八乙女楽(IDOLiSH7)
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シャワーを浴びた後、サツキは自分の部屋のベッドに腰掛けていた。
風呂上がりに履いたズボンは膝まで下ろされている。
楽は帰って来ない。そう朝本人が言っていたから、今日は何をしていても大丈夫だ。
だから…というにはあまりにも言葉足らずだが、サツキは湧き上がる熱情に身を委ねた。
ベッドの下に置いた袋に手を伸ばし、購入したベビーローションを手に取る。
サツキはそれを指に馴染ませながら、ベッドに敷いたタオルの上で足を開いた。
シャワーの水で濡らしただけの時と違い、驚く程すんなり中指が呑み込まれて行く。
「…楽、」
こうするのは、楽に気持ち良くなって欲しいから、自分が気持ち良くなりたいから…だけじゃない。
サツキはベッドにぱたんと背中を倒した。
「ぁ、…」
自身の痴態を映さないよう、きつく目を閉じ思い出す。
あの綺麗な指が自分の汚いところに触れ、低い声が囁くのだ。
愛しい言葉を、慈しむ言葉を。
「あッ、ぁ、…、楽…」
動かす手が自然と乱暴になり、足の付け根で引っかかっていたズボンが床に落ちる。
背徳感に襲われながら、異物感に眉を寄せながら、それでもサツキは気持ち良くもない行為を繰り返した。
ただ、大好きな人に体中満たして欲しい。
触って欲しい、触りたい、溶けて、一つになってしまいたい。そんな行方のない、途方もない感情。
ただ、それだけなのだ。
サツキは後ろに入れた指を抜き、隠すように股間に手を重ねた。
恥ずかしくて、早く辞めたいのに、体に残る熱が理性を崩す。
「はぁ…」
無意識に指を自分のものに這わせ、軽く握り込む。
そのまま軽く扱いて、抜いてしまえば少し落ち着くだろう。
そう思いながら自慰行為を続けようとしたサツキは、何か気配を感じて目を開いた。
自分の体に影がかかっている。
先走りで濡れた手に絡まった白い指はサツキをするりと撫でた。
「う、嘘…」
「…サツキ」
ここにあるはずのない低い声がサツキを呼ぶ。
これはきっと夢だ。そんな現実味のないことを考える。
「悪い、サツキ」
開いた目に映るシルエットも、掴まれた手に広がる熱も本物だ。
サツキは決して行為そのものに夢中になってはいなかった。
楽の体温や触れる手の強さを思い起こすことが、サツキの意識を現実から遠ざけたのだろう。
「っ、い、いつ、から」
「…ちょっと前、声聞こえてきたから」
「今日…、かえ、れない…、って」
誰よりも綺麗な顔が、綺麗な目が、サツキのはしたない姿を映している。
はしたなく名を呼んだのも、全部知られてしまった。
「一応連絡は入れたんだけどな」
「そ…、お、俺…ッ」
「おい、泣くなって」
サツキの目から涙が零れ落ちる。
情けない顔を見られたくない一心で顔を逸らすと、楽の息が頬にかかる髪を微かに揺らした。
「ごめ、んなさ、俺…っ、こんな…」
「ん?なんで謝んだよ」
「が、楽に…、楽のこと…、考えて、こんな」
こんな汚らわしいことをしてしまった。
だからごめんなさい。再度告げようとした謝罪は、全身に走った刺激のせいで声にならなかった。
「っひ…!」
「…それ、いけないことか?」
「やっ、待って…、でも、人に、楽に、…こんなの…っ」
こういうのは人に見られてはいけないことだ。そう続けて言いたいのに、それも上手く言葉にならない。
サツキの手に重なった楽の手が、行為を続ける為に熱を扱く。
「っ、だ、駄目…やだ、やめて…っ」
「駄目じゃねぇだろ」
薄く開いた目で楽を見上げると、全て見透かすような視線がサツキを見つめていた。
全て見られる、見られたくないことも、全部。
「見ないで…や、見ないでよ…俺、本当に、」
「嫌だ」
サツキの願いとは裏腹に、顔と顔の距離を縮めてくる。
軽く頬にキスを落とされ、サツキは思わず楽の胸を叩いた。
「…っ、が、楽…!」
「サツキ、何で俺に言わなかったんだよ。やるか?一人で?俺が我慢してるってのに?」
何を楽に言えというのだろう。
サツキはギリギリのところで堪えながら、無意識に楽の腕を掴んだ。
「あんなん見せられて、もう我慢しねぇ。すげぇ可愛かった…、俺の名前、もっと呼べよ、なあ」
