第1章
夢小説設定
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工藤家に到着すると、昨日の昼は綺麗に片付いていた部屋がなぜか大荒れだった
「な、なにこれ。新一君、出発は1,2か月後じゃなかったの?」
「お、俺に聞くなよ!俺も今帰ってきたんだから……」
組み立てられた空の段ボールの山をかき分けながら夫妻を探していると、書斎のほうから優作先生がたくさんのファイルを持って現れた。
「工藤先生、これは一体……?」
「日本君!新一も一緒か。ああ、いや昨日伝えようと思っていたのだがね、ナイトバロンの英語版最新号が一か月後にアメリカで発売になるだろう。そのタイミングでロスに本拠地を移動しようと考えているんだ」
「ロス行きは先程新一君から聞きました。でも一か月後ならまだこんな荷物用意しなくても」
「それがそうとも行かなくてね、私がこの期間だいぶ忙しかったから有希子にチケットの手配を任せたんだ。そしたら彼女、ひと月早く計画を進めていたみたいなんだよ。キャンセルしてもいいんだが手続きが少々面倒なのでね。この荷物はさっき業者に電話して明日の午後に取りに来てもらうことになっているんだ。そして我々の出発は五日後だよ」
「い、五日後?!」
「はあ?」
私と新一君の驚きの声が被り、先生は困ったように笑った。
「まあロスの家の方はおおかた必要なものはそろっているし、足りないものがあれば向こうで買うことだって可能なわけだから準備といってもそんな大掛かりなものでは…」
「ちょっと優作!何をのんびりやってるの!」
二階から降りてきた有希子さんも大きな段ボールを抱えている。
「あら新ちゃん、どこ行ってたのよぉ!部屋にいないから心配したじゃない、もう! (名前)ちゃんも一緒なのね、いつ来たの?」
「おはようございます有希子さん。良ければ私もお手伝いしても?」
「助かるわ!ごめんなさいねバタバタになっちゃって……」
お茶目に謝る有希子さんがかわいらしくて、彼女を責める気持ちは全くわかなかった。おそらくこの場にいる全員がそうだろう。恐るべし、人たらし。
「二階のクローゼットのお洋服を箱に詰めてほしいの」
「そしたら新一、母さんを手伝ってやりなさい。日本君、すまないがこのリストの事件ファイルをコピーして複製してくれ」
「わかりました」
「俺が事件ファイルのほうを……」
「お前がやると中身が気になって一日かかっても終わらんだろう。母さんを手伝いなさい」
ふてくされる新一君の返事と共に、和やかな笑いが起こった。
なんて平和な時間、平和な家族なんだろう
少しうらやましい。
階段を上っていく母子を見届けてから私も仕事にとりかかった。
__________________________
荷づくりに少し目処がつく頃には、もう外が真っ暗になっていた。
「日本くん、よければウチで夕食を食べて行ってくれ」
工藤先生が、最後の箱に資料を詰め終わった私にそう言った
「そんな、残り少ない家族団欒ですからお邪魔しない方がよろしいのでは?」
「実はもう有希子に4人分作るよう伝えてしまってあるんだ、悪いが頼むよ」
少し悪びれた笑みを浮かべ、私が詰めた段ボールを持ち上げる工藤先生。持つのを代わろうとするも、するりと私の手を避けてさらに静止の笑みを向けられる。
「すみません、じゃあお言葉に甘えて夕飯ご一緒させていただきます」
「よかった。そしたら有希子にこちらは終わったと伝えて様子を見てきてくれるかい?」
「はい!」
キッチンに行くと、もう料理が盛られたお皿がカウンターに沢山並んでいて、新一くんがいかにも渋々と言った感じでテーブルにそれを運んでいた。
どうやら読んでいた本をお母上様に取り上げられたらしい。
新一くんの様子とは裏腹に、鼻歌を歌って楽しそうに調理道具を片付けている有希子さんのエプロンのポケットには、それなりに重そうな単行本が一冊入っていた。
「書斎の片付け終わったのでお手伝いに来ました。」
「あ、(名前)ちゃんお疲れ様〜」
「すみません有希子さん、今日はご夕飯ご馳走になります」
「何の変哲もないクリームシチューなんだけど、美味しくできたから期待してて!あとね、冷蔵庫に眠ってたスパークリングワイン開けちゃおうと思って。お酒飲めない新ちゃんしか家に居なくなるわけだし、置いといて美味しくなるものでもないしね。(名前)ちゃん、グラス出して軽く濯いでくれる?」
「もちろんです」
有希子さんらしいマシンガントークだなぁ。
微笑みながら、食器棚からフルートグラスを取り出した。
食卓に全員が揃った。
有希子さんがよく冷えたスパークリングワインのキャップシールとストッパーを外し、コルクを外そうとするも苦戦している。
その様子を見守る夫と呆れ顔で見る息子。かわいらしい家族だ。
「ああダメ、優作やって」
「ははは、いいよ貸しなさい」
工藤先生によって簡単かつスマートに抜栓されたスパークリングワインが、3つのグラスに注がれていく。
私は同じテーブルに出されていた炭酸水を新一くんのグラスに注いだ。
会釈する新一くん。かわいい。
「では、乾杯」
