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その後【救済if】千
𝙽𝚊𝚖𝚎
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ルリとコハク、スイカまで。ほほメンバーが来てるってのにききょうがいつになっても戻ってこねぇ。
メンタリストを除けば全員集合だ、それでも戻ってこないとは今日のあいつの目的はあさぎりゲンなのかと胸がザワついた。
どうしても隣に座らせたくてこの酔っ払い共から自分の隣の席を死守しているがそれも時間の問題だ。
気をゆるした仲間のはずが何故か今日はムズムズして落ち着かない、普段と違うところは隣にききょうがいない事くらいだ。
いつの間にか横に居るのが当たり前になっていた。
同時に不確かな心と体調の不調の原因が確信へと変わり始めていた。
「お待たせ〜今日は皆をビックリさせちゃうよ〜」
やっとあさぎりゲンの姿が見えたと思いききょうが帰ってくるものだと期待をしていたら、語尾に音符マークが付きそうなくらい上機嫌なメンタリストが先に現れた。
「遅れて来たって事は相当なモンなんだろうな?メンタリスト。」
俺が声をかけた事により一層視線が集まる。
「ジーマーでビックリさせるよ、俺の彼女。超可愛いんだよ〜」
一瞬体の芯がひやっとしたがあさぎりゲンの後ろから出て来たのは全く知らない女だった。
「お前まで恋愛脳かよ、勘弁してくれ。」
半分は本音で半分は自分に言い聞かせている言葉だった。
ざわざわとする飲みの席にそのまま暖かく迎え入れられ、馴染んでしまうのにはそう時間は掛からなかった。
あっという間に輪の中心になった2人を横目に目的の人はまだかと残り少なくなった手元の酒を煽る。
グラスを机に置いたと同じタイミングで戻ってきたききょうは今にも大粒の涙をこぼして泣き出しそうな唆る顔をしていた。
俺としては眼福だが状況的には最悪だな。
手で隣に座るよう死守していた隣の席をポンポンとすると大人しく座ったききょうにどうすべきか考えを巡らせた後、アルコールの入ったグラスを手渡した。
「ご苦労さん、相変わらずな奴らばっかで騒がしいったらありゃしねぇ。」
当たり障りの無い言葉をかけながら思わず伸びかけた手を下ろす。
ここで気兼ねなく触れられりゃ苦労しねんだがな。
「そうですね、今日は無礼講ってやつですか。」
そう言いながらグラスを一気に空にする珍しい姿に図星なのだと悟った。
本人には悪が好都合だな、酒に不安定なメンタル。こっちに引きずり落とすには条件が揃いぶみだ。
その後は特に弾んだ会話も無いせいか2人並んでどんどん酒が進みお開きの頃にはききょうは千鳥足を軽く飛び越えて覚束無い足を何とか平常通りに動かそうと努力をしているようだった。
「せんく…1人で帰れますか?無理そうならホテル…」
くてんくてんでも仕事をしようとする姿に理性強すぎんな、こいつと難解不落をこれから相手にする覚悟を決める。
「ホテル取るのはおめーだろ、まっすぐ歩けてないの分かってんのか。」
皆が店の外に出たのを確認しながら肩を貸して立たせる、近くなる距離に甘い嗅ぎ慣れた香りとアルコールのツンとした匂いに飲酒量をセーブしていた自分まで目眩をおぼえた。
会計は酔った誰かが勝手に支払っていたようだった。
2人分の荷物とききょうを支えながら外に出ると二次会の場所決めに盛り上がるメンバーを器用に避けて誰にも告げずに目的地へ向かう。
いくら影の薄いききょうとはいえ二次会で2人が揃って消えたのは少し話題に上がっていたのを知るのは少し先になりそうだ。
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