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Story of NBC

聖夜の奇跡


クリスマスイヴ
23:00が過ぎた頃にふと前のクリスマス、その前のクリスマスの前夜を思い返す。
クリスマスの前の悪夢と言ってもいいであろう。僕からしても、人間からしてもみんなにしても。
去年のクリスマスイヴも散々なめにあった。

いい思い出が今年は欲しいのだが、問題があった。奴が復活したとの知らせ。頭が痛くなりそうだった。
名前を聞くだけでも嫌になってくる、もう治ったはずの傷が痛む。


ウギー・ブギー

またなにかやらかさないか心配でならない。あいつは変わらないやつだしなぁ


「ジャック」
ジャック「サリー…なんだい?」
サリー「ブギーが戻ったからって…彼がなにかするとは決まってないわ、今すぐ行って、仲を良くしてきて…」

ジャック「…無理なことを言わないでくれサリー。難しすぎる、なにかする可能性に関してはまったくわからない、会いたくない」

ジャックは窓を開けて中央広場の方で騒がしい住人達の声を聞いていた。ブギー復活の一報は、動揺を隠せない。今はきっとツリーハウスにいる。

ジャック「(雪が随分と積もったな…)」

ブギーについての知らせが来た頃降り始めた雪がかなり積もった外をみて、時間の経過を知り溜め息をついた。

ジャック「(…クリスマスの前の悪夢かなぁ、まったくさぁ)」


サリー「危ないわよジャック」
ジャック「落ちるつもりだよ」
サリー「ジャッ…」

サリーの方を向き腰を窓の枠にあててクルンと頭から地面へと落ちていった。両腕を雪のクッションにつき肘を曲げて伸ばした力で立ち上がり、広場の方へとむかった。

サリー「またドアからでないで…あの人は…」


ー中央広場ー

住人達は広場を通って墓場へ行こうとしたジャックを見つけてそれぞれが同時にジャックに不安などを喋りかけた

ジャック「みんな!喋るなら1人ずつ後で言ってくれ!僕は墓場に用事があるんだ!!」

住人達は動きを止めてジャックを開放した。ジャックはお礼をいいすぐにメインゲートをくぐり墓場の奥のツリーハウスを目指した。


ー墓場〜ツリーハウスへの道〜ー

ここは墓場、門を通ってゆっくりと歩いて進む。ゼロの家(墓)の前に立ち、1度あたりを見回す。
月明かりに少し反射してキラキラと輝く真っ白な雪景色となったいつもは不気味な墓場に見惚れる。
つららなんてとても綺麗に出来ていて、触ってみたいが折れてしまうのは嫌なので見るだけ。

雪景色を楽しみながら、笑顔で歩いて行くが、少しずつツリーハウスへ近づいてくるとその笑顔もなくなって行き、最終的には真顔でツリーハウスをじっと見ている状態になった。


ジャック「(ロックショックバレルは町の中にいた。ここにいるのはブギーだけブギーだけブギーだけブギーだけ…やっぱり帰ろうかな…)」

迷ってくるくるその場の周りを回って考えていると、ツリーハウスの中に入るためのエレベーター(?)が下からあがってきた。

ジャック「(いるのわかっているのかたまたまなのか…)」

エレベーター内に入れないので上にのると、レバーを下げる前にエレベーターが下へとさがっていった。


ーツリーハウス ブギーの大賭博場ー

窓をすり抜けて床に降りる。中央に向かってゆっくりと歩いて行く。

誰もいない

ブギーはこの部屋いると思ったが物音もせず不思議で首をかしげる。
その瞬間後ろに気配を感じすぐさま振り返る。

「Boooo!!」
ジャック「わっ…」

驚きすぎてそんなに声がでなかった。驚かしてきた相手はしばらくその状態のままでいた。
その後すぐに姿勢を戻し、普通に立った。

「驚きすぎて声もでなかったか骸骨くん」
ジャック「ブギー」
ブギー「のこのこ1人で俺のところに殺されにくるとはなぁ」

ニヤニヤといつも通りの笑みを浮かべてジャックを見るブギーにムカつきながらも今回の目的を言った。

ジャック「別に殺されになんてきやしないさ。サリーに言われてな、別に最初から仲なんて良くなかったが仲直りしにきた」
ブギー「は?」

まぁまず予想通りの反応がきた。仲直りではなく"仲良くなりにきた"の方がやっぱりまだよかったかもしれないと後悔しながらも手を前にだす。

ブギー「…馬鹿なのか」
ジャック「少なくとも君よりかはマシだ」
ブギー「いや、おかしいだろ仲直りは。急に言って出来るとでも思ってるのか?」
ジャック「思ってない。いい案がまったく思いつかなかったから思い切って言っただけだ」

手を前にだすのをやめ、体の横に戻し直立した。ブギーはまだジャックの行動がわけわからずそして少し呆れ顔だった。

ブギー「だいたいあの人形に言われてってのは余計だろ。なんだ、仲直りとかしたことないとかか」
ジャック「したことあるわけないだろうがお前と!」
ブギー「別の奴とはどうかと聞いてんだよ馬鹿が!」
ジャック「だから君よりかはマシだって!」
ブギー「もっとよく考えてこういうことはやれ!そして帰れ!」
ジャック「帰らない!」
ブギー「なんでだよちくしょうが!!」
ジャック「ちくしょうは僕が言いたいよ!」

