高尾と保健室の先生(黒バス)
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・後日談②
金曜日の夜、恋人の家に二人きり。
架空の友人を使い過ぎるのもどうかと思い、今晩の高尾は「先生の家に行く」と親に真実を伝えてやって来た。
勿論、目的は補習だとかいう保健室の先生に対して有り得ないものなのだが。
「…せんせー」
夕飯とお風呂と、その日すべき事はし終えた後。
椅子の上で膝を抱えていた高尾は、その先生を見つめて唇を尖らせていた。
5回、6回。度重なる溜め息を零す憂い顔。
「せーんせー…ったく」
高尾の呟きすら聞き逃す咲哉に、高尾は耐え切れず立ち上がった。
咲哉の背後に忍び寄り、ひょいと顔を覗き込む。
「先生、どったの?」
あえて軽い口調で問いかけた高尾に、咲哉はびくりと肩を揺らして顔を上げた。
ようやく高尾を映した咲哉の顔は、何ともいえない感情が入り乱れている。
「なんか悩み?オレには話せねぇこと?」
「え?あ、いや…そうだな…」
戸惑う咲哉の視線が高尾から逸らされる。
高尾は胸の痛みを手でぎゅっと押さえた。
こういう時、自分が子供であることを悔やむ。
もし、咲哉に頼られるくらい大人だったなら、なんて。
「あー…もしかしてオレ、今日邪魔?無理言って来たから怒ってる、とか…」
「それはないよ、高尾君がいてやなことなんて無い」
「…なら、そう思わせてくんねーかな…さすがに落ち込むんですけど」
内側に寂しさを隠して、高尾は頬の膨らんだ顔を咲哉の肩に乗せた。
ソファーに座っている咲哉は自然と高尾を上目で見て、そしてふっと笑う。
「ごめん、高尾君。また君を怒らせると思うけど…聞いてくれる?」
「んな顔して抱え込まれるよりましだっつの!」
ようやく意を決したような顔付きで高尾の手を取った咲哉に、高尾も安心して咲哉の隣に座った。
高尾を見つめる咲哉の瞳は、緊張のせいか濡れて揺らぐ。
「実は…最近先輩にあったんだけど」
「先輩って、…ああ、あの、学生時代のっていう?」
「そう。あ、勿論全然そういうのじゃないよ、ホントに」
大きく手を振ってそう言う咲哉に、高尾は少し苦笑いをして「分かってる」と返した。
心では不安が渦巻いている、それを誤魔化すように。
「ただ、彼が…いつの間にか妻子を持っていて…。うん、すごく、幸せそうだったんだ」
「え、結婚してたってこと?」
「そう。本当に幸せそうで…僕は…」
そこで目を下げた咲哉の横顔が曇った。
高尾と咲哉との関係が始まって、もう数か月になる。
自由に付き合えなくても、高尾が不満を覚えることはなかった。
しかし咲哉の中にある不安はなくならない。
それが、たまにこうして垣間見えるのは、やはり“普通”ではないからだ。
「…先生、それはさ…羨ましかったってこと?」
「え?」
「真っ当な人生を、歩みたくなったっつーわけ?」
高尾は、気丈に振る舞った。
それを聞いた咲哉は、苦しそうに眉を寄せる。
「高尾君。違うんだ僕は…」
「一応言っとっけど、オレは嫌だから。先生が、オレの事嫌いだとか、会いたくないだとか言わねー限り絶対…っ」
「あぁもう、君は…。落ち着いて、聞いて、な?」
子供だとか男だとか、どうにもならない事を理由に否定されたくはない。
そんな高尾の悲しい叫びを、咲哉の優しい声が包み込んだ。
高尾の背に回された手はあやすかのようにリズムを刻む。
