K×L短編集



「どーっちだ!」

神田が振り向けば、リナリーが得意そうに両の拳を自分に差し出している。
神田はやれやれと言った顔を見せると、片方の手を指さして『こっちだ』と言い放った。
リナリーは神田の言葉を聞いて目を見開くと、おずおずと神田に指さされた方の手を開いた。

「じゃあ遠慮無く貰うぞ」

そう言って神田はリナリーの手のひらの上にある大きめの飴玉を取ると、包みをほどき中身をひょいと口に放り込んだ。
神田の口の中に甘いイチゴの味が広がる。

「甘露、甘露っと」

「どうして昔から神田には見破られちゃうのかしら」

神田の得意げな顔をみて悔しそうな顔を浮かべるリナリーは、はぁっとため息を吐く。
昔から変わらないリナリーの仕草を見て神田の口角が思わず上がる。
リナリーの小さな手に余る飴玉が、隙間から見えている事を神田はまだまだ秘密にするつもりなのだ。

END
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