第三章『動き出す闇』

聖書勢力に属する三つの勢力間の和平。それは正に歴史的瞬間だろう。
その事を理解している悪魔側の参加者達、リアスやイッセー、ソーナと言った面々の表情には緊張の色が浮かんでいる。

最初にアザゼルから言われてしまったが、ミカエルもこの会談で和平を切り出す予定だったのだから反対は無いだろう。

戦争の大元である神と魔王が共に消えたのならば、これ以上は争う理由は無い。三竦みの争いを続けていても、決着をつけても害にしかならない。と天使の長であるミカエルは言う。

「ハッ! あの堅物ミカエルが言うようになったな」

堕天使と言っても元は天使なのだから昔の事を知っていたであろうアザゼルがそう言う。

「……失ったものは大きい。けれど、いないものを何時迄も求めても仕方ありません」

何処かミカエルのその言葉には諦めの感情さえ感じられた。いや、実際はやっと失ったものへの諦めが付いたのだろう。

「神の子らを見守り先導して行くのが我らの使命なのだとセラフの意見も一致しています」

「おいおい、今の発言は『堕ちる』ぜ? と思ったが、『システム』はお前が受け継いだんだったな。良い世界になったもんだ。オレらが堕ちた頃とはまるで違う」

ミカエルの言葉に皮肉げに返すアザゼル。

「我らも同じです。種を存続するために悪魔も先に進まなくてはならない」

「戦争は我らも望むべきものでは無い。また戦争をすれば悪魔は滅ぶ」

セラフォルー、サーゼクスもまた和平に賛同の意思を示す。

「そう、次の戦争をすれば三竦みは今度こそ共倒れだ」

……また戦争すれば悪魔だけじゃなくて天使も堕天使も滅びるだろう。それだけ聖書の勢力は他神話から恨みを買っているのだ。勝っても負けても戦争の先に天使にも悪魔にも堕天使にも、その先に未来は無い。

前回の戦争も犠牲は大きかったとは言え、二天龍の乱入のお陰で他神話が好機と捉える被害は出なかった。
寧ろ、四季は聖書の神が命を落としたのは二天龍の戦いの最中に行われた他神話による暗殺の可能性さえも考えているのだ。……仮説は立てても、証明の手段も、証明した所で益もないので口にすら出していないが。

「そして人間界にも影響を大きく及ぼし世界は終わる。オレ達はもう戦争は起こせない」

人間界については聖書以外にも神話や神は居るのだから言い過ぎではないかとは思うが、神器を通して行った影響を考えるとそれが原因で終わらないにしても影響はあるだろう。

「神がいない世界は間違いだと思うか? 神がいない世界は衰退すると思うか? 残念ながらそうじゃなかった」

神と呼ぶべき超越者と関わった経験のあるクリスの表情が変わる。
彼女が戦ったシェム・ハの事を考えると聖書の神も、何処かに復活手段やらバックアップやら魂やらを保管して復活の手段を用意している可能性も高いのだが、それは考えないことにしておく。

「残念ながらそうじゃなかった。オレもお前達も今こうやって元気に生きている」

仮に神がいた場合のifの歴史があるならばそれは剪定事象になっていた可能性が高い。
ならば、彼女達の死によって剪定事象になる道を辿ったと言うのならば、世界という単位において、
朝田詩乃という少女は、
北山雫と言う魔法師は、
雪音クリスと言う戦姫は、
神よりも価値は高いと言う事になるのでは無いだろうか。

それとも、聖書の神は死によって世界に対して価値を与えると言う事だろうか。

今そんな事は、考えても仕方ない事だと切り捨てながら、四季はアザゼルの言葉に耳を傾ける。

「神がいなくても世界は回るのさ」

アザゼルの言葉がどこか虚しくも重々しく響く中、

(あれ?)

