キスして欲しい

「あの…えっと…」

「リナリー?」

「ぃぇ、ぁの…ぅん…と…」

口ごもりながら喋るリナリー

……なんだ…?何もしてないのに俺がリナリーをいじめてるみたいじゃないか…?

その間もリナリーは皿とティキの顔を行ったり来たりを繰り返している(心なしかさっきよりもスピードが上がっている)
それを見たティキは目の前の料理を持って席を立とうとした

「あっ、ティキさん…?」

「……なんだか俺がいたら昼食の邪魔になってるみたいだから…俺は向こうで食べるよ」

「…………」

リナリーから返事はない

「ゴメンな、リナリー…」
食器を持ってティキは寝室へと向かった…
……



「……はぁ」

ハンバーグの横に付いていた小さな人参を口にした後、ティキは溜息を吐いた

一体俺はリナリーに何をしてしまったのだろう?

「まさか寝てる間に黒い俺がとんでもない事を……」
そういえば目覚めたときリナリーを抱きしめていたし…
リナリーを幻滅させてしまう事をしちまったのか…

「あぁ…やっぱりソファーで寝てればこんな事には…」

苦悩しながらリナリーの作ってくれた料理を食べていたティキ(お世辞ではなく本当に美味しかったが気落ちしていたのか、それが半減しているような感覚だった)
そんな時部屋の扉がノックされた

「ティキさん…」

「リナリー?」

食事を中断して扉を開けるティキ
扉を開けた途端にティキの腰にリナリーが飛び付いて来た

「リ、リナリー!?ど、どうしたんだ!?」

「……ぁぁあああ…!」

ティキにしがみついたリナリーは何故か突然泣き始めてしまった
ティキは訳がわからなかったがリナリーが泣き止むまでリナリーを抱きしめ頭を撫でてあげた…
……
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