一章『怪盗と、アナザーライダーと、ナイトローグ』

イッセーがオカ研に呼ばれてから数日。リアスの眷属悪魔となったイッセーがオカ研に入部し、契約のチラシ配りなどの眷属悪魔の下積みを始めた。

残念ながらその時の会話の内容は知らないが、此処数日のイッセーの行動から考えても、何時転生したかは知らないが、彼が悪魔に転生して正式にリアスの眷属になったのは間違いはないだろう。

そんな中、四季は一人ではぐれ悪魔退治にやってきていた。何時もの様に怪盗の変装セット一式を身につけ、今回はビルドドライバーを装着している。

ルパンレンジャーの怪盗衣装でビルドドライバーと言うのは不思議な取り合わせだと感じる。

「さあ、実験を始めようか」

そんな感想を感じながら、両手に取り出したラビットフルボトルとタンクフルボトルを振り、ビルドドライバーに装填、




『ラビット! タンク!』
『ベストマッチ!』
『Are you ready?』




「OK! ビルドアップ!」




『鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!』




その姿を変えるのは仮面ライダービルド・ラビットタンクフォーム。

「オリャ!」

ビルドに変身すると、バイザーと言う名のはぐれ悪魔が潜んでいるらしき廃墟の入り口を蹴破り、ビルドへと変身した四季はそこへ飛び込む。



『ケタケタケタケタ』



廃墟の中に飛び込んだ瞬間、何処からか狂った様な笑い声が聞こえて来る。

『うまそうな匂いがするぞ? 甘いのかな? 苦いのかな?』

暗闇の中から聞こえて来る声、探そうと思えば探せるのだがそれでも、

(あんまり時間はかけたく無いし、さっさと終わらせるか)

余計な来客が来る前に倒すと、そう思って新たに二つのフルボトルを取り出す。取り出したのは黄色のライオンフルボトル、青緑色の掃除機フルボトル。
新たに取り出した二つのフルボトルを振り、ビルドドライバーに装填していたものと入れ替える。



『ライオン!』




ラビットからライオンへ、



『掃除機!』




タンクから掃除機へ、



『ベストマッチ!』
『Are you ready?』



「ビルドアップ!」



『たてがみサイクロン! ライオンクリーナー! イェーイ!』



赤と青のラビットタンクから黄色と青緑のライオンクリーナーへと変身すると、声の聞こえた大まかな方向へと左腕のロングレンジクリーナーを向けて、

「さあ、掃除を始めようか」

その吸引力を全開にし、其処にいるであろう、はぐれ悪魔、バイザーを無理矢理引き寄せる。

『う、うがぁ!』

突然物凄い吸引力で引き寄せられた事に驚愕しているバイサーを他所に、ライオンクリーナーは右腕のライオンの頭部を模した、ゴルドライオンガントレットを構え、

「せいっ!」

射程距離に無理矢理引き寄せられたバイサーに放ったライオンアームの一撃によって地面に叩きつける。

「さあ、出てきて貰ったところで改めて、実験を始めようか」

「に、人間風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

強烈な一撃によって地面を転がり激昂したバイサーはライオンクリーナーを踏みつぶそうとして襲い掛かる。
見上げるほどの巨体、四作の獣を思わせる下半身の頭の部分に人間の女性の上半身が生えたと言う異形の姿の怪物だが、

(発勁の要領と、ライオンフルボトルのボディのエネルギー弾を撃ち出せる能力)

ライオンレフトボディの能力を思い出しつつ、先日のことを再現する方法をイメージして、

「破っ!」

ゴルドライオンガントレットから撃ち出されたエネルギー弾が踏みつぶそうと向かってきていたバイサーを吹き飛ばす。

「がっ、がぁっ……」

(加減がわからないから手加減して撃ったけど、貫通力よりも吹き飛ばすって言う面に特化してるな、これは。これはこれで役に立ちそうだな)