先程のアザゼルの締めの言葉に、四季の脳裏には巨大なブーメランが三大勢力に突き刺さるのが見えた。

そうアザゼルの先ほどの言葉はそのまま、三大勢力に突き刺さる。
日本には日本神話が、インドにはインド神話が、それぞれ土着の神が存在する以上、三大勢力が無くなっても、世界は回る。

(だったら、天使も悪魔も堕天使も居なくても世の中は回って行くんじゃ無いのか?)

そうは思っても口には出さない四季であった。
言った所で話がややこしくなる所だし、変な発言で仕事が長引くのも面倒なだけだ。

(次は同じ事を聖書勢力が滅んだ後に誰かに言われるんだろうな)

世界は回る。その言葉が今度は言われる立場になるかはこれからとは思うが、聖書勢力が滅んだ後にはそんな、歴史の繰り返し未来があるのは容易く想像できる。
そんな未来を想像しつつ和平についての懸案事項を纏めている三大勢力の代表者達を冷ややかな目で見るのであった。









懸案事項を纏め終わった後ミカエルがイッセーとの約束の時間をとる。
懸案事項を纏めた所を確認した時点で四季達の仕事は八割は終わり、一応最後の解散まで見届ける必要はあるが、既に役割は終わった。イッセーの話が終わればあとは解散だけだろう。

イッセーからの問いは何故深く神を信仰して居たアーシアを追放したのかと言う問いだった。

ミカエルが言うには神の死後、加護と慈悲と奇跡を司るシステムだけが残り、そのシステムは信仰心を源に地上に奇跡を齎し、悪魔払いの聖具に力を与えているそうだ。

(……神器の転生もそれで管理してそうだな。下手したら、それが神のバックアップの可能性もあるか)

ミカエルの説明から四季には人間の信仰心そのものが聖書の神のバックアップ。そんな推測さえ湧く。

そのシステムを運営するのは彼を含む|熾天使《セラフ》全員で起動させているが困難を極めているそうだ。その為にシステムに影響を及ぼすものを遠ざける必要があり、それはイッセーやヴァーリの二天龍の神器やアーシアの神器。

神の死因となった龍の神器や悪魔や堕天使を癒せる神器によって信仰に影響が出るものを近くに置くわけには行かなかった。
それは神の不在を知る者、この場に居ないゼノヴィアも同じだ。その事に謝罪するミカエル。ゼノヴィアにも後で謝罪すると言うこととデュランダルも引き続き彼女に預けると告げる。

次にアーシアやイッセーを堕天使、レイナーレが殺した事に話が向かう。
神器の所有者を堕天使が殺している事を認めるが、それは力を使いこなせずに世界に影響を及ぼす奴らだと言う。
その事については納得は出来ないが理解は出来る。神を滅ぼせる神器が暴走などしたら小さな町など一瞬で消える。ならば、その前に一人を排除すれば大勢の命は守る事が出来る。

(我ながら冷たい計算式だな)

冷たい計算式だが、どうしても犠牲が出るのなら、その犠牲は最小限で済ませる必要がある。
言ってみればアザゼル達堕天使のやってきた事は、神が無計画に神器をばら撒いた事の尻拭いだ。その場合、真っ先にばら撒いた者を責めるべきだが、ばら撒いた者はもう居ない。

