A×M短編集



とある本を読んでいたアレンが、とあるページに目を止めて

「へぇ…そうだったんだ…」

と呟いた…
そしてそのページを開いたまま本を机の上に置き、部屋の中にいた人物にとあるお願いをした

「ミランダさん…」

「何?アレン君」

「『フレンチキス』…していいですか?」

「………えっ!?」

突然のアレンからお願いにミランダは顔を赤らめた

「と、突然どうしたの?」

「いえ…ただ『フレンチキス』がしたくなったんです」

笑顔で言うアレンだったが…その瞳は何かを企んでいる様にも見えた
しかしミランダはそんな事には気付きもしない
少し何かを考えた後に下を向いて

コクリ…

と、顔を真っ赤にしながら了承の意味として首を縦に振った
その仕草を見たアレンは嬉しそうにミランダに近付きミランダの頬に手をやった…
ビクッと一瞬ミランダの身体が震えた

「ね、ねぇアレン君…?キスだけ…よね?」

ようやくアレンの瞳の中に妖しい光が宿っているのに気付いたミランダは恐る恐るアレンに尋ねた
ミランダの疑問にアレンは

「えぇ、『フレンチキス』だけです♪」

と笑顔でミランダの疑問に答えた

「わ、わかったわ…じゃあ…んっ」

アレンの返答を聞いたミランダはゆっくりと目を閉じた…
そしてアレンはミランダの頬に手を置き、自分の唇をミランダの唇へと重ねた、次の瞬間-

「ふ…っん!?」

不意に差し入られてきた舌にミランダはびくりと身体を強張らせた

「ア、アレ…ンく…!」

突然の出来事にミランダは驚いて顔を離そうとするが、自分の舌に絡んでくる生暖かい感触に全身の力が抜けていった
自分で支えられなくなった身体をアレンが優しく自分の方へと引き寄せ、なおもミランダの唇を貪る

「…は…んっ!」

その自分が想像すらもしていなかった、自らの吐く息すらも飲み込んでしまうようなキスにいつしかミランダも応えていた…

「…は…ぁ…っ」

そして短いような、永いような、それすらも解らなくさせてしまうキスが終わり二人の唇が一旦離れた
互いの心臓は激しく波打ち呼吸も荒く、それなのにどこか気持ちがよかった


「ア、アレン…くん…ど…うして…?」

アレンに支えられながら力無く言葉を発することしか出来なくなっているミランダ…
そして互いの心臓の音が聞こえるぐらいの距離までアレンの顔がミランダに近づき

「…僕は嘘は言ってませんよ?」

「へ…?あ、ん…っ!」

そして再度アレンがミランダの唇を貪った…

先程アレンが机の上に置いた本…辞書にはこう書いてあった

『フレンチキス』=『ディープキス』=『唇が触れ合うだけの軽いキス』=『心からのキス』

アレンの『心からのキス』に…絡み合う舌の感覚に再び身体が痺れる様に熱くなっていく、その甘い痺れに頭の中がクラクラして、もうミランダはアレンの背中に縋り付くことしか出来なくなっていた…

END
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