楽の声がいつもより色っぽくて、艶っぽくて、それだけで頭がぼうっとする。
同時に足先からビリッと痺れる感覚が全身を襲い、サツキは震える手で自身の口元を覆った。
羞恥心が、期待と興奮に塗り替えられていく。
「楽、俺…早く、楽に抱かれたい…」
「っ、」
「楽でいっぱいになりたい…それだけ、それだけだから…」
理性と肉欲との葛藤のせいか、涙が溢れる目をサツキはぎゅっと閉じた。
「楽…嫌だ、俺こんなだけど、見捨てないで…っ」
すぐ泣いてしまうところも、はしたないところも、全てが情けなくて辛い。
必死に上擦った声で懇願して、楽から目を逸らす。
その懇願への返答は、楽からの甘い口付けだった。
「っ!ん、」
「…、好きだって。好きだから、お前のこんな姿見て興奮してんだろ」
楽の舌がサツキの唇から、顎にかけてなぞる。
そのまま首を甘く噛まれ、サツキの腰が小さく跳ねた。
体液を纏った楽の手からは卑猥な音と、それに見合った甘美な刺激が生み出される。
「んっ、あ…!や、い、…放して…!」
「出せよ」
「や、嫌だ…っ、楽、入れてよ…楽、の…っ」
「…は?」
自分だけ気持ち良くなって終わりたくない。
その思いから声を荒立てると、力強く擦っていた楽の手がぴたと止まった。
刺激が治まった安堵に目を開くと、楽は目と口とを開いて固まっている。
「なんだよ、サツキ…すげぇ、エロい…」
「えっ…!?」
「俺がお前をそうしたのか?」
楽が耳元で囁き、軽く耳を食む。
吐息に混ざる楽の小さな喘ぎに、受け入れたい場所がヒクと震えた。
「…あ、いや、ちょっと待て、サツキ」
しかし、楽は困ったように眉を寄せて体を起き上らせた。
ぼんやりとしたまま楽を見上げると、楽はサツキから目を逸らして、居た堪れなそうに頬をかいている。
「悪い、まだ風呂、入ってねぇ」
「お、風呂…?」
「ああ、悪ィけど、ちょっと待ってて…は、きついよな。一緒に風呂、行くか?」
楽の優しさを感じて、サツキは全身をぶると震わせた。
駄目だ、そんなの我慢出来るはずがない。
「いい、このままで…」
「んなわけいくかよ」
「お風呂じゃ、楽真っ赤になるよ、それに…俺、楽のニオイ好きだから…」
元々肌の色が白い楽は、お風呂の熱気であっという間に真っ赤になってしまう。
そんなところも好きだけれど、それでも今は移動することすら億劫だった。
今すぐ、楽を感じたい。楽の汗のニオイも、何もかも、そのまま感じさせて欲しい。
ベッドから足を降ろした楽の腕をぎゅっと掴む。
楽は暫くそのまま動かずにサツキを見下ろして、観念したかのように息を吐いた。
「…いいのか?」
「ん…、早く、俺のこと、楽でいっぱいにして…」
「ったく、どこで覚えてくんだよ、そんなの…」
楽は嬉しさと戸惑いとが混ざったような妙な表情を浮かべながら、サツキの足を持ち上げた。
体が半分に折り曲げられ、今まで見られたことのない場所が楽の顔の前に晒される。
「やっぱ狭いな…入るか…?」
「あ、の…俺、の我が儘だから…痛くてもいいよ」
「は?駄目だろ、もう二度としたくねぇなんて思われたら、」
「思わないよ、思わないから、早く…」
求め出したら止まらない。
サツキは楽に手を伸ばし、頬にすりと掌を滑らせた。
「早く…」
迷いを打ち消してしまいたくて、楽の首に手を回す。
楽はようやく自身のズボンの前を開き、サツキの体に押し当てた。
「力、抜いてろよ」
「ん…」
楽の熱がサツキの体を開く。
サツキの内側に入り込むのは、思っていた以上に大きな男性の体。
ピリと走った鋭い痛みに、サツキは強い力でシーツを掴んだ。
「大丈夫か?」
「へ、平気…」
平気だから早くと、そう言いたかったのに舌が回らない。
引き裂かれるような痛みに、思わず手が二人を繋ぐ場所へと伸びる。
今にも接合しようと密着する場所は、無意識にも力んで楽の侵入を拒んでいた。
「っ、な、なんで…、違う、俺…どうして…」
「サツキ、落ち着けって。息止めんな。大丈夫、すげぇ、中やらかくなってっから」
「ん…んん…、」
何とか呼吸を繰り返し、太腿の内側に挿し込んだ手で自分の肌を外側へ引っ張る。
そんなことをしても楽を受け入れる分の隙間なんて出来やしない。
楽は困ったように眉を下げ、サツキの顔の横に手を置いた。
「サツキ、俺を見ろ」
