序章

「…始まったんだ…。」



少女は荒野の中にいた。そこでは数多くの仮面の戦士…『仮面ライダー』と呼ばれる者達が何かと戦っていた。



ある者は相棒とも言うべきマシン(バイク)を駆り、ある者は大地を掛け抜け、天空を駆ける牛をイメージさせる緑の列車と赤い列車、赤と黒のドラゴン達に城に龍の手足の生えた様な物に赤い鳥の様な物。



そして、大地を駆ける戦士達の中には量産型と思われる数多く存在する三種類の兵士も居た。



「……ライオトルーパー…ゼクトーパー…オルタナティブ……。」



少女は淡々とその兵士達の名を呼んでいく。



必死に戦いながら、次々と倒されるライダー達…そして、最後に残ったのは傷だらけになっても立ち続けた九人の戦士達だけ。



「…クウガ…アギト…龍騎…ファイズ…ブレイド…響鬼…カブト…電王…キバ…。」



少女は最後に残った九人の仮面ライダー達の名を告げていくと、彼らが取り囲む10人目の『仮面ライダー』へと視線を向ける。



「……ディケイド……勇宇……。」



少女は一枚のカードを取り出すと、そのカードへと哀しげに視線を向け、そして…ディケイド達の上空へと視線を向ける。



「……勇宇をお前の好きにはさせない……『ディターン』。」





仮面ライダーディケイド
~終焉を破壊する者~
プロローグ






「紫月、朝だよ。」



扉を叩く音と扉の先にから漂ってくる食欲をそそる香り、そして、その少年の声に起されて、その少女『社(やしろ) 紫月(しづき)』は目を覚ます。



「うん。今行く。」



眠い目を擦りながら、少年へとそう答えると少女、紫月はペンダントの様に首から下げていた鍵を使い、机の引き出しに掛けてあった鍵を開くと、その中に入っていた物を手に取る。



「…勇宇……楽しかった時間はもうおしまい……。でも…私だけは何が有っても貴方の味方だから。」









「や、紫月、おはよう。今日は速いね。」



エプロンを着けて朝食の支度で出た洗い物を片付けながら、少年は紫月へとそう言う。



「…うん…。…おはよう、勇宇…。」



その少年『門矢(かどや) 勇宇(ゆう)』へと声を掛けて紫月はテーブルへと付く。



「いただきます。」



「じゃあ、先に出るよ。遅刻しないようにね。」



「…うん…。…いってらっしゃい…。」



自分の朝食として用意されたフレンチトーストを『ハムハム』と言う擬音が出そうな様子で、幸せそうに食べながら、紫月はその少年を見送る。



「……勇宇……。…貴方の運命はこれから決まる……。」



少女はカメラの様な形の何かと、本の様な形をした物を取りだし、それを撫でながらそう呟く。



「…時がくれば…私も一緒に戦う…だから…それまでに、『力』を取り戻して。」



そして、少女は本の様な物を開きその中に十枚のカードを収め、それを閉じて朝食の残りへと手をつける。



「……うん、やっぱり、勇宇の料理って美味しい……。」



心の中から嬉しそうに紫月はそう呟いた。









公園…



「またダメかな…。」



早朝の公園…『門矢 勇宇』は趣味の鳥や木々の写真を撮っていた。但し、今でどんな写真を撮っても歪んで写ってしまい、まともに撮れた事はない。



彼は幼い時に両親を失い、幼馴染の少女、『社 紫月』の家に居候させてもらっている少年である。同じ時に彼女自身も母親を失っていて、残す父親も殆ど家に居ないのだから、常に実質二人きりと言う訳である。



