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その後【救済if】千
𝙽𝚊𝚖𝚎
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カーテンを開けたまま寝たせいか、電気を付けたまま寝たせいか眩しさに目を開く。
隣から無くなっていた温もりに一瞬焦り身を起こすと幾分か目が冴えてききょうがシャワー中であろう事を理解する。
「帰ったわけじゃねーのか。」
安堵しこれからどう自分の元へ堕ちてくるようにすべきか思案しながら用意されていたホテルのルームサービスを食べた。
これで想いのせいで鈍くなった頭の回転が少しは戻るだろう。
ちょうど食べ終えたあたりでききょうがバスローブ姿で戻ってきた。
「…はよう。」
「ききょうお前仕事しすぎだろ、俺ぐらいには気使わなくて良いんじゃねーのか。」
昨日脱ぎ捨てた上着がしっかりハンガーにかかっている事に勤勉というか真面目すぎる性格にそこがまた隣に置いているせいでそうさせてしまっているのだろう。
「もう癖みたいなものです、全部食べられたんですね良かった。」
「そりゃ二日酔いになるほど飲んで無いからな。」
待てをさせられた犬のように目の前に目当てのききょうが据え膳状態で居ることに気が急いて、頭を拭いているバスタオルごと抱えるようにして抱き寄せた。
「…酔ったふりしてあんなこと言ってたんですか。」
タオルのせいかくぐもった声に聞こえる、少しタオルをずらして向かい合わせの至近距離で目が合う。
「フリも何もしてねーだろ、覚えてるなら話は早い。昨日の返事聞かせろ。」
抱きしめた腕の中で体が強張るのを感じて少しでも威圧しないようにと、勤めて穏やかに話かける。
自分からこんなに優しい声が出るとは驚いた。
「わ、たしは…良いです、よ。」
側から聞けばわかりにくい回答だったが長年の付き合いの中でききょうの性格は把握済みだ、それにどんなに気持ちを振り絞っているのかも伝わる。
素直すぎて嫌うより嫌われる質、人に甘える姿など一度も目にしたことがなかった。本人はバレていないと思っているようだが1人で隠れるようにして泣いているところを何度も見ている。
まぁ、それに気が付いてるのは俺を含めたごく少数の人間だけだろうがな。
「分からねーな、何が“良い“なんだ?」
上がりそうになる口角を必死に制御しながらもう一度肯定の言葉が聞きたくて意地悪をする。
「っ、き、昨日…!言ったじゃ無いですか。」
真っ赤になりながら腕の中から逃げようとするききょうに限界だった。
逃がさないように腕にしっかりと力を込める。
「ック、クク、そうだな言った。惚れさせて誰よりも幸せだって思えるまでどろっどろに甘やかして堕落させてやる。」
「…ん」
この瞬間ばかりは多幸感に堪らなくなった。
そのままするりと背中を撫でながら腰に手を回すとキスをした。
もうすっかり脳がどろどろになるのを感じながら1泊しか取っていない部屋を連泊するために連絡しなければとこれからの幸福を噛み締める。
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