ナツ夢(2012.02~2016.05)
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〇大魔闘演武後の二人
暑い日差しの下、ロアはぐっと天に腕を伸ばした。
白い肌は焼けると痛む為、長袖のパーカーを纏う。
それでも暑さに負けて前を開けたまま、ロアは塩の匂いのする水に足を入れた。
「あー、きもちい」
「ああ。天気も良いし、海日和だな」
「は、何か前にもこんなことあったよな。修業はどうした?って」
「何。今日はそのような堅い事は言いっこなしだ」
ロアの肩に手をぽんと置いたエルザがにっこりと笑う。
そう、今日は修業なんて口実も無し。
ただ遊びに、お天道様の下、羽を伸ばしに来たのだ。
「最近何かと緊張しっぱなしだったから、こういうの有難いよ」
「そうか。それは良かった」
「ただ…」
皆で海。
それは良いのだが、ロアは気掛かりなことを思い出し振り返った。
エルザが不思議そうにロアの視線の先を追う。
少し距離をおいて見える桃色の髪。
ロアの視線に気付いたナツは、あからさまにロアから目を逸らした。
「……」
「ナツか。そういえば珍しく寄って来ないな」
「そう…なんだよな」
様子がおかしいということは見るに明らか。
ただここに来る直前まで普通だったナツがこうなった原因など、ロアには皆目見当もつかない。
「ま、別にいいけどさー」
別にナツと一緒にいたくて仕方なかったわけでもない。
ちょっと寂しいけれど。
ロアはぱっと海に目を向けると、改めて潮風に目を細め塩の香りを思い切り吸い込んだ。
・・・
白い背中に刻まれた紋章。
…は、残念ながら服の向こうに隠れているが、ナツはそれすら安堵に息を吐いた。
海岸の少し強めの風に、まがい物とはいえキラキラと光る髪が揺れる。
捲れて見えるうなじがまた白くて、薄い服を纏う体はそのラインをまざまざと見せつけてくる。
「…」
そういうつもりで見たくなくても、気持ちが持って行かれる。
抱き締めて、赤らめる頬にキスを落としたくて、細い腰を抱き寄せて、甘い息を肌に感じたい。
「…」
まだ記憶に新しい、抱き合った夜のこと。
無防備な白い肌はどうにもあの日の事を思い出させる。
そのせいだ、こんなにも妙なことを考えてしまうのは。
「ちょっとナツ?なにやらしい目でロアのこと見てんのよ」
「な!み、見てねぇ!」
「見てるじゃない。さっきからチラチラと。やーらしい」
「ち…違ぇ、そんなんじゃ…」
柄にもなく口ごもるナツに、ルーシィは自分から突っ掛かっていながらも驚き目を開いた。
まさかとは思うが、本当にそうだというのか。
ナツと同じようにチラとロアを視界に映し、もう一度ナツを見る。
ナツはばっと大げさに目を逸らした。
「何アンタ…まさかロアの裸に今更!?」
「い、今更なんだよ、悪ィかよ!」
「悪いっていうか失礼じゃない!?今まで散々人の裸見といて、はーっ、男のロアにはそういう思春期男子の反応するわけ」
風呂場じゃ全裸のエルザに背中を流され、人の胸は事故とはいえぎゅっと掴んだこともあるくせに。
ルーシィは赤くなった気色悪い頬をむぎゅと抓り、反応されても困るが、自信のあるくびれに手を当てた。
「何してんだ、お前等」
「え?ラクサス!?」
ルーシィが驚いて顔を上げる、その視線の先にはラクサスがいた。
こういう場にラクサスが来るなんてかなり珍しい。
だから言葉も出ずじっと見上げていると、ラクサスはナツを見て小さく嘲笑した。
「ナツお前、とうとうその気になったか?」
「な、なんだよ…」
「ま、お前がそんななら、こっちも勝手にやらせてもらうぜ」
ラクサスはいやらしく目を細め、それからナツとルーシィが先程まで見つめていた方へ足を進めた。
