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カカシ夢(2011.04~2016.09)

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苗字は「五色」固定です。
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病院から出て、ナナはこれから何をするか考えていた。先の任務は偶然情報があった時に居合わせたから行けたのだ。
個人的に大蛇丸は気になる。しかしその情報を一つも持っていなかった。

「カカシは暫く動けないし…」

またカカシ班は任務に行けないじゃないか。カカシのいない家に帰っても何も面白くないし。
ぐだぐだとつまらないことを考えながら歩いていると、前方にナルトの姿が見えた。
そういえば、背中で寝たくせにその後、礼の一つも言えていない。ナルトの見つけやすい色彩に感謝しながら、ナナはナルトに近づいて、肩を叩いた。

「ナルト」
「あ!ナナ!もういいのか?」
「あぁ、この前は有難うな」
「そんなのいいってばよ、ていうか!丁度良かった!」

やけに嬉しそうにするナルトを不思議に思っていると、ナルトの向いていた方向にナルトの同期がいることに気付く。大きな犬を連れた少年と、肌の出ている面積がカカシよりも少ない少年。

「あ…えーと、誰だっけ」
「紅先生んとこの、キバとシノだってばよ!」

名前に聞き覚えはある。とはいえ中忍試験で顔を合わせたことがある程度で、個人的に話したことは一度もない。キバもシノも少し緊張した様子で頭を下げた。

「あ、もしかして俺…邪魔したか」
「次の任務のメンバー探してんだ!ナナは来てくれるよな?」
「おいおいナルト。そいつ病み上がりなんじゃねーのか?」
「いや、大丈夫だ。付き合うぜ」

キバは少し心配そうに言ってくれたが、ナナは笑って答えた。
キバとシノには断られたところだったナルトにとっても、何をしようか迷っていたナナにとっても、ここで会えたのは互いに運が良かったというものだが、任務内容を聞いてナナは息を呑んだ。

天地橋というところで、大蛇丸のスパイをしている者とサソリは落ち合うはずだった。そこに行けば大蛇丸の情報が手に入るということだろう。つまり、カカシ班こそ行くべき任務。

ナナ?どうしたんだってばよ…?」
「大蛇丸…」

大蛇丸に会う、というわけではないのに、その名前を聞くだけで嫌な気持ちになった。肌で感じた殺気を思い出すだけで吐き気がする。

「やっぱり、嫌か?」
「違う。行くよ、大丈夫」

心配そうに覗き込んだナルトの頭をくしゃ、と撫でて笑いかける。何故かナルトではなくキバの方が赤くなった顔を逸らした。

「なんか、痒くねぇ…?」
「キャッ」

それと同時に少し離れたところから悲鳴に近い女の子の声。ナルトとナナがぱっと顔を上げてそちらに目を向けると、壁の端から服が少しはみ出している。

「…ヒナタ?」

ナルトが声をかけに行くと、キバやシノと同じ班のヒナタが顔を赤くしてナルトに見惚れていて。ナナはナルトもなかなかやるじゃないか、と弟でも見ているかのような思いでその背中を見ていた。