「え…?」
楽の指がサツキの頬を撫でる。
見上げた楽の顔は、ステージに立っている時のように赤らんでいて、息も上がっていた。
「楽も、緊張、してる?」
「当たり前だろ。好きな奴、抱けんだから」
「楽…、ン…」
近付いて来た楽の顔が、そのままサツキに重なる。
口と口を軽く重ね、次第に深く、隙間なく息まで呑み込まれる。
酸素を求めて口を開けば、更に深く絡め取られ、サツキは楽の胸元をきゅっと掴んだ。
「サツキ、大丈夫、そのまま…っん、」
「はっ…ぁ、が、楽…」
頬を掌で包まれ、息を大きく吐き出す。
無我夢中で楽にしがみついていると、ぐりと奥が抉られた。
「っあ…!」
思わず目を開いて、楽の服を手繰り寄せる。
下半身に感じたことのない圧迫感。
思いきり左右に開かれた足と足の間、楽が体を押し進めてくる。
「が、楽…っ」
「ん…、大丈夫だ、大丈夫…」
「ッ…ん、んん…」
言葉にならない声が喉を通り抜けて出て行く。
鋭い痛みと、知らない感覚への恐怖、それから違和感と、息苦しさ。
どこをとっても辛いのに、肌と肌が触れ合った瞬間にサツキの体を包み込んだのは、これ以上ない幸福感だった。
「ん…入った…。頑張ったな、サツキ」
「はい、った…全部?」
「ああ。ほら」
楽がサツキの手を掴み、二人の肌がぶつかるそこへと導く。
指を挿し込むと、足と足の間を知らない熱が埋め尽くしていた。
「あ…ほんとだ…」
「はっ、なんだよその感想」
楽がふっと笑みを見せる。
サツキは一度目を閉じ、ぶると体を小刻みに揺らした。
中が楽で満たされている。脈打つ感覚が、サツキに直接伝わってくる。
「…世の中の、何人の女性が、楽にこうされたいって…夢見てるんだろう、ね…?」
「なんだよ、それ。何、気にしてんだ?」
「ん…俺、幸せだなって…思っただけ…」
誰もが恋い焦がれる、TRIGGERのリーダー八乙女楽。
その男が、サツキの体を全身で愛してくれている。
「お前…、」
嬉しくて頬を緩ませたサツキに、楽も慈しむように目を細める。
その瞬間楽が体を前のめりに動かしたからだろう、奥にぶつかった熱がびりとサツキの体に刺激を与えた。
「ぅ、んん…ッ、」
「悪ィ…サツキの中、すげ、いい、…っ痛みは?」
楽がサツキの腹部を労わるように撫でる。
痛みは確かにある、お腹も苦しくて、動くのが怖い。
しかしその恐怖以上に、楽を受け入れたくて、もっと気持ち良くなって欲しい。
サツキは広げられた孔の縁に指を辿らせた。
隙間なく受け入れられた熱、その大きさで、楽も興奮しているのだと分かる。
「痛みなんて気にならないよ、嬉しくて…。ね、俺、分からないから、教えて…?楽が、どうしたら気持ち良いのか…」
楽が気持ち良くなる方法でやってくれれば、それを覚えるから。
そう伝えると、楽はサツキの目にも分かるくらい、ごくりと唾を呑み込んだ。
「馬鹿、これ以上、煽ってんじゃねぇよ」
「え…、あっ!」
楽の手が、サツキの足を抱え込む。
ずりと背中がシーツの上を滑ったかと思うと、内側が擦れてびりびりと刺激が走った。
ぱちんという乾いた音は、サツキの肌と楽の肌がぶつかった音だ。
「はっ…!」
「あ…っ、はぁ、きつ、」
「き、きつい?だ、いじょうぶ?俺…っ」
「ああ?そういう意味じゃねって…いいってこと、だよ」
楽の甘い声が、体の動きとベッドの軋みに合わせて途切れる。
それと連動して体の奥に送り込まれる熱は、サツキの意志とは関係なく腰を震わせた。
途端に叫びそうになった声を何とか抑え込み、シーツにしがみ付きながら唇を噛む。
それを、楽が見逃すはずもなかった。
「サツキ、声、抑えんなよ」
楽の指先がサツキの唇をなぞる。
そのまま爪先が歯に当たり、思わず開いた口の隙間に白い指が入り込んだ。
舌に指が乗せられ、噛むわけにいかない状況に自然と口が開く。
「ふ、ぁ、がく…や…っ」
「サツキも、したいこと、言えよ、して欲しいことあんだろ?」
「む、り…」
「無理じゃねぇ。俺にも、んっ、応えさせろよ、お前の思いに…」
それなら、もう、今の状況が既にそれだ。
抱かれたかった、繋がりたかった。その願いは叶っている。
サツキは楽を見上げて、汗ばんだ首筋に指を這わせた。
楽は綺麗だ。顔も、指も、声も、髪も、何もかも全て。
