第二章『聖剣! 二つのエクスカリバー』

「お前……まさか天地か?」

オニキスの姿を生で見せるのは匙以外のソーナの眷属だけだったということを思い出しながら、突然の事に呆然と呟いた匙へと視線を向ける。

「ああ。そしてこれが、仮面ライダーオニキスだ」

ベンタラとミラーワールドの違いは有るが鏡面を介した別世界への移動能力はこう言う奇襲にも便利だ。

「何なんですかい、イキナリぃ!?」

「どこからどう見ても、化け物退治に来たヒーローの構図だろ?」

鏡を見ろと言わんばかりの態度で、立ち上がったアナザーブレイブの言葉にオニキスは鏡を指差しながらそう答える。

「へっへっへっ、黒いヒーローくんが悪魔くん達の仲間かは知りませんがねぇ! 俺様の『|天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》』の速さで勝てるかよ!」

アナザーブレイブはアナザーライダーに変身する前から持っていた聖剣を持ち、オニキスの視界から消える。

(あれがスピード系のバフを与える聖剣って所か。だったら……)

変身していても武器庫から武器を取り出す事はできる。ビルドの時にも出来ていたのだからオニキスに変身している今も取り出せない訳がない。

「死んじゃえよぉ!」

「奇襲はもっと静かにやれ」

殺気がダダ漏れな上にテンション高く叫んでいるのだ。早さに負けても対抗はしやすい。
聖剣には聖剣で対抗するまで、とアナザーブレイブが振るった聖剣を武器庫から取り出したエクスカリバー(fate)で受け止める。

その瞬間、




スパァーン




「「え?」」

剣と剣をぶつけ合ったオニキスとアナザーブレイブが呆けた声を上げる。

「「「へ?」」」

それを見ていたイッセー、木場、匙の三人がマヌケな声を上げる。

アナザーブレイブの振るった|天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》の刀身はオニキスのエクスカリバー(fate)とぶつかり合った瞬間、綺麗に切れてしまっていた。

「「「「折れたぁ!?」」」」

敵味方関係無くアナザーブレイブ、イッセー、木場、匙の心が一つになった瞬間であった。

「いえ、折れていません、切れてます」

地面に落ちた刀身にトコトコと近づいて、|天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》の末路を確認してそういったのは子猫だった。

「マジかよ!? 伝説のエクスカリバーちゃんが!?」

「エクスカリバーが……こんなに簡単に?」

|天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》に起こった悲劇に絶叫するアナザーブレイブと、自分の仇で有ったエクスカリバーのうちの一振りの末路に呆然と呟く木場。

だが、その結果のある意味は当然とも言えるだろう。
所詮はその聖剣は折れた一部を核に再生された|劣化品《デッドコピー》、それに対して四季の持つ聖剣は、完全な形で存在する異世界の真のエクスカリバー。どちらが剣として格上かなど、考えるまでもないだろう。

二つの剣がぶつかり合った結果、劣っていた剣が負けた。それだけだ。

「……まあ、ちゃんとした鍛治じゃなくて、錬金術で再生した剣としては当然の末路だな」

七分の一になった(恐らく偽物の)剣を鍛治ではなく錬金術で直した品物。異世界のと注釈は付くが完全な形で存在している本物のエクスカリバーの敵ではない。
使い手次第では互角以上に戦える場合もあるが、残念ながら今回はその事例には無いのだろう。

「っ!? 今だ、|黒い龍脈《アブソリューション・ライン》!」

最初に正気に戻った匙がアナザーブレイブに変身前から巻き付けていたラインから己の|神器《セイグリッド・ギア》の力を発動させる。

「……これは!? 俺っちの力を吸収するのかよ!?」

「どうだ! これがオレの神器だ! お前がぶっ倒れるまで力を吸い取ってやるぜ!」

「力を吸い取る神器!?」

「ドラゴン系|神器《セイグリッド・ギア》か、忌々しい!」

必死にラインを刀身の半分を失った剣で切って逃れようとしているが、アナザーブレイブに巻きついたラインは切れる様子は無い。

「取り敢えず、今の内に変身解除には追い込ませてもらう」

大ダメージを与えて変身解除に追い込み、再起動される前にウォッチを回収する。
エグゼイドやブレイブ等の力が無い以上、目の前のアナザーライダーへの対処法はそれしかない。

