other 短編集
私とマリさんはかなりの身長差がある。
歩きながら談笑している時、囁かれるように話された時などはたまに言葉が聞き取れない事などがある。
今まさにそんな事が起こった。
「あ、あのマリさん…」
「ん?どうしたミランダ」
「今の言葉を聞き漏らしてしまったので、申し訳ないですけどもう一度近くで言って貰って良いですか?」
「あぁ、それはすまなかったな」
そういってマリはすっと腰をかがめミランダの耳元で言葉を囁く。
「-―-―-…」
とても近い距離で囁かれたのに、ミランダはまたマリの言葉を聞き逃した。
「聞こえたか?」
「は、はい…」
ミランダの言葉を聞いて満足そうな顔を見せたマリはまた談笑を続けた。
しかし、しばらくの間マリの言葉はミランダの耳に入ることはなかった。
それはミランダの心臓の音がマリの言葉を邪魔しているからに他ならなかった。
END
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