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「クロス元帥、髭を剃ってください!」

突然部屋へやってきたかと思えば、ミランダは訳の分からない事を言う。

「髭を…何でだ?」

「え…!?」

クロスの言葉にミランダは真っ赤になる、クロスは益々訳が分からなくなる。
もじもじと顔を赤くしているミランダ。そしてその姿をじっと眺めているクロス。

「……たいん…です」

「あ…?何だと?」

呟かれたミランダの言葉が聞き取れずにクロスはいぶかしげな顔を見せる。

「あの…だから…」

「何だ? 言いたい事があるならハッキリと言え、ミランダ」

「だから…元帥の髭が…」

「…俺の髭がどうした?」

歯切れの悪いミランダの言葉に少々いらつきを見せるクロス。
それを見たミランダは意を決したように言葉を放つ。




「くすぐったいんです!」




「…何だと?」

ミランダの言葉の意味が分からないクロス。
ミランダは顔を真っ赤にしてクロスをじっと見ている。

(なんだ…『くすぐったい』って…)

(くすぐったい…………)

ミランダの言葉の意味を考えるクロス。
しばらくして「あっ」と言う声を出したかと思うと、腹を抱えて笑い出した。

「くくく……そう言う事か…」

自慢の髭をさすりながら、再びクロスは笑う。

「じゃ、じゃあ…」

クロスの言葉に、明るい顔を見せようとしたミランダであったが-



「だったらなおさら剃る訳にはいかんな」

「…え!?」


それからしばらく

ミランダの「剃ってください!」

クロスの「嫌だ」

の問答が続いたという…

END
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