そう考えながらエクスカリバー(fate)を地面に突き刺し、カードデッキからファイナルベントのカードを取り出しブラックドラグバイザーに装填しようとした瞬間、



「うわぁァァァァァァぁっあ!」



突然木場の絶叫が響き渡る。そちらへと視線を向けると彼の両手は何故か酷く焼けただれているが……

「木場!」

「裕斗先輩」

そんな彼に慌てて駆け寄るイッセーと子猫。
そして、木場の近くには先程地面に突き刺したエクスカリバー(fate)。それで何が有ったのかを正確に理解した。

仲間の仇と破壊する事を誓っていた教会のエクスカリバー。そして、地面に突き刺さっているのは、その聖剣でさえ簡単に破壊してみせた剣。
望みであったエクスカリバー(仮)を破壊できるだけの力を目の前にある剣に求めたのだろう。その望みの力と言うのが、異世界の物とはいえ真のエクスカリバーと言うのが何とも皮肉な話だ。

「その剣は一級品の聖剣だ。並みの悪魔じゃ持つことさえできないぞ」

敢えて一級品と誤魔化したが、間違いなく異世界のものとはいえ本物のエクスカリバーなのだ。一級品など優に超えて、間違い無くそれは超一級と言う言葉でさえ足りないの品だろう。
アナザーブレイブの対処が僅かに遅れてしまったが、改めてファイナルベントのカードを装填しようとする。



「ほう、|魔剣創造《ソード・バース》か」



だが、その一瞬の隙に新たに響く声。その声の聞こえた声の方へと全員の視線が向かう。

ビルの上に立つ彼らを見下ろしている聖職者の様な格好の老人。

「……バルパーの爺さんか?」
 
それが誰なのか、その答えが敵……アナザーブレイブの言葉によって明らかになる。

「……バルパー、ガリレイッ!」

「皆殺しの大司教、聖剣計画の首謀者の聖剣マニアか」

「いかにも。フリード、聖剣を……バカな!」

ビルの上に立つ老人、バルパーの表情がエクスカリバー(fate)を見た瞬間驚愕に染まる。

「それは……その聖剣は……まさか……」

驚愕と歓喜、そして感動と驚きと喜びと疑惑の混ざった声を上げる。

「間違い無い。教会に有ったものとは格が違う。だが、何故そんなところに完全な物が存在しているのだ……」

バルパーの目からは感動の涙が流れその視線は地面に突き刺さったままのそれへと注がれている。
その男が今まで本心から神に祈っていたかは分からない。破門されてから神に祈ったかは分からない。たが、間違い無く言える。バルパー・ガリレイは今は間違い無く心から神に、運命に感謝を捧げている。

「こんなに早く、こんな所で目にすることが出来ようとは!? おお、エクスカリバーよ!」

絶叫にも似た感謝の声を上げる。

「マジですかい!? それってマジモンのエクスカリバー!? えっ、それじゃあオレッチのこれは何なの!? パチモンって事ですかぁ!?」

「さあ、そもそも、エクスカリバーと聖書勢力は最初から関係無いから、リチャード1世がそう呼んで使ってた聖剣なんじゃないのか」

アナザーブレイブの声に律儀にそう答えるオニキス。

「エクスカリバー!?」

さて、今も力を吸われているアナザーブレイブを放置して感動で泣いて今にも賛美歌でも歌わん勢いで歓喜の祈りを捧げているバルパーを他所に、木場が敵意に満ちた視線をオニキスに向ける。
その様子から、エクスカリバーの聖のオーラに両手が焼けただれてなければ今直ぐにでも切り掛かっていた所だろう。