そんな事を考えながらクリナーによる吸引からの殴り飛ばしのコンボを何度もバイサーへと叩き込む。

ライオンボディは強力だとは思うが、ライオンフルボトルはマシンビルダーを使うためにも使用するので、あまり気軽に変身には使えないだろう。
だが、それでも手札として持っている以上は使い勝手の確認をしておいた方が良いだろうと考えてのライオンクリーナーの選択だったが、思いの外使い勝手が良い。

(ライオンフルボトル、フォームとしても使えるし、バイクの起動にも必要。結構重要度が高いボトルだな、これは)

「貴様ぁ!」

高が人間だと言う侮りはバイサーの中から消えていた。目の前の相手は確実に始末しなければ自分の命が危ない相手。
かつての主人を殺して逃げ出して、やっと自由になれたと言うのに、目の前の訳の分からない人間に殺されたくは無い。
だが、その判断はすでに遅かった。

「これで終わりだ!」


『ボルテックフィニッシュ!』


ビルドドライバーから響き渡る電子音声。クリーナーの吸引力でバイサーを拘束し、ゴルドライオンガントレットからライオン型のエネルギー弾を放つ。

「はぐれ悪魔のバイ「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」」



叫び声をあげながら、ライオン型のエネルギー弾に飲み込まれ、そのままバイザーは跡形も爆散する。
序でに爆発音とバイサーの断末魔の叫びで誰かの声がかき消された。

(分身とかじゃ無く、間違いなく奴の本体だな)

周囲にバイサーらしき気配は無い、そうバイサーらしき気配は、だ。間違い無く先ほどバイサーを倒した事を確信すると廃屋の出入り口へと向き直る。
 
「貴方は何者なのかしら?」

そんな声と共にライオンクリーナーが確認出来たのは数人の男女の姿。
それを確認すると、ビルドドライバーを外し、元の赤い怪盗姿に戻る。

「そうだな、最近売り出し中の怪盗って所だな」
 
振り返りながらそう名乗った四季の前にいるのは、上級悪魔で有る赤い髪の女リアス・グレモリーを王とした彼女の眷属達。金髪のイケメンが騎士の『木場 祐斗』、黒いポニーテールの女性が女王の『姫島 朱乃』、白い髪の小柄な少女が戦車の『搭城 小猫』。最後に堕天使に襲われた事をキッカケに眷属になったであろう、イッセーの計五人だ。
恐らく、彼女達もはぐれ悪魔のバイサーの討伐に来たのだろう。

「怪盗? 随分とふざけた答えね」

「さあてね、本当に怪盗なんだから仕方ないだろ」

怒気を孕んだリアスの言葉を受け流す様に四季は飄々とした言葉で返す。

「他にも二人、青と黄色の怪盗がいるってこの子から聞いたんだけど、お仲間は何処にいるの?」

「三人揃ったオレ達に会いたかったなら残念だけど、今回はオレ一人しかいないぜ」

「まあ良いわ。貴方は何者? 何が目的で私の領地で好き勝手しているのかしら? 先ずは、そうね。その仮面を外して、腹を割って話してもらおうかしら」

リアスの言葉に臨戦態勢に入るイッセーを除いた彼女の眷属達。リアスからの命が有れば直ぐにでも動ける態勢だろう。
実戦経験のないイッセーだけは戸惑っている様子だが。

「腹を割って、ね」

彼女の言葉に不敵に笑いながら四季は、

「悪いがそれは……お断りだ!」

『ライオン! 掃除機! ベストマッチ!』
『Are you ready?』
『たてがみサイクロン! ライオンクリーナー! イェーイ!』

再びライオンと掃除機フルボトル装填済みのビルドドライバーを装着し、ビルド・ライオンクリーナーへと変身する。

「さあ、実験を始めようか」

変身を完了した後に発したその言葉が第二ラウンドの開始のゴングとなった。

***

「裕斗!」

「はい!」

リアスの言葉に従い、最初に彼女の眷属の騎士である木場が自身の|神器《セイクリッド・ギア》の力で作り出した剣を構え、人では視認できない速さで駆ける。

「祐斗の役割は『|騎士《ナイト》』。特性はスピード。『騎士』となった者は速さが増すの。そして、祐斗の最大の武器は剣。それが祐斗の力。目では捉えられない速力と、達人級の剣捌き。二つが合わさる事で、祐斗は最速の騎士となる」