色白な体も、TRIGGERの少し暗い照明の下では一際目立つ。女性が悲鳴を上げる、その体が、今目の前に。
「楽…」
サツキは指先を楽の胸元に滑らせ、かりと楽の体を覆い隠すボタンを引っ掻いた。
邪魔だ、楽の体が見えない。
「ねぇ、楽…脱いで…」
「ん?」
「脱いで、欲しい…」
震える指は小さなボタン一つ掴めず、情けなく楽の服を摘まむ。
これ以上求めるものなんてない、そう思っていたのに。
「もっと、楽に触れたい…」
吐息交じりの小さな声でそう呟く。
聞こえなくていい、その程度の小さな願いに、楽はふっと息を零して笑った。
「じゃあお前も」
「え、わ…!」
楽の手が服の裾を掴み持ち上げる。
ぐいと上半身ごと引き上げられると、服は頭から抜けてベッドの下に落とされた。
「…ッ!」
体を起き上がらせた瞬間に視界に映った二人の体。
生々しい結合部に、サツキは慌てて目を逸らした。
「で、後はどうして欲しい?」
顔の上に影がかかり、ぐいと持ち上げられた足と足の間が擦れる。
刺激に腰を震わせながら楽に目を戻すと、楽の汗ばんだ肉体が目の前に晒されていた。
「あ…」
思わず零れたのは感嘆の声だ。
今自分はこの男に抱かれている、この、八乙女楽に。
「…ッ、楽…ぎゅって、抱き締めていい?」
「ん、そんなことでいいのかよ…、ほら」
楽の手がサツキの頭の後ろに回される。
サツキは楽の首にしがみつき、そのまま楽の首元に顔を寄せた。
肌と肌が密着する。これ以上ないくらい、溶けて一つになってしまいそうなくらい。
「サツキ……」
「楽…?」
「俺のサツキ…、全部俺のもんだ…」
耳元で囁かれる声。耳にかかる息の熱さ。
楽の手はサツキの腰を撫で、ほんの少しの隙間をも埋めるように引き寄せた。
愛されていることが全身から伝わってくる。
好きだ、好きだ。
全部楽へ返したいのに、揺さぶられた口はカチカチと歯が当たるだけで言葉にならない。
「愛してる…、サツキ…」
ぞくと全身に駆け廻った激しい感覚。
サツキは足を楽の背で絡め、しがみ付いた手に力を入れた。
ゆっくりと抜かれ、今度は激しく突かれる。
止めどない動きに、サツキはしがみ付いているだけで精一杯だった。
揺さぶられる度に、膨れ上がったものが楽の体に擦れる。
楽の体を汚しているという背徳感。そして、それを許されている優越感。
「あ!あっ…ん、んん…」
「っ、…サツキ…ッ」
「っは、俺、もおかし…っぁあ、んっ…!」
楽が耳元で息を詰まらせる。
ぐりと奥を擦った熱が脈打ち、その微かな刺激にサツキは体をのけ反らせた。
「あぁ…っ」
耳元で楽の苦しそうな声が響く。体の奥には楽の熱が溢れ出すのを感じた。
サツキの体も痙攣し、ぐったりと楽の体へ寄りかかる。
「はぁ…、は、サツキも、出たな」
「ん…」
楽が自分の腹部を撫でて、それをサツキの目の前に翳した。
楽の白い指を濡らす、白濁の液体。
ゆっくりと見下ろせば、当然体にも飛び散っている。
「あ、ごめ…」
「謝んなよ、嬉しいんだって」
楽は言葉通りに心底嬉しそうに肩をすくめて笑い、サツキの肩を掴むとベッドへ諸共倒れ込んだ。
余韻に浸っているのだろうか、何も言わずにサツキを抱き締める。
「お前さ…人の顔色伺うのやめろよ」
「え…」
「卑下すんの、お前らしいけど…、お前が思うようなことで嫌になったりしねぇから…」
うん、分かってる。分かってるよ。
サツキは首を縦に大きく振り、楽の胸にもたれかかった。
それでも気になってしまうのは、もう癖みたいなものなのだろう。
「にしても…早く帰ってきて良かったな、今日は」
「…俺は、本当に、驚いて…。TRIGGERの、打合せ、仕事の後に集まるって言ってたのに…」
「それな、龍が急に予定合わなくなったから」
いつもと変わらないようなやり取りの最中、楽はずっとサツキの頭を優しく撫で続けていた。
心地が良い。少しずつ瞼が重くなっていく。
「…楽、お風呂…行かなきゃ…明日、朝…大丈夫…?」
「はは、お前はホント…、ありがとな」
「…ん」
ほとんど息だけの返事をしてから、サツキは目を閉じた。
楽の体温とニオイに安心する。
明日から、楽の体を見る度に思い出し、求めたくなってしまうのだろうか。
それは少し、怖いかも。
ぼんやりと考えながら、サツキは楽に包まれたまま目を閉じた。
