夢想

「ねぇ?どっちがいい?」

「…待て」

「どっち?」

「待て待て待て待て!出来たのか!?」

「……違うよ」

「何?じゃあどういう-」

「だから、今から作ろ♪」
言うが早いか神田のシャツのボタンを外そうとするリナリー、そしてそれを慌てて止める神田

「おい!ちょっと待-」

「待たない」

「っっ待て!!」

「!」
突然の神田の怒鳴り声にリナリーの動きが止まる
そして行き場の無い視線だけが宙を向いていた
そんなリナリーに神田は声をかけ自分を見るようにさせた

「……どうしたんだ?」

「え?」

「…今のお前はおかしい」

「そんな…別におかしくなんか-」

「いや、おかしい」

「そう……」

「どうしたんだ?」

「…どうもしてないよ、ただ-」

「ただ?」

「……怖くなったの」

「…何が怖いんだ?」

「…戦い続けるのが」

「…………」

「ねぇ…どうして私達イノセンスに選ばれたんだろうね?どうして戦わなくちゃいけないんだろう?」
神田の胸に頭を置いたままリナリーが呟く

「…それこそ神のみぞ知るってヤツだろ?」

「ねぇ神田…」

「何だ?」

「逃げちゃおっか?」

「……は?」

「逃げてさ……どこか平和な所で二人で暮らして……」

「平和な所ってドコだよ?」

「………」

「……そうだな……逃げちまうか…」

「神田?」

「此処にいる奴ら全員見捨てて…二人だけでヌクヌク平和に暮らすか……」

「っ!そんな事-」

「そういう事だろ?」
リナリーの言葉を遮り冷たく言い放つ神田
神田の言葉に目をつむってしまったリナリーの頭を神田が撫でる

「お前は優しいからな…そんな事しねぇよ…」

「ううん…全然優しくないよぉ…」
神田の言葉と行為に涙を流すリナリー
そんなリナリーに神田が語り始めた

「……俺はな小さい頃から正義の味方に憧れてたんだ」

「正義の味方?」

「あぁ……だが困ったことにいざなってみたら子供の頃の想像と違って戦場ってのは血生臭いモンでな……」

「……うん」

「それに自分は思ってたよりも弱くてな……沢山のモンを助ける事もできてねぇ」

「そんな!神田は弱くなんて-」

「なのに…そんな弱っちい俺も一つの事だけ夢見て戦ってるんだなぁ…」

「…え?」

「……もしも…こんな弱い俺が平和な世界を取り戻せたら……俺の好きな女はどんな顔して笑ってくれるんだろうってな」

「え?」

「リナリー、待ってろよ…お前を怖がらせるモノなんて俺が斬ってやるからよ」
少し笑みを含んだ顔でリナリーに言う神田

「…ううん」

「何?」

「…待ってるだけじゃいや…私も戦う…神田と一緒に戦う」

「…お前は俺が守るからな……」

「ふふふ……期待してるよ…」

「リナリー…」

「ん?」

「怖くなったら俺を呼べよ…必ず行くからな」

「うん…大丈夫…」
神田のシャツをぎゅっと握るリナリー
そんなリナリーの頭を神田が撫で続けていた
……


「ねぇ神田…話は戻るんだけどさ?」

「何だ?」

「私やっぱり男の子と女の子二人とも欲しいな」

「!お前-」
突然のリナリーの言葉に真っ赤になる神田

「ふふふ」
そんな神田の反応を見てリナリーが微笑む
そして神田の腕の中でいつの間にかリナリーは眠っていった…
神田との平和な生活を夢見ながら……



END
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