二人の夏の日



草木も眠る時刻…
自室で眠っていたミランダを揺する白い影


…ミランダさん

「う~ん…」

…起きてくださいミランダさん

真夜中に揺すられている感覚に朧げながら目を覚ますミランダ

「起きてください、ミランダさん」

「う…ん……」

寝起きで焦点の合っていないミランダの瞳に映る白い影…
徐々に焦点の合ってきたミランダの瞳に映ったのは…
「…アレン…君?」

「こんばんわ、ミランダさん」

白い影がニッコリと微笑む

「…え?え?えぇ!?」

突然の真夜中の訪問者にミランダは驚愕の声をあげ、ベッドから上半身を起こす

「ど、どうしてアレン君がここにいるの!?」

「…今夜はミランダさんに用があって来ました」

平然とした顔でミランダの問いに答えるアレン
そして一歩ミランダに近づく…

「よ、用って…まさか!?よ、夜ば…!!」

ミランダの脳裏に妖しい想像が浮かぶ…
顔を真っ赤にしているミランダの頭の中を読んだアレンは

「あ、今夜はそんな用じゃありません」

「…へ?」

「僕はそんな非紳士的な事はしませんよ?」

…真夜中に一人しかいない女性の部屋に忍び込むのは非紳士的な行動じゃないのかしら?

困惑しているミランダにアレンが用件を述べる

「実は…今からミランダさんに見てもらいたいモノがあるんです、付いて来てくれませんか?」

そう言ってミランダに手を差し出すアレン

「…こんな時間に?」

「はい、お願いします」

深夜に突然訪ねて来て(しかも勝手に部屋の中へと入って来て)ミランダを連れ出そうとしているアレン…
よく考えないでもかなり無礼な行動だったが、ミランダはアレンの瞳の中に何か決意したような光があるのに気付き…

「……わかったわ」

と、ミランダはアレンの手を取ったのだった

「…ありがとうございます」

アレンは安堵の声を出すと共にミランダの手を優しく握った





真夜中…

ミランダがアレンに手を引かれ連れて来られた場所は数日前にアレンと散歩をした場所であった…
気のせいか、この間よりも星が瞬いている様に感じた


「アレン君…この場所は…」

「はい、この間と同じ場所です」

ゆっくりと視線をミランダから空に移すアレン

「どうですかミランダさん、今夜は前よりも星が綺麗じゃありませんか?」

「え、えぇ…本当ね」

ミランダも視線を空に移す…
確かに今夜は前回の散歩よりも星が多く見えている…
しかしミランダは星の美しさよりも今のアレンの行動を気にしていた
この間…自分がアレンの思い出を羨ましいと言ってしまった事…
そしてその後、自分が少し寂しげな顔をしてしまったのをアレンがずっと気にしていた事…
その行動が今の出来事を招いてしまったのではないか…
そう考えるだけで
ミランダは星の美しさを楽しむ事が出来なくなった

「…ミランダさん、どうしたんですか?」

「……え?」

視線が段々と空から地面へと移っていたミランダにアレンが声をかける

「…そうですよね、急に連れて来て星を見せるなんてつまらないですよね?」

「そんな…そんな事は……!」

断じてそんな気はない事を伝えたいミランダは声を荒げた…
しかしアレンはどこか楽しそうに…

「だからお詫びとして…今日は僕がミランダさんに星をプレゼントします」

「……へ?」

…星をプレゼントする?

どこかで聞いたような台詞にミランダの動きが止まっていると…

「では…受け取ってくださいミランダさん!」

そういってアレンは両手を空へと突き出した…
瞬間―
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