・・・



「はぁ…結局断られた…」
「そりゃ、任務くらい入ってて当然だろ」
「そーだけどお」

明らかに沈んだ顔をしているナルトの背中を叩きながら隣を歩く。自然と頬が緩むのは、やはり兄のような思い故か。

一瞬サスケのことを思い出して寂しくなったナナの目に、見知らぬ男が映っていた。
肌が異様に白く、黒く感情の読めない目が印象的な男。

屋根の上、絵を描いているその目が、ナナを捕らえた。


「…ナルト!」

ナルトの体を突き飛ばして、ナナも飛びのける。墨で出来た動物。それは向きを変えてナナに襲いかかった。

「なんだってばよ!?」
「ナルト、あいつだ!」

刀を抜いて切り伏せながら、ナナは屋根の上にいる男を目で示す。ようやくナルトも気付いたようで、男に向かって走り出した。

クナイとクナイのぶつかる音。
ナナは自分の周りの敵を倒してから、二人の戦う屋根の上を見た。誰だか知らないが、木ノ葉の者であるし、敵意は一切見えない。

「誰だって聞いてんだ!」
「…また会うことになるよ、ナルトくん」

何が目的かさっぱりわからないまま、その男はすっと姿を消した。

「ナルト!大丈夫だったか?」
「大丈夫…だけど、なんだアイツ!」

拳を強く握りしめて、歯を食いしばっている。ナナには聞こえなかったが、ナルトはその男に何やらムカツク事を言われたらしい。
辺りを見渡しても姿どころか気配も全て消えている。なんだったのだろう、そう思いながらも二人は引き続き仲間を探しに歩き始めた。





しかし、その男の目的はその日のうちに、すぐわかることとなった。


「ども」
「て…てめーは!」

見知らぬ男に襲われて、その後カカシ班に収集がかかった。
サスケもカカシも欠けたカカシ班は代理二人を投入することになったのだ。つまり、ナルトの努力も無になったわけだが…その代理の一人がついさっき、襲いかかってきた男で。

「さっきはごめんよ。これから同じ班の仲間になる人の実力を知っておきたかったんだ」
「だからって、あのやり方はないだろ…」
「どれくらい援護しなきゃならないタマ無しヤローかわからなかったからね」

ナナの顔が引きつり、ナルトは怒って殴りかかろうとした。
その男、サイはずっと笑顔で、声のトーンにも変化がない。何を考えているのかわからなくて、ナナは仲間になると言われても不信感を拭えなかった。

「ナルト!いきなり喧嘩しないでよ!…でも、アンタ感じ悪いわね」
「そうですか?ボクは好きですよ、あなたのような感じの良いブス」
「んだとー!?」

完全に、ナルトとサクラとナナはサイを仲間として認めることが不可能になった。単純にいけすかない、気に食わない。
その四人の状況に困った顔をしているのが、カカシの代わりを任された男。

「とにかく…これからこのメンバーですぐ任務に入ることになる。ボクはヤマト。君たちも自己紹介して」



任務内容は、天地橋をめざし、大蛇丸の組織に潜入している暁のスパイを拘束し連れ帰ること。大蛇丸とサスケの情報が手に入る大きなチャンスだ。というのに。

「うずまきナルト」
「春野サクラです」
「…五色ナナ
「サイと言います」

ナルトとサクラはサイを睨み、ナナはもはやソッポを向いて興味も無さげ。サイは最初と変わらずにこにこと笑ったまま。カカシ班は深刻な状況になっていた。


一時間後、木ノ葉の正門に集合という言葉と共に、皆がそれぞれの準備に入る。ナナもカカシに会っておこうと病院に向かって歩き出した。

「あ、ナナ!」

後ろから渋い声で名前を呼ばれる。カカシの代わりであるヤマトだ。穏やかな雰囲気も、低くて聞きやすい声も、なんとなくカカシに近いところがある。

「なんですか?」
「…君は今回の任務、本当に来て大丈夫なのかい?」
「…は?」

たったと駆け寄って、ヤマトは本気で心配そうな顔をナナに向けた。
ヤマトはカカシにナナの事情をだいたい聞いている。精神的な面も、大蛇丸に目をつけられているということも。

「大蛇丸との接触もあり得る」
「…別に、大丈夫ですよ」
「それならいいけど…。君に何かあったら、ボクがカカシさんに殺されてしまうからね」
「カカシが何か言ったのか?」
「あぁ、君のことはだいたい聞かせてもらったけど…」

ナナの表情が明らかにムッとしたものに変わる。眉間にシワを寄せて、唇が少し尖っているその表情は、ナルトやサクラなどより大人びている青年というイメージからはかけ離れたものだ。