(第十二話・終)
追加日:2018/06/03
移動前:2016/10/19
風呂上がりに履いたズボンは膝まで下ろされている。
楽は帰って来ない。そう朝本人が言っていたから、今日は何をしていても大丈夫だ。
だから…というにはあまりにも言葉足らずだが、サツキは湧き上がる熱情に身を委ねた。
ベッドの下に置いた袋に手を伸ばし、購入したベビーローションを手に取る。
サツキはそれを指に馴染ませながら、ベッドに敷いたタオルの上で足を開いた。
シャワーの水で濡らしただけの時と違い、驚く程すんなり中指が呑み込まれて行く。
「…楽、」
こうするのは、楽に気持ち良くなって欲しいから、自分が気持ち良くなりたいから…だけじゃない。
サツキはベッドにぱたんと背中を倒した。
「ぁ、…」
自身の痴態を映さないよう、きつく目を閉じ思い出す。
あの綺麗な指が自分の汚いところに触れ、低い声が囁くのだ。
愛しい言葉を、慈しむ言葉を。
「あッ、ぁ、…、楽…」
動かす手が自然と乱暴になり、足の付け根で引っかかっていたズボンが床に落ちる。
背徳感に襲われながら、異物感に眉を寄せながら、それでもサツキは気持ち良くもない行為を繰り返した。
ただ、大好きな人に体中満たして欲しい。
触って欲しい、触りたい、溶けて、一つになってしまいたい。そんな行方のない、途方もない感情。
ただ、それだけなのだ。
サツキは後ろに入れた指を抜き、隠すように股間に手を重ねた。
恥ずかしくて、早く辞めたいのに、体に残る熱が理性を崩す。
「はぁ…」
無意識に指を自分のものに這わせ、軽く握り込む。
そのまま軽く扱いて、抜いてしまえば少し落ち着くだろう。
そう思いながら自慰行為を続けようとしたサツキは、何か気配を感じて目を開いた。
自分の体に影がかかっている。
先走りで濡れた手に絡まった白い指はサツキをするりと撫でた。
「う、嘘…」
「…サツキ」
ここにあるはずのない低い声がサツキを呼ぶ。
これはきっと夢だ。そんな現実味のないことを考える。
「悪い、サツキ」
開いた目に映るシルエットも、掴まれた手に広がる熱も本物だ。
サツキは決して行為そのものに夢中になってはいなかった。
楽の体温や触れる手の強さを思い起こすことが、サツキの意識を現実から遠ざけたのだろう。
「っ、い、いつ、から」
「…ちょっと前、声聞こえてきたから」
「今日…、かえ、れない…、って」
誰よりも綺麗な顔が、綺麗な目が、サツキのはしたない姿を映している。
はしたなく名を呼んだのも、全部知られてしまった。
「一応連絡は入れたんだけどな」
「そ…、お、俺…ッ」
「おい、泣くなって」
サツキの目から涙が零れ落ちる。
情けない顔を見られたくない一心で顔を逸らすと、楽の息が頬にかかる髪を微かに揺らした。
「ごめ、んなさ、俺…っ、こんな…」
「ん?なんで謝んだよ」
「が、楽に…、楽のこと…、考えて、こんな」
こんな汚らわしいことをしてしまった。
だからごめんなさい。再度告げようとした謝罪は、全身に走った刺激のせいで声にならなかった。
「っひ…!」
「…それ、いけないことか?」
「やっ、待って…、でも、人に、楽に、…こんなの…っ」
こういうのは人に見られてはいけないことだ。そう続けて言いたいのに、それも上手く言葉にならない。
サツキの手に重なった楽の手が、行為を続ける為に熱を扱く。
「っ、だ、駄目…やだ、やめて…っ」
「駄目じゃねぇだろ」
薄く開いた目で楽を見上げると、全て見透かすような視線がサツキを見つめていた。
全て見られる、見られたくないことも、全部。
「見ないで…や、見ないでよ…俺、本当に、」
「嫌だ」
サツキの願いとは裏腹に、顔と顔の距離を縮めてくる。
軽く頬にキスを落とされ、サツキは思わず楽の胸を叩いた。
「…っ、が、楽…!」
「サツキ、何で俺に言わなかったんだよ。やるか?一人で?俺が我慢してるってのに?」
何を楽に言えというのだろう。
サツキはギリギリのところで堪えながら、無意識に楽の腕を掴んだ。
「あんなん見せられて、もう我慢しねぇ。すげぇ可愛かった…、俺の名前、もっと呼べよ、なあ」
楽の声がいつもより色っぽくて、艶っぽくて、それだけで頭がぼうっとする。
