番外編
「それで、調査の方は?」
「あんまり進んで無いね〜」
机に突っ伏している少女、『エルニィ立花』の言葉を聞いて内心『やっぱりな』と思う秋。
ガチャにより呼び出した彼女だが、現在は比較的多く出てきてしまった人材達の今後の事を考えて、必須な研究を任せている。
「本当にこれってどうなってるのさ?」
「そりゃ、極悪マスコット共に聞いてくれ、としか言えないな」
その人材達は『魔法少女』。マギレコ世界の彼女達を数人召喚できてしまった。同時にデイリーガチャが引ける様になり、定期的にグリーフシードを入手できる様になったのでその点は定期的に配布できるのは安心だが、完全に彼女達の弱みを握っていると言う不健全この上ない構図である。
弱みを握っている秋が改善方法を模索すると言うのも変な話だが。
現状、戦闘に自分達以上に危険が伴う彼女達は、麻帆良参入メンバーの中には入っていないが、
「で? これが一番重要なことだけど……彼女達が仮契約した場合の危険性は?」
「そっちは分かったよ……。流石にこんな事を本人達に試す訳にはいかないから、正確かって聞かれたら困るけど…………最悪死ぬ危険性がある」
「……だろうな」
魔法少女の魔力と魔法使いの魔力は異質な物で、気と同じ様な関係にある可能性が高い。
最悪、魔法使いとの契約はソウルジェムに異質な魔力が流れ込み死亡する危険もある。それが分かっただけでも朗報だ。
ネギと仮契約をさせたがるオコジョ妖精がいる以上、何処で事故が起こるかわからないのだ。
他にも回復手段であるグリーフシードは兎も角、非常手段ではあるが力への依存性が高いドッペルの仕様は、最悪の場合の手段としてしか推奨出来ないので、戦闘の危険が高い麻帆良へは誰も連れて行けない。
この世界ではグリーフシードを入手する手段は秋からしか出来ず、長時間の戦闘も文字通り命を削る危険も高い。
ならば、力を借りるとすれば彼女達の固有魔法や持ち前の技術によるバックアップ。生活費は此方の手持ちの建物で個室を与えて生活してもらっている上で、報酬の金銭とグリーフシードを必要量渡している。
「……最悪、バックアップ以外で……戦闘面に力を貸してもらうのは最後の手段だな」
「僕は兎も角、三人とも強いからあんまり必要ないからね」
彼女、エルニィは人機と呼ばれる巨大ロボットが存在する世界の出身で有り、彼女の戦闘力の大半はそちらに由来しているので、こっちでは主に科学者として活動してもらっている天才少女だ。
……その科学者としての能力は良識と一般的な感性を持った篠ノ之束。とでも呼べるかもしれないが、それは彼女の出会いが良かったのだろう。技術体系の違いでその評価が正しいのは定かではないが、彼女は天才ではあるが天災では無い。
「雫ちゃんにはよく頼んでるからな……」
話題に上がるのは『保澄 雫』。魔法少女組の一人で固有魔法は空間結合。
魔法少女の力は単純に強弱は測れない。個々の戦闘力は低い代わりに時間操作の様なトンデモ無い能力を有する者もいる。雫の空間結合もその一つだ。
場合によっては魔法球の中にも、直接魔法界にもルールを無視して移動する事も出来た彼女の力は色々と危険だ。強化されれば異世界にも移動可能なのは原作でも証明されている為、現状でも可能としても当然といえば当然だろう。
魔法界への移動や魔法使いの張った結界内への移動にかなり頼っている相手だ。
姿を黙認されない為に、黒羽ローブを模した正体隠蔽ローブで姿を隠して貰っている上に、移動前後の目には常に気を配っている。(帰還の為に、敢えて相手に見える様にテレポートジェムを使う様に指示しているので、魔法的な監視に対してはテレポートジェムの能力として認識する様に誘導もしている)
そんな事もあり、現状、彼女達を戦力として数えてはいないが、そういった感覚でバックアップとして全面的に頼っている身の上としてだけでなく、麻帆良側に気付かれたくないと言う理由がある。
そんな訳で、研究の為のソウルジェムのデータ収集に協力して貰った、魔法少女組の纏め役の『和泉 十七夜』には今回の結果は報告しておく事にする。
「まあ、幸いなのは、間違いない君の言う変態オコジョの甘言には乗らないだろうけどね」
「契約にメリットも対価もない上、下着泥棒と言うインキューベーターの完全下位互換だからな、あのオコジョ妖精は」