「今更オレが謝っても後の祭りだ。だからオレはオレにしか出来ない事でお前達に貢献しようと思う。そこで一つ聞いておきたい」

そう言ってアザゼルはイッセーへと視線を向ける。

「赤龍帝としてお前は世界をどうしたい?」

「世界をどうこう言われても…………正直よく分からない」

「では、ヴァーリ、白龍皇としてはどうだ?」

世界という大きすぎる単位を出されて返答に困ったイッセーの次にアザゼルが問いかけるのはヴァーリ。

「オレは強い奴と戦えれば良いさ。差し当たって、当面の興味は龍の魔術師、君だよ」

単純でシンプルな理由。面倒な|戦闘狂《バトルマニア》にロックオンされた事に内心溜息を吐くと、

「オレに決闘でも挑んでくるのは良いけど、その前に、因縁のドラゴン紅白合戦の方を先にやってくれ」

取り敢えず、【先にライバル同士の決着をつけろ】と、面倒ごとを一応のライバルへと押し付ける。

「釣れないな。競い、高め合えるかと待ち望んだライバルがあんな弱いんだ。残念ながら、今回の決着は詰まらないものになるだろうね」

まあ、神器が覚醒した時期、置かれた環境、宿主の資質と、明らかに勝っているヴァーリにしてみれば、イッセーは期待外れ、と言える相手だろう。ならば、と。

「だったら、いっそお前が鍛えたらどうだ? 自分のライバルに足るレベルまで。それに、その他の漫画だと力の勝るライバルに追いつく主人公なんてのはよくあるだろ?」

「彼が主人公の立場なのは複雑だが、確かにそれも悪くないな」

「まあ、俺もその時には今より強くなる予定だ」

どうやら、そう言う漫画も嫌いではなかった様子で、ヴァーリも悪くないと四季の案に笑みを浮かべる。
四季としても、万が一ヴァーリと戦う羽目になったなら、ライダーシステム以外の切り札として、秘拳程度は会得しておきたいのだ。

「で、そういうお前はどうなんだ? 龍の魔術師? 日本神話の立会人としてじゃなくて、お前個人に聞きたい」

「世界をどうこうする気はないな。戦う目的は当面は借り物、|自分なりの理想《戦う目的》を見つけるのが戦う目的。それ以外じゃ」

そうして後ろにいる三人に順番に視線を向け、

「家族で楽しく過ごす、それだけだ」

当面の目的はそれしかない。

その後はアザゼルの自分達の選択次第では戦争が起こり、イッセーも表舞台に立つしかないと言う言葉に平和が一番と叫ぶイッセーだったが、

アザゼルのリアスを抱けないとの言葉に断固として平和が一番と叫ぶ姿に自分の所のトップからも呆れた視線を向けられて居たりする。

(そろそろか)

この世界の原作知識は薄れているが敵が仕掛けてくる大体のタイミングは分かっている。
同時にこの会談を邪魔しようと敵が動く事も知っていた。だから、念の為に『|停止世界の邪眼《フォービドゥン・バロール・ビュー》』に対する対策はして用意して居た。あとは上手く機能してくれる事を祈るだけだ。

イッセーが己の決意を話していると、意識が一瞬途切れる感覚を覚えた。











「お…………きろ……」

微かに聞こえたその言葉に四季は意識を取り戻す。

「ったく、やっと気が付いたか」

四季が意識を取り出すと先に動けて居たクリスの顔が視界に入る。

「あれ……私?」

「何が?」

二人に遅れて詩乃と雫も意識を取り戻す。どうやら全員分の対策が上手くいった様子だ。

「あら、貴方達は全員動けるのね」

見れば部屋の様子が先程と変わっており、イッセーと祐斗以外のリアスの眷属の姿が無かった。

「……何があったのかは大体想像は付くな」

「そうみたいだな」

体に異常がない事を確認しながらポケットの中からオニキスのカードデッキを取り出す四季の言葉にクリスが答えると、


ズドォン!!!



突然の爆発音が響く。

「おわっ! 何事!?」

その爆発音に驚いたイッセーが驚愕の叫び声を上げる。

「とんだ失態ですね、アザゼル総督」

「だな。日本神話から言い出された事とはいえ、テロに巻き込んじまうとはな」

常に、歴史的舞台には障害はつきものだろうが、今回もそれが起こってしまったと言うわけである。

***

「な、何があったんだ?」

再度動き出したイッセーが驚愕の声を上げる。

「眷属で動けるのは私とイッセーと祐斗だけのようね」

そう言って装備の確認をしている四季達へと視線を向け、

「彼等は全員動けるようね」

「時間停止なんて能力を持った奴が、その力を制御できてないんだ。こうなる可能性も想定しとかないとな」

何故という疑問も湧くだろうが、そう言って答えを用意しておく。
単なる万が一の想定の一つが当たってしまっただけ、そう言っておけば相手も納得するしかないだろう。

「時間停止の力……部長、これは……」

「どうやら」

リアスも理解が至った様子だ。自分の眷属の神器の力だという事に。そんな時、爆発音が響く。



ズドォン!!!