「あ、ちょっと、どこに行くの!?」
「カカシに文句言って来る」
「ボクのことじゃないよね?ホントに殺されるから、やめてね!」

ずかずかと大股で病院の方に再び歩き出す。
ヤマトがカカシから聞いていたのは、素直でいい子だというものだったはずなのだが。
どちらかというと扱いづらいタイプなのではないか、とヤマトはカカシ班を引き受けたことを若干後悔していた。


・・・


退院してまもなくということもあって、病院に入るとやたら看護師に声をかけられた。いろんな人が無条件に心配してくれる。こういうときに、五色と木ノ葉の差を感じてしまうのは相変わらずだ。

辿り着いた病室では、カカシが小さな寝息を立てていた。

「お前、ヤマトって奴にどんだけ俺のこと話したんだよ」

無防備に寝ていると見せかけて、どうせ起きてんだろ。そう思って発した言葉は一人言になってしまった。

「…本当に寝てるのか」

閉じられた目は開かない。相当疲れがたまっていたのだろう、いつも物音に敏感で近付けばすぐに起きるカカシが、声をかけても足音を立てても起きないなんて。

「なんでこんななるまで無茶したんだよ、カカシ…」

写輪眼の使い過ぎでこんな風になるなんて知らなかった。何故うちはでないカカシが写輪眼を片目にだけ持っているのかとか、その目にどれだけの負担がかかっているのかとか、一切知らない。
恐らく、カカシは話さないのだろう。自分のこと、心配をかけることになりそうなことは絶対に。

「俺のことは知ってるくせに、俺には教えてくれないなんて…ずるい」

体がいくら繋がったって、相手のことを知り尽くせるわけではない。一緒にいた時間が少ないからこそ、悔しく思えて。

「俺が強くなったら、頼ってくれんのか?」

だったら、もっと強くなるしかない。
カカシの額に口付けをして、ナナはその場を後にしようと後ろを向いた。




「…何見てんだよ」
「あ…そんなつもりじゃなくてね、その」

頬を赤らめ目を丸くしたヤマトが扉の隙間から覗いていたことに、ナナは気付いていなかった。
さすがは忍としてナナに勝るヤマトだ。ナナだって、物音に気が付かないほど鈍くはないが、ヤマトの気配を感じることが出来なかった。

「俺をつけてたのか」
「いや…ボクもカカシさんに挨拶くらいしようと思ってね」

ヤマトはカカシと面識があって、相当カカシを尊敬しているように見える。そのカカシは堂々と呼び捨てにして、いやもはやそれどころではない。

「今見たこと…誰にも言うなよ…」
「い、言わない言わない!」
「…っ、失礼します」

恥ずかしさと居心地の悪さから、顏を伏せてヤマトの横を通り過ぎた。



・・・



結局準備も何もすぐに時間は経って、ナナ達は正門に集合した。初めから雰囲気は最悪だというのに、今度はナナとヤマトの間にも微妙な空気が流れている。
ナルトとサクラはサイのことを眉をひそめて睨みつけ、ナナはヤマトを警戒した目で見ている。

「では、これよりカカシ班、出発する!」

それをあまり気にしないようにヤマトは大きな声を上げた。




木ノ葉の里から徐々に離れていく。
ヤマトのすぐ後ろをついて行くナナと、それから少し間を開けて三人が続く。

「…そんなに警戒しないでくれる?」
「っ、こっち見んな」
「見てるのはそっち」
「う、うっせぇ…!」

ぷい、と顔を逸らしたナナは耳まで赤くなっていて、それをヤマトは意外に思っていた。
カカシが言った素直、とは顔に出やすいということなのか。むっとしていて基本的に無表情が多いと思えば、頬を染めたり。