大きな体がロアへと迫る。
無防備なロアは、あろうことかラクサスに向かって笑顔で手を振った。
「なんだよラクサス、お前来てたのか」
「おお。ま、たまにはな」
ラクサスもロアと同じように海に来るための恰好をしている。
とはいえ晒される体は随分と異なる。
分厚い体とそれを纏う筋肉。
「ったく、お前こんな恰好してていいのか?」
ロアは一瞬思っていたことを読まれたのかと思った。
恰好…言われて改めて見下ろせば、別になんということはない、海パンにパーカー。よくある海のスタイルではなかろうか。
「変な恰好してるか、俺?」
「バァカ。ちげぇだろ。お前のこと、オレがどんな目で見てるか知らねぇのか?」
「は…え!?」
言うが早いか、ラクサスは手をロアのパーカーと肌の隙間に割り込ませた。
大きな手がロアの腰を抱き寄せると、薄い布一枚纏うだけの肌と肌がぶつかる。
「いいのか?こんな、触りやすい恰好してよ」
「さ…触んなきゃいいだろ」
「こことか…」
「ばっ!」
ラクサスの親指がロアの乳首をつんと撫でる。
反射で拳を握りしめ振りかざしたロアのその手は、ぱしと後ろから掴まれていた。
「え、ナツ?」
腕の先、視線で追えばナツの顔がある。
こんな状況なら、むしろナツこそラクサスに殴りかかりそうなものなのに。
動揺してラクサスとナツとを交互に見る。
ナツは、ロアをラクサスから引き剥がす為か、思いの外強い力でロアを引いた。
「わ、わ、ちょ、ナツ!?」
「おいおいナツ。ロアに乱暴すんなよ」
「っテメーが!!」
一度振り返り、ラクサスに悪態吐く、と思いきや言葉を呑み込み、歯を噛み締める。
妙なナツの態度に、やはりロアは不安で眉を寄せたが、その手を振り払おうとは思わずナツについていった。
ナツは力強くロアの腕を掴んだまま、どこまでも進んでいく。
「な、なあ。ちょっと、ナツ?」
楽しそうな声が少しずつ遠ざかって行く。
ずかずかと大股に歩みを進めるナツに、ロアは困惑したまま続いた。
足が少しもつれる。砂浜に足がとられる。
「な、ナツ、ちょっと速い…っうわ!」
さくと踏み込んだ足が砂にとられ、ロアはつんのめってしまった。
思わず目の前のナツの体にしがみつく。
その瞬間、ナツが小さく「くそっ」と吐き出したのが聞こえた。
「駄目だ、やっぱ駄目だ!」
「な、ナツ?」
「我慢できねぇ…こんな…!」
何が…と問う間もなく、ナツの口がロアの言葉を呑み込んでいた。
ほんの息を吸う隙間もないくらい、重なった口がロアの舌を喰らうように、深く。
「ん…!?んん…ッ」
絡み、とられる。
それでなくともよろけて足に力が入っていなかったロアは、ずるりと膝を折った。
それでもナツは放してくれない。
もっと深く絡ませようと、ロアの体に覆いかぶさり、ロアに跨る。
「ちょ…、ナ…っ、ん、ん!」
「ロア…」
ナツの、ロアを呼ぶ声が甘い。
舌が絡んでいるからか、少し舌っ足らずに名を紡がれ、ロアはぞくりと背を震わせた。
駄目だ。たまらない。
ロアは腕を自らナツの首に絡ませた。
そもそもこんな風にナツからキスしてくるのは、初めてじゃないだろうか。
いつももどかしく重なる唇に、我慢出来なくなるのはロアの方だ。
「な…、なん、で、急に…」
「ん、だってお前、こんな恰好で、思い出すだろ」
「思い出す…、って何を…」
「ロアに、触ったときのこと…とか」
触る。とは。
ロアは暫くどれのことかと考え、それからかっと顔を赤く染めた。
「さわ…っ!」
触る、なんて生易しいものではない。
初めて二人が重なった夜のことを話しているのだ、ナツは。
「なあ…あんときは、ロアがいろいろやってくれただろ?」
「そ、…それが、何…」
「触りてぇ、もっとロアに」
