いつもここにいるよ

振り返って目の前にいる人物に戸惑いと驚きと…一握りの恐怖をアレンは感じていた、が

「なんだよぉ、女の子に向かってそんな反応すんなよなぁ、悲しくなっちゃうじゃんかぁ?」

ケラケラと笑いながらアレンを見るロード

「何しに来た!!僕を殺しに来たのか!?」

アレンはロードから距離を取りイノセンスを発動させようとした、が

「はぁ?何言ってんの?」

ロードは不思議そうな顔をしている

「そんな事しないよぉ、今日は遊びに来たんだよ」

「遊び!?」

警戒を解かずにロードとの間合いを計っているアレン

「……あのさぁそんなピリピリすんなよなぁ大体…」

一歩アレンに近づいて

「殺すつもりならさっきのでお前死んでるからな?」

と、冷たく言い放った

「…!」

確かにそうだった
アレンはロードに目を覆われるまで完全に気配が読めていなかった
認めたくはないが圧倒的な力の差があるのも事実だった

「わかった?アレン?」

「…わかった……」

力無く呟いてアレンは警戒を解いた
少なくとも今は相手に自分を殺す気が無いと分かったからだった…今は

「それで…何しに来たんだ?」

「え~さっきから言ってるじゃん、遊びに来たんだよ?」

「…え?」

「だってしばらく千年公は忙しくて動く気無いんだもん、暇でさ…」

「何…?」

「まぁいいじゃん?お陰でしばらく暇になったからさぁ?なんかシよ?」

「…え?」

本当にソレだけなのか?
一応お互い敵同士…
しかもアレンはロードに一度左目を潰されているし、巻き戻しの街での仲間にしたことをまだ忘れてはいなかった…

しかしロードの余りにも子供な(当たり前だ)言動と立ち振る舞いに、とてもあの時と同じ人間とは思えなくなっている自分がいた

「何かしようって言われても…何がしたいんだ?」

「何だよぉ?女の子に決めさせんなよな、情けない」

プクリと頬を膨らませているロードを見て
アレンは何だか不思議な気分に覆われた

「ん~じゃあこの街でも案内してくれよ」

「え?いや…あの…さっき着いたばかりでまだこの街の事何もわからないんだけど…」

いつの間にかアレンはロードに対して砕けた喋り方になっていた
本人は気付いてはいない


「何だよもぉ…役立たず」

「…ゴメン」

「ん~…アレンはこの街にどのくらいいるの?」

「え?い、一週間ぐらいだけど?」

「ん~…じゃあ三日後にまた来るねぇ?」

「え?」

「それまでに僕を案内出来るようにしとけよぉ?じゃあねぇ?」

「あ、ロー…!」

アレンが名前を呼ぶ前に
ロードは以前見た扉をどこからともなく出現させ
さっさと中へ入って行った

バタン!

扉が閉まる音と共に扉は消えていた

「何だったんだ…?一体?」

ポツリと一人残されたアレン

(三日後に『また来る』って言ってたな…ん~…街の案内か…)

そんな事を考えながら
少し遠回りしながら宿へと帰った
(宿に帰った時には夜になってしまっていて連絡をしなかったからファインダーがもの凄く心配していた)
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