リアスの言葉に『おぉー』とでも言うような表情を浮かべているイッセー。
確かにビルドでもフォームによれば木場の速さを視認するのは難しいだろう。だが、

「今のオレとの相性は悪すぎたな」

「っ!?」

左腕のクリーナーを上げて無理矢理引き寄せる。元々パワータイプではなく、スピードタイプの木場がクリーナーの吸引力に抗う事などできる訳は無い。
どんなに素早く動こうとも動けなくして仕舞えば意味は無く、体勢が崩れていれば達人級の剣の腕前も発揮出来ない。クリーナーボディと木場の相性は最悪と言って良いだろう。

「……吹っ飛べ」

だが、別の声が響く。リアスの眷属の戦車である小猫。彼女は小柄ながら木場とは正反対の純然なパワータイプ。その小柄さとパワーで吸引力にも抗えるのなら、クリーナーの吸引力の影響の少ない側からなら十分に接近できる。
木場へと意識が向いていた隙にライオンクリーナーの懐へと飛び込み、拳を放つ。

「ま、待った!」

慌てて彼女を止めようとするライオンクリーナー。だが、彼女の拳はライオンボディの胸部分に直撃する。








「次は小猫ね。あの子の駒は『戦車』。『戦車』の特性は到ってシンプル。バカげた力と、屈強なまでの防御。あの慌てようなら……」

リアスの説明とビルドの慌て様から、これならと言う表情を浮かべるイッセーとリアス。だが、彼が心配していたのは、









「……くっ! な、なんで……」

「いや、このボディってかなりの強度だから、素手で殴ったら危ないって言おうとしたんだけど」

ビルド・ライオンクリーナーを殴った小猫は拳を押さえながらしゃがみ込む。彼女の拳の骨にはヒビが入り血が吹き出ていた。一方、拳を受けた側のライオンクリーナーは仮面で表情こそ分からないが、寧ろ殴った側を心配してさえいる。

ライオンクリーナーのライアチェストアーマーは武器を使った物理攻撃をほぼ通さない、ダメージを与えられるのは自身の爪ライアメタルクローのみと言うトンデモ性能なのだ。そんなボディに対して、生身の相手が素手で殴れば怪我をするのは相手の方だろう。
ライオンクリーナーとしては全力で、しかも素手で、そんな自分のボディを殴ろうとしたから慌てたのだ。

「小猫ちゃん!」

「っ!」

木場の言葉に反応して拳の痛みをこらえながらライオンクリーナーから離れる小猫。
新たに作り出した2本目の魔剣と合わせて両手に持った魔剣を地面に突き刺して吸引力に耐えていた木場だが。

「|魔剣創造《ソードバース》ゥ!!!」

意を決して両手の剣を手放して地面に手を触れてライオンクリーナーへと向けて大量の魔剣を作り出す。
剣と言うよりも刃の草原とでも表すべき物が作り出されたライオンクリーナーを飲み込んでいく。

(そもそも、連中と戦う理由ってのも無いんだよな。丁度いい、向こうが目眩ししてくれたんだ、これを利用して……退かせてもらうか)

自身の周囲に現れた魔剣をライオガントレットを振るって安全地帯を作ると素早く新しいフルボトルを二つ取り出す。


『オクトパス!』


最初はライオンから桃色をしたタコのオクトパスフルボトルへ、


『ライト!』


掃除機から薄黄色のライトフルボトルへと変え、


『ベストマッチ!』
『Are you ready?』


「変身!」


『稲妻テクニシャン! オクトパスライト! イェーイ!』

新たに変身するのはタコとライト、墨を吐く生物と発光するツールの、一見ミスマッチなベストマッチの組み合わせによる桃色と薄黄色のフォーム、『仮面ライダービルド・オクトパスライト』。