同時に足先からビリッと痺れる感覚が全身を襲い、サツキは震える手で自身の口元を覆った。
羞恥心が、期待と興奮に塗り替えられていく。
「楽、俺…早く、楽に抱かれたい…」
「っ、」
「楽でいっぱいになりたい…それだけ、それだけだから…」
理性と肉欲との葛藤のせいか、涙が溢れる目をサツキはぎゅっと閉じた。
「楽…嫌だ、俺こんなだけど、見捨てないで…っ」
すぐ泣いてしまうところも、はしたないところも、全てが情けなくて辛い。
必死に上擦った声で懇願して、楽から目を逸らす。
その懇願への返答は、楽からの甘い口付けだった。
「っ!ん、」
「…、好きだって。好きだから、お前のこんな姿見て興奮してんだろ」
楽の舌がサツキの唇から、顎にかけてなぞる。
そのまま首を甘く噛まれ、サツキの腰が小さく跳ねた。
体液を纏った楽の手からは卑猥な音と、それに見合った甘美な刺激が生み出される。
「んっ、あ…!や、い、…放して…!」
「出せよ」
「や、嫌だ…っ、楽、入れてよ…楽、の…っ」
「…は?」
自分だけ気持ち良くなって終わりたくない。
その思いから声を荒立てると、力強く擦っていた楽の手がぴたと止まった。
刺激が治まった安堵に目を開くと、楽は目と口とを開いて固まっている。
「なんだよ、サツキ…すげぇ、エロい…」
「えっ…!?」
「俺がお前をそうしたのか?」
楽が耳元で囁き、軽く耳を食む。
吐息に混ざる楽の小さな喘ぎに、受け入れたい場所がヒクと震えた。
「…あ、いや、ちょっと待て、サツキ」
しかし、楽は困ったように眉を寄せて体を起き上らせた。
ぼんやりとしたまま楽を見上げると、楽はサツキから目を逸らして、居た堪れなそうに頬をかいている。
「悪い、まだ風呂、入ってねぇ」
「お、風呂…?」
「ああ、悪ィけど、ちょっと待ってて…は、きついよな。一緒に風呂、行くか?」
楽の優しさを感じて、サツキは全身をぶると震わせた。
駄目だ、そんなの我慢出来るはずがない。
「いい、このままで…」
「んなわけいくかよ」
「お風呂じゃ、楽真っ赤になるよ、それに…俺、楽のニオイ好きだから…」
元々肌の色が白い楽は、お風呂の熱気であっという間に真っ赤になってしまう。
そんなところも好きだけれど、それでも今は移動することすら億劫だった。
今すぐ、楽を感じたい。楽の汗のニオイも、何もかも、そのまま感じさせて欲しい。
ベッドから足を降ろした楽の腕をぎゅっと掴む。
楽は暫くそのまま動かずにサツキを見下ろして、観念したかのように息を吐いた。
「…いいのか?」
「ん…、早く、俺のこと、楽でいっぱいにして…」
「ったく、どこで覚えてくんだよ、そんなの…」
楽は嬉しさと戸惑いとが混ざったような妙な表情を浮かべながら、サツキの足を持ち上げた。
体が半分に折り曲げられ、今まで見られたことのない場所が楽の顔の前に晒される。
「やっぱ狭いな…入るか…?」
「あ、の…俺、の我が儘だから…痛くてもいいよ」
「は?駄目だろ、もう二度としたくねぇなんて思われたら、」
「思わないよ、思わないから、早く…」
求め出したら止まらない。
サツキは楽に手を伸ばし、頬にすりと掌を滑らせた。
「早く…」
迷いを打ち消してしまいたくて、楽の首に手を回す。
楽はようやく自身のズボンの前を開き、サツキの体に押し当てた。
「力、抜いてろよ」
「ん…」
楽の熱がサツキの体を開く。
サツキの内側に入り込むのは、思っていた以上に大きな男性の体。
ピリと走った鋭い痛みに、サツキは強い力でシーツを掴んだ。
「大丈夫か?」
「へ、平気…」
平気だから早くと、そう言いたかったのに舌が回らない。
引き裂かれるような痛みに、思わず手が二人を繋ぐ場所へと伸びる。
今にも接合しようと密着する場所は、無意識にも力んで楽の侵入を拒んでいた。
「っ、な、なんで…、違う、俺…どうして…」
「サツキ、落ち着けって。息止めんな。大丈夫、すげぇ、中やらかくなってっから」
「ん…んん…、」
何とか呼吸を繰り返し、太腿の内側に挿し込んだ手で自分の肌を外側へ引っ張る。
そんなことをしても楽を受け入れる分の隙間なんて出来やしない。
楽は困ったように眉を下げ、サツキの顔の横に手を置いた。
「サツキ、俺を見ろ」
「え…?」
楽の指がサツキの頬を撫でる。
見上げた楽の顔は、ステージに立っている時のように赤らんでいて、息も上がっていた。
