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第四章 ゼロ・イストワール

友を信じる

ギュスターヴの装具が破壊され クロノスフィアをテナルディエに任せた時

ティナ「…なら 本物のクロノスフィアを俺に渡せ 作戦を変える トビーに渡して集会所に籠らせよう お前がやられて奪われたらそれこそ…」

ギュスターヴは首を振る

ティナ「やられない自信があるのか?どうしてだ…」
ダステ「私にはまだ最終手段がある…行ってくれ」

テナルディエはその場から移動する
残されたギュスターヴは足を引きずり エターナルから離れようとする

ダステ「私1人殺すのに本体が来るとは思えない 先にテナルディエを狙う 相手は分裂体 記憶は共有しない 倒したと思わせれば隙をつける」

エターナルの姿は 不定形のまま 予想通り本体ではない

「テナルディエに見捨てられたか…その足では仕方あるまい」
ダステ「…あいつは裏切らない」
「だがお前は助からない その足でどう逃げる 銃を向けてもすぐに避けてやる まともに構えないで当たると思うのか?」

バグはその姿をアンドレに変え ファリエールに変え フュベールに変え…ギュスターヴの両親 シルヴェールとルミアに変え 笑う

ダステ「貴様…!」

小指の指輪を擦る しかし何も出てこない
足を引きずりながら 右膝を立て 立ちあがろうと手をつく

到底許せない テンプスやタイムが傷つき ゼロが捕まった セカンズたちもトビーやテナルディエは危険な役目を引き受け続けた
その上彼にとって大切な人々に姿を変え 彼を馬鹿にするように笑う

夢にみた 両親が笑いかけてくれる姿
それを こんなやつに 汚された

役に立てていない だが自分は 無力ではない
本物のクロノスフィアはギュスターヴが持っている 隙をついて台座に戻す役目を 彼は任されていた

「ははは!惨めだな 私を止められない お前にできることなど……!」

剣を振り ギュスターヴを切るが 感触がない
避けられたわけではない 攻撃ができないのだ

ギュスターヴは右足を伸ばし 左足も動かす

立っている 両足で 装具もつけず 力強く

「まさか…」

指輪を擦り 素早く銃を構える
頭部を打ち抜き すぐに体の中心めがけ数発撃つ

「そ…想造力…やつがそんな…」

もう一発頭部に当てると ついに分裂体は形を保ち切れず消える

ダステ「…弱い相手を前にすると油断するのは 聞いていた通りだな」

小指の指輪に込められた力は 一時的な治癒の力
ゼロはこれを最終手段として彼に与えた
もしも装具を壊され 大時計に辿り着けなくなった時に 誰にも任せられない状況なら使うようにと…

ギュスターヴの左足の怪我を治し 歩けるようにする
ゼロはそれができる わかってはいたが 実際それをされるのがギュスターヴにとってどれだけ辛いことか
自身の都合で 彼の人生において大きな傷である足を 直したり戻したりするのだ

だがギュスターヴは それでもこの戦いのために 友のために それを受け入れた

ダステ「絶対に倒す…」

ギュスターヴは銃をしまい 大時計へ向かった



…そして現在 大時計内部 台座のある歯車の上

すでに体がボロボロに崩れているエターナルは タイムの姿で彼らの前に現れ 影を刃に変化させ 無差別に攻撃しようと全方位に飛ばす

しかし誰にも攻撃が当たらない ウィルキンズはタイムが前に立ち 防ぐ

エターナル「くそ…どうなってる どうして当たらない!」
ゼロ「諦めろエターナル 本当の名前 それもフルネームを知らないと 殺すことはできない」
エターナル「ギュスターヴ・ダステじゃないのか タイムじゃないのか どうなっている…」

エターナルは崩れる体を持ち直し 剣を構える ギュスターヴを台座に近づけさせまいと 立ち塞がる

ゼロ「タイムは本名じゃないみたい それとギュスターヴにはミドルネームがある 吹き飛ばしたとしても 私が助けるから意味がない もう勝ち目はない」
エターナル「くそ…ダメだ 一度引いて崩壊の力を解かねば…!」

エターナルは飛び上がり 大時計の外へ逃げようとする その方向には まだトビーがいる

ゼロ「ギュスターヴ!クロノスフィアを!」

急いでギュスターヴはクロノスフィアを台座に戻す クロノスフィアは再び光を放ち始め 大時計が正常な動きを取り戻し ヒビ割れていた文字盤も元に戻る 大時計内部に光が戻る
タイムの瞳にも強い光が戻り 全ての力が戻る

トビー「いい加減諦めろ!!」

トビーがエターナル目掛けて銃を撃つ
数発受け一瞬動きが止まるが そのまま上に登り切る

ゼロ「テンプス・ホルロージュ・パンデュール!!」

ゼロが叫ぶと エターナルの前にテンプスが現れ 剣を横に大きく振る 避けられたが 怯んだところに蹴りを入れ 大時計の中へ押し戻す

そこへギュスターヴの銃弾が命中し さらに体勢を大きく崩して落下していく 影に戻り途中の通路に落ち また姿を取り戻す

ゼロがその背後に現れ 片手剣を振り エターナルの左腕を切る 体を削られたエターナルは ゼロから逃げるため また外へ向かおうとするが その前に復活したタイムが立ちはだかる