「あとニ、三枚撮ったら、まだ早いけど学校に行こうか。」



そう言って勇宇はデジカメを手に取って、ファインダーを覗き撮影を再開する。そして、気に入った風景を見つけてシャッターを押す。



そして、カメラを下ろして立ち去ろうとした時、





――キイィィィィィィィィン――





突然変な音が響き、ファインダーから見える景色が歪み始めた。…そうそれは何時も自分が撮る写真の様に…。



「これって…。」



驚いて一度ファインダーから目を離すと周囲を見渡して再びファインダー越しに景色を見る。



「…同じだ…ぼくの写真と…。」



その歪む景色の中に一人の少年が映し出される。いや、それだけではなく…景色さえも変わる。暗い緑色の空と禍々しさの増した月に異形の塔。



『ディケイド。今日、君の世界がおわります。』



「え?」



驚いて再びファインダーから目を離すが、其処には先ほどの少年の姿はなかった。



「何だろう…今のって?」



再びファインダーを覗いても景色は変わる事無く普段通りの景色が映し出されていた。



「…それに…『ディケイド』って…ぼくの事?」



ディケイドと言う言葉を疑問に思い考えるが、特にそれが示す事は自分には思いつかなかった。



「って、こんな事してる場合じゃない! 遅刻だ!!!」



暫く呆然としていて、腕時計へと視線を向け、そう叫んで鞄を手に取ると慌てて走り出す。







だが、勇宇は気が付かなかった。…デジカメのメモリーの中に有る写真…その一枚に…先ほど偶然にも映し出した『暗い緑色の空と禍々しさの増した月に異形の塔、そして、城にドラゴンの手足の生えた画像』の写真が存在して居る事に。











