第1章
夢小説設定
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その日の夜、テレビ局での軽い打ち合わせの仕事を終え、着替えて向かったのはとあるバーだった。
「そろそろ何の要件か話してくれない?依頼されてる件もないし、仕事内容はいつも電話のくせに」
バーカウンターの隣で無表情に煙草を吸う銀髪に皮肉な声をかけると、まだ随分残っているそれをぐりぐりと灰皿に押し付けた。
「お前、最近ヤツから仕事を受けただろ」
「ヤツ?ベルモットの事?」
返事はないが、彼の無言は肯定の意だ。
「受けたけど。別に問題なんてなかったわよ」
ジンが懐からシガレットケースを取りすのを見て、カバンからジッポライターを出す。
ジンが口にくわえた煙草に火をつけた。
「で?何が言いたいの?」
ジンが口から煙を吐き切ったあと、口を開いた。
「あの方からのお達しだ。お前をあの3人と一緒にある組織調査に当たらせる」
「組織調査?」
「どうもベルモットが口を利いたらしい。バーボンとの共同任務が成功したのを台に使って、お前を教育係に雇えとな」
「嫌よ、新人教育なんて。私が組織に介入することは無いって言ってるでしょ?たとえあなた方のボスの命令でもね」
ジンの言葉にすかさずそう言って、手元のカクテルに口をつけた。
「あぁ。だから、今回は仕事の依頼だ」
「はぁ……狡い。割のいい仕事なら私も断れないって知っててこういう事する」
「長期の依頼だ。この組織についてあの3人と調べろ。敵対組織だった場合は潰せ。報酬は手付が五、情報で十、実行が入れば十五。」
す、と机の上を滑ってきた大きい封筒を開けると、色々な資料が中に入っていた。
提示されたのは、しめて3億ドル。日本円にすると320億円程度。断るには惜しすぎる話だ。
「ずいぶん羽振りがいいのね。でもこれって情報屋の仕事から逸脱してない?」
「乗るのか、乗らねぇのか」
「はぁ…お仕事ならやらせていただきますよ。ジンさん」
「気持ちわりぃ。やめろ」
さっきの露骨な態度とは裏腹に微笑んで彼の腕に抱き着くが、拒否の意で強めに払われる。
名刺の裏に口座番号を書き、ジンに手渡した。 番号に『Love, Adler,,』(愛をこめて。アドラーより…)と書添えておくと、案の定舌打ちが飛んできた。
「そういえば、最近いつも一緒のウォッカとかいう彼、今日は居ないのね。今夜は外泊なの?」
また返事はない。
つまりおそらく、そういうことだろう
「……ジンって意外とそういう所あるわよね」
緩く笑ってカクテルグラスを揺らした。