熱く濡れた目がじっとロアのことを映している。
まだ、まだ信じられない。
ナツがそんな熱情を体に宿し、ロアに迫っているなんてそんなこと。
「っ、触る、って…どこを」
「全部。全部すげぇ触りてぇ」
ナツの手がロアのパンツの中に入り込む。
薄い一枚、その向こうの茂みに触れて、そのまま後ろに回った。
撫でるように、膨らみかけのそこと、期待してうずく孔を行き来する。
「ひ…、っナツ、待ってよ、こんなとこで…!?」
「やっぱ、まずいか?」
「ま、まずいよ…せめて、あそこに…」
あそこ、と、ロアは指を大きな岩の並ぶ場所を指し示した。
あそこなら、まだ、見られる可能性が低くなる。
「ん。分かった」
ナツはこくりと頷き、ロアをひょいと軽く抱き上げた。
足取りが早いのは、焦っているからだろう。
ロアと同じ。もう、欲しくて仕方がないのだ。
「ロア…」
岩場の後ろに移動するなり、ナツはロアを降ろした。
そのまますぐにロアの海パンに手をかける。
「脱がして、いいよな」
「う、うん」
ずるりと海パンが下ろされ、あられもない姿をさらす。
だめだ、既に期待して震えている。
そんな恥ずかしいロアの姿を見るナツの目が、また獣のようにギラギラとしていて。
「…すげぇ、こんな…なってたんだな」
「何…んっ!」
たまらない、早く欲しい。
その思いに応えるように感嘆のため息を漏らしたナツは、直後ロアの首に噛みついた。
痛みに体を反らすと、背中にあるごつごつとした岩がぶつかる。
でも、そんな痛み、気になりもしなかった。
「あ…あ、ナツ…ッ、」
ロアの胸に舌を這わせ、手は執拗にロアの後ろを撫でる。
なんで入れてくれないの、と口から出そうになる。それを、辛うじて残る羞恥心と理性とが抑え込んで、ロアは歯を食いしばった。
「ロア…すげぇ、可愛い、ロア…」
「や、ナツ…ッ、なんで…!」
ナツの手が擦れて、既に前はこれでもかと膨らみきっている。
早く出したい、けれど自分で慰めて満足なんてもう出来ない。
ロアははっと熱い息を吐き出し、ナツの腕を掴んだ。
「早く…」
「ロア?」
「早く入れて、ナツの、が…早く欲しい…」
みっともないことを言っているのは分かっている。
それでも、早くと縋って、これでもかと奥まで満たされたかった。
「い、いいのかよ」
「いいかって、お前…っここまでやっといてしないとかねぇだろ…!」
「そ、そうか?」
ロアに縋らせる計算なんかじゃないらしい。
ナツはきょとんとして、それからロアを砂浜へと寝かせた。
大きな岩の影、上手く日の光を遮り、白い肌が焼けて痛む心配はなさそうだ。
なんて、余裕がないくせにぼんやりと考え、ナツがロアの足を抱え込む動きから意識を逸らす。
「…ロア、ほんとに、その、いいのかよ」
「ん、」
ナツがこんなに躊躇う理由は分かっている。
「…もう、痛くないから」
「けど、お前痛くても我慢するじゃねぇか」
「痛くないって」
初めて繋がった時、何の準備も無かったせいで繋がる喜びと快楽は比例してくれなかった。
でも、もう大丈夫。
「あれから…俺だって、…」
「なん、だよ」
「俺だって、我慢出来なくて…自分で、」
後ろを触っていた、と。
そう小さく呟いた瞬間、ナツが腰を下ろした。
「っああ!」
ゆっくりと体を沈めてくる。まず痛み、それからじわじわと圧迫感に苦しくなる。
大丈夫、だなんて嘘だ。自分の指なんかよりずっと大きくて、ずっと熱いものが内側を押し広げてくる。
でも、嫌じゃない。
「あ、な、…っ、ナツ…、俺、嬉し…」
「悪い、オレ、余裕ねぇ…!」
「俺も、全然…ッ」
ぶると体を震わせナツにしがみつく。
ナツのものは内側で更に膨らみ、ロアは一瞬息を止めた。
苦しい。でも、足りない。