「…まだ時間は有るはず…学校で勇宇に『あれ』を渡さないと…。」



突然、紫月の目の前が歪み、分厚い壁の様に彼女と彼女の周囲の人々を遮断していく。



「…そんな、早過ぎる!!!」



そして、近くに居た男性に突然現れた牙の様な物が突き刺さり、その男性の体が徐々に透明になっていく。



「ぐあッ! あ、あぁ……!」



そして、砕け散る様に消えていくと異形の怪物達が次々と姿を表す。



「……ファンガイア……。」



『貰うぞ、貴様等のライフエナジーを。』



異形の怪物達『ファンガイア』は少しずつ周りの人間に近づき、次々とそのライフエナジーを奪っていく。



「…拙い…急がないと。」



最後に残った獲物…紫月へとファンガイア達が近づいていくが彼女はそれを一切気にしていない。それ所か、



「…お前達…邪魔!」



一枚のカードと『』を取り出す。そして、





-KAMENRIDE-







数分後…



「…速く、勇宇を探さないと…。」



紫月はそう呟き後を振り向かず立ち去っていく。その後には…砕け散り消滅する『ファンガイア』の姿しかなかった。



そして、彼女の前の景色が歪み、別の場所…更地の様な場所に飛ばされてしまう。



『お前の望みを言え! どんな望みも叶えてやる! お前が払う代償はたった一つ…!』



砂で出来た上半身と下半身が逆様の怪物『イマジン』が現れるのだが、



「…………。」



完璧に無視されている。そして、更に数体のイマジンがその姿を表すのだが、



『お前の望みを言え…。』



『お前の望みだ…。』



『早く言え、叶えてやる…。』



『『『『…………。って言うか、お願いだから、無視しないで気にぐらいはしてくれよォ!!!』』』』



最後は逆にイマジンが涙声でお願いしてまで、『無視しないで』と言うのだが、それさえも無視して蹴り飛ばして先に進んでいく。



『『『『酷いぃぃぃぃぃぃぃ!!!』』』』



誰も居なくなった更地にはイマジン達の慟哭だけが響き渡った…。哀れ。











一方その頃…



「ああ、もう! こいつ等、しつこいな!!!」



登校途中の勇宇は、突然襲いかかって来た怪物『アンデッド』達から逃げていた。



アンデッドとは『仮面ライダー剣』の世界に存在する53種の生物の始祖たる不死者達…倒す方法は『消滅』か『封印』の二種類しかないことを彼は知らない。



「一体、何処から…。」



無我夢中になって走り回り、建物の中に逃げ込もうとした瞬間、景色が歪み何処かの広場に飛ばされる。



「…建物の中に逃げ込むのは間違っていたな…。」



歪みの中に消えていく勇宇を見送りながら、勇宇のカメラに写った少年とは別の少年がターゲットを見失ったアンデッド達を気にも止めずそう呟く。



「変身。」



少年が姿を変えた仮面ライダーブレイドによってアンデッド達は封印される事になるのだが、誰も知る物は居なかった。















「な、なんだったんだ…今のは…?」



「…ディケイド…。」



突然聞こえた声に驚いて、その声が聞こえた方向を振り向くと、其処には見た事もない制服を着た少年がいた。…その少年『』がゆっくりと彼の元へと歩いてくる。



「お前は…?」



「ディケイド…世界は今、一つになろうとしている。」



少年は勇宇の前に立ち止まり静かにその言葉を告げる。



「世界が一つに…!?」



少年は黙って頷く。



「お前のバックルとカードは君のよく知る人の元に有る。」



「バックル? カード? それって…何の事だよ? それに…よく知る人って…?」



勇宇が少年へと聞くが彼は答えないまま、ゆっくりと右手を上げる。そして、噴水の中から現れた真紅の龍に包まれて共に姿を消していく。







『急げ、世界を救う為にも。』







「一体、何の事を言っているのか分からないよ、それじゃあ!!! …よく知るって…まさか、紫月!?」



要領を得ない少年の言葉に怒りを感じながらも、彼の言葉から一人の少女の顔が思い浮かび彼女の名前を叫ぶ。こんな状況で一人は危険と考えて彼女を探す為に走り出した。
















「勇宇…何処に…? っ!? …今度はワーム?」



紫月の視線の先にはそこには“紫月”がにやけながら立っていた。そして、“紫月”が突然緑色の異形の姿に変わると、その姿が砕け散り、中から虫の様な化け物が現れた。



「…本当に…邪魔!」



怒りを覚えながら“それ”を取り出そうとした時、



「紫月、聞こえるか!?」



突然、勇宇の声が聞こえて振り向くと灰色の歪みの壁の向こう側に勇宇の姿があった。



「勇宇!」



「紫月!!! このぉ!!!」



勇宇は力任せに、彼と紫月を隔てている歪みの壁を殴るが、それはまったくと言って良いほどに無意味だった。



「くそ! こんな物なのか…? 世界が終わる日って言うのは…?」



直近くにいるのに手が届かない。己自身の無力さを呪いながら、歪みの壁に手をぶつけながら崩れ落ちる。



「…勇宇…これを。」



勇宇は紫月から差し出された『それ』を見た瞬間、先ほどの言葉を思い出す。



「それって…あいつの言ってた…。」



「うん。…これが勇宇の力。勇宇のバックルとカード。だから…勇宇が救って…世界を。」



「ああ。ぼくに力が有るって言うのなら……絶対に救って見せる…世界を!!!」



決意を込めた彼の言葉と瞳を見て、紫月はそれを彼へと託す。そして、勇宇はそれを手に取った。二人を隔てているはずの壁を透過して、それらは確かに彼の元へと…己の主の元へと届いていた。



「使い方は…。」



「大丈夫、分かる。」



紫月の言葉に勇宇ははっきりとそう宣言する。彼はカメラの様な物を腹部に当てる。それはベルトとなって腰に装着される。さらに本の様な物から、一枚のカードを取り出した。



そして、勇宇はカードを構え…



「変身!!!」



自身へと力を与える『言霊』を叫びそのカードをバックル…『ディケイドライバー』へと装填し、バックルを元の状態へとスライドさせる。







―KAMENRAIDE DECADE!―







ディケイドライバーから電子音が響き渡り、同時に勇宇の体に独特なスーツが装着され、周囲にディケイドライバーに書かれている九つのマークが周囲に浮かび上がり、スーツを装着した彼の像を作り出す。そして、九つの像がカードとなり、仮面部分に突き刺さっていく。それと同時に灰色だった部分が色鮮やかな色に変化していく。



そして変身完了と同時に出たオーラが歪みの壁を粉砕し、その破片がワーム達へと当たっていく。









彼の名はディケイド…世界の破壊者…『仮面ライダーディケイド』









「…勇宇…。」



紫月は彼の名を悲しげに呟く。そして、ディケイドはワームに近づこうとするが、ワームは突然、物凄いスピードで動き始めた。



『クロックアップ』…ワームが持つ高速移動の能力である。



「ちょこまかと…!」



そう言ってディケイドはベルトの右側に有る本型のケース、『ライドブッカー』からカードを一枚抜き、ディケイドドライバーのカード装填口にセットして、スライドさせる。







―KAMENRAIDE KABUTO!―







電子音と共にディケイドの姿は、赤いカブトムシを思わせる姿の戦士『仮面ライダーカブト』へと変わっていく。



「…カブト…。」



紫月はそのライダーの名を呟く。



そして、ディケイドの変身したカブト…D(ディケイド)カブトはライドブッカーから更に一枚のカードを撮りだし、バックルへと装填し、スライドさせる。







―ATTACKRAIDE CLOCKUP!―







Dカブトがスライドさせた瞬間、周りの時間が停止した様にゆっくりと流れていく。その流れの中に居たワーム達をソードモードへと変形させたライドブッカーで切りつけて撃破していく。



