二人の夏の日

「……え!?」

先程まで宙に浮いていた無数の星の一部が動きだし…
ミランダの周りまで降りてきたのだった…
夜の闇も二人の周りだけには近付けなくなっている…
信じられない光景を目の当たりにしているミランダの周りを蝶の様に星が舞う…
その出来事は文字通り幻想的で…
ミランダはまるで夢の中にいるような錯覚に包まれたのだった

「…嘘…信じられない…」

「…ミランダさん」

ミランダの周りを舞う星を縫うようにアレンがミランダに歩み寄る

「…僕の思い出はどうですか?」

「え?」

「…思い出……あっ!」

この思い出はマナさんとアレン君の思い出の出来事だわ…!

先程のアレンの台詞を聞いた時からミランダの胸に留まっていたもやもやがたった今、消えた

「僕だって貴女の為なら星を取る事だってできるんですよ?」

そう言ってみせるアレンの顔はどこか得意げだった

「アレン君…」

ミランダの顔が喜びの色に染まる…
それが合図だったのかもしれない
自然とミランダとアレンの顔が近付いてゆく…その時

「…あら?」

「…え?」

突然ミランダの視線がアレンの背後へと向けられる
アレンが気になって後ろを振り向くと…

「星が…点滅してる?」

「!!!」

二人の周りをゆっくりと飛び回っていた星の一つが点滅を始めていた…
それを見たミランダの一言にアレンが慌てる

「ねぇアレン君…あれ…」

「え、えっと…あ!た、多分飛び回ってもらったから疲れたんですよ!普段一カ所でじっとしてますし!」
ミランダの目線を塞ぐようにミランダの前に立つアレン

「そうなの…?…あら?」

「え!?」

再び何かに気付いたミランダの声にアレンが振り返ると…
点滅を繰り返していた星がフラフラと地面に落ちてしまった

「!!」

慌てて星に駆け寄るアレン

「あ、アレン君…」

ミランダもアレンの後に続こうとしたが…

「ま、待ってください!」

「え?」

落ちた星を急いで拾いあげたアレンが自分の背に星を隠しながらミランダに言った

「あ…その…や、やっぱり星が疲れちゃったみたいで…!」

「そうなの…?大丈夫かしら?」

何やら心配したような口調でミランダがアレンに一歩近付くと…

ずざざ…!

「……え?」

また一歩アレンに近付くミランダ…すると

ずざざざざ…!

ミランダの方を向きながらアレンはミランダが近付いた分だけ後ろへと下がってしまうのだった…

「アレン君…どうしたの?」

「え!?い、いやぁ…あ、何だか星がみっともない姿をミランダさんに見せなくないそうなんですよ!」

「そんな……あら?」

「あ、あ、ああ!!」

一つの星が落ちたのを皮切りに二人の周りを飛び回っていた星が何個かフラフラと落ち始めて来たのだった…
そしてその内の一つがフラフラとミランダの手の中へと落ちて来た
落ちて来た『星』を優しくキャッチするミランダ
手の中の『星』を確認するとそれは…
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