ナツは知らないのだ。奥にある、一番感じるところ。そこを、もっと強く押して欲しくて仕方ないことを。
「はっ…あ、」
獣みたいに貪ってくれるのかと思いきや、ナツはロアの体を庇ってゆっくりと腰を動かす。
その優しさが嬉しくて、けれどもどかしい。
「も…ナツ、頼むから、こんな…」
「あっ、わ、悪い、オレまた…!」
「ちが、ナツ、抜かないで…!」
腰を引こうとしたナツの背にぎゅっと腕を回して懇願する。
そうだ、ナツは自分とは違う。
こうして抱きたいと、繋がりたいと願ってくれるだけでも、ナツにとっては大きな変化だ。
言わないと、きっと伝わらない。
「もっと…」
「え…?」
「もっと、奥、強く、突いて…」
ナツの喉がごくりと揺れた。
それから、ロアの足を抱える手に力が籠る。
そのまま押し込まれた熱さに、ロアは堪えきれず高い声を漏らした。
「は!ああッ…!」
「くっ、ロア、駄目だ、オレ…!すげ、きもち、い…」
「あ、俺も…!ん、あぁ、声が、…!」
自分のものだと思いたくない淫らな声と、耳を塞ぎたくなる肉のぶつかる音と混ざり合う音。
深く入って、辛うじて先端が残るほどまで抜かれ、もう一度深く突かれる。
ロアの要望通り、激しさを増した攻め立てに、ロアは息を止めて体を反らした。
「ひ、ぁ…今、あ、ああ!!」
意識が飛びそうなくらいの快感。
ああこれが、そうなのだ。
ナツも何か感じたのか、そこを攻めることを止めない。止まらない。
「あ、ああ!や、ま…っ、待って、一回、…あ、あ!」
「駄目だ、とまんね…、何だこれ…、ロア…、ロア!」
「っ、い、いく、駄目、も、もう…ッ」
頭が真っ白で、もはや羞恥心すらどこかに飛んでいた。
足を開いて、恥ずかしい言葉が口をつく。気持ちが良い、思いがあふれる。
「うあ!あ、ああ…ッ!」
「ん、う…ッ」
ナツが耳元で声を押さえた。熱い息がロアの髪を揺らす。
髪にまとわりついていた細かな砂が、掻き乱すナツの手でぱらぱらと落ち、ロアはこれでもかとナツの首にしがみついた。
「っロア…!」
ナツが切羽詰まったような声を上げて、それに連動するかのように体の奥に熱いものが放たれる。
全部受け入れたくて、ロアは体を引こうとするナツの腰に足を絡みつけた。
もっと全部注いでほしい。今は、ナツが全部欲しい。
「ん…、」
「あ、おい!!ロア…っ」
「だいじょ、ぶ…、」
ナツが自分で感じていることが嬉しい。
それを全て体で受け止めることが出来る。
ロアは体を小刻みに震わせながら、ゆっくりと体を離した。
同時に襲ってくる疲労感と、恥ずかしさに目を閉じる。
「あー…」
また、やってしまった。
以前もそうだ。我慢出来ずに「舐めたい」とナツの体をいっぱい舐めて咥えて、後で後悔したのに。
こういう経験が初めてのナツに、貪り付きすぎたと。引かれたらどうしようと。
「ごめん、ナツ」
「あ?なんで、ロアが謝んだよ。むしろオレが…」
我慢出来なくて、と小さくナツが言う。
悪いことをしたみたいに、俯いて、ロアから目を逸らすナツに、ロアはゆっくり体を起こした。
「我慢なんて、しなくていいんだけど」
「ロア、でも」
「俺、本当に、嬉しいから…ナツが、俺を求めてくれて」
胡坐をかいて、申し訳なさそうにするナツの頬に手を伸ばす。
ナツは、恐る恐る顔を上げ、ようやくロアの笑顔に気が付いた。
「…ロア」
「俺男だし、気なんて使う必要ねぇしさ」
「そ、そうか…?」
少し安心したように微笑む。
そのままナツはロアと同じようにロアの頬に掌を重ね、ニッと笑った。
「大好きだ」
優しい声がロアの胸をくすぐる。
「俺も」とロアが返すなり、ナツはロアの唇にまた喰らいついた。
まだ冷めない熱が、また再び上がって行く。
ああ、もしかしたらマズイ事を言ったかもしれない。