「心配しなくても…ボクは人のことを言ったりしないよ」
「疑ってんじゃなくて…その、引かない…んですか」
「あぁ、そっち?尚更無いよ。そういう偏見は…」

あまり有る話ではないが、カカシとナナとでは見栄えは悪くないし、ナナからは妙な色気を感じるし。

「ところで…カカシさんとはどこまで…」
「っ!偏見無いって!」
「いや、偏見じゃないよ!カカシさんの恋愛事情って聞いたことないから」

だからって普通聞かないだろ。赤い頬のまま、ナナはヤマトをきっと睨んだ。
全く怖くないそのナナの表情にヤマトの顔は綻んでしまった。




「やっぱてめーはダメだ!すっげームカツクってばよ!」

急にナルトが怒鳴り声を上げた。ヤマトとナナは驚いてばっと振り返る。ナルトがサイを指さしていて、それで状況はすぐに把握出来た。

「おいおい!班には信頼とチームワークが大切って、カカシさんから教わったはずだろう」
「こいつはカカシ班の班員じゃねー!カカシ班のもう一人はサスケだ!」

それは確かにそうなのかもしれない。でも、それでは駄目だろう、とサイが気に食わないナナでさえ思った。
任務は誰とだって組む可能性がある。たとえ誰とであっても、ムカツクで済むことではないのだ。

「こいつはただの穴埋めだ…こんな奴、班員として認めねぇ!」
「…ボクもそっちの方が気が楽だよ」

サイは感情のない笑顔のまま、淡々と続けた。

「木ノ葉を裏切り、弱いくせに力ばかり求めて大蛇丸に走った…そんなゴミ虫ヤローと一緒にされたくないからね」


サイの酷い言い様に、眉を吊り上げたナナが文句を言おうと口を開く。しかし、その言葉が出る前にサクラがサイの顔面を思い切り殴っていた。
それには、ナルトもナナもヤマトも、全員が目を丸くして言葉を失った。サクラだけは、そんなことをしないと思っていたからこそだ。

「もう一度、サスケ君のことを悪く言ったら、手加減しない…」

見たことがないくらい、サクラの顔が怒りに歪んでいる。それに反して、殴られ吹っ飛んだにも関わらず、サイは口元の笑みを無くしていない。

「分かったよ…君の前ではもう言わない」
「殴られて何ヘラヘラしてんだてめーは!」
「厄介事をやり過ごすには笑顔が一番。それが作り笑いでもね」

結局収まりそうにないこの不毛な喧嘩に、とうとうヤマトが行動に出た。

「君らね、これ以上モメると本当に檻にぶち込むよ」

そう言うヤマトの背後には本当に木で造られた檻が建っている。印を結んで手を合わせた瞬間、地面から木が生え、そして勝手に檻が出来上がっていたのだ。

「ボクは優しい接し方が好きなんだけど、恐怖による支配も嫌いじゃないんだよね…」

その場の空気がしんと静まり返った。

初代火影だけが使いこなしていたという木遁忍術。それを使ってカカシ班の皆をびびらせたヤマトは、裸の付き合いだと言って温泉に皆を連れて行った。
ヤマトの目が何やら怖い雰囲気を出していて、ナルトも文句を言えなくなっている。それに若干安心しながら、ナナはお湯に肩まで浸かった。

「やっぱ男ってのは裸の付き合いあっての仲間ってもんだよね!」
「そ、そうですね!」

ヤマトの威圧感にナルトが怯えて体を後ろに反らせる。逆にナナは赤なってヤマトに詰め寄った。

「おい…!」
「え、別にそういう意味じゃないから!」
「完全に今、俺への嫌がらせだったろ…っ」
「いやいや…え、ナナはもうカカシさんと裸のそういう…」
「ばっ…!」

ヤマトの口を手で抑える。それからナナはナルトとサイへ目を向けたが、二人は喧嘩の真っ最中で。ナナはほっと肩を撫でおろすと、ヤマトをきっと睨み付けた。

「そういう…余計なこと言わないで下さい…」
「今のは、ただの君の空回りだと思うけどな」
「くそ…」

顔を赤らめて、濡れた髪をどかす。その仕草に一瞬どきっとしたヤマトは首を横に強く振った。
元々端正な容姿であるが、更に余計なことを知ったせいで妙に気になってしまう。