耳元で囁かれた声は、乱れた高尾の気持ちを一瞬で引き戻した。
「高尾君、僕は…君の子供を見たいと思ってしまったんだ」
「え?」
「君が腕に愛らしい子供を抱く姿を想像して、僕では叶えられないその未来が愛しくて…だからこそ辛くて…」
優しく抱いていた腕に力がこもる。
なんだそんなことか、と高尾は思った。それは、高尾がまだそんな先のことを考えたことのない高校生だったからだ。
「すごく愛らしい子供なんだ。君も、きっと子供がいたら無邪気に遊んで、相手をしてあげて…男の子ならバスケかなあ」
「…先生」
「高尾君みたいに格好良くなって、小学生になったらもうクラスの人気ものだ。それを、誇らしく見る…君の隣には…」
有り得ない未来の話。
言葉を紡ぐにつれて、咲哉の声も震えを伴って掠れていった。
「そういう、当たり前の家族の形を…僕は、君から奪ってしまった」
「…それは、違うんじゃね」
「え?」
「オレは今の生活で十分幸せだし…ってか言ってんじゃん?先生といられんのが、オレにとっての幸せだって」
こうやって何度説明したって、咲哉が頷くことはない。
「高尾君には未来があるから」それを、定型文のように繰り返す咲哉を、優しいとも思うしもどかしくも思う。
そしてとうとう、今日は何かの限界だったのだろう。
「…先生、じゃあ、子供作ってみる?」
「え…?」
高尾は少し乱暴に咲哉の手を引っ張った。
身長なら咲哉の方が上なのに、迷いなく進む高尾に咲哉はよろけてただ引きずられる。
「ま、待って高尾君!何を…」
咲哉が、高尾の発言を理解出来るわけがなかった。
“子供を作る”それが無理だから、さっきのような話になったのに。
「先生、大人しくして」
「う、わ何…っ、」
ぽんと押された咲哉の身体がベッドに沈む。
そしてその上に高尾は迷わず乗り上げると、自分の服を脱いで咲哉の腕を掴み上げた。
咲哉の細い腕が頭の上に固定される。
その腕も一纏めに高尾の服で縛られ、咲哉は最後の抵抗に足でシーツをかいた。
「…っ、高尾君…!」
「なあ、先生、誰かが試した結果とか、見た事あんの?」
「何、の」
「男だって、毎日毎日擦り込めば子供、出来ちゃうかもよ」
咲哉の服をたくし上げて、高尾の手が腹部を撫でる。
慈しむようだった手は、すぐに咲哉のズボンに指を引っ掻けた。
「高尾君…っ」
「先生がそんなに悩むなら、試してみるしかないっしょ?オレと先生の子供、作るの」
「つ、つくれるワケないだろ、何を言ってるんだ」
「だから、わかんねーじゃん、やってみねぇと!」
カチャと前を開けられ、無理矢理引き抜かれた咲哉のズボンと下着とがベッドの下へと落とされる。
ひやりとする空気に鳥肌が立つのを感じて、咲哉は思わず足を擦らせた。
「あ、なーんだ…先生、期待してんじゃん。それとも…縛られて興奮したとか?」
「っ!」
「勃ってる、かーわいい」
どこで火が灯ったのか、情けなくも反応している咲哉の体を高尾があざ笑う。
あまりの恥ずかしさで咲哉の目が潤んでも、高尾は行為を止めようとはしなかった。
「大人しくしてって、言ったっしょ」
「っあ、だって、まだ今日風呂…っ汚いから…!お、怒らせたなら、ごめ」
「そーじゃない。先生、ちげーよ。そんなん聞きたいんじゃない」
切れ長の目が、ギラリと光る。
ああ、今何か、間違えたのだ。そう気付いても遅い。
高尾は飽きれたように息を吐き出し、咲哉の心とは裏腹に期待するかのように勃ち上がるそこに触れた。