ロアは先程の自分の発言を早速後悔しつつ、与えられる熱に応えた。
暑い日差しの下、ロアはぐっと天に腕を伸ばした。
白い肌は焼けると痛む為、長袖のパーカーを纏う。
それでも暑さに負けて前を開けたまま、ロアは塩の匂いのする水に足を入れた。
「あー、きもちい」
「ああ。天気も良いし、海日和だな」
「は、何か前にもこんなことあったよな。修業はどうした?って」
「何。今日はそのような堅い事は言いっこなしだ」
ロアの肩に手をぽんと置いたエルザがにっこりと笑う。
そう、今日は修業なんて口実も無し。
ただ遊びに、お天道様の下、羽を伸ばしに来たのだ。
「最近何かと緊張しっぱなしだったから、こういうの有難いよ」
「そうか。それは良かった」
「ただ…」
皆で海。
それは良いのだが、ロアは気掛かりなことを思い出し振り返った。
エルザが不思議そうにロアの視線の先を追う。
少し距離をおいて見える桃色の髪。
ロアの視線に気付いたナツは、あからさまにロアから目を逸らした。
「……」
「ナツか。そういえば珍しく寄って来ないな」
「そう…なんだよな」
様子がおかしいということは見るに明らか。
ただここに来る直前まで普通だったナツがこうなった原因など、ロアには皆目見当もつかない。
「ま、別にいいけどさー」
別にナツと一緒にいたくて仕方なかったわけでもない。
ちょっと寂しいけれど。
ロアはぱっと海に目を向けると、改めて潮風に目を細め塩の香りを思い切り吸い込んだ。
・・・
白い背中に刻まれた紋章。
…は、残念ながら服の向こうに隠れているが、ナツはそれすら安堵に息を吐いた。
海岸の少し強めの風に、まがい物とはいえキラキラと光る髪が揺れる。
捲れて見えるうなじがまた白くて、薄い服を纏う体はそのラインをまざまざと見せつけてくる。
「…」
そういうつもりで見たくなくても、気持ちが持って行かれる。
抱き締めて、赤らめる頬にキスを落としたくて、細い腰を抱き寄せて、甘い息を肌に感じたい。
「…」
まだ記憶に新しい、抱き合った夜のこと。
無防備な白い肌はどうにもあの日の事を思い出させる。
そのせいだ、こんなにも妙なことを考えてしまうのは。
「ちょっとナツ?なにやらしい目でロアのこと見てんのよ」
「な!み、見てねぇ!」
「見てるじゃない。さっきからチラチラと。やーらしい」
「ち…違ぇ、そんなんじゃ…」
柄にもなく口ごもるナツに、ルーシィは自分から突っ掛かっていながらも驚き目を開いた。
まさかとは思うが、本当にそうだというのか。
ナツと同じようにチラとロアを視界に映し、もう一度ナツを見る。
ナツはばっと大げさに目を逸らした。
「何アンタ…まさかロアの裸に今更!?」
「い、今更なんだよ、悪ィかよ!」
「悪いっていうか失礼じゃない!?今まで散々人の裸見といて、はーっ、男のロアにはそういう思春期男子の反応するわけ」
風呂場じゃ全裸のエルザに背中を流され、人の胸は事故とはいえぎゅっと掴んだこともあるくせに。
ルーシィは赤くなった気色悪い頬をむぎゅと抓り、反応されても困るが、自信のあるくびれに手を当てた。
「何してんだ、お前等」
「え?ラクサス!?」
ルーシィが驚いて顔を上げる、その視線の先にはラクサスがいた。
こういう場にラクサスが来るなんてかなり珍しい。
だから言葉も出ずじっと見上げていると、ラクサスはナツを見て小さく嘲笑した。
「ナツお前、とうとうその気になったか?」
「な、なんだよ…」
「ま、お前がそんななら、こっちも勝手にやらせてもらうぜ」
ラクサスはいやらしく目を細め、それからナツとルーシィが先程まで見つめていた方へ足を進めた。
大きな体がロアへと迫る。
無防備なロアは、あろうことかラクサスに向かって笑顔で手を振った。