「楽も、緊張、してる?」
「当たり前だろ。好きな奴、抱けんだから」
「楽…、ン…」
近付いて来た楽の顔が、そのままサツキに重なる。
口と口を軽く重ね、次第に深く、隙間なく息まで呑み込まれる。
酸素を求めて口を開けば、更に深く絡め取られ、サツキは楽の胸元をきゅっと掴んだ。
「サツキ、大丈夫、そのまま…っん、」
「はっ…ぁ、が、楽…」
頬を掌で包まれ、息を大きく吐き出す。
無我夢中で楽にしがみついていると、ぐりと奥が抉られた。
「っあ…!」
思わず目を開いて、楽の服を手繰り寄せる。
下半身に感じたことのない圧迫感。
思いきり左右に開かれた足と足の間、楽が体を押し進めてくる。
「が、楽…っ」
「ん…、大丈夫だ、大丈夫…」
「ッ…ん、んん…」
言葉にならない声が喉を通り抜けて出て行く。
鋭い痛みと、知らない感覚への恐怖、それから違和感と、息苦しさ。
どこをとっても辛いのに、肌と肌が触れ合った瞬間にサツキの体を包み込んだのは、これ以上ない幸福感だった。
「ん…入った…。頑張ったな、サツキ」
「はい、った…全部?」
「ああ。ほら」
楽がサツキの手を掴み、二人の肌がぶつかるそこへと導く。
指を挿し込むと、足と足の間を知らない熱が埋め尽くしていた。
「あ…ほんとだ…」
「はっ、なんだよその感想」
楽がふっと笑みを見せる。
サツキは一度目を閉じ、ぶると体を小刻みに揺らした。
中が楽で満たされている。脈打つ感覚が、サツキに直接伝わってくる。
「…世の中の、何人の女性が、楽にこうされたいって…夢見てるんだろう、ね…?」
「なんだよ、それ。何、気にしてんだ?」
「ん…俺、幸せだなって…思っただけ…」
誰もが恋い焦がれる、TRIGGERのリーダー八乙女楽。
その男が、サツキの体を全身で愛してくれている。
「お前…、」
嬉しくて頬を緩ませたサツキに、楽も慈しむように目を細める。
その瞬間楽が体を前のめりに動かしたからだろう、奥にぶつかった熱がびりとサツキの体に刺激を与えた。
「ぅ、んん…ッ、」
「悪ィ…サツキの中、すげ、いい、…っ痛みは?」
楽がサツキの腹部を労わるように撫でる。
痛みは確かにある、お腹も苦しくて、動くのが怖い。
しかしその恐怖以上に、楽を受け入れたくて、もっと気持ち良くなって欲しい。
サツキは広げられた孔の縁に指を辿らせた。
隙間なく受け入れられた熱、その大きさで、楽も興奮しているのだと分かる。
「痛みなんて気にならないよ、嬉しくて…。ね、俺、分からないから、教えて…?楽が、どうしたら気持ち良いのか…」
楽が気持ち良くなる方法でやってくれれば、それを覚えるから。
そう伝えると、楽はサツキの目にも分かるくらい、ごくりと唾を呑み込んだ。
「馬鹿、これ以上、煽ってんじゃねぇよ」
「え…、あっ!」
楽の手が、サツキの足を抱え込む。
ずりと背中がシーツの上を滑ったかと思うと、内側が擦れてびりびりと刺激が走った。
ぱちんという乾いた音は、サツキの肌と楽の肌がぶつかった音だ。
「はっ…!」
「あ…っ、はぁ、きつ、」
「き、きつい?だ、いじょうぶ?俺…っ」
「ああ?そういう意味じゃねって…いいってこと、だよ」
楽の甘い声が、体の動きとベッドの軋みに合わせて途切れる。
それと連動して体の奥に送り込まれる熱は、サツキの意志とは関係なく腰を震わせた。
途端に叫びそうになった声を何とか抑え込み、シーツにしがみ付きながら唇を噛む。
それを、楽が見逃すはずもなかった。
「サツキ、声、抑えんなよ」
楽の指先がサツキの唇をなぞる。
そのまま爪先が歯に当たり、思わず開いた口の隙間に白い指が入り込んだ。
舌に指が乗せられ、噛むわけにいかない状況に自然と口が開く。
「ふ、ぁ、がく…や…っ」
「サツキも、したいこと、言えよ、して欲しいことあんだろ?」
「む、り…」
「無理じゃねぇ。俺にも、んっ、応えさせろよ、お前の思いに…」
それなら、もう、今の状況が既にそれだ。
抱かれたかった、繋がりたかった。その願いは叶っている。
サツキは楽を見上げて、汗ばんだ首筋に指を這わせた。
楽は綺麗だ。顔も、指も、声も、髪も、何もかも全て。
色白な体も、TRIGGERの少し暗い照明の下では一際目立つ。女性が悲鳴を上げる、その体が、今目の前に。