お互いだんだんと怒りがたまってきて、今にも闘いが始まりそうでなんとも迷惑である。
ジャックがまた何かを言おうとした瞬間奥の方から"ピー!"という音が聞こえた。

ブギー「ちょっと待ってろ!」

ブギーがドスドスと奥の部屋へと走り去っていった。ジャックはその場に立って、ただブギーを待っていた。

ジャック「(…喧嘩なんかしたことなんてないし、ブギーだし、会った時から敵だったし、それなのに仲直りなんて、サリーは本当に…できるなんて思ってるのかな…)」

立つのも疲れてきたので中央のルーレット台を回す部分に座り足をぶらぶらさせながら、ただただブギーを待っていた。
退屈で静かだから色々と考え込んでしまった。

ジャック「(ブギーはいい奴じゃないし、だいたいそんなに会ったこともないし、あいつのことほとんどわからないし…いい所探すことも、なかったし…)」


仲直り…仲良く…


突然ブギーの声が響いた

ブギー「ジャック!そっちに逃げた蛍光虫とっ捕まえろぉぉぉ!!」
ジャック「え、なに?蛍光虫?」

ジャックに向かって飛んできた蛍光虫をジャックは素早くとらえてブギーに渡した

ブギー「あー、サンキュー…」
ジャック「…」


料理中とみた

ブギーが手招きするので一緒に奥の部屋へ行くことにした。中はかなり広く、この空間がきたことがなかった。奥にはリビングとキッチンがあって、僕はソファーに座るよう言われたのでとりあえず座った。

ブギー「もう少しで一段落つくからまだ待ってろよ」

キッチンからはとてもいい匂いがした。

このリビングもキッチンも、だいたいが元捨てられてた物を再生させた物ばかりだが、なんとも普通に住み心地がよさそうだった。そしてとにかく広かった。
くもっている窓を手で外の景色が見れるようにゴシゴシとして外を見ると、まだ雪が降っていて、ツリーハウスのツリーの根がある地面にも積もっていた。


ブギー「よしジャック、話を続けよーぜ…なんだ?雨か?」
ジャック「雪だよ」
ブギー「ゆき…クリスマスタウンを白くしてたやつ雪だったのか。これが雪なのか…」

ブギーは雪を見たことはあるがそれを雪だと理解してはいなかった。なんだかやけに普通にせっしてきたブギーに驚きながらも、ジャックは話し続けた。

ジャック「ブギー、聞いた話なんだが、クリスマスイヴにはよく奇跡が起こるらしいんだ」
ブギー「俺らが一緒になって雪見てるのも十分奇跡に近いよな」
ジャック「仲良くなることも奇跡に近い…なったら奇跡だよね」
ブギー「…なんだ、奇跡でも起こすきか?そういえば一昨年も去年も十分奇跡に近いことしたよな、お前」

少し思い返すと、ブギーの言っている意味がわかった。

ジャック「君に勝てたこととか?」
ブギー「そう、それ」
ジャック「じゃあさぁ、今年も起こしてみよっかなー奇跡」
ブギー「え、今の流れで仲良くするつもりで…」
ジャック「なんか君の殺気もないからさ」
ブギー「…さっきは色々と焦ってたから」
ジャック「言い訳いらないよー」

ブギーが困った顔をした。
ジャックはニコニコ笑っていた。



ブギー「…俺はお前が嫌いなんだよ」
ジャック「僕も嫌い」
ブギー「会う前からだ」
ジャック「僕も」

ブギー「俺も馬鹿か」
ジャック「だって、結局僕らの喧嘩にみんなが巻き込まれているんじゃないか」
ブギー「だよなぁ、とりあえずお前を殺すのが俺の目的なのになぁ」
ジャック「会った時の第一印象が悪すぎたから最初から仲なんて良くなかったよなぁ」

なんだか自然と顔が笑ってきた。出会ってから今年で20年
なのにあった回数がたった4回で3回は酷い事態だった。なら、今回は少しはましに

ブギー「よしジャック。俺たちは仲良くしていこうじゃないか、争いも憎まれるのもやめたくなってきたころだしな」
ジャック「…あの時の声聞こえてたのか」
ブギー「争いはもう終わりにしようっていうあれか?聞こえてたぞ」
ジャック「…へぇ」


"よし!"と言ってブギーはキッチンに向かうその途中に

ブギー「晩飯でも食ってけジャック」
ジャック「あ、そういえば僕、サリーに無理言って夕飯まだだった…いただくよ!サリーに知らせてくる!」
ブギー「おぅ」


ジャックがツリーハウスから去ったであろう頃。リビングでの会話を最初から聞いていた子分達に声をかける

ブギー「ロックショックバレル、今日は骸骨男と一緒だ」
ロックショックバレル「りょーかい!」





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