「それでは皆さん」

左肩の発光装置「BLDライトバルブショルダー」から光を放ち一瞬視界を奪うと、墨でリアス達を包み完全に視界を閉ざす。

「|オ・ルボワール《ごきげんよう》」

視界を奪ってそのままさっさと廃墟から逃げ去っていくオクトパスライト。ご丁寧に入り口から、だ。

そして、廃墟から出るとライオンフルボトルを取り出しビルドフォンを変形させたマシンビルダーを使って走り去る。

聞こえてきたバイクのエンジン音と、取り戻した視界でビルドに逃げられた事に苛立ちと悔しさを覚えるリアス達が残されるのだった。















暫くマシンビルダーを走らせた所でビルドドライバーを外して変身を解除し、礼服とシルクハットから私服に着替え、アイマスクを外す。派手な変装を解けば目立つ事もないだろう。

(手札の幾つかは見られたけど、フォームの多さには平成ライダートップ級のビルドだから、それは問題ないか)

ライオンクリーナーとオクトパスライトの力を知られたとしても、たった二つ程度知られた所で問題はない。

(それよりも)

マシンビルダーのスマホの画面(巨大)に映し出された『原作イベント遭遇特典、ガチャ十一連(10回+オマケの一回)チケット』の文字。

(アイツらに関わり合いになるメリットはあるって事か)

深く関わるのには、はぐれ悪魔の30体分の価値はあるというのは分かるが、正体を知られると言うデメリットはある。

(まあ、上手くそこは調整してみるか)

面白い考えが浮かんだと言う笑みを浮かべる四季。

思い浮かべるのは以前作って見たスクラッシュドライバーの事だ。それの実験も兼ねた使い道が出来た。

帰宅後、既に寝ているであろう二人を起こさない様に地下格納庫の中のナデシコCの中にあるラボに行くと、新しいスクラッシュドライバーの設計図を引き最後に『(弱)』の文字を綴る。
意図的にドライバー全体のスペックを大きく引き下げ、更に一度変身解除すれば再生不可能なレベルで内部がスクラッシュゼリーを巻き込んで自壊する様に調整した代物だ。

正規の開発者の桐生戦兎の能力のおかげで性能の改悪は簡単に出来た。自壊機能は苦労したが、其方も比較的早く終わる。

「良し」

次にドラゴンフルボトルの成分をゼリー状にする準備をする。意図的な劣化を加えて通常は青のドラゴンスクラッシュゼリーが、劣化版では赤くなるだろう。
正規版を作った場合取り違えたくないので色などのすぐに分かる違いを持たせておきたいのだ。

「劣化版スクラッシュドライバーと、劣化型スクラッシュゼリーの設計完成」

通常のフルボトルよりも強力な筈のスクラッシュゼリーでありながら、これなら通常のフルボトルでも対応できる程度のスペックに抑えられる。

「これをイッセーに渡して、その程度の干渉で原作への介入ってことになるか試すのも良いだろう」

フルスペックのスクラッシュドライバーとスクラッシュゼリーをイッセーに渡して、後々敵対する事になったら困るので、一度だけの使用が終われば勝手にスクラッシュゼリーを巻き込んで自壊してくれる様にしておいたので、万が一の事は少ないだろう。

“悪魔側に自分の技術が渡る”と言う点が問題だが、この世界ではフルボトルの成分を入手できるのも、生成出来るのも自分だけなのでそれも問題はない。
スクラッシュドライバーだけでは駄目なのだ、スクラッシュゼリーと両方があってこそ初めて仮面ライダーには変身できる。

一通り作業を終えると今更になるが眠気を思い出し、自室に戻るのも、ナデシコCの居住エリアに行くのも面倒になったのでそのままナデシコCのラボに置いておいたベッドを利用して就寝した。
