「なんだよラクサス、お前来てたのか」
「おお。ま、たまにはな」
ラクサスもロアと同じように海に来るための恰好をしている。
とはいえ晒される体は随分と異なる。
分厚い体とそれを纏う筋肉。
「ったく、お前こんな恰好してていいのか?」
ロアは一瞬思っていたことを読まれたのかと思った。
恰好…言われて改めて見下ろせば、別になんということはない、海パンにパーカー。よくある海のスタイルではなかろうか。
「変な恰好してるか、俺?」
「バァカ。ちげぇだろ。お前のこと、オレがどんな目で見てるか知らねぇのか?」
「は…え!?」
言うが早いか、ラクサスは手をロアのパーカーと肌の隙間に割り込ませた。
大きな手がロアの腰を抱き寄せると、薄い布一枚纏うだけの肌と肌がぶつかる。
「いいのか?こんな、触りやすい恰好してよ」
「さ…触んなきゃいいだろ」
「こことか…」
「ばっ!」
ラクサスの親指がロアの乳首をつんと撫でる。
反射で拳を握りしめ振りかざしたロアのその手は、ぱしと後ろから掴まれていた。
「え、ナツ?」
腕の先、視線で追えばナツの顔がある。
こんな状況なら、むしろナツこそラクサスに殴りかかりそうなものなのに。
動揺してラクサスとナツとを交互に見る。
ナツは、ロアをラクサスから引き剥がす為か、思いの外強い力でロアを引いた。
「わ、わ、ちょ、ナツ!?」
「おいおいナツ。ロアに乱暴すんなよ」
「っテメーが!!」
一度振り返り、ラクサスに悪態吐く、と思いきや言葉を呑み込み、歯を噛み締める。
妙なナツの態度に、やはりロアは不安で眉を寄せたが、その手を振り払おうとは思わずナツについていった。
ナツは力強くロアの腕を掴んだまま、どこまでも進んでいく。
「な、なあ。ちょっと、ナツ?」
楽しそうな声が少しずつ遠ざかって行く。
ずかずかと大股に歩みを進めるナツに、ロアは困惑したまま続いた。
足が少しもつれる。砂浜に足がとられる。
「な、ナツ、ちょっと速い…っうわ!」
さくと踏み込んだ足が砂にとられ、ロアはつんのめってしまった。
思わず目の前のナツの体にしがみつく。
その瞬間、ナツが小さく「くそっ」と吐き出したのが聞こえた。
「駄目だ、やっぱ駄目だ!」
「な、ナツ?」
「我慢できねぇ…こんな…!」
何が…と問う間もなく、ナツの口がロアの言葉を呑み込んでいた。
ほんの息を吸う隙間もないくらい、重なった口がロアの舌を喰らうように、深く。
「ん…!?んん…ッ」
絡み、とられる。
それでなくともよろけて足に力が入っていなかったロアは、ずるりと膝を折った。
それでもナツは放してくれない。
もっと深く絡ませようと、ロアの体に覆いかぶさり、ロアに跨る。
「ちょ…、ナ…っ、ん、ん!」
「ロア…」
ナツの、ロアを呼ぶ声が甘い。
舌が絡んでいるからか、少し舌っ足らずに名を紡がれ、ロアはぞくりと背を震わせた。
駄目だ。たまらない。
ロアは腕を自らナツの首に絡ませた。
そもそもこんな風にナツからキスしてくるのは、初めてじゃないだろうか。
いつももどかしく重なる唇に、我慢出来なくなるのはロアの方だ。
「な…、なん、で、急に…」
「ん、だってお前、こんな恰好で、思い出すだろ」
「思い出す…、って何を…」
「ロアに、触ったときのこと…とか」
触る。とは。
ロアは暫くどれのことかと考え、それからかっと顔を赤く染めた。
「さわ…っ!」
触る、なんて生易しいものではない。
初めて二人が重なった夜のことを話しているのだ、ナツは。
「なあ…あんときは、ロアがいろいろやってくれただろ?」
「そ、…それが、何…」
「触りてぇ、もっとロアに」
熱く濡れた目がじっとロアのことを映している。
まだ、まだ信じられない。