「お、おい、何でお前がエクスカリバーを持ってるんだよ!?」

そんな木場の横に立つイッセーがそんな疑問の声を上げる。

「ああ……これは別世界のエクスカリバーだ。そこのエクスカリバーの名を持つ血塗られた聖剣を破壊してくれって頼まれたんだよ」

「頼まれた、誰にですか?」

どうも敵意全開の二人に変わってオニキスに問い掛けるのは子猫だ。

「……マーリンって名乗ってたな使いは、確か」

「で、では、依頼した者の名はアーサー王か!?」

the大嘘。流石に転生特典のガチャで引き当てましたなどとは言えないのでそう言って誤魔化しておく。

だが、その嘘を信じ込んでいるバルパーはオニキスの言葉に歓喜の意思を強めて叫ぶ。

「ちょっとちょっと、バルパーの爺さん、そんな事より、このトカゲ君のベロが邪魔なんですけど!?」

「そんな事の方がどうでも良いわ! 大体、お前の聖剣の使い方が未熟なのだ。お前に授けた“聖なる因子”を刀身に籠めろ! 折れたとは言えそれで十分に切断出来る!」

「へいへい! こうか?」

バルパーの言葉に従うとアナザーブレイブの聖剣は簡単にラインを切断する。

「もう少しそのエクスカリバーを見ていたい。……名残惜しいが、コカビエルの元に行くぞ」

名残浅そうにエクスカリバー(fate)から目を逸らさず、そう言ってバルパーは懐からライドウォッチを取り出し、それを起動させる。


『ワイズマン……』


バルパーはその姿を白い魔法使いを歪めたアナザーライダー、アナザーワイズマンへと姿を変える。

「チッ、分かったよ、ジイさん」

バルパーがアナザーワイズマンに姿を変えると、そう言ってアナザーブレイブはアナザーワイズマンの元へと飛ぶ。

「じゃ、行かせてもらうぜ! 次に会う時は最高のバトルだ!」

「小僧、次に会う時はお前の持つ異世界のエクスカリバーをワシの手に握らせて貰うぞ!」

『テレポート……ナウ……』

アナザーワイズマンとアナザーブレイブを魔法陣が飲み込み、二人のアナザーライダーの姿は消えて行った。

後に残されたのはオニキスと憎悪の視線をオニキスの持つエクスカリバーへと向ける木場と、イッセー達三人だけだった。

***

「叛逆の徒め! 神の名の下断罪してくれる! ……って、あれ」

ゼノヴィアとイリナがそこに駆けつけた瞬間、すでに事は終わっていた。

「四季、私達はちょっと遅かったみたいね」

ここに来る途中でゼノヴィアとイリナに連絡して合流したのだろう、詩乃と雫の二人もゼノヴィアとイリナに少し遅れて到着した。

「ああ、残念ながら逃げられた」

バックルからカードデッキを外すとオニキスへの変身が解除される。そして、タクティカルベストのポケットにエクスカリバーを仕舞う。
周囲は質量を無視した現象に驚いているが、そこはスルーしておく。

「くそ! 追うぞ、イリナ!」

「うん!」

「お、おい!」

先ほどの光景から正気に戻ると、呼び止める四季の言葉も聞かず踵を返して二人はその場を立ち去って行く……。

「走って逃げたんじゃないのに、どこ行ったか分かるのか?」

「僕も追わせて貰おう!」

そんな二人に続いて木場もバルパーとフリードを追跡する。
四季へと……正確には四季の持つエクスカリバーへと憎悪の視線をまだ向けていたが、それでもバルパーの方を優先する程度の理性は残っていたのだろう。

「お、おい! 木場! ……ったく、何なんだよ?!」

そんな木場の姿を見送りながらイッセーはそんな言葉を吐く。
その一方で四季達と子猫はある一方に視線が向いていた。

「なあ、匙と変態……今回の事は主には許可を貰ってたのか?」

「それが何だってんだよ、お前には関係ないだろう!」

「そうだな、オレには関係ないけど」

イッセーの言葉にそう返す四季の視線は彼と匙の後ろへと向けられていた。




「そうね。でも、私たちには関係有るわよね」




後ろから聞こえる聞き覚えのある声にイッセーと匙の思考がフリーズする。

「お前達の主、さっきから後ろにいたぞ」

「念の為に私から会長には報告済み」

四季の言葉に続いて雫の言葉も響く。今回の事は雫からソーナへ伝わり、それからリアスの耳に入ったと言う流れなのだろう。

錆びた歯車の様な動きでイッセーと匙が後ろを振り向くと明らかに怒っていると言う様子の二人の主がいた。



















自分の主に見つかりそのまま近くの公園へと連行され、逃げられない様に後ろから四季もついて行った結果、リアスとソーナの前でイッセー達三人は正座させられながら事の説明をしていた。

「エクスカリバー破壊って、あなた達ね……」

「本当に困った子達ですね」

「裕斗はそのバルパーを追って行ったのね?」

「はい、教会の二人も一緒です」

「それにしても貴方がよりにもよってエクスカリバーを持っているなんて……」

イッセー達の証言の中には四季の持っている型月世界のエクスカリバーの事も混ざっていた。
異世界の完全な形の聖剣の存在に頭痛を堪える様子で四季の方へと視線を向けてリアスはそう呟く。

「まあ、この世界の品じゃないですし、今回の一件が終われば、向こうから引き取りに来るとは思いますよ、グレモリー先輩」

大嘘である。この世界のものではないがガチャから当てたのだから、間違い無く引き取りになんて来ない。
天界相手には見つかった場合は最悪そう言って誤魔化す予定だったのだが、こんなに早く予定していた嘘を吐く事になるとは思わなかった四季だった。

