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その後
𝙽𝚊𝚖𝚎
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10年かけて全てが少しずつ元通りになろうとしている。
それでも変わらないものや人はいるもので私を含めた復興チームもそうだと思っていた、千空は相変わらず何か作っているし私もそんな千空の影としてついて回って何でもしたし補佐なのは変わらなかった。
それぞれの役割を果たしながら日々を過ごしていると1年なんかあっという間で久しぶりに初期メンバーで集ろうなんて話が出たりして。
何でも屋さんな私は当然のように皆んなのスケジュールを調節してお店を手配、無難な場所だが今や有名人になってしまった初期メンバーの為に貸切でお店を用意して。
その中でもとびきり緊張しながら連絡をしたのがあさぎりゲン。
10年、いやもしかしたらもっと前から片思いを拗らせているそんな自分に嫌気が差しながら平静を装い当日を迎えたのだった。
勿論嬉しいしそれに約一年振か、先に千空と共に予約したお店の席に座りチビチビと緊張をほぐす為にお酒を口に運んでいると普段飲酒をしない私を知っている隣の千空にじっと見られているのに気が付いた。
「お前が酒飲むの初めて見たかもしれねーな。」
「ん……そう?」
しまった、明らかに今の返は不自然だった。
いつもなら視線だけで言わんとしていることが分かるのにどれだけ自分が浮ついているのかがよく分かった。
「ああ゛、それに妙にそわそわしてやがる。」
そう言われてギクリとしながらもそれを誤魔化すように時間を確認すればちょうど集合時間1分前だった、いくら忙しいとはいえ皆そろそろ店に来るはずだ。
「あ〜…時間が気になって、もう皆さん来る頃なので入り口で私は待ちますね。ここでゆっくりしていて下さい。」
秘書業務みたいな事もやっているせいか集まりの際は入り口でゲストの有無を確認する、もう癖みたいなものだった。
それに盛り上がってしまえば影の薄い私は会話に混ざるのは難しくなるだろう、せめて全員に最初の挨拶が出来る大事なチャンスなのだ。
座敷で予約してしまったのを少し後悔しつついつのもパンプスに足を捩じ込み化粧ポーチを引っ掴んで入口へと向かった。
ついでに化粧も直したい、普段は超ナチュラルメイクだが今日は少し気合いを入れていろいろ色を載せた分化粧崩れが気になる日なのだ
。
するとタイミング良く誰かが入って来るのが見えた、時間ぴったりこれはだいたい予想がつく。
「大樹、杠早かったねもう千空居るから奥の座敷に上がって。」
荷物と上着を預かりながら貼りつけた笑みを向けるのを忘れずに、これも職業病なのだろうか。
とりあえずの笑顔は強い。
「おお!早いな、では遠慮なく!」
「ありがとうききょうちゃん。」
奥に消えていく2人を見送りながら繋いだ手に輝く結婚指輪から目が離せなくなって、上着掛けに上着を掛けそびれて落とした物を拾いながら考えが止まらない。
2人は毎日一緒に過ごして甘い日々を送るのだろう、お似合いでとても微笑ましい。
2人は確か高校の時からの両想いでストレートに結婚もしたんだっけ。
綺麗で清らかな2人がとてつもなく羨しい。
寂しさを紛らわす為に体を一度や二度ならずそれなりの回数をどうでもいい相手に許してしまった自分に自己嫌悪した時にはもう到底修正の効かないスレた女が出来上がってしまっていた。
でもそれも今日で終わりにできるかもしれない、だって久しぶりにゲンにも会える日だ。
自信を持って顔をあわせることができるように化粧だって変えた、服も普段は千空と一緒にいる時は変な誤解を生まないように常にスーツを着ていたけど今日だけは私服のニットワンピだ。
ボディーラインが出てしまうのは少し気恥ずかしい気もしたけど、これくらいバチは当たらないだろう。
お気に入りの私服達は365日ほぼ休みがない為すごく久しぶりな気がした。