このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第四章 ゼロ・イストワール

守るべきもの

エターナルによってゼロは捕えられてしまった

一方 ゼロの咄嗟の想造力によってバラバラの場所へテレポートされた彼らは 今自分がどこにいるのか把握しようとしていた

歩き回っていたテンプスが通路の下を見るとゼロがバグによって捕まっている姿が見える

テンプス「主は…力を封じられている状態か…申し訳ありません…今はタイムを優先します…」

テンプスは上に向かって跳び上がり 急いでタイムを探しに向かう

城の下層の方に移動させられていたギュスターヴは 場所がわかりすぐに上に向かった
近くにエターナルがいないか警戒しながら移動する

ティナ「ギュスターヴ!こっちだ!」

道中テナルディエと合流し 2人で行動することになった
他の2人を探しつつ 目的の場所へ向かう

ダステ「タイムとトビーを見つけないと大時計に向かってもまずいんじゃないか?」
ティナ「エターナルに先越されちまうほうがまずいだろ…急げるか?」
ダステ「走るのは難しい 君だけでも先に…」
ティナ「…どのみち俺もそう走れねぇよ…できるだけ急ぐか」

別の階層では トビーが遠くにタイムの姿を見つけ 急いで合流しようと走っていた
トビーに呼ばれたことに気づいたタイムは振り返り 目的の階層も近いのですぐに上へ向かう

トビー「テンプスは見ましたか?」
タイム「まだだ 私は先に大時計へ向かう」

彼らの目的の場所は 大時計だった
何より最優先で守るべきもののために そこへ行かなければいけなかった

以前ゼロはエターナルの目的をこう予想していた

ゼロ「目的はクロノスフィアの力か…クロノスフィアを壊すことだと思う だとしたらなんとしてでも阻止しないといけない」
ティナ「そのクロノスフィアってのは結局なんなんだ?」

昔彼らが大時計の中を覗いた時 光り輝く球体があった
それこそがクロノスフィア
万物の大時計の原動力であり時間の海へ行くことのできる船
万物の大時計はタイムの心臓であり 台座から離れるとやがてタイムは止まり アンダーランドは終わりとなる
決して失われてはならない全ての力の源だった

ゼロ「台座から取ってもすぐに力が失われるわけじゃない 蓄えられてる分があるから…でもたぶん 一切力を使わずにいたとしても 数時間後には 全部なくなって大時計もタイムも壊れる その時アンダーランドにいると崩壊に巻き込まれる みんな止まるから…」

だがエターナルの目的はそんなものではないだろう バグは物語の世界全てを消し去ろうとしている

ゼロ「…クロノスフィアの力は 時間の力 私でも時間には敵わない エターナルが欲しいのは 想造者に対抗できる力そのものだと思う」


彼らは クロノスフィアの元へ向かう それが奪われれば この世界どころか 彼らの世界 そしてゼロの世界全てが失われることになる

どれだけ相手の力が強大でも 戦わなければならない
とにかく先に大時計へ辿り着き クロノスフィアの側で守ればいいはずだった
何よりテンプスがいる 彼がタイムとクロノスフィアを守ればほとんど問題ないだろう

