K×L短編集

窓から夕焼けが差し込んで部屋の中にいた二人…神田とリナリーを赤く染め上げる
二人は特に何もせず、むしろ二人で部屋の中にいると言うことを楽しんでいるようであった

「リナリー、眩しいからカーテンを閉めてくれ」

部屋の窓から外を眺めているリナリーに向かって神田が声を掛ける
ボーッと外を眺めていたリナリーが、神田の声に振り返る

「…ねえ、神田」

「ん、なんだ?」

夕焼けに顔を染め上げているリナリーと視線を合わせる神田
先程から部屋の中でボーッとしていただけで会話らしい会話をしていなかった為にリナリーの声が酷く懐かしく聞こえた


「キスしましょう?」


不意に懐かしさを感じていた神田が、一瞬で凍り付いた
リナリーの顔を見て何度も瞬きを繰り返し、リナリーの口から飛び出した台詞を頭の中で繰り返す

キスしましょう?
聞き間違いか?

「…リナリー」

「何?」

「今、何て言った?」

「キスしましょう?」

どうやら聞き違いじゃあなさそうだ
いやいや、意味が解らない
突然すぎる

「…いきなり、だな?」

「どうして?夕焼けが差し込む部屋で二人きり…キス以外に何があるの?」

「………」

絶句
リナリーの言葉に言葉を失い目を点にしてしまう神田
確かに、そう言われればそうかも知れないが…

「風情も何もあったもんじゃねぇな…」

「神田って意外とロマンチストなのね?」

クスリと笑って、リナリーが神田の元へトコトコと歩いてくる

「キス、しましょう?」

「ちょ、ちょっと待…!」

上目遣いに自分を見上げていたリナリーの顔が近づいた
戸惑う神田の唇を、目を閉じる隙も与えずにリナリーが奪う
キスは、一瞬で終わった
キスを終えたリナリーは唖然としている神田を尻目に部屋を飛び出した

「またしましょうね!」

扉が閉まると同時にそんな言葉が聞こえてきた

部屋の中には、閉め忘れた部屋の窓から夕焼けに照らされた…唇に残る感触にぽかんとしている神田だけが残っていた



【落日と同じ加速度のキス】



(…今度来たらキス以外にもする事があるって教えてやろうか?)


END
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