翌朝、朝食を取った後、休日を利用して詩乃と雫の二人とともにガチャ部屋に佇む四季の姿があった。

「それで戦力の底上げになるから、早速貰ったチケットを使う訳ね」

「ああ、せっかくのチケットだからな」

「ちょっと楽しみ」

初めての光景にワクワクとした様子の雫と、楽しみと言う様子の詩乃。希望があれば自分の代わりに回しても良いと言ったが、今回は四季に譲るそうだ。

「じゃあ」

十一連ガチャを回して機械から排出される11個のカプセル。手に手に入ったのは、



『ビルドのハザードレベル1』×5



先ず、その内五つは見事にダブった。しかし、一つ使用する事にハザードレベルの取得と一上昇する便利なアイテム。しかも、ノーリスクでだ。
この場にブラッドスターク(エボルト)が居るなら絶対に欲しがるだろう。これだけでハザードレベル5は確定する。
そして、次の二つは、


『桜井小蒔の技』
『美里葵の術』


これだった。共に今四季がお世話になっている龍麻の力と同じ魔人学園シリーズのヒロインの二人の力だ。弓術の技と回復の術の二つ。

「じゃあ、こっちは詩乃に」

「ええ。でも、こんなに簡単に貰うのはちょっと気が引けるわね」

詩乃が手に入れたのは純粋な技だけでは無く、桜井小蒔自身がそれまで磨いて来た技術も含まれている。そんな技術までも簡単に貰ってしまうのには思う所が有るのだろう。

「なら、私はこっち。良い?」

「ああ」

雫が希望したのは残された術の方。科学が関係していない純粋な魔法と言っても良い力に微笑みを浮かべる。

そして残りの三つは、



『ハザードトリガー』



「ヤッベーイのが来た!?」

スパークリングを飛び越えて、危険な品物が出てしまった。
当然それはビルドに変身できる四季の物だが、ラビラビタンタンになれない限りは、ビルドの戦力強化ではあるが使うに使えないのが出てしまった。ビルドの暴走スイッチである。

そして、残念ながら残りの二つはラビラビタンタンのフルボトルでは無かった。

「えっと、これって」

「悪い、オレもなんって言って良いか分からない」

「ドンマイ?」

「ああ、それで合ってるかもしれない……」

カプセルの中身に対してなんと言って良いか分からないと言う表情の詩乃と、納得したと言う様子の四季、そんな四季を励ましている雫。
カプセルの中身は、



『天之麻迦古の弓(東京魔人学園)』



ガチでヤバイのがまた来た。日本神話に登場する弓である。こんな物持ってて日本神話にケンカを売ってしまわないかと不安になるし、神話に出て来るような武器が二つある事になるが、一応は魔人学園に登場する武器になるので、この世界のものとは違うが。

「一応、詩乃に使って貰うしかないけど」

この中で弓が使えるのは詩乃だけだが、

「あ、ありがとう。でも、こんな貴重な物簡単には使えないんだけど」

女の子に送るには色気のないプレゼントになってしまった。取り敢えず、お蔵入りが決まった瞬間だった。

そして最後は、



『天叢雲(魔人学園)』



「「「………………」」」

またまたヤッベーイのが来た。この世界にも存在している武器で誰も剣、それも誰もこの剣が分類されている日本刀は使えない。
即座に使用者が決まらない内にお蔵入りが決まった瞬間だった。

そして、最後の一個に四季は視線を向ける。
ある意味危険物との連続エンカウントのトドメとしては妥当なものだろう。
その中に有るのは微妙に形の違うビルドドライバーとハザードトリガーの色違いのセットアイテム。


『エボルドライバー+エボルトリガーセット』


セット販売されたエボルドライバーとエボルトリガーだった。エボルボトルはないが、十分に危険な品物だった。

「エボルトでも現れる予兆なのか、これ?」

思わずそう呟いてしまう。
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