先に大時計の近くまでたどり着いたのはギュスターヴとテナルディエだった

そこにタイムもやってくる

タイム「ギュスターヴ テナルディエ」
ダステ「…タイム」

ギュスターヴとテナルディエは右手につけた人差し指の指輪を擦り 銃を出す
守るため…タイムに銃口をむけた
タイムは驚き 王笏を取り出し構える

タイム「どういうつもりだ」
ティナ「お前こそ それで騙したつもりか?」
ダステ「目が黒い お前はエターナルだな」
タイム「…流石に知っているのか」

タイムの本来の目は青く光っている
しかし彼らの目の前に立っているタイムの目は光を宿さない真っ黒な闇のような目だ

ゼロからバグが分裂も姿を変えるのも自在だと聞いていた 見分ける方法は変えることのできない目の色だけ バグが変化すると必ず真っ黒な瞳にしかならない

エターナル「仲間の姿に変化するとためらうやつもいるんだが 容赦ないなお前らは…」

エターナルは手のひらから影を延ばし剣に変化させる
ギュスターヴが一発撃ち テナルディエは二発撃つ

弾が当たり 少しよろめくがすぐに体制を整える

エターナル「私に有効な弾 しかも無制限 ゼロは用意がいいな…だが お前ら人間など 私の敵ではない!!」

地面を強く蹴り 一気に距離を詰め ギュスターヴに蹴りを入れ2人を離し 銃を構えるテナルディエを突き飛ばす

エターナル「まずはお前からだテナルディエ」

手から離れてしまった銃を手に取ろうとするが 間に合うような状況ではない
エターナルは剣を構え テナルディエに突き刺そうとする

もうダメだと思ったその時 テナルディエには刃はが届かなかった 強く目を閉じていたテナルディエが来るはずだった衝撃がなかったので 恐る恐る目を開ける

ティナ「……テンプス…?」

テナルディエの方を向いて テンプスが片膝をついて立っている 胸に刃を突き立てられ 血を流している

テンプス「あぁ…しまった…」
エターナル「よく来たなテンプス 無意味にもそいつを庇うとは」

エターナルは剣を抜き笑う
テンプスは手に持っている剣を落としそうになり 地面に突き立てる 口から血を流しながらテナルディエが無事か確認する

ティナ「なにを…してるんだ 俺は名前を…知られてないんだぞ…」
テンプス「…わかっていても…体が動くもんだな…馬鹿な話だ…守るつもりなんかなかったってのに…」

名前を知らなければバグは彼らを殺すことができない それでもテンプスは思わず飛び出してしまった

ふらふらと立ち上がる 血は止まることはない それでも剣を抜き エターナルに向かって剣を振り下ろす エターナルは剣でそれを受け止める

テンプス「早く…クロノ…スフィアのそばに…」

ギュスターヴはすでに立ち上がり 大時計へ向かっている

ティナ「俺もやる さっきは油断したが…」
テンプス「私を信じろ こんな状況…初めてではない!守りを…固める方が重要だ…主が戻るまで…時間を稼ぐんだ お前たちの力を…信じている だから早くしろ!」

そう言われ テナルディエはすぐに大時計に向かい走る
致命傷こそ避けたが それでも辛い状況だった
テナルディエの名前が本当に知られていないのか 命を持って確かめさせるわけにもいかない
ゼロの友人…そして自分の友人

ゼロとタイムしか守らない などという言葉は 主を前にして言っていただけで テンプスは本当にそう思えてはいなかった
ただのキャラクターだと思っていても 彼らを見捨てられるような人物ではなかった

ゼロもタイムも もう守れるかわからない
だが今はその力全てを使い エターナルに立ち向かわなければならない

エターナル「名前を明かし 代わりに私たちを切る力を得た男よ…悲しいものだな お前の行為は私を助けたことになるんだ」
テンプス「…やつは我々の味方だ たとえ悪役だろうと…悪人だろうと…」
エターナル「さてそれはどうか やつは利益のある方につく いつだってな」
テンプス「…どんな男だろうと 私にとっては等しく 守るべき存在だ…私は守人なのだから…」

テンプスは力強く立ち 剣を構えた


大時計の内部では 安全なルートを通りギュスターヴと後からテナルディエも来た

ダステ「テンプスは…」
ティナ「酷い怪我だ…きっと負ける」
ダステ「…今は信じよう ゼロが戻るまで私たちで耐えるしかない」

テナルディエは手を強く握り締める まだ銃を出し 構える

別の場所から トビーとタイムも大時計の近くに
大時計の正面で戦うテンプスの姿が そこから見えた

タイム「…テンプスが…戦っている」
トビー「どうしましょう…」
タイム「…お前は急いで中へ 私が行こう」
トビー「そんな あなたが行っては危険です!」
タイム「行くんだ 横からも入れる場所がある」

トビーはタイムの言葉に従い 別の場所から大時計に入ろうとすぐに向かう

タイム「…テンプス 今私も……っ!?」

胸に 小さな痛みを感じる 大時計の方を見たあと 服のボタンを取り 胸の時計を見る
文字盤には僅かなヒビが入っている

タイム「クロノスフィア…!」

少し前 時計の内部 台座前ではギュスターヴとテナルディエが言い合いをしていた
トビーは中に入りその姿を見つける
そこにさらにエターナルが現れる
テンプスの姿はない 彼は倒されてしまったのだ
エターナルは中央の台座にいる2人を見つけ 安全に向かえる道を探す

ティナ「テンプスが負けたのか…くそっ!」

テナルディエはクロノスフィアに手を伸ばす
眩い光を放ち回転してるクロノスフィアだが 手に取り引き寄せると 光は失われ本来の金の姿を表す
すると地面の光も順に失われ 凄まじい音が響いた後 時計内部が少し静かになる

ダステ「ティナ!?何をしているんだ!」
エターナル「テナルディエ!それをこっちによこせ!」
ティナ「ここで守るなんて無理だ 持って逃げる…!」

テナルディエはエターナルが迫りくるほうとは逆に逃げ ギュスターヴもその後を追う
クロノスフィアが失われ セカンズが時計内部に集まる 大時計の防衛者である彼らは合体し 複数体のミニッツになる 秒が集まり分になり 大きさも力も増す