ナツがそんな熱情を体に宿し、ロアに迫っているなんてそんなこと。
「っ、触る、って…どこを」
「全部。全部すげぇ触りてぇ」
ナツの手がロアのパンツの中に入り込む。
薄い一枚、その向こうの茂みに触れて、そのまま後ろに回った。
撫でるように、膨らみかけのそこと、期待してうずく孔を行き来する。
「ひ…、っナツ、待ってよ、こんなとこで…!?」
「やっぱ、まずいか?」
「ま、まずいよ…せめて、あそこに…」
あそこ、と、ロアは指を大きな岩の並ぶ場所を指し示した。
あそこなら、まだ、見られる可能性が低くなる。
「ん。分かった」
ナツはこくりと頷き、ロアをひょいと軽く抱き上げた。
足取りが早いのは、焦っているからだろう。
ロアと同じ。もう、欲しくて仕方がないのだ。
「ロア…」
岩場の後ろに移動するなり、ナツはロアを降ろした。
そのまますぐにロアの海パンに手をかける。
「脱がして、いいよな」
「う、うん」
ずるりと海パンが下ろされ、あられもない姿をさらす。
だめだ、既に期待して震えている。
そんな恥ずかしいロアの姿を見るナツの目が、また獣のようにギラギラとしていて。
「…すげぇ、こんな…なってたんだな」
「何…んっ!」
たまらない、早く欲しい。
その思いに応えるように感嘆のため息を漏らしたナツは、直後ロアの首に噛みついた。
痛みに体を反らすと、背中にあるごつごつとした岩がぶつかる。
でも、そんな痛み、気になりもしなかった。
「あ…あ、ナツ…ッ、」
ロアの胸に舌を這わせ、手は執拗にロアの後ろを撫でる。
なんで入れてくれないの、と口から出そうになる。それを、辛うじて残る羞恥心と理性とが抑え込んで、ロアは歯を食いしばった。
「ロア…すげぇ、可愛い、ロア…」
「や、ナツ…ッ、なんで…!」
ナツの手が擦れて、既に前はこれでもかと膨らみきっている。
早く出したい、けれど自分で慰めて満足なんてもう出来ない。
ロアははっと熱い息を吐き出し、ナツの腕を掴んだ。
「早く…」
「ロア?」
「早く入れて、ナツの、が…早く欲しい…」
みっともないことを言っているのは分かっている。
それでも、早くと縋って、これでもかと奥まで満たされたかった。
「い、いいのかよ」
「いいかって、お前…っここまでやっといてしないとかねぇだろ…!」
「そ、そうか?」
ロアに縋らせる計算なんかじゃないらしい。
ナツはきょとんとして、それからロアを砂浜へと寝かせた。
大きな岩の影、上手く日の光を遮り、白い肌が焼けて痛む心配はなさそうだ。
なんて、余裕がないくせにぼんやりと考え、ナツがロアの足を抱え込む動きから意識を逸らす。
「…ロア、ほんとに、その、いいのかよ」
「ん、」
ナツがこんなに躊躇う理由は分かっている。
「…もう、痛くないから」
「けど、お前痛くても我慢するじゃねぇか」
「痛くないって」
初めて繋がった時、何の準備も無かったせいで繋がる喜びと快楽は比例してくれなかった。
でも、もう大丈夫。
「あれから…俺だって、…」
「なん、だよ」
「俺だって、我慢出来なくて…自分で、」
後ろを触っていた、と。
そう小さく呟いた瞬間、ナツが腰を下ろした。
「っああ!」
ゆっくりと体を沈めてくる。まず痛み、それからじわじわと圧迫感に苦しくなる。
大丈夫、だなんて嘘だ。自分の指なんかよりずっと大きくて、ずっと熱いものが内側を押し広げてくる。
でも、嫌じゃない。
「あ、な、…っ、ナツ…、俺、嬉し…」
「悪い、オレ、余裕ねぇ…!」
「俺も、全然…ッ」
ぶると体を震わせナツにしがみつく。
ナツのものは内側で更に膨らみ、ロアは一瞬息を止めた。
苦しい。でも、足りない。
ナツは知らないのだ。奥にある、一番感じるところ。そこを、もっと強く押して欲しくて仕方ないことを。
