L×M短編集

それは突然の一言だった



「キスしようよ」



ラビの言葉に顔を上げてみれば、自分の方へと歩みを進めるラビの姿が目に入った。

「あ、え……?」

「嫌?」

ミランダの答えなど聞かずにラビはミランダへと近づいてゆく、じりじりと…ミランダは壁際へと追い詰められてゆく。

「……嫌?」

肌が触れそうな距離まで近づかれ同じ質問を繰り返すラビ。
わずかに自分の頬に触れるラビの髪、吐息がミランダの思考を乱す。

「いいい、嫌だとか、そういう、訳じゃ…」

思わずラビから視線をそらすミランダであったが、ラビはミランダの顎に手を掛け視線を自分の方へと向けさせた。

「嫌なら、しない」

「っ…!」

二人きりの部屋で、静かにラビが呟いた。

「ぁ…ぅ…ぇ…と…」

ミランダの上擦った声がラビの耳に届くと、ラビはミランダの唇に自分の唇を押し当てた。
一瞬大きく目を見開いたミランダであったが、すぐさまラビを受け入れるように目を閉じた。
慌てる様が可愛いから苛めたくて仕方なくなる、そんな考えを秘密にしながら…ラビはミランダの返答も聞かぬままにミランダと共にベッドへと倒れた。

【恋愛の真の本質は自由である。】
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