「よし!」



周りの時間が元に戻ると同時にバックルからカブトのカードが飛び出し、カブトの姿からディケイドへと戻っていく。



「でも、なんでぼくはこのカードを選んだんだろう?」



勇宇は疑問に思うが、バックルから抜かれたカブトのカードはその絵柄を失っていった。



「どうして?」



疑問に思っている彼の元に紫月が近づいていく。そして、彼女が近づいた瞬間、景色が歪み…廃墟と化した街へと変わっていった。



「ここは…?」



「気を付けて…ここにも敵が居る。」



紫月がそう呟いた瞬間、近くに有る灰の中から灰色の怪物達が出現し、襲いかかってくる。



「…今度は…オルフェノク…。」



「オルフェノク?」



彼女の言葉を疑問に思いながらも、怪物…『オルフェノク』達を倒すのが先決と、ライドブッカーから二枚のカードを取り出し、その中の一枚をバックルへと装填し、スライドさせる。







―KAMENRAIDE 555!―







電子音と共にディケイドの体に赤いラインが浮かび上がり、銀色の装甲に金色の瞳のライダー『仮面ライダーファイズ』へと変身した。



「…ファイズ…。」



そして、もう一枚のカードを装填し、バックルをスライドさせる。







―ATTACKRAIDE AUTOBIGIN!―



再び電子音が響くと何処からか一台のバイク…『マシンディケイダー』が走ってきて、そのマシンの形状が変わり、そのまま人型の戦闘マシンへと変形し、オルフェノク達を上空から銃撃し、D(ディケイド)ファイズと紫月の間へと立つ。



「紫月、隠れてて…頼んだよ。」



Dファイズは紫月とオートバジンへとそう声を掛ける。了解とでも言う様に頷く、オートバジンからファイズ・エッジを取ると、オルフェノクへと向かっていく。



「ハアァ!!!」



「グ、グオォォォォォォ…!!!」



次々とオルフェノク達を切り裂いていくDファイズ。斬られたオルフェノク達は『Φ』のも度が浮かび上がり、青い炎に包まれて消滅していく。それと同時に近くから巨大な化け物達が現れ、周囲を無差別に破壊し始める。



「あれは…魔化魍。」



紫月が呟く中、ファイズからディケイドへと戻る。その瞬間、カブトのカードと同様にファイズのカードの絵柄も消滅していく。



「またか…。」



そう言いながら次のカードをライドブッカーから取りだし、バックルに装填してスライドさせる。







―KAMENRIDE HIBIKI!―







電子音と共に今度はディケイドの体が青い炎に包まれ、鬼の様な姿の仮面ライダー『仮面ライダー響鬼』に変身した。



「今度は…これか。」



直にD(ディケイド)響鬼は次のカードを取り出してディケイドライバーに装填してスライドさせる。







―ATTACKRIDE ONGEKIBO! REKKA!―







両腕を後に回すと二本の太鼓のバチの様な形をした武器『音撃棒烈火』を取りだし、その先端の鬼を象った様な赤い石に炎を宿らせる。



「はあ!!!」



そして、音撃棒から撃ち出した炎が次々と魔化魍を撃墜していく。



(…どうしてぼくは戦い方を知っている? カードの力のせい…違う…ぼくが…知っている!?)



そんな違和感を感じながら攻撃を続け、最後の一体の魔化魍を打ち落とすと同時に装填されていた響鬼のカードがバックルから弾かれて、ディケイドの姿へと戻ると、響鬼のカードの絵柄もカブト、ファイズと同様に消えてしまっていく。



そして勇宇もディケイドの姿から元の姿へと戻る。それとライドブッカーが開き、この戦いで使わなかった残す5枚の…クウガ、アギト、龍騎、ブレイド、電王、キバのカードが現れ、それらのカードの絵柄も消滅していく。



