L×L短編集



「ラビ、Trick or Treat?」

不意に背後から声をかけられた
身体ごと振り向くと魔女の姿をしたリナリーが微笑みながら立っていた

「…お菓子ならないさ」

俺の言葉を聞いたリナリーは つまんない と一言言って踵を返そうとした、そこを…

がしっ

「……え?」

立ち去ろうとしたリナリーの腕を掴む

「…お菓子ならないさ」

そして先程と同じ言葉を繰り返す
俺の言葉を聞いたリナリーは俺が何を言っているのか理解できないといった顔をしている

「…?解ったわよ、お菓子持ってないんでしょ?」

「うん、だから…」

ぐいっ

「…へ?」

腕を引き寄せラビがリナリーを自分の胸元へ引き寄せる
そしてリナリーを背後から抱きしめ耳元で言葉を囁いた




「『今日は』リナリーが俺に悪戯していいよ♪」

「っ!?」

俺の言葉を聞いた腕の中のリナリーが少し震えた気がした、そして…

「……ラビ」

「ん~?」

腕の中のリナリーが下を向きながら小さく言葉を発した、次の瞬間…

「馬鹿…!」

ぐりぃ!

「ぐぁ!?」

いきなりリナリーが踵でラビの足を踏ん付けた
思わずうずくまり口から声にならない痛みを発しているラビ、そんなラビを見下ろしているリナリー…

「…ラビ」

「ぐあぁ…な、何…?」

うずくまっていたラビが顔を上に上げた瞬間-




ちゅっ

「…!?」

ラビの唇に弾力のある何か暖かいものが触れた
痛みを忘れて目の前のリナリーを見るラビ、そして…


「……悪戯だからね!」

それだけ言って顔を真っ赤にしながらリナリーは走り去ってしまった…

そしてその後残されたラビは廊下でのたうち回っていた
その理由が踵で踏まれた痛みを思い出したのか、リナリーにキスされた恥ずかしさからだったのかは…本人にしか解らない

END
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