「かんぱーい!」
「乾杯」
「……乾杯。」
チンと小さい音が重なった
「な、なにこれ。新一君、出発は1,2か月後じゃなかったの?」
「お、俺に聞くなよ!俺も今帰ってきたんだから……」
組み立てられた空の段ボールの山をかき分けながら夫妻を探していると、書斎のほうから優作先生がたくさんのファイルを持って現れた。
「工藤先生、これは一体……?」
「日本君!新一も一緒か。ああ、いや昨日伝えようと思っていたのだがね、ナイトバロンの英語版最新号が一か月後にアメリカで発売になるだろう。そのタイミングでロスに本拠地を移動しようと考えているんだ」
「ロス行きは先程新一君から聞きました。でも一か月後ならまだこんな荷物用意しなくても」
「それがそうとも行かなくてね、私がこの期間だいぶ忙しかったから有希子にチケットの手配を任せたんだ。そしたら彼女、ひと月早く計画を進めていたみたいなんだよ。キャンセルしてもいいんだが手続きが少々面倒なのでね。この荷物はさっき業者に電話して明日の午後に取りに来てもらうことになっているんだ。そして我々の出発は五日後だよ」
「い、五日後?!」
「はあ?」
私と新一君の驚きの声が被り、先生は困ったように笑った。
「まあロスの家の方はおおかた必要なものはそろっているし、足りないものがあれば向こうで買うことだって可能なわけだから準備といってもそんな大掛かりなものでは…」
「ちょっと優作!何をのんびりやってるの!」
二階から降りてきた有希子さんも大きな段ボールを抱えている。
「あら新ちゃん、どこ行ってたのよぉ!部屋にいないから心配したじゃない、もう! (名前)ちゃんも一緒なのね、いつ来たの?」
「おはようございます有希子さん。良ければ私もお手伝いしても?」
「助かるわ!ごめんなさいねバタバタになっちゃって……」
お茶目に謝る有希子さんがかわいらしくて、彼女を責める気持ちは全くわかなかった。おそらくこの場にいる全員がそうだろう。恐るべし、人たらし。
「二階のクローゼットのお洋服を箱に詰めてほしいの」
「そしたら新一、母さんを手伝ってやりなさい。日本君、すまないがこのリストの事件ファイルをコピーして複製してくれ」
「わかりました」
「俺が事件ファイルのほうを……」
「お前がやると中身が気になって一日かかっても終わらんだろう。母さんを手伝いなさい」
ふてくされる新一君の返事と共に、和やかな笑いが起こった。
なんて平和な時間、平和な家族なんだろう
少しうらやましい。
階段を上っていく母子を見届けてから私も仕事にとりかかった。
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荷づくりに少し目処がつく頃には、もう外が真っ暗になっていた。
「日本くん、よければウチで夕食を食べて行ってくれ」
工藤先生が、最後の箱に資料を詰め終わった私にそう言った
「そんな、残り少ない家族団欒ですからお邪魔しない方がよろしいのでは?」
「実はもう有希子に4人分作るよう伝えてしまってあるんだ、悪いが頼むよ」
少し悪びれた笑みを浮かべ、私が詰めた段ボールを持ち上げる工藤先生。持つのを代わろうとするも、するりと私の手を避けてさらに静止の笑みを向けられる。
「すみません、じゃあお言葉に甘えて夕飯ご一緒させていただきます」
「よかった。そしたら有希子にこちらは終わったと伝えて様子を見てきてくれるかい?」
「はい!」
キッチンに行くと、もう料理が盛られたお皿がカウンターに沢山並んでいて、新一くんがいかにも渋々と言った感じでテーブルにそれを運んでいた。
どうやら読んでいた本をお母上様に取り上げられたらしい。
新一くんの様子とは裏腹に、鼻歌を歌って楽しそうに調理道具を片付けている有希子さんのエプロンのポケットには、それなりに重そうな単行本が一冊入っていた。
「書斎の片付け終わったのでお手伝いに来ました。」
「あ、(名前)ちゃんお疲れ様〜」
「すみません有希子さん、今日はご夕飯ご馳走になります」
「何の変哲もないクリームシチューなんだけど、美味しくできたから期待してて!あとね、冷蔵庫に眠ってたスパークリングワイン開けちゃおうと思って。お酒飲めない新ちゃんしか家に居なくなるわけだし、置いといて美味しくなるものでもないしね。(名前)ちゃん、グラス出して軽く濯いでくれる?」
「もちろんです」
有希子さんらしいマシンガントークだなぁ。
微笑みながら、食器棚からフルートグラスを取り出した。
食卓に全員が揃った。
有希子さんがよく冷えたスパークリングワインのキャップシールとストッパーを外し、コルクを外そうとするも苦戦している。
その様子を見守る夫と呆れ顔で見る息子。かわいらしい家族だ。
「ああダメ、優作やって」
「ははは、いいよ貸しなさい」
工藤先生によって簡単かつスマートに抜栓されたスパークリングワインが、3つのグラスに注がれていく。
私は同じテーブルに出されていた炭酸水を新一くんのグラスに注いだ。
会釈する新一くん。かわいい。
「では、乾杯」
「かんぱーい!」
「乾杯」
「……乾杯。」
チンと小さい音が重なった