二人の夏の日

「…えい、や!」

すっかり旅芸人の一員として活動していた幼きアレンは野営地から少し離れた場所でジャグリングの練習をしていた…その時


パチパチ…

「…え?」

背後からの突然拍手の音
振り向くとマナがアレンに拍手を贈っていた

「マナ、見てたの?」

拍手をしていたマナに気付いたアレンは小走りにマナに駆け寄った

「ああ、大分上達したなアレン」

「ありがとう」

マナの褒め言葉にアレンは照れ臭そうに顔を背けた

「それにしても…今夜は星が綺麗だな」

そう言ってマナが視線をアレンから空へと向けた
アレンがその視線を追うとジャグリング中は気付かなかったが空には満天の星空が広がっていた

「うわぁ…」

思わず感嘆の息を漏らしたアレンにマナが優しく囁いた

「ふふ、まるで手が届きそうな星空だな…」

「うん、綺麗だね」

マナの言葉通りにまるで手が届きそうな星空、幼いアレンは無意識の内に星空へと手を伸ばしていた…
その様子を見たマナは面白そうに

「どれ…じゃあ練習を頑張っているアレンにご褒美に一つ星を取ってやろうか?」

「え?」

「ふふ…少し待っていなさい」

そう言って一度ポケットの中に手を入れるマナ
そして直ぐにポケットの中から手を出し拳を空へ向けた

「むむむ!」

拳を空へ向けて小さな唸り声をあげているマナ、マナは真剣に星を取ろうとしていたのだろうがアレンにはその姿が少し滑稽に見えた

「ねぇマナ…星が取れる訳なんて…」

「よし、取れたぞ!」

「へ?」

「さぁアレン、手を出しなさい」

驚きの中、言われるままにマナに手を差し出すアレン

マナはアレンの手を取ると空に突き出していた方の手の中身を優しくアレンに握らせた

「さぁアレン、ゆっくりと手を開いてごらん」

「う、うん…」

驚いているアレンがゆっくりと手を開いた、その中には小さく動く光り輝くモノが入っていた

「うわぁ……!」

マナが星を取ってくれた…!

幼いアレンがマナのしてくれた事と手の平の中の星に感動していた時、手の平の星がアレンの手の中からゆっくりと飛んでいってしまった

「あ、星が!」

飛んでいった星を追いかけようとした時マナが優しくアレンを止めた

「アレン、止しなさい」

「でも…」

「あれは小さな星だから多分子供の星だったんだよ」

「子供の星?」

「そうだよ、突然私がお母さんの元から連れて来てしまったから驚いたんだよ」
諭す様にアレンに言うマナ、マナの言葉を聞いたアレン心配そうな顔をした

「…ちゃんと一人で帰れるかな?」

「大丈夫さ、あんなに光り輝いているんだから見失うはずはないよ…」

そう言って再び空を見るマナ、そこには先程と変わらずに光り輝いている星空があった

「うん、そうだね…」

星空を見たアレンもそう呟いた

「…さて、明日も早いから今日はもう戻ろうか?」

「うん、マナ?」

「ん、なんだい?」

「今度は大人の星を取ってね?」

「ははは…アレンの技がもっと上がったら…な?」

「ふふふ、は~い」

そう言って笑いながら二人、一座のテントへと戻って行った……
……
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