「夢はいつも僕の幼少時代から始まります」

「アレン君の幼少時代？」

「……はい、この左腕のせいで僕は親に捨てられました…そして毎日生きるか死ぬかの生活を送っていました」

「…………」
ミランダはアレンの今まで知らなかった部分を聞かされて少しショックを受けた、アレンは構わず夢の内容を話し続ける

「そしてクリスマスの興行で町にきていた旅一座に盗みに入った所を団員だった義父…マナに見つかったんです、マナは僕の腕を気味悪がる事もなく接してくれました…僕はそんな事生まれて初めてだったので……それまで皆に蔑まれて生きてきたから…嬉しかった僕はマナに付いていったんです」
嬉しそうに話すアレン

「付いていった僕をその旅一座の人達は受け入れてくれて…僕はそこで生まれて初めて家族が出来たと思ったんです」

「……幸せな夢じゃない……？」
ここまで聞いていると、とてもじゃないが悪夢とは程遠い夢だ、むしろ幸福な夢であろう、しかしアレンの言葉はまだ続いた

「夢はまだ続くんです…ある日僕は悪夢にうなされてしまいます、でもそんな時マナがおまじないをしてくれたんです」

「おまじないって…アレ？」
ミランダは先程自分がアレンにしていた行為を指して言った、アレンはクスｯと笑い

「はい、あのおまじないはマナから教わりました、とにかく僕はそのおまじないでしばらく悪夢を見ることが無くなったんです……でも」
アレンは話を続ける

「……ある町に興行に行ったとき…マナは帰らぬ人になりました…」

「…………」
じっと話を聞いているミランダ

「僕は何が起こったのかわかりませんでした…一座の人達はマナを手厚く葬ってお墓まで作ってくれました…そこに……千年伯爵が現れたんです」