「力が…失われた。あれ?」



同時に新たに飛び出したカードが二枚、絵柄が消えているカードが彼の手の中に収まった。それに書いてある名は『神鬼』と『ガタック』と有った。



「勇宇!」



紫月の声が聞こえて振り向くと再び灰色の歪みが勇宇と紫月の二人を飲み込んでいく。



「今度は…って、家の前!?」



「勇宇、あれを見て!」



紫月が何かに気が付いてある方向を指差すと、そこにはビルの上で巨大な怪物達が共食いを始めている光景だった。いや、上空を見てみれば新たに怪物達が次々とビルへと向かっていく。



「共食いしている…。」



「…そんな…。」



地獄絵図を見ているような気分で呆然とその光景を見ている二人の前で、怪物達が次々と爆発を起し、辺り一面を火の海へと変えていく。



「……これが…世界の終わり……。」



「…なんで…こんな事に?」



「……私のせい……? 私が、もっと速く勇宇にディケイドライバーを渡しておけば。」



「…渡しておけばって? 紫月、それって?」



二人がそんな会話をしている間にも広がっていく炎はついに彼等も飲み込もうとする。だが……



「……え……?」



「う、嘘?」



気が付いた瞬間、辺りの時間は停止していた。そして、



「これが世界の終わりだ。ディケイド。」



「今はオレ達の仲間が破壊を食い止めている。」



「だけど…それも長くは持たない。何れ、世界は滅びます。」



突然、炎の中から三人の少年達が現れる。一人はファインダーの中に写った少年『紅 奏夜』。一人はアンデッドに追われていた勇宇を見ていた少年『伊達 翔』。そして、赤き龍を従えて勇宇にバックルの存在を告げた少年『霧島 輝』。



「時間がない、単刀直入に言おう…今からお前達は世界を旅して、ディケイドの力と『終焉』の欠片を回収し…『終焉者』を封印、もしくは破壊しなきゃならない。」



“輝”は言葉を続けていく。



「そして、拠点となる世界に終焉者の力が存在しています。そして、ディケイドの力と終焉の欠片がある世界に行くには鍵と扉が必要です。扉は君達の家に…鍵を手に入れる手掛かりは…君のカメラです。」



“奏夜”は勇宇達の家と彼のカメラを指差す。



「但し、拠点となる世界を選べるのはこの瞬間だけだ。気を付けろ、終焉の大本が何処にあるのか絞り込めたのは三つまでだ。あとはお前達二人の『運命』に期待するしかない。それと、最初に向かうべきライダーの世界への鍵は与えた。あとは自力で見つけてくれ。」



“翔”が指を鳴らすと三人の姿にキバ、ブレイド、龍騎の絵が重なって消えていく。



『…全てのライダーを破壊し、全てを繋いで再生させろ。それが世界を救う唯一つの方法だ。』



『鍵と扉は彼女が知っています。』



『じゃあ、オレ達によろしく。』



「紫月…君は何を知っている?」



突然の事態に訳が解らないとばかりに、後ろに立つ少女へと声を掛ける勇宇を少女…紫月は優しく抱きしめる。



「…勇宇…覚えてる? …お母さん達が事故に有った日…それに私達も巻き込まれたの…。」



「え?」



「私達も一緒に死んだはずだった。でも、私達は助けられた…世界を救う為に。」



「世界を救うって…。」



「…こっちに来て…。」



紫月は呆然としている勇宇の手を引いて家の中に入っていく。そして、テーブルの上に写真立てと三枚の風景写真を置く。



「…これが扉と鍵…。」



「…え、えーと…写真と写真立てで何をすればよろしいんでしょうか、紫月さん…?」



「…私も分からない…。私は勇宇に渡す『ディケイドライバー』と『ライドブッカー』と一緒に私の『力』とこれを渡されただけだから…。」



そう言われて黙らずには居られない二人でした…。



「しゃ、写真立てなんだから、この写真のどれかを入れればいいと思うけど…。」



「…う、うん…。それで、どれを入れる? あの人達の言葉が本当なら…遣り直しは出来ない…。」



「あの言葉を信じるとすれば、ぼく達は正しい『答え』を…『終焉の大本』がある世界を、この三つの世界の中から見つけ出さなきゃ行けない。」



勇宇は一枚一枚写真へと視線を向ける。







1.巨大な樹が映し出されて、学園の様な物が背景として写っている写真
2.巨大な学園都市らしき物の一部が映し出されている写真
3.未来都市の様な街の一角が映し出されている写真



「…どれを…選ぶ。」
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