教団怪談狂想曲

二人は一時間ほど教団の見回りをしていた

「…出ませんね」
「…出ねぇな」

二人同時に同じ事を言った…

「神田…今日はもう終わりにしませんか?全然そんな空気じゃ…」

「駄目だ!」

「……何でですか?」

「決まっている…教団と…」

「教団と?」

「……蕎麦の為だ…」

(あぁ…この人本当に単純だなあ…)

「何か言ったか?」

「い、いえ!何も!」

「…まあいい…見回りを続けるぞ…」

そして二人が見回りを再開し、食堂に近づいたとき……ソレは出た……
二人の目の前に食堂に入っていく白い大きな物体が…!

(か、神田!出ましたよ!)

(うっ五月蝿い!んなもん見りゃわかる!)

(神田!先に行ってください!)

(ずっズリィぞモヤシ!)

アレンに背後からズルズルと背中を押された神田が食堂で見たのは…食堂の真ん中でゆらゆらと動く白い…何か…だった

「うっうわぁあぁ!」

「!!!!」

神田の叫び声にその白い何かがゆっくりと近づいてくる

「うわぁ!」
「くっ来るな!南無妙法蓮華経…!」

腰を抜かした二人にゆっくりと近づく白い何か…
そして暗闇でよく見えなかった白い何かの全体像が見えた時…白いモノが声を出した

「二人とも何をしているである?」

「「え?」」

白い何か…シーツを頭から被っているクロウリーが二人に疑問の声をあげる

「二人ともこんな時間に何をしているである……あっわかったである!我輩と同じでつまみ食いに来たであるな!!」

「「………つまみ食い?」」

「そうである?ちがうであるか?」

「あの…クロウリーさん?いくつか質問があるんですがいいですか?」

「? いいである?」

「まず…何でシーツを被ってるんですか?」

「これは…つまみ食いに来たのに顔がバレないようにするためと……夜遅くに一人では怖かったである…」

「……最近つまみ食いの姿を誰かに見られなかったか?」

「ああ…何回かあったであるが…皆我輩の姿を見るなり悲鳴をあげて逃げて行ったり気絶したりで…お陰でまだバレてないと思うである…」

「「……ふぅ」」
アレンと神田が同時に溜息を吐く

「そういえば二人は何故ここにいるのである?つまみ食いではないであるか?」

「……クロウリーさん…僕達最近教団に出るという幽霊を退治しにきたんです」

「ゆっ幽霊!?ここにはそんなモノがいるであるか!?」

「……ああ…幸いにもすぐに退治出来る…」

「本当であるか!?早く退治して欲しいのである!」

「本当に退治していいんですか?」

「勿論である!……それで幽霊は何処に?」
オロオロと不安がっているクロウリー…
二人はニッコリと微笑み…
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