口付け

『やや!これではどちらからくるかわからない!』
大袈裟なアクションと言葉で、わざとらしいさも困ったというような態度のピエロ
そんなピエロの背後からゆっくりと手に持った薔薇に標準を定めるミランダ…そして

-えい!-

背後からの奇襲はいつどこから来るかわからないハズだったのだが…
ピエロの手の薔薇に手が届きそうになった瞬間-

-え?-

ピエロが振り返った…
そしてミランダはピエロと顔を合わせていた…
ピエロに腰から抱き抱えられながら…

-そこから動かないんじゃなかったの?-

抱き抱えられてるにも関わらず
ミランダは平静を保った声でピエロに言った

『いやはや…お客様の奇襲を避ける為に…私めは生まれて初めて嘘をつくことになりました』
ミランダの目を見ながら少し微笑みようにピエロが喋る

-…本当かしら?-

『本当でございます…いやいやお客様も…』

-ふふ-

『おや?』

-ふふ…もうっ可笑しいっふふふ-
ミランダはピエロの目の前…文字通り目の前で笑い出していた

『おやおや…考えていた事とは少々違いますが…お客様が楽しんでいただけてるならこれはこれで…』

-うふふふ、もういいわよ?-

『え?』

-もう顔を隠さなくてもいいわよ…-

そう言ってミランダはピエロの顔の真ん中の大きな付け鼻を取った

『あ!?』

-…アレン君?-

付け鼻を取られたその顔は白塗りと化粧をしているがアレンだった…いや…アレンのハズだった

『…やはり…私では駄目か』

付け鼻を取られたアレンはどこか様子が変だった
素顔を見られたアレンはミランダから離れた…

-どうしたのアレン君?-

少し離れて下を向いてしまったアレンに声をかけたミランダだったが…アレンの返事はまた奇妙だった

『………ミランダ』
再び上を向き振り向いた時…いつの間にか顔の化粧が取れていた
そしてその顔は紛れも無くアレンだったのだが少し様子が変だった

-え…ミランダ…って…アレン君?-

『……私はアレン・ウォーカーではない』
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