「っ!!」
「ちょっと手元にローションねーし、と。一回イって、せんせ」
「や、…っ、何、し…う、あっ」
躊躇いなく上下に擦られて、咲哉は刺激を逃そうと体を捩る。
乱暴な手付きには痛みすら覚えるのに、絶えず熱が昇っていくのは、高尾が咲哉の体を既に知り尽くしているからだった。
「だ、め…っ、あ、ああ…!」
込み上げる熱を抑えられず、咲哉は腰を痙攣させながら精液を放った。
瞬間の解放感。しかし薄く開いた視界で高尾はまだ笑っている。
「すげぇ、はは、元気じゃん。ほら、腰浮かして」
「っ…高尾君…」
高尾はその精液を指で掬い、そのままその指を後ろに押し当てた。
咲哉には息を整える間も与えられず、すぐに次の痛みと刺激の波が押し寄せる。
「あ、もうそんな解さなくても平気だな、先生」
「何で…ん、っ」
「先生は今更女をヤれんの?こんな体でさ、オレ以外の奴とこういう事できんの?」
咲哉の足の間に高尾が体を割り込ませた。
カチャカチャのベルトを外す音がこれからする事を想像させて、無意識に咲哉の体が強張る。
そんな咲哉の反応をも楽しむ高尾は、焦らすように縁を指でなぞった。
「無理だろ先生。悪ィけど、オレも無理だから、さ」
「ま、待って、まだ…!」
高尾が咲哉に体重を乗せる。
先端が狭い入口をこじ開けた。ぴりと裂かれるような痛みは一瞬。
慣れてしまった体は、すぐに高尾のそれええwを呑み込んできゅうと締め付けた。
「あ、…はは、先生ん中、マジイイ、すげぇ…」
「は、やい…って、」
「先生、言ってよ。余計な事、いらねぇから」
高尾の少し掠れた声と、吐き出された息が咲哉の肌をくすぐる。
無邪気で明るく人気のある高尾が咲哉は好きだった。だからこそ、こういう時に見せる色っぽくて男らしい高尾に酷く弱い。
咲哉は大きく体を揺さぶられながら、頭の上で縛られていた手を、高尾の首に回した。
「、っん?何、せんせ?」
「いや…、っん、高尾君、格好良い、から…つい」
一瞬きょとんとした高尾が嬉しそうに目を細める。
自然と二人の距離は近付いて、そうすると決まっていたみたいに唇を重ね合った。
「んん…っ、はっ…ん、」
「ん…先生さ、分かってねーよ、オレちょっと怒ってたんだけど」
「あ、怒ってたんだ…」
「オイオイ…縛られてちょっとは焦ったりしろよ…」
さっきまでの妖艶な笑みが、いつもの無邪気な笑顔に戻る。
けれど露わになる高尾の身体に流れる汗は、やはり彼を艶やかに演出していた。
思うことは同じのようで、高尾の手も汗ばんだ咲哉の胸を撫でる。
「はは、先生の体、すげぇ好き。細いんだけど、筋肉ねーから、やらけぇの」
「…っ、好きなら…、僕の方が…」
「知ってる。オレの体、大好きだよな?」
強気な発言の似合う、自信満々のドヤ顔。
直後高尾の手は腰を掴むと、奥へ熱を押し込んだ。
「ああっ…!」
「はは、イイ声…」
熱い息を吐き出しながら、何度も何度も強く突き上げる。
高尾の動きに合わせて響く水音は、二人の体液の混ざる音だ。
連動する刺激はあまりに強く、咲哉の指は自分の手の甲を引っ掻いた。
「た、高尾、く…っ」
「…、ん?」
「これから、さき…こんなの許すの君だけ、だし…っ、君、には僕だけで…あ、あって、欲しい…っ」
ぼうっとした頭で、高尾の求めている言葉を探す。
揺らされる咲哉の歯は言葉の間にカチカチと音を立てた。それでも、続けて口を開く。
「君のっ、こんなやらしい姿…、僕以外には、見せたくない…!」
