第1章
夢小説設定
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-Side Bourbon-
「味見するかは置いといて、少し場所を変えましょうか。まずお兄さん達にくっついている下世話な覗き虫をなんとかしなきゃ」
窓の遥か下の道路で旧型の黒いポルシェが走り去るのを確認して僕らに笑いかける女性。
その柔らかい笑みからは闇の世界の欠片すら感じられない。
演技の幅を超越してもはや別人格なのではないか、いや、そもそも“裏の世界”とは縁もない唯の無垢な少女なのではないか、とすら感じてしまう。
「こんな事だろうと思って、一つ下に部屋を取ってあるの。そこに来て頂いても?」
まさか向こうから誘いがあるとは。
裏世界のかなりの大物とお近づきになれる千載一遇のチャンスだ。これを逃す手はない。
「えぇ。いいですよね?スコッチ、ライ」
「もちろん」
「…あぁ」
頷く僕達を見た彼女は、簡単にチェックを済ませると席を立った。
『天下の情報屋』
『魅惑のアドラー』
この世界中何処を探しても、情報収集で彼女に敵う者は居ないといわれる国際的な情報屋。
どこかのお抱えになることは無く、どのように仕事を取捨しているのかは謎。
変装、ハニートラップ、ハッキング、盗み、潜入、殺し等何でも卒なくこなす人間離れした人物だと聞いていた。
しかし、ジンに連れられて会うたその
どうもこういう言い方をすると、彼女が人間ではないと思っていた不躾な誤解のように聞こえるが、そうとしか言い様がなかった。
確かに群を抜いた美貌ではあったが物腰柔らかく、こんな女がまさか危険極まりない情報屋をしているとは言われなければ誰も気が付かないだろう。
否、言われても信じ難い。
「ここよ。……ちょっと失礼」
彼女についてエレベーターから降り、豪華な造りの扉の前にたどり着くと、彼女はおもむろにスコッチのスーツの襟元に手を伸ばした。
警戒して固まるスコッチから戻ってきた彼女が指先で摘んでいたのは、その白い手とは対照的な禍々しい黒い機械。
「ナイショ話の時間だから、邪魔しないでちょうだいね」
そう機械に吹き込むと、親指の爪を食い込ませてそれを破壊した。
それから、懐からカードキーを取り出してスマートに扉を開けると、
「さて、では中へどうぞ」
扉とおなじ白と金の豪華な部屋へ僕らを誘った。