「はっ…あ、」
獣みたいに貪ってくれるのかと思いきや、ナツはロアの体を庇ってゆっくりと腰を動かす。
その優しさが嬉しくて、けれどもどかしい。
「も…ナツ、頼むから、こんな…」
「あっ、わ、悪い、オレまた…!」
「ちが、ナツ、抜かないで…!」
腰を引こうとしたナツの背にぎゅっと腕を回して懇願する。
そうだ、ナツは自分とは違う。
こうして抱きたいと、繋がりたいと願ってくれるだけでも、ナツにとっては大きな変化だ。
言わないと、きっと伝わらない。
「もっと…」
「え…?」
「もっと、奥、強く、突いて…」
ナツの喉がごくりと揺れた。
それから、ロアの足を抱える手に力が籠る。
そのまま押し込まれた熱さに、ロアは堪えきれず高い声を漏らした。
「は!ああッ…!」
「くっ、ロア、駄目だ、オレ…!すげ、きもち、い…」
「あ、俺も…!ん、あぁ、声が、…!」
自分のものだと思いたくない淫らな声と、耳を塞ぎたくなる肉のぶつかる音と混ざり合う音。
深く入って、辛うじて先端が残るほどまで抜かれ、もう一度深く突かれる。
ロアの要望通り、激しさを増した攻め立てに、ロアは息を止めて体を反らした。
「ひ、ぁ…今、あ、ああ!!」
意識が飛びそうなくらいの快感。
ああこれが、そうなのだ。
ナツも何か感じたのか、そこを攻めることを止めない。止まらない。
「あ、ああ!や、ま…っ、待って、一回、…あ、あ!」
「駄目だ、とまんね…、何だこれ…、ロア…、ロア!」
「っ、い、いく、駄目、も、もう…ッ」
頭が真っ白で、もはや羞恥心すらどこかに飛んでいた。
足を開いて、恥ずかしい言葉が口をつく。気持ちが良い、思いがあふれる。
「うあ!あ、ああ…ッ!」
「ん、う…ッ」
ナツが耳元で声を押さえた。熱い息がロアの髪を揺らす。
髪にまとわりついていた細かな砂が、掻き乱すナツの手でぱらぱらと落ち、ロアはこれでもかとナツの首にしがみついた。
「っロア…!」
ナツが切羽詰まったような声を上げて、それに連動するかのように体の奥に熱いものが放たれる。
全部受け入れたくて、ロアは体を引こうとするナツの腰に足を絡みつけた。
もっと全部注いでほしい。今は、ナツが全部欲しい。
「ん…、」
「あ、おい!!ロア…っ」
「だいじょ、ぶ…、」
ナツが自分で感じていることが嬉しい。
それを全て体で受け止めることが出来る。
ロアは体を小刻みに震わせながら、ゆっくりと体を離した。
同時に襲ってくる疲労感と、恥ずかしさに目を閉じる。
「あー…」
また、やってしまった。
以前もそうだ。我慢出来ずに「舐めたい」とナツの体をいっぱい舐めて咥えて、後で後悔したのに。
こういう経験が初めてのナツに、貪り付きすぎたと。引かれたらどうしようと。
「ごめん、ナツ」
「あ?なんで、ロアが謝んだよ。むしろオレが…」
我慢出来なくて、と小さくナツが言う。
悪いことをしたみたいに、俯いて、ロアから目を逸らすナツに、ロアはゆっくり体を起こした。
「我慢なんて、しなくていいんだけど」
「ロア、でも」
「俺、本当に、嬉しいから…ナツが、俺を求めてくれて」
胡坐をかいて、申し訳なさそうにするナツの頬に手を伸ばす。
ナツは、恐る恐る顔を上げ、ようやくロアの笑顔に気が付いた。
「…ロア」
「俺男だし、気なんて使う必要ねぇしさ」
「そ、そうか…?」
少し安心したように微笑む。
そのままナツはロアと同じようにロアの頬に掌を重ね、ニッと笑った。
「大好きだ」
優しい声がロアの胸をくすぐる。
「俺も」とロアが返すなり、ナツはロアの唇にまた喰らいついた。
まだ冷めない熱が、また再び上がって行く。
ああ、もしかしたらマズイ事を言ったかもしれない。
ロアは先程の自分の発言を早速後悔しつつ、与えられる熱に応えた。