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第一章 出会い そして

今だけは時間もゆっくりする

ギュスターヴが隠していたことを明かした日の夜のこと
いつもの4人で集まった後 ゼロが今日は…と彼女の生まれた時代の母国のお酒を振る舞った

ギュスターヴが次に気づいた時 自分は眠っていたのだと理解した
慌てて振り向くと 時刻は…

ゼロ「君がいつも起きる時間の 10分前ってとこかな」

ゼロがそう言ったので まだ起ききっていない頭でどれくらい眠ったか考える

ゼロ「8時間かな」

何も言っていないのに 答えを与えられた

公安官「…計算がおかしい 0時は過ぎてから来た」
ゼロ「5時台なのは変?」
公安官「時間が足りないだろ…何を言ってるんだ」
ゼロ「寝過ごさないように 操ってるんだよ 時間」
公安官「起こしてくれればいいだろう そもそもこんな椅子で…」
ゼロ「タイムが流れをゆっくりにしたんだよ 私じゃない 夜遅くまで話してた君らを気遣ったんだよ 彼が」

そういえば 集まりに参加していなかったタイムがいる
彼も眠っているのか 目を閉じている

公安官「時間が 自分を遅くしていいのか」
ゼロ「ただ彼がゆっくりしてるだけだし いいんじゃないの?たまには 私がいれば影響でないの知っててやってるだろうし なんでここで出来るのかが理解できないけど」

すると タイムが目を開く
相変わらず彼の目は綺麗なアクアマリンのような輝きを放っている

ほとんど会話をしたことがない
彼自身がアンダーランドの時間であるということ以外知らず どんな人物なのかは未だにわからないでいたが 彼自身の判断で 彼らを長く眠らせてやろうとしてくれるくらいの 気遣いを…いい奴なのだろうか

タイム「最初は君が心配をしていた」
ゼロ「あぁ何 私が言ったからやってくれたの?」
タイム「もういいな」
ゼロ「なら私がやったのに」
タイム「君にやらせたら時間を止めていた 時計が合わなくなるだろうが」

そう言いながらチョッキのボタンを取っていたタイムは突然 胸の部分だけガバッと開いた
そこに人間の肌はなく 時計が埋め込まれていた 体内はやはり水色の光があり 時計の秒針がゆっくり動いていた

タイム「時間を操るのが上手くなったら任せる」
ゼロ「そりゃ 君のが上手いのは認めるけどさ…」

話していると 彼の胸の時計は 正しく時間を刻み始める その秒針を確認した彼は “よし”と言い ボタンを閉めた

ゼロ「テナルディエ ピレリ 起きな」

ゼロが手を横に振ると 2人がゆっくりと目を覚ます

ゼロ「音を遮ってたから よく寝られたかな」
ティナ「…あぁ ゼロ と タイムか」

グイッと体を伸ばし 大きくあくびをした
テナルディエは立ち上がり すぐに帰る様子だった

ティナ「…あいつは気づいたか?」
ゼロ「一度も起きてないよ」
ティナ「ならさっさと戻るかな…」

テナルディエは立ち上がって もう一度体を伸ばし 後ろへ向かった

ピレリ「椅子で寝てたわりに体が痛まないんだが…お前の魔法か?」
ゼロ「そーう」
ピレリ「なんだか久々に…夢も見ずに寝た」
ゼロ「タイムがアロマ焚いてたから…悪い夢を見ないんだっけ」
タイム「そうだな」
ピレリ「…そうか」

テナルディエとピレリはその話だけ聞いて 家族や同居人に長時間いなかったと思われないために戻っていった

公安官は服を正し 帽子を手に取り立ち上がる

公安官「時間もゆっくりすることがあるんだな」
タイム「たまには 休息が必要な時もある…時計を出せ ポケットの方だ 少しズレている」
公安官「本当か…?」

ポケットから懐中時計を出し 見てみると 確かに1分遅れている
時間は時計が合っているかどうかもわかってしまうのか

タイムが手を出すので チェーンから外して手渡す 時計の上で手を開き 円を描くと 分針がくるりと周り 時間はピタッと合った

タイム「さぁ これで仕事に向かえるな」
公安官「あぁ ありがとうタイム」

懐中時計を受け取り 公安官はすぐに仕事の支度をしに向かった

残されたゼロとタイムは一呼吸おいた後目が合った

ゼロ「全部の世界の時間を操るなんて いつの間に」
タイム「…世界の設定を間違えたんじゃないのか?」
ゼロ「扉の時間が世界に影響するのは予想外だった 現実世界の時間を反映してるとはいえ……逆もいけるなんて」
タイム「君も仕事に向かったらどうなんだ」

ゼロは首を振る

ゼロ「…仕事というか観光かな ちょっと様子見てくる」

ゼロは 変装のための道具をポンポン出現させる
黒く長い髪のかつらを被り 手袋をはめる

ゼロ「物語がちゃんと進んでるか」

そう言って 彼女は姿を消した




END
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