せめて動きを止めようと影を伸ばすが 前に伸ばした右腕にテナルディエの銃弾が当たり 形を保てなくなる

エターナル「どいつもこいつも…!!」
タイム「あの姿に化けたこと 後悔しろ…」

王笏を取り戻し 底を強く地面に当てる
そこから電気のような光が発生し 王笏の砂時計に集まる
タイムの瞳の色と同じ 時間の力
その光が弾け 地面を伝うと エターナルの体が一気に崩れる

タイムが時間を操り エターナルの体の時間だけを進め ゼロがかけたガワを消滅させる力を進行させる 回復をしようにももう間に合わない

エターナル「また…勝てなかった…のか…」

内側にあった黒い球体のみが残り テンプスがそれに斬りかかる 攻撃を受け 球体にヒビが入り 砕け散る



テンプス「…はぁ 終わりだ…」

テンプスは長く息を吐いたあと 膝をつく
倒れると思ったタイムが側に寄るが 手を前に出し 必要ないと伝える


全員の力によってエターナルと名乗るバグは消滅した これでこの世界の脅威は去った

ゼロ「な…なんとかなった…よかった…」
ウィル「ご主人様!大丈夫ですか…」
タイム「私は大丈夫だ」

ゼロはテンプスの傷を見る 酷い怪我もすでに治りかけにまでなっている 腕が戻ってすぐ想造力で治癒力を上げたおかげでもう大丈夫そうだった

テンプス「結果なんとかなりましたが…テナルディエ頼りは一か八かすぎましたね」
ティナ「なんだよ 信じてくれたんだろ?」
テンプス「…庇うべきじゃなかった」
ティナ「そんなこと言わないでくれよ 感謝してる」

大時計から全員出る すっかり元通りになっていて ゼロは安堵する

トビーとも合流し 全員の無事を確認する
ギュスターヴは座り ゼロの力を解く
ゼロは壊された装具を直し ギュスターヴはそれをつけて立つ

ダステ「感覚が無くなる感じは…なんとも言えないな…」
ゼロ「装具を直してもまた壊されたらと思うと…そうするしかなくて…使わせることになって申し訳ない」

セカンズが大時計に異常がないか確認を始め ウィルキンズもそちらに集中する
タイムはセカンズたちに指示を出している

戦いがようやく終わり 彼らは一度大時計の前で座り込む

タイムはその側で 彼らの様子も見ていた

ティナ「…しかしあの怪我で死なないんだな」
テンプス「タイムがずっと時間を操って出血を止めていたからな」
ゼロ「いやぁタイムには助けられたよ 私の周りの時間歪めてくれたおかげで半日かかる想造力なし封印解きも現実時間だと結構すぐ終わったし」
ウィル「セカンズたちに常に指示が飛んできたようで 慌しかったですよ」

テンプスもゼロも笑いながら話すが 2人に対して早めたり遅くしたりしながらさらに時間を操ってエターナルと戦い さらにテナルディエとギュスターヴを助ける間もゼロを助け どんどん力が失われ死にかける状態になっている時も テンプスを助け続けていたというきとになる
それはもうどういう感覚で力を使っているのかよくわからない ギリギリの命懸けのことを 彼は痛みに耐えながら行っていたのか?
さらには城中駆け回る間 セカンズ ミニッツ ウィルキンズに 方法はわからないが指示を出し続け 状況を把握し続けていた
もう仕事量がわけわからないぐらいになっている その上で絶対に死んではいけない

ゼロ「テンプスも頑張ってくれたでしょ…全部の物語の時間に問題ないか遠隔で確認しながら 私の封印解除進行度とタイムが無事か気にして作戦どれだけ進んでるか確認して…戦いながら同時に別の映像見るとかよくわからないことしながら負傷状態でよくやってくれたよ…本気出さなくても時間稼ぎできたし」

こっちの時間も同時進行で色々やっていたようだが それくらい普通であるほうな顔をする
咄嗟にテナルディエを庇い大怪我を負ったが それでも戦い続け と同時に本来の役目である全時間の管理を行うしかなく さらに駆けつける必要がある場所はないか さらに負傷した後でも確認し続けていた
最後に核を攻撃できるのはテンプスなので ゼロが復活するまでは死ぬわけにはいかないのに…だ

テンプス「ゼロ様は本来解呪に1年はかかる10万個の封印半日ぐらいの時間で解いたじゃないですか その後の腕の封印も タイムの助けがあるとはいえ…さすがです!力が戻ってすぐに全員分に念の為防壁を作り 私の簡易治療を行い タイムを応急処置して ギュスターヴの足の魔法を延長して銃弾強化!あぁあの短時間で 他のことに気を取られず正確に想造するなんて!」