『兄貴と|仮契約《パクティオー》して魔法使いの従者になってよ。メリット何にも無いけどね』なのだから、下手したらキューベーの方が良心的である。
その分、死亡率がまどマギ世界よりも低いとはいえ、命懸けなのは大差ないのだし。
「寧ろ、戦闘力の向上やら願い事を、一応叶えてくれる分、マシなのか?」
「其処は如何だろうとは思うけどね……」
一応願いは叶えている。その点だけはキューベーの事は評価しているが、思う所は山のようにある。
「……でも、だからって、僕に魂を肉体に戻す方法を調べてくれって言われてもね……」
「人機にも色々と固有能力あったから行けるか? って思ったけどな……」
「いやー、いくら何でもこれと一緒にしないで貰いたいんだけど……」
そして、最大の問題点は彼女達の魂がソウルジェムと言う形で外付けにされていると言う現状だ。
相手が魔法使いだけに、魔法少女という人材の存在を知られたら、ソウルジェムを奪われる危険も大きい相手なだけに其方の研究が一番重要だろう。
極力戦力に扱わず、雫の空間結合を移動手段として多用しているが、それでも非常時以外は戦闘はしない様に言ってある。
時折り、テレポートジェムを態々相手の目の前で使って帰還しているので、行きの時を見られない限りは雫の固有魔法に思い至る事は無いだろう。……魔法界からの帰還には雫の固有魔法を使う必要があるが、それはそれ、それほど多く移動する場所でも無い事も有るし、注意する必要はあるが、此方よりも危険は少ないだろう。
「……それと、オレとしてはエルニィも麻帆良潜入班に入るのは反対なんだけどな」
「まあ、僕も魔法やあっちの科学技術を知りたいからね。もしかしたら、その中でソウルジェムの中の魂を元に戻す方法が分かるかもしれないし」
エルニィ自身も魔法少女達の現状に思う所が有るのだろう。ソウルジェムの研究には精力的に進めてくれているが、現状のアプローチでは超えられない壁に当たっているのが現状だ。
科学サイドで先に進めないのならば、魔法技術の方からアプローチすると言うのは間違いでは無いだろうし、ある程度魔法と化学の融合した技術も触れることができる。
だが、根本的な戦闘力を人機に依存している彼女を連れて行くのは、戦闘力面で不安が残るのが現状だ。
そもそも、秋を含めて夜架に切歌と調、他の四人は個々での戦闘力を有している者を優先した上での人選でも有るのだ。
この中で唯一戦闘力がないに等しいのが彼女なのだから、秋としては反対したい所だが。
エルニィやら魔法少女組やらに対して、何処まで|英雄《ナギ・スプリングフィールド》の子供疑惑のある秋の存在が魔法使い側に対する目眩しになるのかは分からないが、不安材料には事欠かないのが現状だ。
「向こうの連中がオレに向かってきてくれるだけなら、それはそれで最善なんだけどな」
「それは無理だろうね。ゼアに対して不正にアクセスしようとしているのが二組も有るし」
「二組?」
「電子精霊を使った手口は魔法使いなんだろうけど、もう一人は」
「未来人か?」
「そうそう。僕としては彼女達の技術について知りたいからさ」
「あまり、こっちの情報を取られない様にな」
「ヒューマギアについては人工知能以外の技術だけなら、大丈夫だよね?」
|似た様な存在《絡繰茶々丸》が居るから、ボディの方の技術までならと言う判断だ。
「そういう訳で向こうで直接研究を進められるかも知れないからさ」
「はぁ、せめて、護身用に持って行けと言ってるんだけどな」
そう言って差し出すのは、秋がゼロワンドライバー入手前まで使っていたフォースライザーと、エイムズショットライザー。そして、ジャパニーズウルフゼツメライズキーとラッシングチータープログライズキー。
「ショットライザーとラッシングチーターの方が僕向けだとは思うけど、僕が持ってたら奪われるだけって気がするからね」
そう言って秋から渡されたアイテム一式を押し返すエルニィ。
下手に自分がそれを持って抵抗するよりも、大人しく捕まって秋達に助けられるのを待つ方が安全と判断したのだろう。
「いや、それでも、最低限の自衛手段はある方が良いだろうし、オレ達の中の誰かが助けに行くまでの時間稼ぎにはなるから、持っていってくれ」
既にエルニィの熱意に負けて彼女の麻帆良潜入班への参加は決まったが、彼女の護身用の装備をどうするか頭を抱えるのだった。
取り敢えずその場では、一度彼女の戦闘訓練も兼ねてバルキリーの力を使って貰ってから判断する事で話は纏まった。