最初は単なる一級品の聖剣で通す予定だったが、まさかバルパーに見破られるとは思わなかった。マニアの見る目を甘くみたいなのが敗因であった。

「そっちの事は未だ良いわ。それよりも今問題なのは裕斗の方ね」

「何か有ったら連絡を寄越すと思いますが……」

「変態、お前バカだろう?」

「復讐の権化となった祐斗が悠長に連絡よこすかしら?」

「ご、ごもっともです……。って、天地、バカって何だよ!?」

「何かあって連絡する程度の冷静さが有ったら、あそこで深追いはしなかっただろうが」

教会の聖剣使い二人が一緒とは言え、態々|太刀打ち出来ない事が分かりきった相手《コカビエル》が待ち受けている場所に単騎で追撃するなど愚かにも程がある選択だ。
四季の持つ完全なエクスカリバーの前には木場の憎む教会のエクスカリバーは敵ではない事を理解してしまった故、急がなければ全てが四季の手で破壊される事が分かってしまったとしてもだ。

優先順位程度は分かる冷静さは残っていた様子だが、復讐の権化になった今の木場は自分一人で残りのエクスカリバーを破壊する事に拘っている事だろう。

(聖剣コンビ二人と頭に血が上った奴一人でコカビエルに挑む、か。負ける絵しか想像出来ないな)

連携が取れない二人と一人で強敵に挑む時点で敗北する絵しか浮かばない。
そもそも、剣としての機能は四季に切られて失っているとはいえ|天閃《ラピッドリィ》の速度バフの機能は残っている為、敵のエクスカリバー(仮)の数でも負けているのだし。

「まあ、志半ばで倒れない事を祈っておこう」

内心で|魔王様《オーマジオウ》にと付け加えて置くことを忘れずに。
気のせいか『管轄外だ』の言葉が聞こえた気もするが、スルーして置く事にする。

「小猫もどうしてこんな事を?」

「……祐斗先輩が居なくなるのは嫌です」

俯きながらリアスの問いに答える小猫。……純粋に眷族の仲間が……復讐に囚われた木場が自分達の前から居なくなるのを不安に思っての行動だったのだろう。

「ハァ……。過ぎた事をとやかく言っても仕方ないけど、あなた達の行動が世界に大きな影響を与えるかも知れなかったのよ? 分かるわよね?」

「すみません、部長……」

「……はい、御免なさい」

その横では、

「貴方には反省が必要です」

「うわぁぁぁぁぁん! ゴメンなさい、ゴメンなさい! 許してください、会長ぉ!」

良い感じで終わりそうになっているグレモリー側と違って眼鏡を怪しく光らせながらゴゴゴゴゴと擬音でも付きそうな怒りの空気を纏っているソーナと泣いて謝っている匙の姿。

「ダメです、お尻を千叩きです」

序でにいい感じで終わったように見えたイッセー側も同じく千叩きの刑が執行されていた。

「…………で、そろそろオレ達は帰って良いか?」

「ええ、色々と聞きたいことも増えたけど、今回は私達の眷属を助けてくれた事感謝するわ」

取り敢えず、変な追及を受ける前に帰る事を選択する。
元々何処の勢力にも属していないフリーの能力者と言う点に加えて、仮面ライダーのデッキ、更に今回は異世界のエクスカリバーまで追加されたのだからリアス側にしたら聞きたい事は山の様にあると言う事だろう。
木場やコカビエルのことを優先する必要がある為、その事を追求は後回しにするしか無いが。

「まあ、いつかの約束をそっちが守る気が有るなら、こちらはそっちの疑問に答える必要は無いわけですがね」

イッセーを殴り飛ばして以来、球技大会から今回のコカビエルの一件と続いているので今だに制約は交わされていないが。

「わ、分かってるわよ」

本当に分かっているのかはどうでも良い。必要なのは飽く迄魔王サーゼクスの妹との間での、悪魔側からの不干渉の契約の取り交わしである。
間接的にとは言え、何かあった場合の責任を押し付けるのは大物の後ろ盾がある奴に限るのだ。