テンプスによる賛美が始まり ゼロが必死に黙らせる

そもそも作戦全て考えたのはゼロ 指輪を用意し 真っ先に封印されると分かっていて作戦のため抵抗せず 間に合わなければ全員終わる状況でも封印を解き切り 想造力が戻ってすぐ 正確な想造をしながらエターナルの動きを見て攻撃
全員守ると約束したとはいえ こちらも絶対に倒されてはいけない状況で これだけのことをこなしていた

エターナルの言う通り 人間である彼らは結局ゼロたちの力なしにまともに立ち向かえはしなかった

人外たちの人外すぎる能力を思い知っていると

テンプス「…でもまぁ…テナルディエ ダステ トビー…お前たちがいなければ 勝てなかった…助かったぞ」

いつもこちらに対しては無表情か睨みつけるか顰めっ面しかしてこなかったテンプスが 少し恥ずかしそうにお礼を言う

テンプス「お前たちは我々からすれば弱い…人間だから仕方ないが バグたちはそれで油断する だがお前たちは強かった 私だけでは きっとここまでやれなかっただろう…君たちのおかげで 全ての世界が守れた…ありがとう」

テンプスが ゼロに向ける笑顔とも違う優しい顔で笑いかける
その笑顔を見た3人は 喜ぶような表情ではなく テンプスを心配していた

ダステ「どうした大丈夫か」
ティナ「…疲れてるのか」
トビー「きっと血を流しすぎたんですね…」
テンプス「素直に礼を言っただけでなぜそんなふうに…」
ゼロ「今までの態度…」

大時計の確認が終わったタイムは 念の為生者の部屋の様子を見に行くと告げる

タイム「2人は別の世界が問題ないか確認しに行かなくていいのか」
ゼロ「一応問題ないけど…見に行くか」
テンプス「私は城に戻ります 他の世界でバグが共鳴していないかもう一度確認を…」
ゼロ「君は怪我の療養ね 想造力で無理やり治したけど 完璧じゃない しばらく私がやるよ 本来私の役目だし……」

タイムは生者の部屋へ向かい 残りのメンバーは集会所へと戻る

テンプスは城へ戻った
彼らは椅子に座り また一息つく
緊張状態から解放され 一気に疲れが出る
指輪の力で身体能力を多少助けたとはいえ 走って戦って死にかけていたのは 数分前のことだ

ダステ「明日休みにしていて正解だな…」
ゼロ「トビーもゆっくり休みなよ…」
トビー「はい…流石に疲れました…」

ギュスターヴとトビーは指輪をゼロに渡し 休むために自分の世界に帰って行った

ゼロ「ティナ 指輪を…」
ティナ「約束は 守ってくれるんだろうな」

2人きりになり テナルディエは低い声で話しかける 指輪を外し ゼロに渡す

ゼロ「もちろん でも限られている わかった上で私を選んでくれたんでしょ?」
ティナ「お前の方が約束を守る確率が高いから選んだだけだ」

情報を提供し その都度報酬を受け取る
それだけではテナルディエはゼロに力を貸してはいなかっただろう

運命を変える エターナルにつけば それが叶う可能性がわずかでもあった
ゼロたちの作戦がうまくいかなくなり未来が変わることもあり得る中 それでもゼロ側に着いたのは 彼らが信じたからであり エターナルが彼に乞食と言ったからであり…ゼロの約束があったからだ

ゼロ「君の運命を書き換える それが契約だ」

ゼロは微笑む この瞬間 彼女は彼らの友人のゼロではなく 畏怖の念を抱く存在 想造者の顔を見せる

ゼロ「さてと 今回分の報酬だね 命をかけてくれたお礼だ…そういえば 今までの分足りてた?」
ティナ「…十分だ おかげで屋根の下で寝られそうだ」
ゼロ「あぁそうなんだ……どこに?」
ティナ「決めてねぇよそんなのは…」
ゼロ「…そう」


ゼロだけがいる室内
戦いは終わり 彼女もようやく一息つける
そこへ一通りの作業を終えたタイムが戻る

ゼロ「服 直そうか」
タイム「やれるなら」
ゼロ「しかしクロノスフィアが戻るだけで 君もすっかり元通りになるもんだね」
タイム「…手はもういいのか」
ゼロ「私も最終手段を使ったからね すっかり元気だよ」

笑顔で話すが だんだん顔が曇る
深くため息をつき 俯いたままタイムに話す

ゼロ「早く想造者になりなよタイム 私が死んでしまう前に」
タイム「お前は死なないだろう」
ゼロ「…今度こそ大丈夫だって 誰にもわからない」
タイム「私にはわかる だから想造者にはならない」

ゼロは顔を上げ タイムを見る
彼は正直だ いつだって思うままの言葉を言える 隠す必要がないから

テンプスも 他の想造者も大丈夫だと言ってくれる

タイム「今回は失敗しなかった 全員消えることはなかった」
ゼロ「…うん…ねぇタイム もしテナルディエの運命を変えるために また時間を戻すと言ったら 協力してくれる?」

タイムは嫌そうな顔をする

タイム「二度としない約束じゃなかったのか」
ゼロ「契約しちゃったから」
タイム「……自分でやれ」

そう言ってタイムは部屋を去った

ゼロ「…ま 彼が本当に望むかはわからないけどさ」

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