「あんまり進んで無いね〜」
机に突っ伏している少女、『エルニィ立花』の言葉を聞いて内心『やっぱりな』と思う秋。
ガチャにより呼び出した彼女だが、現在は比較的多く出てきてしまった人材達の今後の事を考えて、必須な研究を任せている。
「本当にこれってどうなってるのさ?」
「そりゃ、極悪マスコット共に聞いてくれ、としか言えないな」
その人材達は『魔法少女』。マギレコ世界の彼女達を数人召喚できてしまった。同時にデイリーガチャが引ける様になり、定期的にグリーフシードを入手できる様になったのでその点は定期的に配布できるのは安心だが、完全に彼女達の弱みを握っていると言う不健全この上ない構図である。
弱みを握っている秋が改善方法を模索すると言うのも変な話だが。
現状、戦闘に自分達以上に危険が伴う彼女達は、麻帆良参入メンバーの中には入っていないが、
「で? これが一番重要なことだけど……彼女達が仮契約した場合の危険性は?」
「そっちは分かったよ……。流石にこんな事を本人達に試す訳にはいかないから、正確かって聞かれたら困るけど…………最悪死ぬ危険性がある」
「……だろうな」
魔法少女の魔力と魔法使いの魔力は異質な物で、気と同じ様な関係にある可能性が高い。
最悪、魔法使いとの契約はソウルジェムに異質な魔力が流れ込み死亡する危険もある。それが分かっただけでも朗報だ。
ネギと仮契約をさせたがるオコジョ妖精がいる以上、何処で事故が起こるかわからないのだ。
他にも回復手段であるグリーフシードは兎も角、非常手段ではあるが力への依存性が高いドッペルの仕様は、最悪の場合の手段としてしか推奨出来ないので、戦闘の危険が高い麻帆良へは誰も連れて行けない。
この世界ではグリーフシードを入手する手段は秋からしか出来ず、長時間の戦闘も文字通り命を削る危険も高い。
ならば、力を借りるとすれば彼女達の固有魔法や持ち前の技術によるバックアップ。生活費は此方の手持ちの建物で個室を与えて生活してもらっている上で、報酬の金銭とグリーフシードを必要量渡している。
「……最悪、バックアップ以外で……戦闘面に力を貸してもらうのは最後の手段だな」
「僕は兎も角、三人とも強いからあんまり必要ないからね」
彼女、エルニィは人機と呼ばれる巨大ロボットが存在する世界の出身で有り、彼女の戦闘力の大半はそちらに由来しているので、こっちでは主に科学者として活動してもらっている天才少女だ。
……その科学者としての能力は良識と一般的な感性を持った篠ノ之束。とでも呼べるかもしれないが、それは彼女の出会いが良かったのだろう。技術体系の違いでその評価が正しいのは定かではないが、彼女は天才ではあるが天災では無い。
「雫ちゃんにはよく頼んでるからな……」
話題に上がるのは『保澄 雫』。魔法少女組の一人で固有魔法は空間結合。
魔法少女の力は単純に強弱は測れない。個々の戦闘力は低い代わりに時間操作の様なトンデモ無い能力を有する者もいる。雫の空間結合もその一つだ。
場合によっては魔法球の中にも、直接魔法界にもルールを無視して移動する事も出来た彼女の力は色々と危険だ。強化されれば異世界にも移動可能なのは原作でも証明されている為、現状でも可能としても当然といえば当然だろう。
魔法界への移動や魔法使いの張った結界内への移動にかなり頼っている相手だ。
姿を黙認されない為に、黒羽ローブを模した正体隠蔽ローブで姿を隠して貰っている上に、移動前後の目には常に気を配っている。(帰還の為に、敢えて相手に見える様にテレポートジェムを使う様に指示しているので、魔法的な監視に対してはテレポートジェムの能力として認識する様に誘導もしている)
そんな事もあり、現状、彼女達を戦力として数えてはいないが、そういった感覚でバックアップとして全面的に頼っている身の上としてだけでなく、麻帆良側に気付かれたくないと言う理由がある。
そんな訳で、研究の為のソウルジェムのデータ収集に協力して貰った、魔法少女組の纏め役の『和泉 十七夜』には今回の結果は報告しておく事にする。
「まあ、幸いなのは、間違いない君の言う変態オコジョの甘言には乗らないだろうけどね」
「契約にメリットも対価もない上、下着泥棒と言うインキューベーターの完全下位互換だからな、あのオコジョ妖精は」
『兄貴と|仮契約《パクティオー》して魔法使いの従者になってよ。メリット何にも無いけどね』なのだから、下手したらキューベーの方が良心的である。
