K×L短編集

教団の食堂にいつもの音が響き渡る


ずずっ…ずずずずっ…

「………」

その音の元凶の対面でリナリーが自分の食事を止めて元凶を見ている

「(ずずずっ)…んっ?」

リナリーの食事が止まっているのを見て音の元凶…神田が不思議そうにリナリーに呟く

「リナリー、どうした?」

「え?」

「箸が進んでねぇぞ、どうしたんだ?」

「ん~対した事じゃないんだけど…」

「何だ?」

「…神田ってお蕎麦ばっかり食べてるわよね?」

「そうだな」

リナリーの質問も対した問題でもないかの如くあっさりと返事を返す神田
その神田の返事に呆れと諦めの感情を同時に芽生えさせるリナリー

「そうだなって…朝昼晩っていつもお蕎麦食べてるじゃない、飽きないの?」

「…ちゃんと朝はざる蕎麦で昼は山菜蕎麦で夜は天麩羅蕎麦だぞ」

「……それ全部、お蕎麦じゃない」

「ん、そうだな?」

「はぁ…」

神田の食生活を心配するリナリーだったが、神田はどんな時でも蕎麦を食べてこその神田という認識が定着しつつある(蕎麦と言えば神田、神田と言えば蕎麦、といった)中で神田の蕎麦好きを窘めるという事は少々野暮な事であったのかも知れない

「はいはい…因みに何のお蕎麦が一番好きなの?」

「そ、それは……」

その何気ないリナリーの質問に神田は顔を赤くしてしまう、今の質問の何処に恥ずかしがる部分があったのか不思議がっているリナリーに神田は恥ずかしそうにこう答えた





「そんなん決まってるだろ…お前の傍だよ」

「……」




食堂の隅で…

「ラビ先生、質問です」

「はぁ~い、なんですかアレン君?」

「アレはバカップルですか?」

「そうです、アレはバカップルです」
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