突然の爆発音が響く。

「おわっ! 何事!?」

その爆発音に驚いたイッセーが驚愕の叫び声を上げる。

「テロだよ。いつの時代も勢力同士が和平を結ぼうとすると邪魔する奴らがいるもんだ」

イッセーの叫びにアザゼルが答える。だがそれは、

「とんだ失態ですね、アザゼル総督」

「だな。日本神話から言い出された事とはいえ、テロに巻き込んじまうとはな」

アザゼルは四季の言葉にため息交じりで答える。完全に三大勢力側の失態だ。

「ところで、お前さんの意見を聞きたいんだが、あれはなんだと思う?」

「あれ?」

アザゼルが窓の外を指差すとそれを怪訝に思いながら四季も外を覗く。

「はぁ!?」

それを見た瞬間、四季も驚愕の声を上げる。
それもそうだろう、会談を襲撃しているのは全員が仮面ライダーメイジだったのだから。

「間違いなくウィザードライバーの前身の、初期タイプのドライバー。量産でも成功していたって事ですね、あれは?」

流石に目の前の仮面ライダーメイジの大軍と言う光景のインパクトに動揺しそうになるが、それを隠しながらアザゼルの言葉に答える。

ワイズドライバーの量産、もしくは大量の仮面ライダーメイジが存在するのはメイジのライドウォッチによる物だろう。
本来仮面ライダーではあるが、メイジは珍しい量産型の仮面ライダー。ライドウォッチの量産も容易いか一度に大量に作れるという事だろう。

だが、仮面ライダーメイジであるのなら相手は、

「変身者は魔法使い、あの姿はウィザードでもソーサラーでもないメイジって所ですね?」

「そいつは当たってるみたいだな。しかし、メイジか、悪くないネーミングだな」

(元々奴らは禍の団に所属しているらしいからこういう事もある、か)

ライオトルーパーや黒影トルーパー、ライドプレイヤーまで量産されたら、それはそれで面倒だが、面倒さの度合いはメイジが一番高いのだ。

そんなメイジの大群が、地上の魔法陣から打ち出される様に飛び出し、箒と槍を組み合わせたような乗り物ライドスクレイパーに乗って空中から魔力による攻撃を放っている姿は中々に壮観である。
ウィザードリングを使わないのは渡されていないか、身体能力の強化と飛行能力の確保で十分と判断しているか、その両方かだろう。

「……放たれている魔術の威力から、一人一人が中級悪魔クラスの魔力を持ってそうね」

加えて自在に飛行できることから悪魔の種族によるアドバンテージはない上に、ウィザードリングも使っていない。
更にそこまで使いこなせていないのかは知らないが、使用者によっては幹部怪人にも勝てる。例えるならば高性能なエース専用の量産機なのがメイジだ。
他の量産型ライダーのトルーパー等とは違い正式に仮面ライダーの名を与えられているのだから当然の話だが。

「オレとサーゼクスとミカエルで強固な防壁結界を展開しているから被害は出ないだろう。おかげで俺達も此処から出られないが……」

「数は多くても中級程度じゃ相手になる訳がない相手がいる場所に攻め込んでる時点で、自爆特攻みたいな感覚で三勢力の面子を潰しに来たわけか。和平会場をテロリストに破壊されたら、三大勢力の面子は丸潰れだろうな」

歴史に残る三大勢力の和平会談の会場を襲撃し、そこを破壊せしめればトップの面子は潰せる。

「ああ、そんな事になったら別の意味で歴史に残っちまう」

何代にも渡る汚点を与えられれば、サーゼクス達相手にして中級程度の魔法使い達にしてみれば大金星といった所だろう。
それを理解した上でアザゼルは四季の指摘に頭を抱えてしまう。