その分、死亡率がまどマギ世界よりも低いとはいえ、命懸けなのは大差ないのだし。
「寧ろ、戦闘力の向上やら願い事を、一応叶えてくれる分、マシなのか?」
「其処は如何だろうとは思うけどね……」
一応願いは叶えている。その点だけはキューベーの事は評価しているが、思う所は山のようにある。
「……でも、だからって、僕に魂を肉体に戻す方法を調べてくれって言われてもね……」
「人機にも色々と固有能力あったから行けるか? って思ったけどな……」
「いやー、いくら何でもこれと一緒にしないで貰いたいんだけど……」
そして、最大の問題点は彼女達の魂がソウルジェムと言う形で外付けにされていると言う現状だ。
相手が魔法使いだけに、魔法少女という人材の存在を知られたら、ソウルジェムを奪われる危険も大きい相手なだけに其方の研究が一番重要だろう。
極力戦力に扱わず、雫の空間結合を移動手段として多用しているが、それでも非常時以外は戦闘はしない様に言ってある。
時折り、テレポートジェムを態々相手の目の前で使って帰還しているので、行きの時を見られない限りは雫の固有魔法に思い至る事は無いだろう。……魔法界からの帰還には雫の固有魔法を使う必要があるが、それはそれ、それほど多く移動する場所でも無い事も有るし、注意する必要はあるが、此方よりも危険は少ないだろう。
「……それと、オレとしてはエルニィも麻帆良潜入班に入るのは反対なんだけどな」
「まあ、僕も魔法やあっちの科学技術を知りたいからね。もしかしたら、その中でソウルジェムの中の魂を元に戻す方法が分かるかもしれないし」
エルニィ自身も魔法少女達の現状に思う所が有るのだろう。ソウルジェムの研究には精力的に進めてくれているが、現状のアプローチでは超えられない壁に当たっているのが現状だ。
科学サイドで先に進めないのならば、魔法技術の方からアプローチすると言うのは間違いでは無いだろうし、ある程度魔法と化学の融合した技術も触れることができる。
だが、根本的な戦闘力を人機に依存している彼女を連れて行くのは、戦闘力面で不安が残るのが現状だ。
そもそも、秋を含めて夜架に切歌と調、他の四人は個々での戦闘力を有している者を優先した上での人選でも有るのだ。
この中で唯一戦闘力がないに等しいのが彼女なのだから、秋としては反対したい所だが。
エルニィやら魔法少女組やらに対して、何処まで|英雄《ナギ・スプリングフィールド》の子供疑惑のある秋の存在が魔法使い側に対する目眩しになるのかは分からないが、不安材料には事欠かないのが現状だ。
「向こうの連中がオレに向かってきてくれるだけなら、それはそれで最善なんだけどな」
「それは無理だろうね。ゼアに対して不正にアクセスしようとしているのが二組も有るし」
「二組?」
「電子精霊を使った手口は魔法使いなんだろうけど、もう一人は」
「未来人か?」
「そうそう。僕としては彼女達の技術について知りたいからさ」
「あまり、こっちの情報を取られない様にな」
「ヒューマギアについては人工知能以外の技術だけなら、大丈夫だよね?」
|似た様な存在《絡繰茶々丸》が居るから、ボディの方の技術までならと言う判断だ。
「そういう訳で向こうで直接研究を進められるかも知れないからさ」
「はぁ、せめて、護身用に持って行けと言ってるんだけどな」
そう言って差し出すのは、秋がゼロワンドライバー入手前まで使っていたフォースライザーと、エイムズショットライザー。そして、ジャパニーズウルフゼツメライズキーとラッシングチータープログライズキー。
「ショットライザーとラッシングチーターの方が僕向けだとは思うけど、僕が持ってたら奪われるだけって気がするからね」
そう言って秋から渡されたアイテム一式を押し返すエルニィ。
下手に自分がそれを持って抵抗するよりも、大人しく捕まって秋達に助けられるのを待つ方が安全と判断したのだろう。
「いや、それでも、最低限の自衛手段はある方が良いだろうし、オレ達の中の誰かが助けに行くまでの時間稼ぎにはなるから、持っていってくれ」
既にエルニィの熱意に負けて彼女の麻帆良潜入班への参加は決まったが、彼女の護身用の装備をどうするか頭を抱えるのだった。
取り敢えずその場では、一度彼女の戦闘訓練も兼ねてバルキリーの力を使って貰ってから判断する事で話は纏まった。