「は、はは、やらしい?」
「ん!ん、あ…ッ、こんな、いい体で、いい声で…!僕以外を抱くなんて、嫌だ…っ」
「抱かねーよっ、アンタ以外、興味ねー、し」
自分が大人だから、高尾が高校生だから。それを前提にばかり話をして。
高尾に、どうして欲しいと、自分の為にどうあって欲しいと、咲哉が願い叫んだ事は一度もなかった。
「あ、あ…!高尾君、イ…っ、もう…!」
「ん、オレも…っ」
肌がぶつかる音が激しくなる。
ぽたと高尾の頬をつたって落ちた汗が、咲哉の肌を流れてシーツに染み込まれて行く。
抑えきれず喘ぐ咲哉の口は、声ごと高尾に呑み込まれていた。
「…は…あ…、ぁ…」
いつもより激しかったからか、いつまでも落ち着かない呼吸を何度も繰り返す。
ものすごく恥ずかしい事を言った気がする。
激しい行為の最中巻かれていた腕の拘束も解けていたようで、咲哉は両手で自分の顔を覆い隠した。
「なー、先生」
さすがの男子高校生は、息を多少乱してはいるものの軽い声色に変化はない。
咲哉は指の隙間から、チラと高尾を覗き見た。
「これで終わり、だと思ってねーよな?」
「…え?」
高尾の指が、ちょんと咲哉の二度も欲を吐き出したそこへ触れる。
「っ!?」
「言ったよな?子供、つくるって」
指で触れて、きゅっと握られて擦られる。
そして再び腰を揺らされれば、ようやく落ち着いたはずの体にまた電流が走った。
「ひ、…ッ、や、さすがに、も…!」
「だーめ」
「あ、ああ、あ…!」
ニイ、と笑った高尾はずいぶんと大人びた顔で咲哉を見下ろしていて。
もう絶対に、彼が嫌がるようなことは言わない。余計な心配はしない。
咲哉は目を閉じて強くそれを誓った。
(後日談②・終)
追加日:2018/01/28
移動前:2014/10/05
金曜日の夜、恋人の家に二人きり。
架空の友人を使い過ぎるのもどうかと思い、今晩の高尾は「先生の家に行く」と親に真実を伝えてやって来た。
勿論、目的は補習だとかいう保健室の先生に対して有り得ないものなのだが。
「…せんせー」
夕飯とお風呂と、その日すべき事はし終えた後。
椅子の上で膝を抱えていた高尾は、その先生を見つめて唇を尖らせていた。
5回、6回。度重なる溜め息を零す憂い顔。
「せーんせー…ったく」
高尾の呟きすら聞き逃す咲哉に、高尾は耐え切れず立ち上がった。
咲哉の背後に忍び寄り、ひょいと顔を覗き込む。
「先生、どったの?」
あえて軽い口調で問いかけた高尾に、咲哉はびくりと肩を揺らして顔を上げた。
ようやく高尾を映した咲哉の顔は、何ともいえない感情が入り乱れている。
「なんか悩み?オレには話せねぇこと?」
「え?あ、いや…そうだな…」
戸惑う咲哉の視線が高尾から逸らされる。
高尾は胸の痛みを手でぎゅっと押さえた。
こういう時、自分が子供であることを悔やむ。
もし、咲哉に頼られるくらい大人だったなら、なんて。
「あー…もしかしてオレ、今日邪魔?無理言って来たから怒ってる、とか…」
「それはないよ、高尾君がいてやなことなんて無い」
「…なら、そう思わせてくんねーかな…さすがに落ち込むんですけど」
内側に寂しさを隠して、高尾は頬の膨らんだ顔を咲哉の肩に乗せた。
ソファーに座っている咲哉は自然と高尾を上目で見て、そしてふっと笑う。
「ごめん、高尾君。また君を怒らせると思うけど…聞いてくれる?」
「んな顔して抱え込まれるよりましだっつの!」
