L×M短編集



「と…Trick or treat…?」

「……え?」

 扉の前に立っていたのは魔女の格好をしたミランダであった…

「…何やってんのミランダ?」

「うううぅ…だ、だって今日はハロウィンだからってリナリーちゃんが…」

『ミランダも一緒に魔女の格好しようよ!』

ラビの脳裏に嫌がるミランダに無理矢理魔女の格好をさせるリナリーの姿が浮かんだ

「…嫌なら断ればいいのに」

「で、でも…」

「…ミランダ」

「え?」

「魔女の姿似合ってるさ」

「っ……ありがとう」

ラビの一言に真っ赤になってしまうミランダ
そんなミランダを見てラビは妖しいことを思いつく

「…それで…Trick or treat…だっけ?」

もぞもぞと自分のポケットをまさぐるラビ、ポケットから手を出したときその手の中にあった物は…

「…キャンディー?」

「そ、甘くておいしいさ」

「あ、ありが…」

キャンディーを受け取ろうとしたミランダであったが…

ぱくっ

「え?」

ミランダの目の前でラビはキャンディーを自分の口へと放り込んだ
そして…

ぐい-

「え?」

不意にラビがミランダを自分の方に引き寄せる…そして

「はっ…ん…っ!」

くちゃり…と水音をさせてラビは自分の口の中のキャンディーをミランダの口の中へと移した

「…甘くておいしいから味わって食べてね?」

それだけ言ってラビは扉を閉めてしまう
扉が閉まった瞬間-へなへなとその場に座り込んでしまうミランダ
何も考えられなくなってしまったミランダには
少し溶かされた口の中の甘い飴の味だけが確かに広がっていた


END
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