キスして欲しい


太陽が最高潮の高さまで昇り切った時刻
薄ぼやけた意識の中、何かいい匂いがして、再び眠りの世界へと引き込まれそうになるティキがいた

「んんん…」

布団とは違う柔らかい感触が心地よい

「テ、ティキさん…?」

しかしリナリーの声が聞こえたので、ティキはそこで目を覚ました

「ん…おはよう…リナ…リー…ん?」

目を覚ますとティキは先程感じた柔らかい感触の正体を知った
ティキは目の前のリナリーをしっかりと抱きしめていたのだ

「………」
「………」

お互い顔を合わせて無言になる二人

「えっと…その…リナリー…?」

「! わわわわ…!」

突然何を思ったか
リナリーはベッドを飛び出すと一目散に部屋から出ていってしまった

「あぁ…!リナリー!」
一人残されたティキはベッドの上で固まっていた

何だ!?
俺は何をしちまったんだ!?
あぁ…!俺の馬鹿!!
寝る前の誓いはどうしたんだ俺!?
何で何も覚えてないんだ……じゃない!!

急いでリナリーを追いかけるティキ…
……

そして時間は今に戻る…
リナリーが出ていってしまった扉をポツリ眺めているティキ

あぁ…俺は何しちまったんだ…
それで何で何も覚えてないんだよ…

一人になった部屋の中で頭を抱えているティキ

とにかく…リナリーが帰って来たら話をしなきゃな…

仕方なしにリナリーが帰ってくるのを待つティキ…
数十分後
本当に昼の買い物をしてきたリナリー(実はもう帰ってこないんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていた)は部屋に入るなりキッチンに入ってしまい何やら料理を始めてしまった
話をしようとキッチンに行くと…

「な、何か手伝おうか?」
「! ティキさんは待ってて下さい!大丈夫です!」
凄い剣幕で追い出されてしまった…

まだ駄目か…

仕方なしにリナリーの邪魔をしないように素直にリビングのソファーに座ってリナリーと少し遅いめの昼食を待つことにした
……

「出来ましたよ~」

数十分後…
キッチンから皿を持ったリナリーが現れた
テーブルに料理を並べていくリナリー
ハンバーグを作ってくれたようだ
(わざわざ時間のかかる料理だったのは気のせいだろうか?)

「…美味しそうだね」

「口に合うかわかりませんけど…」

「リナリーが作ったものなら何だって大歓迎だよ?」

「そ、そんな…」

ティキの台詞にボッと顔を赤らめてしまうリナリー
それを見たティキは

しまった…

と思ったが
思ったことを口にしてしまっただけなので今のは仕方ないと思うことにした

椅子に座るとリナリーがティキの反対側に座った
そして座ってティキと顔を合わせた途端、更に顔を赤くしてしまった…

「あの…ティキさん?」

「あ、何だいリナリー?」

「い、いえ…」

「………」

リナリーは緊張した面持ちで、料理の皿とティキの顔を見たりを繰り返している
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