「あいつら、こっちの面子を潰すためなら命も要らないってのかよ!?」

「そりゃそうだろう、本来なら命を捨てる覚悟でも無駄死にするだけの相手に、命を捨てる覚悟で一生単位の汚点を与えられるんだからな」

敵の特攻の様な行動にイッセーが叫びを上げるが、四季は冷静に言葉を返す。

「どうします? 自分達の顔に自分で泥を塗るなら、敵に落とし所を与えられますけど?」

「そりゃ、辞めてくれ。それをやるのは悪手だ。最悪は一番酷い汚点になる」

「分かりました」

アザゼルの言葉に一礼して四季は窓から離れる。そんな四季とアザゼルの会話に疑問を抱くが、イッセーはそれどころではない事に気づく。

「ギャスパーは!?」

そう、時間停止がギャスパーの|神器《セイクリッド・ギア》によるものならギャスパーはどうなってるか。

「最大戦力が四人も揃ってるから何も起こらないと思って油断しすぎてたな」

「寧ろ、何かしら起こるだろう」

「でも、それにしては範囲が大き過ぎないかしら?」

四季の言葉に同意するクリス。せめて隣の部屋にくらい連れて来ていればまだ対応できたかもしれないのにと思いながらも其処までは口に出して居ない。
それでも、詩乃は明らかに力が強すぎると言う疑問を口にする。

「考えられるのは禁手化だな」

「ああ。恐らく神器か魔術で強制的に|禁手《バランスブレイカー》状態にしたんだろうな。一時的なものだろうが、それでも視界に写した物の内部にいる者まで効果を及ばすのは……あのハーフヴァンパイアの潜在能力が高いって事か」

「それでも、万が一の対策して居たオレ達やトップを止めるには出力不足だった様子だけどな」

「そうだな。寧ろ、オレはお前達がそんな対策して居たのに驚きだよ」

「最悪の事態を想定するのは当然だろ? まさか、一人で残しておくとは思わなかったけどな……」

そんな強力な神器を持った奴を一人で残した時点で、テロリストさん、どうぞ使ってくださいと言ってるような物だ。
今回の襲撃を諦めたとしても、普通に誘拐して洗脳して便利な道具として使うと言う手だってあるのだから。

「無理矢理ギャスパーの力を利用してるって事か……」

「ギャスパーは旧校舎でテロリストの武器にされている……。これほどの屈辱もないわね!」

自分の眷属がテロリストの武器にされている事に怒りを露わにするイッセーとリアス。

「外にいた軍勢はどうなったんですか?」

「そっちも全部止められてる。まったく、末恐ろしい限りだ」

そう言いながらアザゼルが腕を振り下ろすと校庭に光の槍が降り注ぐ。

空中をライドスクレイパーで飛行する者達に光の槍が降り注ぐが、攻撃に集中している者達は成すすべなく攻撃に晒され、防御ごと貫かれる者、回避するも味方とぶつかって地上に落ちるものもでるが回避出来た者達も多くでる。

「なるほど、あの機動力と防御力は厄介だな。しかも、戦力は減ってない」

地上に落ちた者達は変身を維持している上に攻撃に晒された者達も変身が解除されただけで済んでいる為、今度は地上から生身での攻撃に移った。
ライダーシステムの変身者保護の力を利用しての自爆特攻、確かに厄介だ。

しかも、魔法陣からは後続のメイジ達が次々と上空に現れている。

「奴らは結界内に出現してくる。この敷地内にゲートを繋げてる奴がいるって事だ」

「会談前から潜んでいたか……この校舎にいる者達の中にテロリストの内通者がいるって事になるな」

アザゼルの言葉にため息を吐きながら四季は呟く。

「だが、そうなると怪しいのは」

「前者の場合はそっちも事前確認をしておいただろうし。部外者である、オレ、と言うかオレ達になるな」

サーゼクスの言葉に苦笑しながら言葉を返すのは四季だ。メイジ用の変身システムも四季が同じ物を持っている上に、今は三大勢力の外の勢力に属している。怪しむなと言うのが無理があるだろう。

