A×M短編集
「あ、アレン君」
「へ…?」
急に呼び止められたかと思うと、次の瞬間にはミランダさんの手がすぐ近くまで来ていた。
「リボンが曲がってるわ、直してあげる」
「あ、ありがとうございます」
ミランダはアレンのリボンを直し始める。だが、他人のリボンを直す事に慣れていないのか、ミランダは辿々しい手つきでアレンのリボンと格闘している。
ゆっくりではあるが、丁寧にアレンのリボンを直すミランダ。
アレンはそんなミランダを微笑ましい気持ちで見ていた…
「はい、直ったわ」
「ありがとうございます、ミランダさん」
「ふふ、アレン君の役に立てたのなら嬉しいわ」
笑顔で答えるミランダの言葉にアレンの心臓がとくり、と高鳴った。
それからまた別の日-
「おはようございます、ミランダさん」
「おはよう、アレン君…あら…?」
ミランダがアレンの胸元を見ると、今日もアレンのリボンが曲がっていた。
「アレン君、リボンが…」
「はい、曲がってます」
何故か誇らしげに言葉を返された。
「…直してあげましょうか?」
「お願いします」
周りから見たらとてもくだらない事かも知れないが、やはり好きな人の役に立てるのは嬉しいのだ。たとえそれがわざとでも。
【それは些細な事だけど】
END