匙とイッセーの悲鳴をBGMにヒラヒラと手を振りながら四季達三人は立ち去って行く。





















天地邸地下室……

ガチャ装置の前に立つ四季達三人。

「……そろそろ意を決して使うか……」

手に入れた経緯が問題なので今まで使っていなかったガチャ券を手にそう呟く。

「戦力強化になってくれれば良いんだけどな」

「そうね」

四季の言葉に詩乃も同意する。これから待ち受けているのは堕天使の幹部。負けた場合は街に住む者達の命が失われる負けられない戦いだ。
少しでも戦力の強化はしておきたい。幸運なのは現状ではウィザードの方が戦力的には上なので、ビルドを使わないでも戦力としては十分な点だろう。

「それじゃあ、早速」

ガチャ券を使って装置を起動させる。出てきたのは十のカプセル。




『エリクサー(FF)』




先ずは回復アイテム。強敵相手の回復手段の確保は良い。




『鋼の剣(ドラクエ)』
『銅の剣(ドラクエ)』




「……うん、今までが幸運だっただけだとは思うけど、これは……」

「ハズレ、よね」

そもそも、超一級品の聖剣や神剣があるのだから、今更こんな武器を出されても処分に困る。





『ビームサーベル(人間サイズ)(ガンダムシリーズ)』
『サイドバッシャー(仮面ライダーファイズ)』




物騒な物が二つほど出た。一つは仮面ライダーシリーズでも珍しいサイドカータイプのバイクのサイドバッシャーだ。

「これで三人で行動するのも楽になるな」

「そうね」

「うん」

「でも、こっちの方はどうするの?」

そう言って詩乃が指差すのはビームサーベルだ。もういっそ人間サイズならライトセーバーでも良いのでは無いかとも思う。

「まあ、使える事も有るだろうし、武器庫に入れておくか」

科学100%の武器が通じるか分からないが、安物の剣より有っても困る事はないだろう。




『シャイニングブレイクガンダム(ガンダムシリーズ)』




次に出てきたのはアメストフリに続くガンダムタイプのナデシコの艦載機だった。
パイロットが四季しか居ないので艦載機が増えるのも悩みどころだ。
ガンプラだった機体が本物サイズで乗れるのは使ってみたい気がするが。……操縦システムがMTシステムだった場合、変形機能はどうなるのかは気になるところだ。




『薬草(ドラクエ)』




次の中身はスルーすることにした。詩乃と雫の二人もその反応には同意してくれた。流石に回復アイテムなのは良いが、安過ぎるアイテムだ。



『機能拡張権』



「なんだこれ?」

スキルなのかとも思ったが、それとは違う初めて見る品。説明を見て見ると拠点となっている家か戦艦の機能を一つ自由に拡張出来る権利の様子だ。

「だったら、ナデシコの方に使って見たら良いんじゃないかしら」

その説明を見た詩乃はそう意見を出す。
流石に普段から使う家に使って何かあった場合大変な事になるが、ナデシコCならば最悪は長距離の移動手段兼移動拠点を失うだけで済む。

そんな判断だったが四季も雫も彼女の案に賛成して早速ナデシコCに使ったのだった。




『|決闘盤《デュエルディスク》(遊戯王)』




カードが無いのにゲーム機だけ手に入れてどうするのかと思う品の初期型の円盤タイプが出てきた。

「なんだか嬉しそうよ」

「そうか。実はかなり嬉しい」

詩乃の指摘で気が付いたが、無意識に嬉しさが顔に出て居たのだろう。
天才物理学者のそれの影響か、今からソリッドヴィジョンの技術を調べるのが楽しみになっている。
解析したデータはまた桐生戦兎の名で何処かのゲーム会社に流しても良い。フルダイブ型のゲームに実体化したカードゲーム。世界のゲーム業界の歴史を書き換える程の影響を与えるだろう。

そして、最後の一つは、




『雪音クリス(戦姫絶唱シンフォギアシリーズ)』




新しい仲間を呼び出すことが出来た。そう、出来たのだが……

「大丈夫か、彼女を呼び出して」

「何か問題でも有るの?」

彼女の人間性的には問題ない。最初から戦闘力もあり、これからコカビエル戦が待っている状況では頼りになるだろう。そう、彼女には問題はない……問題があるのは……

「あの変態の前に出して大丈夫かな、って」

「……まあ、それは諦めて貰うしか無いわね」

詩乃もその言葉に納得してくれた。だが、四季には確信がある。イッセー相手の被害は二人以上に酷くなりそうだ、と。
二人以上にイッセーの性癖に突き刺さる分、だ。

「……あとで事情を話して謝っておくか……」

流石にこのまま呼び出さないのも可哀想なので、この先に発生するであろうイッセーによる被害は我慢して貰うことにした。
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