キスして欲しい

何故だろう…
さっきから彼女の様子がおかしいのは…
俺は何をしてしまったのだろう…

「あの…リナリー?」

俺が話し掛けると彼女はビクリと身体を揺らす
さっきからこんな感じだ

「なな何ですか?ティキさん?」

「…いや、別に用はないんだが…」

「あ、じゃあお昼の買い物してきますね!」

「あ、リナリー…!」

俺が呼び止める前にリナリーは部屋から出ていってしまった…

「俺…何しちまったんだ…」

俺は色々あって…
敵である黒の教団のエクソシストのリナリーと恋仲になった…
俺だって予想外の出来事だ…
しかしお互いの気持ちは本物だ
お互いそんなに頻繁に会える訳じゃあないが…
昨日突然リナリーが俺の潜伏用のアパートを訪ねてきた
……

深夜にアパートの扉をノックする音が聞こえた
ティキは用心しながら扉に向かって声をかける

「…誰だ?」

用心していたティキに予想外の声が聞こえてきた

「…私です」
「!?」

扉の外から聞こえて来た声に驚いて慌てて扉を開くと…

「こんばんわ、ティキさん」

「リナリー!?どうしたんだ?」

「……会いたくなったんです」

少し俯いて恥ずかしそうにティキに言うリナリー

あぁ…ヤバイ…黒い俺が…

余りにも可愛いリナリーの姿を見て危うくサディスティックなティキがリナリーに何かしてしまう所だった…

駄目だ…彼女は壊したくはない…

「…入りなよ」

平静を保ちながらリナリーを中へと招き入れる

「お邪魔します」

リナリーは部屋の中に入りキョロキョロと辺りを見回している

「まったく…こんな夜遅くに女の子一人で…」

「ゴメンナサイ…」

「まぁいいさ…俺もリナリーに会いたかった」

両手を広げてリナリーに言う

「……おいで?」

「ティキさん…!」

ティキの腕にリナリーが飛び込んで来た
ティキは優しくリナリーを抱きしめる

細い…力を込めればすぐにでも……!

少しリナリーを抱く力を強める

「ティキさん…苦しい…」

「うぉっと…!」

慌ててリナリーを離す

「ゴメン…ちょっと嬉しくてね…」

また平静を装いながら口を開く

「大丈夫ですよ…私ティキさんに抱きしめられるの好きですから…」

ああ…この娘は…
自分の命が惜しくないのか…(その考えはおかしい)
「ねぇ…ティキさん…」

「あ、あぁ…何だい?リナリー…」

自分の考えにうろたえていたティキに更に追い撃ちをかけるようなリナリーの発言が待っていた

「…今日ココに泊まっていってもいいですか?」

「…ハイ?」
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