第1章
夢小説設定
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prrrr…prrrr…
午後十一時をまわった頃。
予定時間を大幅に超えて出来上がった原稿を提出しにやって来た編集社を出ると、鞄の中の携帯が鳴った。
「はい」
「Hullo, Adler. 」
流暢な英語が少し無機質な女性の声で聞こえてくる。
「あら、シャロン。久しぶりね」
電話の主は、世界的名女優でもあり凄腕の女性工作員の顔も持つ彼女だった。
「全然連絡くれないじゃないの。せっかく私がユキコに口利いてあげたのに、扱いが少し雑なんじゃない?」
私は彼女の少し呆れたような言葉を聴きながら、最近買った中古の自家用車に乗り込んでエンジンをかけた。
「色々と忙しくてね」
「まぁいいわ。ねぇ、これから前に教えた港の681K倉庫に来てくれない?」
「今から?」
「貴女にぜひお勧めしたい、おいしい話があるんだけど」
「…はぁ。分かったわ。向かう」
「待ってるわ。バーボンが無くならないうちに来てちょうだいね」
乱暴に切られた電話を助手席に放り投げて、髪を縛っていた紐を解いた。
今夜は他のクライアントと接触しようと思っていたのだが、仕方ない。
そう思えてしまうほど、彼女の持ってくる話はだいたいうまいものなのだ。
軽く深呼吸をして、アクセルを踏んだ。
------------------------------------------
「それで、資金をまきあげる情報が欲しいってわけね」
「ええ。物わかりが早くて助かるわ」
あの後、隣の県まで車を走らせ、港の倉庫街で錆び付いた例の倉庫を見つけた。
さすがと言うべき厳重な機械警備をくぐり抜けて中に入ると、外見からは想像もつかないような、黒を基調にしたシックな空間が広がり、革張りのソファーには金髪の女性が優雅に足を組んでいた。
『国際的な投資家に黒い噂が立ち始めたので、真偽を調べてネタを持ってきて欲しい』
これが彼女からの依頼だった。
「手付け金はいつも通り一。報酬は、そうね。久しぶりだし情報料が三、実効が入った場合は手数料で四でどうかしら。悪い話じゃないでしょ?」
「しめて80万ドルね。ええ。いいわ。ここの口座に振り込んでおいで」
さらさらと手元のメモ用紙に口座情報を書いていく。
「あともう1つ。今回潜入があるなら組織の新人を貴女につかせたいんだけど、どうかしら?」
彼女、否、ベルモットがそう言った。
メモする手を少しとめ、彼女を見つめる。
「新人?」
「ええ。かわいい顔してるし、素質があるから最近私が特別目をかけてるの。彼にはきっといい刺激になるわ」
彼女は意味ありげな含み笑いを浮かべて、バーボンの入ったグラスの氷をカランと鳴らした。
「別に、足手まといじゃなきゃ1人くらいいいわよ」
「そう言ってくれると思ってたわ」
「実行が入るなら貴女のところに連絡するから、そのルーキーに引き継いでちょうだい」
「ええ」
書き終えたメモ用紙をちぎりベルモットに渡してそのまま倉庫を出た。
午後十一時をまわった頃。
予定時間を大幅に超えて出来上がった原稿を提出しにやって来た編集社を出ると、鞄の中の携帯が鳴った。
「はい」
「Hullo, Adler. 」
流暢な英語が少し無機質な女性の声で聞こえてくる。
「あら、シャロン。久しぶりね」
電話の主は、世界的名女優でもあり凄腕の女性工作員の顔も持つ彼女だった。
「全然連絡くれないじゃないの。せっかく私がユキコに口利いてあげたのに、扱いが少し雑なんじゃない?」
私は彼女の少し呆れたような言葉を聴きながら、最近買った中古の自家用車に乗り込んでエンジンをかけた。
「色々と忙しくてね」
「まぁいいわ。ねぇ、これから前に教えた港の681K倉庫に来てくれない?」
「今から?」
「貴女にぜひお勧めしたい、おいしい話があるんだけど」
「…はぁ。分かったわ。向かう」
「待ってるわ。バーボンが無くならないうちに来てちょうだいね」
乱暴に切られた電話を助手席に放り投げて、髪を縛っていた紐を解いた。
今夜は他のクライアントと接触しようと思っていたのだが、仕方ない。
そう思えてしまうほど、彼女の持ってくる話はだいたいうまいものなのだ。
軽く深呼吸をして、アクセルを踏んだ。
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「それで、資金をまきあげる情報が欲しいってわけね」
「ええ。物わかりが早くて助かるわ」
あの後、隣の県まで車を走らせ、港の倉庫街で錆び付いた例の倉庫を見つけた。
さすがと言うべき厳重な機械警備をくぐり抜けて中に入ると、外見からは想像もつかないような、黒を基調にしたシックな空間が広がり、革張りのソファーには金髪の女性が優雅に足を組んでいた。
『国際的な投資家に黒い噂が立ち始めたので、真偽を調べてネタを持ってきて欲しい』
これが彼女からの依頼だった。
「手付け金はいつも通り一。報酬は、そうね。久しぶりだし情報料が三、実効が入った場合は手数料で四でどうかしら。悪い話じゃないでしょ?」
「しめて80万ドルね。ええ。いいわ。ここの口座に振り込んでおいで」
さらさらと手元のメモ用紙に口座情報を書いていく。
「あともう1つ。今回潜入があるなら組織の新人を貴女につかせたいんだけど、どうかしら?」
彼女、否、ベルモットがそう言った。
メモする手を少しとめ、彼女を見つめる。
「新人?」
「ええ。かわいい顔してるし、素質があるから最近私が特別目をかけてるの。彼にはきっといい刺激になるわ」
彼女は意味ありげな含み笑いを浮かべて、バーボンの入ったグラスの氷をカランと鳴らした。
「別に、足手まといじゃなきゃ1人くらいいいわよ」
「そう言ってくれると思ってたわ」
「実行が入るなら貴女のところに連絡するから、そのルーキーに引き継いでちょうだい」
「ええ」
書き終えたメモ用紙をちぎりベルモットに渡してそのまま倉庫を出た。