「楽…」
サツキは指先を楽の胸元に滑らせ、かりと楽の体を覆い隠すボタンを引っ掻いた。
邪魔だ、楽の体が見えない。
「ねぇ、楽…脱いで…」
「ん?」
「脱いで、欲しい…」
震える指は小さなボタン一つ掴めず、情けなく楽の服を摘まむ。
これ以上求めるものなんてない、そう思っていたのに。
「もっと、楽に触れたい…」
吐息交じりの小さな声でそう呟く。
聞こえなくていい、その程度の小さな願いに、楽はふっと息を零して笑った。
「じゃあお前も」
「え、わ…!」
楽の手が服の裾を掴み持ち上げる。
ぐいと上半身ごと引き上げられると、服は頭から抜けてベッドの下に落とされた。
「…ッ!」
体を起き上がらせた瞬間に視界に映った二人の体。
生々しい結合部に、サツキは慌てて目を逸らした。
「で、後はどうして欲しい?」
顔の上に影がかかり、ぐいと持ち上げられた足と足の間が擦れる。
刺激に腰を震わせながら楽に目を戻すと、楽の汗ばんだ肉体が目の前に晒されていた。
「あ…」
思わず零れたのは感嘆の声だ。
今自分はこの男に抱かれている、この、八乙女楽に。
「…ッ、楽…ぎゅって、抱き締めていい?」
「ん、そんなことでいいのかよ…、ほら」
楽の手がサツキの頭の後ろに回される。
サツキは楽の首にしがみつき、そのまま楽の首元に顔を寄せた。
肌と肌が密着する。これ以上ないくらい、溶けて一つになってしまいそうなくらい。
「サツキ……」
「楽…?」
「俺のサツキ…、全部俺のもんだ…」
耳元で囁かれる声。耳にかかる息の熱さ。
楽の手はサツキの腰を撫で、ほんの少しの隙間をも埋めるように引き寄せた。
愛されていることが全身から伝わってくる。
好きだ、好きだ。
全部楽へ返したいのに、揺さぶられた口はカチカチと歯が当たるだけで言葉にならない。
「愛してる…、サツキ…」
ぞくと全身に駆け廻った激しい感覚。
サツキは足を楽の背で絡め、しがみ付いた手に力を入れた。
ゆっくりと抜かれ、今度は激しく突かれる。
止めどない動きに、サツキはしがみ付いているだけで精一杯だった。
揺さぶられる度に、膨れ上がったものが楽の体に擦れる。
楽の体を汚しているという背徳感。そして、それを許されている優越感。
「あ!あっ…ん、んん…」
「っ、…サツキ…ッ」
「っは、俺、もおかし…っぁあ、んっ…!」
楽が耳元で息を詰まらせる。
ぐりと奥を擦った熱が脈打ち、その微かな刺激にサツキは体をのけ反らせた。
「あぁ…っ」
耳元で楽の苦しそうな声が響く。体の奥には楽の熱が溢れ出すのを感じた。
サツキの体も痙攣し、ぐったりと楽の体へ寄りかかる。
「はぁ…、は、サツキも、出たな」
「ん…」
楽が自分の腹部を撫でて、それをサツキの目の前に翳した。
楽の白い指を濡らす、白濁の液体。
ゆっくりと見下ろせば、当然体にも飛び散っている。
「あ、ごめ…」
「謝んなよ、嬉しいんだって」
楽は言葉通りに心底嬉しそうに肩をすくめて笑い、サツキの肩を掴むとベッドへ諸共倒れ込んだ。
余韻に浸っているのだろうか、何も言わずにサツキを抱き締める。
「お前さ…人の顔色伺うのやめろよ」
「え…」
「卑下すんの、お前らしいけど…、お前が思うようなことで嫌になったりしねぇから…」
うん、分かってる。分かってるよ。
サツキは首を縦に大きく振り、楽の胸にもたれかかった。
それでも気になってしまうのは、もう癖みたいなものなのだろう。
「にしても…早く帰ってきて良かったな、今日は」
「…俺は、本当に、驚いて…。TRIGGERの、打合せ、仕事の後に集まるって言ってたのに…」
「それな、龍が急に予定合わなくなったから」
いつもと変わらないようなやり取りの最中、楽はずっとサツキの頭を優しく撫で続けていた。
心地が良い。少しずつ瞼が重くなっていく。
「…楽、お風呂…行かなきゃ…明日、朝…大丈夫…?」
「はは、お前はホント…、ありがとな」
「…ん」
ほとんど息だけの返事をしてから、サツキは目を閉じた。
楽の体温とニオイに安心する。
明日から、楽の体を見る度に思い出し、求めたくなってしまうのだろうか。
それは少し、怖いかも。
ぼんやりと考えながら、サツキは楽に包まれたまま目を閉じた。
(第十二話・終)
追加日:2018/06/03
移動前:2016/10/19