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「ねぇアレン?」

不意に僕を呼ぶ声が聞こえたので僕は視線を読んでいた本から声の聞こえた方へ移した

「何だい、ロード?」

視線を部屋のソファーに向ける
僕が名前を呼ぶのと同時に見たロードの顔は可愛らしい笑顔だった

「何でもないよぉ、呼んでみただけぇ♪」

「?  そう、わかった」

そう言って僕が視線を本に戻すと同時に-

「アレン」

「? 何、ロード?」

またロードが僕を呼んだので再び視線をロードに戻した
やっぱり笑顔で、にこにこと僕を見ているロード

「ふふ、何でもないよぉ♪」

「? わかったよ」

少し困ったような顔をして(でも心なしか微笑みながら)再び視線を本へと戻したアレン…
そしてそんなアレンをじっと見つめて微笑んでいるロード…


(アレン、僕がアレンを呼ぶのが何でもないからな訳ないよぉ?)

(ただね…)

(『アレンが僕に振り向いてくれるのが嬉しいから』)

(…ってそんな恥ずかしい事言えないなぁ)

(でもそう言ったらきっとアレンは顔真っ赤にして恥ずかしがるんだろうなぁ、見たいなぁ…)

(どうしよっかな?次に呼んだときに言ってみようかな………)










「ねえアレン?」


少し困った顔で、でも微笑みを交えながらロードを見るアレン
「何、ロード?」と先程から同じ言葉を返すアレン
そんなアレンにロードは用意していた言葉を囁いた
するとアレンはロードの想像通り顔を真っ赤にして読んでいた本を床に落とした
その光景を見て、あはは、と微笑みながらアレンを見ているロード…







自分の顔がアレンに負けないぐらいに真っ赤になっている事を指摘されて自分も慌てふためいてしまうまでそう時間は掛からなかった…


『愛は説明を必要としないものだ』

END
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