言葉
「ふふふ、あの時はびっくりしたわ」
「ゴメンなさい、でも僕英語しか喋れなかったんです…」
ここは教団の談話室、ふと二人の出会いの話に華を咲かせているアレンとミランダ
「そういえばミランダさんはどうして英語が喋れたんですか?」
アレンが満面の笑みでミランダに聞いた
聞かれた瞬間ミランダは少し顔を暗くしながら理由を話し始めた
「……私は仕事の為に英語を覚えたんだけれど…仕事に役立つことは無かったわ……」
「ミランダさん…」
自分の聞いた質問でミランダの嫌な思い出を思い出させてしまった事を感じたアレンは謝罪の言葉をミランダに口にしようとした…が、更にミランダの言葉は続いた
「でもね?英語を覚えて良かった事は沢山あったわ?」
「…なんですか?」
「そうね……まずアレン君と会話が出来た事かな?」
にっこりと笑顔を返すミランダ
その笑顔には嫌な思いなどみじんも感じさせない
「ミランダさん……」
アレンはその笑顔に申し訳なさと喜びを感じ複雑な気分になってしまう
「それに教団内は色々な国の人がいるけど英語を共通語にしているし……色々な話が出来て楽しいわ…」
「…そうですよね、でも母国語が恋しくなりませんか?」
アレンは英語についての話をはぐらかすように話題を変えた
「?そうねぇ、少しだけだけどそんな時もあるかな?」
「そうなんですか?ふふふ…………」
ミランダの答えを聞いたアレンが嬉しそうに顔をほころばせた
「? どうしたのアレン君?」
その笑顔を不思議そうに見ているミランダ
そんなミランダの質問にアレンは自信満々に答えた
「実は僕……最近ドイツ語を勉強してるんです!」
「あら?どうして?」
「それは……ミランダさんが馴れ親しんだ言葉で話がしたいからです…」
「アレン君……」
「でもまだ始めたばかりなんですよね?伝えたい言葉しか覚えられなくて…」
「あら?聞かせて?発音確かめてあげる」
ドイツ人は発音にこだわるんだからね?
と少し意地悪な声でミランダが言う
「えっと……わかりました!」
何かを決意したように席を立つアレン
「えっ?」
そうしてミランダの横に来て耳元で囁く
ぼそっ…………
「!」
その言葉を聞いて驚くミランダ
「…どうでした?ちゃんと伝わりました?」
「あ……はい…ちゃんと…伝わりました」
耳元で囁かれた言葉にミランダは顔を赤くしている
「良かった!…ミランダさん?」
「はっはい!」
「ミランダさんはどうですか?僕の事?」
「あうぅ………も…して……す…‥」
「えっ?聞こえませんよ?」
にっこりとミランダに微笑むアレン
「えと…‥だから私……も……いしてま………」
「う~ん聞こえませんね」
ミランダの言葉はわかっているが少し意地悪なアレン
「もう!アレン君の意地悪!もう知らない!」
そういって席を立つミランダ
「ああ!待ってくださいミランダさん!ゴメンなさい!」
早足で去っていくミランダ…
心臓の鼓動が早いのは早く走っているからか?それともさっきのアレンの言葉のせいか?
「Miranda,die liebt」
(愛しています、ミランダさん)
END
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