ようやく意を決したような顔付きで高尾の手を取った咲哉に、高尾も安心して咲哉の隣に座った。
高尾を見つめる咲哉の瞳は、緊張のせいか濡れて揺らぐ。
「実は…最近先輩にあったんだけど」
「先輩って、…ああ、あの、学生時代のっていう?」
「そう。あ、勿論全然そういうのじゃないよ、ホントに」
大きく手を振ってそう言う咲哉に、高尾は少し苦笑いをして「分かってる」と返した。
心では不安が渦巻いている、それを誤魔化すように。
「ただ、彼が…いつの間にか妻子を持っていて…。うん、すごく、幸せそうだったんだ」
「え、結婚してたってこと?」
「そう。本当に幸せそうで…僕は…」
そこで目を下げた咲哉の横顔が曇った。
高尾と咲哉との関係が始まって、もう数か月になる。
自由に付き合えなくても、高尾が不満を覚えることはなかった。
しかし咲哉の中にある不安はなくならない。
それが、たまにこうして垣間見えるのは、やはり“普通”ではないからだ。
「…先生、それはさ…羨ましかったってこと?」
「え?」
「真っ当な人生を、歩みたくなったっつーわけ?」
高尾は、気丈に振る舞った。
それを聞いた咲哉は、苦しそうに眉を寄せる。
「高尾君。違うんだ僕は…」
「一応言っとっけど、オレは嫌だから。先生が、オレの事嫌いだとか、会いたくないだとか言わねー限り絶対…っ」
「あぁもう、君は…。落ち着いて、聞いて、な?」
子供だとか男だとか、どうにもならない事を理由に否定されたくはない。
そんな高尾の悲しい叫びを、咲哉の優しい声が包み込んだ。
高尾の背に回された手はあやすかのようにリズムを刻む。
耳元で囁かれた声は、乱れた高尾の気持ちを一瞬で引き戻した。
「高尾君、僕は…君の子供を見たいと思ってしまったんだ」
「え?」
「君が腕に愛らしい子供を抱く姿を想像して、僕では叶えられないその未来が愛しくて…だからこそ辛くて…」
優しく抱いていた腕に力がこもる。
なんだそんなことか、と高尾は思った。それは、高尾がまだそんな先のことを考えたことのない高校生だったからだ。
「すごく愛らしい子供なんだ。君も、きっと子供がいたら無邪気に遊んで、相手をしてあげて…男の子ならバスケかなあ」
「…先生」
「高尾君みたいに格好良くなって、小学生になったらもうクラスの人気ものだ。それを、誇らしく見る…君の隣には…」
有り得ない未来の話。
言葉を紡ぐにつれて、咲哉の声も震えを伴って掠れていった。
「そういう、当たり前の家族の形を…僕は、君から奪ってしまった」
「…それは、違うんじゃね」
「え?」
「オレは今の生活で十分幸せだし…ってか言ってんじゃん?先生といられんのが、オレにとっての幸せだって」
こうやって何度説明したって、咲哉が頷くことはない。
「高尾君には未来があるから」それを、定型文のように繰り返す咲哉を、優しいとも思うしもどかしくも思う。
そしてとうとう、今日は何かの限界だったのだろう。
「…先生、じゃあ、子供作ってみる?」
「え…?」
高尾は少し乱暴に咲哉の手を引っ張った。
身長なら咲哉の方が上なのに、迷いなく進む高尾に咲哉はよろけてただ引きずられる。
「ま、待って高尾君!何を…」
咲哉が、高尾の発言を理解出来るわけがなかった。
“子供を作る”それが無理だから、さっきのような話になったのに。
「先生、大人しくして」
「う、わ何…っ、」
ぽんと押された咲哉の身体がベッドに沈む。
