泣き止むまで、しばらく、そっとしておいてあげた。

少し経つと、涙が治まってきて、「すみません、せっかくお食事に誘ってくださったのに、楽しい事にならなくて…」と遠慮がちに話してきたので、

「正直言うと、今日の高橋の様子がおかしいの気になっててな。俺で助けになることあったら、言ってな。」と伝えると、

「ありがとうございます。こんな夜に一緒にいてくださったので、少し和らぎました。」と目を腫らすながら話す。

「それはよかった。」と安堵の言葉をかけると、

「家に帰ると、思い出が詰まってて苦しいんです。」なんて言うもんやから、

「じゃあ、今日は友だちの家にでも泊めてもらえや。」と助言をすると、

「地元こっちじゃないので…」と不安そうな顔をする。

いやいや、せやかて、俺が泊めるわけにもいかんしな…なんて思いながら…あー、あいつなら

「じゃあ、俺の姉貴の家がすぐそばやから、そこで今日は泊まってけや。」と提案をする。

「え、そんなの、迷惑かけすぎですよ…!!」とびっくりした顔でこっちを見るが、

「いや、明日もその顔で仕事にこられる方が俺にとっては迷惑や!!俺の姉貴は聞き上手やし、女子会してきいゃ。」と言いながら、姉貴に電話をかける。

姉貴はすぐに、電話に出て、速攻で「いいよ～♪」と返事が来たことを伝え、姉貴の家まで送ってやった。