「それは無いだろうな。タイミングといい、テロの内情といい、こちらの内情に詳し過ぎる」

四季の前世の知識については知る由もないアザゼルが四季達が内通者と言う可能性を否定してくれる。
事前に夜に行うと聞いていたが詳しい日時はテロを警戒して教えられていなかった。

「となると、消去法で聖書勢力の中に内通者がいるって事になるな」

「だな。案外、此処に裏切り者がいたりしてな」

四季の言葉に同意して皮肉げな笑いを浮かべるアザゼルを横目にこの場にいる全員に視線を向け、最後にヴァーリのところで視線を止める。

(内通者は白い龍の筈だけど……)

自身の中にある未来の知識から今回の内通者の可能性の高い者を挙げるが、確証はない。

「能力の上昇が続いたらオレ達だって動けなくなるし、結界を維持している人が減ればそれだけ防御も弱くなるし攻勢にも出難くなる。長期戦になると不利なのはこっちだな」

「此処から引くにしても学園全体を覆う結界を解かないと外へ出られない」

「だけど、結界を解いたら人間界に被害を出すかもしれないの……」

四季の言葉にサーゼクスとセラフォルーの言葉が続く。長期戦は不利で学園全体の結界が自分達を閉じ込める檻になっている。

「オレは相手の親玉が出てくるのを待ってるんだよ。しばらく此処で籠城してれば痺れを切らして顔を出すかもしれない」

「向こうから出て来てくれるなら、そいつを倒した方が手っ取り早いか」

「相手が焦れるのを待つためにも時間停止をどうにかした方が良いんじゃないか?」

アザゼルの言葉にクリスが同意する中、四季がその為の……敵の親玉を引きずり出す為にも時間停止をどうにかするべきと案を出す。

「それなら旧校舎のテロリストごとハーフヴァンパイアを吹き飛ばした方が早いんじゃないか?」

(コイツ、何言ってやがる!)

ヴァーリの言葉にイッセーは怒りを覚えるが、

「和平を結ぼうって時にそれは止めろ。……最悪はそうするがな」

「いや、アザゼルの配慮には感謝するが、最悪の場合は私の手でそうするよ。そちらの方が和平にも影響は出ないだろう」

アザゼルの言葉に、自身の勢力に属するキャスパーは、飽くまでも最悪の場合は自分が手を下すと判断をするサーゼクス。

そして、そんな中旧校舎の中にある未使用の|戦車《ルーク》の駒のキャスリングを使えば王であるリアスならば旧校舎に迎えると案を出す。
術式を操作してリアス以外にもう一人だけならば旧校舎に迎えるとなった時、名乗りをあげるイッセー。

アザゼルも神器を抑える腕輪を二つ、一つはイッセー用、もう一つはギャスパー用に渡す。
短時間だけならば禁手化出来ることと使う上での注意点を説明される中、

「ところで、あいつは何もしないんですか?」

何かする様子も無い四季を指差してイッセーが問い掛ける。

「ああ、立場上オレ達は何もしない。と言うよりも出来ない、って所だな」

(ふざけるなよ、ギャスパーが捕まってるのに、こんな状況なのに何もしないだと!?)

「オレ達が動いたら向こうにしてみても、オレ達を殺せれば最も強い汚点になるし、オレ達に負けても自分達を狙ったテロから、日本神話の立会人に助けて貰ったって言う形で顔に泥を濡れる」

要するに日本神話所属の四季達に頼るのは三大勢力にとっての面子に関わる問題なのだ。
要するに敵にとって四季達が動く事は一つの落とし所になる。だからこそ、四季達が動くのは最後の最後と判断した。

その辺がよく分かっていないイッセーはまだ不服そうだったが。
6/6ページ
スキ