そしてその上に高尾は迷わず乗り上げると、自分の服を脱いで咲哉の腕を掴み上げた。
咲哉の細い腕が頭の上に固定される。
その腕も一纏めに高尾の服で縛られ、咲哉は最後の抵抗に足でシーツをかいた。
「…っ、高尾君…!」
「なあ、先生、誰かが試した結果とか、見た事あんの?」
「何、の」
「男だって、毎日毎日擦り込めば子供、出来ちゃうかもよ」
咲哉の服をたくし上げて、高尾の手が腹部を撫でる。
慈しむようだった手は、すぐに咲哉のズボンに指を引っ掻けた。
「高尾君…っ」
「先生がそんなに悩むなら、試してみるしかないっしょ?オレと先生の子供、作るの」
「つ、つくれるワケないだろ、何を言ってるんだ」
「だから、わかんねーじゃん、やってみねぇと!」
カチャと前を開けられ、無理矢理引き抜かれた咲哉のズボンと下着とがベッドの下へと落とされる。
ひやりとする空気に鳥肌が立つのを感じて、咲哉は思わず足を擦らせた。
「あ、なーんだ…先生、期待してんじゃん。それとも…縛られて興奮したとか?」
「っ!」
「勃ってる、かーわいい」
どこで火が灯ったのか、情けなくも反応している咲哉の体を高尾があざ笑う。
あまりの恥ずかしさで咲哉の目が潤んでも、高尾は行為を止めようとはしなかった。
「大人しくしてって、言ったっしょ」
「っあ、だって、まだ今日風呂…っ汚いから…!お、怒らせたなら、ごめ」
「そーじゃない。先生、ちげーよ。そんなん聞きたいんじゃない」
切れ長の目が、ギラリと光る。
ああ、今何か、間違えたのだ。そう気付いても遅い。
高尾は飽きれたように息を吐き出し、咲哉の心とは裏腹に期待するかのように勃ち上がるそこに触れた。
「っ!!」
「ちょっと手元にローションねーし、と。一回イって、せんせ」
「や、…っ、何、し…う、あっ」
躊躇いなく上下に擦られて、咲哉は刺激を逃そうと体を捩る。
乱暴な手付きには痛みすら覚えるのに、絶えず熱が昇っていくのは、高尾が咲哉の体を既に知り尽くしているからだった。
「だ、め…っ、あ、ああ…!」
込み上げる熱を抑えられず、咲哉は腰を痙攣させながら精液を放った。
瞬間の解放感。しかし薄く開いた視界で高尾はまだ笑っている。
「すげぇ、はは、元気じゃん。ほら、腰浮かして」
「っ…高尾君…」
高尾はその精液を指で掬い、そのままその指を後ろに押し当てた。
咲哉には息を整える間も与えられず、すぐに次の痛みと刺激の波が押し寄せる。
「あ、もうそんな解さなくても平気だな、先生」
「何で…ん、っ」
「先生は今更女をヤれんの?こんな体でさ、オレ以外の奴とこういう事できんの?」
咲哉の足の間に高尾が体を割り込ませた。
カチャカチャのベルトを外す音がこれからする事を想像させて、無意識に咲哉の体が強張る。
そんな咲哉の反応をも楽しむ高尾は、焦らすように縁を指でなぞった。
「無理だろ先生。悪ィけど、オレも無理だから、さ」
「ま、待って、まだ…!」
高尾が咲哉に体重を乗せる。
先端が狭い入口をこじ開けた。ぴりと裂かれるような痛みは一瞬。
慣れてしまった体は、すぐに高尾のそれええwを呑み込んできゅうと締め付けた。
「あ、…はは、先生ん中、マジイイ、すげぇ…」
「は、やい…って、」
「先生、言ってよ。余計な事、いらねぇから」
高尾の少し掠れた声と、吐き出された息が咲哉の肌をくすぐる。
無邪気で明るく人気のある高尾が咲哉は好きだった。だからこそ、こういう時に見せる色っぽくて男らしい高尾に酷く弱い。
