A×M短編集

いつも一緒にいるからこそ、気付きにくい事がある

「あら…?」

いつも通り何気ない会話をしながら教団の廊下を歩くミランダとアレン
ミランダは会話中に何かに気付いたようにアレンをじっと見据える

「…どうしたんですミランダさん、僕の顔に何か付いてますか?」

自分の顔をじっと見ているミランダを不思議に思ってアレンがミランダに声を掛けるが、ミランダは「違うの」と一言呟いた後に、アレンの顔を見ながらこういった

「アレン君…身長が少し伸びたわね」

「あ、分かりますか?」

ミランダの言葉を聞いたアレンは、ぱぁっ顔を輝かせてうきうきとした様に話し始めた

「そうなんですよ、この前測ってみたらその前に測った時より1cmぐらい伸びてました」

「ふふふ、嬉しそうね」

「はい!」

ミランダは自分とアレンの小さな共通点、『同じ身長、同じ目線』がもう存在しないことに少し寂しくなったが、目の前の少年が嬉しそうにその事について話すのを見て口をつぐんだ
少々寂しい気持ちになっていたミランダであったがアレンは身長が伸びていることに気付いてもらえて嬉しいのかニコニコしている

「ミランダさん、僕はもっと貴女に見合うほど大きくなりますからね」

「アレン君…」

アレンとの共通点が減るのは寂しいが、その代わりその変化をミランダの為と言ってくれるアレン

(アレン君はもう充分に、私じゃ勿体ないぐらい大きい人だわ)

その言葉をアレンに伝えたらきっとアレンは『そんな事は無いですよ』とでも言って優しく微笑むのだろう
それがなんだか少し悔しくて、ミランダはアレンの額を指で軽く小突いてみせる
突然のミランダの攻撃にポカンとしてしまうアレンであったが、ニコニコとしているミランダの顔を見て『どうしたんです?』の言葉を言えずにいた


『瞳の中にはいつも貴方が』

END
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