店につき、一通り注文をした後、俺は、行くタイミングを逃し我慢していたトイレへと席を立つ。

トイレから戻ると、また、高橋は脇に置いてあるスマホを眺めていた。

「誰かからの連絡とか待っとるんか？」と、聞いてみる。

「あ、いや、もう来ないんですけどね。」と。

「彼氏と昨日、別れたんですよ。転職したら、職場が遠くなってしまい、振られました。」

「転職って、まだ1週間しか経ってないやんけ…」と話すと、

「転職は、言い訳だったのかもしれませんね、もう随分前から冷えてたんです。」と語り始め、高橋の目元に涙が溜まっていくのが見えた。

必死に、涙を堪えながら、「けど、長かったから、つい、連絡が来るかもってスマホを見てしまうんです。」と話し、涙がこぼれてしまった。

涙が1回こぼれると、その後は、抑えが効かなくなり、何も話さず、目元を抑えて泣く一方。

俺は、カバンの中から、ハンカチを探すが、焦っていて、なかなか探せず、時間がかかってしまう。

やっと、ハンカチを手渡すと、「ありがとうございます。」と小さな声が聞こえた。