咲哉は大きく体を揺さぶられながら、頭の上で縛られていた手を、高尾の首に回した。
「、っん?何、せんせ?」
「いや…、っん、高尾君、格好良い、から…つい」
一瞬きょとんとした高尾が嬉しそうに目を細める。
自然と二人の距離は近付いて、そうすると決まっていたみたいに唇を重ね合った。
「んん…っ、はっ…ん、」
「ん…先生さ、分かってねーよ、オレちょっと怒ってたんだけど」
「あ、怒ってたんだ…」
「オイオイ…縛られてちょっとは焦ったりしろよ…」
さっきまでの妖艶な笑みが、いつもの無邪気な笑顔に戻る。
けれど露わになる高尾の身体に流れる汗は、やはり彼を艶やかに演出していた。
思うことは同じのようで、高尾の手も汗ばんだ咲哉の胸を撫でる。
「はは、先生の体、すげぇ好き。細いんだけど、筋肉ねーから、やらけぇの」
「…っ、好きなら…、僕の方が…」
「知ってる。オレの体、大好きだよな?」
強気な発言の似合う、自信満々のドヤ顔。
直後高尾の手は腰を掴むと、奥へ熱を押し込んだ。
「ああっ…!」
「はは、イイ声…」
熱い息を吐き出しながら、何度も何度も強く突き上げる。
高尾の動きに合わせて響く水音は、二人の体液の混ざる音だ。
連動する刺激はあまりに強く、咲哉の指は自分の手の甲を引っ掻いた。
「た、高尾、く…っ」
「…、ん?」
「これから、さき…こんなの許すの君だけ、だし…っ、君、には僕だけで…あ、あって、欲しい…っ」
ぼうっとした頭で、高尾の求めている言葉を探す。
揺らされる咲哉の歯は言葉の間にカチカチと音を立てた。それでも、続けて口を開く。
「君のっ、こんなやらしい姿…、僕以外には、見せたくない…!」
「は、はは、やらしい?」
「ん!ん、あ…ッ、こんな、いい体で、いい声で…!僕以外を抱くなんて、嫌だ…っ」
「抱かねーよっ、アンタ以外、興味ねー、し」
自分が大人だから、高尾が高校生だから。それを前提にばかり話をして。
高尾に、どうして欲しいと、自分の為にどうあって欲しいと、咲哉が願い叫んだ事は一度もなかった。
「あ、あ…!高尾君、イ…っ、もう…!」
「ん、オレも…っ」
肌がぶつかる音が激しくなる。
ぽたと高尾の頬をつたって落ちた汗が、咲哉の肌を流れてシーツに染み込まれて行く。
抑えきれず喘ぐ咲哉の口は、声ごと高尾に呑み込まれていた。
「…は…あ…、ぁ…」
いつもより激しかったからか、いつまでも落ち着かない呼吸を何度も繰り返す。
ものすごく恥ずかしい事を言った気がする。
激しい行為の最中巻かれていた腕の拘束も解けていたようで、咲哉は両手で自分の顔を覆い隠した。
「なー、先生」
さすがの男子高校生は、息を多少乱してはいるものの軽い声色に変化はない。
咲哉は指の隙間から、チラと高尾を覗き見た。
「これで終わり、だと思ってねーよな?」
「…え?」
高尾の指が、ちょんと咲哉の二度も欲を吐き出したそこへ触れる。
「っ!?」
「言ったよな?子供、つくるって」
指で触れて、きゅっと握られて擦られる。
そして再び腰を揺らされれば、ようやく落ち着いたはずの体にまた電流が走った。
「ひ、…ッ、や、さすがに、も…!」
「だーめ」
「あ、ああ、あ…!」
ニイ、と笑った高尾はずいぶんと大人びた顔で咲哉を見下ろしていて。
もう絶対に、彼が嫌がるようなことは言わない。余計な心配はしない。
咲哉は目を閉じて強くそれを誓った。
(後日談②・終)
追加日:2018/01/28
移動前:2014/10/05