュール(過去)
………………(見つめ)

サラ
私は………
……こうなる事を解っていたのかもしれない…

…いつかは死んでしまう事を…ー

……感情なんて…、もう生まれないと思ってた……
(一旦目を瞑り、シュールの頬に手をおくと緑色に光る)

シュール(過去)
…………ー!
(光り、しばらくしておさまる)

サラ
ー…アナタに私の属性を転移する…
…それから……ー
(銀色の懐中時計をシュールの手に握らせる)
……これを…、私の代わりに守って…

シュール(過去)
……………
(力無く握り、悲しい表情でサラを見つめる)


サラ
…………(表情を見つめ)
……そんな悲しい顔…しないで…
(ギュッとシュールの手を握り)

ー……やっと私にも分かったの…ー
(瞳から涙が流れ出し、無表情から優しい表情で笑いかける)

…大丈夫………
たとえアナタと一緒に居られなくても…

…“心で感じるから”……ー

シュール(過去)
……………ー!
(サラを見ると、時計台から白銀に光る柱が現れる)

サラ
……………ーー
(フッと力をなくし、目を閉じると白銀に光り輝き、粉状になって消えていく)

シュール(過去)
………サラ…ー


…………ー
(完全に消滅し、白銀に光る羽根だけを残す。それから間もなくして冷たい雨が降り出した)





ー…‘ザアァァァァー………’








シュール(過去)
……………ーー
(下を向いたまま雨に濡れ、涙も流れず何も感じられないような瞳をしている)

シュール(過去)
……………雨…
(濡れている手を見)

………泣いているのですか…?
…………サラ……
(ゆっくり空を見上げ)



‘ザァァァァァ……ー’





シュール(過去)
…………ー
(雨にうたれたまま動かず)





‘ザァァァァァー…’



(雨が少し小雨になる)


‘ー…カツン…………カツン………カツン……ー’


(開いている門から赤い瞳、黒い服と白いバンダナをしている男が過去のシュールの方へゆっくりと歩いてくる)

裏キル(過去)
…………ー
(右耳につけてる赤いイヤリングが微かに揺れ、無表情な赤い瞳)

シュール(過去)
………………ー
(俯いていると、まわりに魔物が現れ囲まれるが何も反応せず、魔物が一気にシュールに襲いかかる)

裏キル(過去)
ーー…散れ…………
(片手を横に振ると、黒炎がシュールを避けるようまわりに飛び交っている魔物だけに当てて瞬殺する)

シュール(過去)
……………ー!
(座ったままキルを見上げ)
………アナタ…は…ー?

裏キル
………………ー
(シュールの目の前で立ち止まり見下す)




(雨が完全に止む)




裏キル(過去)
“お前も…、一人なのか?”

シュール(過去)
………………ー
(キルを見)

裏キル(過去)
一人なら丁度いい…
俺はある人物を捜してる…。
この場所にそいつに似た人物が居るのを見た…

もしお前に“何も無い”んなら……
俺の目的を果たすまで同行しろ……

シュール(過去)
………………。(見つめ)
…拒否権は………、ありますか?

裏キル(過去)
“何も無い”のなら拒否権なんてない。
……もしそれでも断るとすれば…
すぐこの場でお前を殺してやるよ……ー
(左手を顔の横に上げ、一瞬だけ黒炎をまとわりつかせる)

シュール(過去)
………………
(ジッと見、クスリと微笑する)
…面白い事を仰いますね……
(立ち上がり)
…いいでしょう…。助けてくれたお礼です。

………それに…、私には“守る物”がありますからね…
(懐中時計を握りしめ)


……お名前は……?



裏キル(過去)
……………名前……(呟き)

…俺の名前は…ーーーー



―END―
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