ティナ「狙うならエターナルを狙えよわかってるな!」

ミニッツは低く叫び 一番近くの侵入者であるエターナルに向かう

エターナル「邪魔なやつらめ…」

ミニッツを放って彼らを追えば後ろから攻撃される まず先に散らさなければならない
その間にテナルディエとそれを追うギュスターヴは台座から離れ 時計の出口へ向かう そこへトビーが追いつく

トビー「クロノスフィアを取ったんですか!?タイムが死んでしまったら元も子もないじゃないですか!」
ティナ「時間稼ぐだけだ これがあれば時間の海ってとこに逃げられる!」

エターナルに追いつかれないようにテナルディエはさらに離れる

大時計の前で倒れるテンプスを見つけたタイムは彼に駆け寄る

タイム「テンプス…まだ死んでいないな?大丈夫だな…?ミニッツは…」

ミニッツたちがバラバラと崩れ またひとつに集まりエターナルに立ち向かう

タイム「しばらく耐えるか…?」

タイムはテンプスを両腕で抱き上げ すぐにその場を離れる 手当てできるようなものもない ただそこにいては危険だから避難させなければ

クロノスフィアはエターナルに奪われたわけではなさそうだとわかり あとはミニッツと…ウィルキンズに頼ることにした


ウィル「お待ちくださいテナルディエ様!お待ちを!」

時計から離れ ようやくテナルディエは立ち止まる ウィルキンズとトビーが追いつきしばらくしてギュスターヴも追いつく

ウィル「クロノスフィアを今すぐに台座に戻すんです!それがなければ アンダーランドの時間が!」
ティナ「しばらく持つんだろ その間にゼロが腕を元に戻せばいい!どうやって使うんだ」
ウィル「教えませんよ!絶対にだめです」
ティナ「エターナルに奪われてたらそれこそ終わりだ!教えろウィルキンズ!」

ウィルキンズは頑なに使い方を教えない
使わせるわけにはいかなかった どちらにしても危険なのだ

トビー「エターナルが!」

トビーが指さす先 エターナルがミニッツを攻撃しながらもこちらに向かってくる
テナルディエはまた逃げようとするが 手に持っていたクロノスフィアを落としてしまう
球体のクロノスフィアは転がり 勢いよく回転しながら どんどん大きくなり 乗れそうなほどの大きさになった

ティナ「これが船…?」
ダステ「…仕方ない 乗るぞ!追いつかれる!」

遠くでエターナルも船が開くのを見つけた 逃げられるとわかり 剣を彼らに向かい投げる
ウィルキンズに向かって飛んできた剣から トビーが助ける

トビー「あなたも名前を知られてる…!一緒に逃げよう!」
ウィル「ですが…!」

トビーはウィルキンズを抱きかかえ すでにギュスターヴとテナルディエが乗り込んだクロノスフィアに飛び込む

ティナ「どうすれば動くんだ!?」
ダステ「ウィルキンズ協力してくれるか?」
ウィル「う…上のレバーを引いてください!」

上のレバーを引くとクロノスフィアは宙に浮き上がる
別の道からタイムが来る エターナルもミニッツを振り切り クロノスフィアへ向かう

エターナルが落ちた剣を拾い クロノスフィアに狙いを定め投げようと構える

タイム「動くな!」

タイムがエターナルに手を向けると動きが止まる

エターナル「ぐ…これぐらい…!」

その間にギュスターヴが操作方法を聞き レバーを操作するとクロノスフィアはエターナルとタイムの上空を真っ直ぐ進み どんどん勢いを増す

タイム「待て!待つんだ!」

勢いを増すクロノスフィアは城の壁に向かって勢いよく進む

ティナ「本当に合ってるのかよ!」
トビー「うわあああ!!」

そして壁にぶつかる直前に クロノスフィアと彼らは姿を消した

タイム「どういうつもりなんだあいつらは…!」

残されたタイムと タイムに時間を止められたはずが すでに動き今度はタイムを標的にするエターナル

タイム「…クロノスフィアは行ってしまったな どうするつもりだ」
エターナル「お前を死なせないためには戻ってくるしかあるまい それからまた奪う だが…お前の力はやっかいだ…お前も止めないとな」
タイム「お前に時間は止められない 同じ姿などしても 私の力は使えない」
エターナル「お前が多少破壊されたら奴らはすぐに戻るだろう 時間がおかしくなるのは 海にいればわかる」

エターナルは武器を構え タイムは懐から王笏を取り出す

時間とバグの戦いが始まった



END
3/8ページ
スキ