ちらっと見えたうなじに無意識に手を伸ばす。人差し指の先が触れた瞬間、ナナはそこを押さえて振り返った。

「な、何…」
「あ、ごめん。色っぽいなと思って」
「はぁ!?」
「いや、今のは忘れて!」

ナナを下心有りで見ていると思われた時の方が危うい。先輩であるカカシに頭が上がらないヤマトはお湯に顔を突っ込んだ。


「おい、ナルト…何してんだ?」
「あ、ナナ…これは、その」

ナルトが女子風呂の方へと足を進めていることに気付いたナナが声をかける。高い柵の向こうから女性の楽しそうな声。
ヤマトもナルトが女子風呂を覗こうとしているのだと気付き、これが健全男子のすることだよな…と今の自分の異常さを改めて感じるのだった。



・・・



翌日の朝、泊まった宿の布団の中で目を覚ます。隣にはまだいびきをかいて眠ったままのナルト。既に起きているのだろう、サイの寝ていた布団はそのまま、ヤマトの寝ていた布団は片づけられている。

「寒いな…」

いや、別に本当に寒いわけではなくて。木ノ葉に帰って来てからというもの、寝るときにはカカシの抱き枕状態だった。そのために一人の布団が寂しいような、物足りないような、ひと肌が恋しいような。
違う、カカシに触れたいんだ。そう気付いてしまうと体が勝手に熱くなっていった。

「…あぁ、俺…いつの間にこんな」

変わってしまった。そう思いながら、ナルトの肩を揺らした。

「ナルト、皆もう起きてる。そろそろ起きろ」
「んん…」
「ナルト」
「後…一時間…」
「…長いな、それは」

布団をナルトから引き剥がして、残っているサイの布団もついでに片す。最後にまだ枕を抱えて起きないナルトの鼻をぎゅっと摘まんでから、服を着替えてもう日差しの眩しい外へ足を踏み出した。


そこに見えたのは、サイとサクラ。サクラもサイのことは嫌っているようだが、ナルトと違ってなんとか親しくしようとする様子が窺える。
それを純粋にすごいと感じながら、ナナは二人に近付いた。

「何してんだ?」
「あ、ナナさん。おはようございます」
「おはよ…。何、絵?」

サイの片手にはスケッチブックが握られていて、そこには芸術的な絵が描かれている。

「サイには…絵を描く趣味があるんだ?」
「さぁ、どうなんでしょうね」
「さぁって…お前さ、何考えてんのかわかんねぇんだよな」

何気なく言うと、サクラも強く頷いた。人なら必ずある表情がサイにはない。いつも薄っぺらい笑みを浮かべたまま、その瞳の奥を見せようとはしないのだ。

「この絵は…何を思って描いたんだ?」
「何も考えていませんよ」
「…そんなことはないだろ」
「いえ、ボクは何も感じないんですよ」

しれっと言うサイの言葉には何の重みもなくて。ナナはサイから視線を逸らしてサクラと目を合わせた。

「…俺にはこいつとのコミュニケーションを図れそうにない」
ナナさん、それわかります…」
「サクラ、頑張れ」
「え、そんな!」

少し手を上げて、サクラとサイに背を向ける。元々人と関わるのは苦手な方だ。それを自分の気持ちもわからないような奴とだなんて、レベルが高すぎる。


俯いていた顔をすっと上げると、目立つ黄色が視界に入った。

「あ、ナルト…起きたか」
「おう、そろそろ出発するから集まれって、ヤマト隊長が」

起きたばかりです、という雰囲気がまだ開ききっていない目から感じられる。それを見てふっと笑うとナナはそのままナルトの横を通り過ぎた。

「サクラとサイにも伝えてくれ」

ナルトはサイと会えば必ずと言っていいほど喧嘩を始める。それに巻き込まれたくはないし、でも話さなければ穴も埋まらない。
若い奴は若い奴で、なんておっさん臭いことを考えながら、ナナは先にヤマトの待つ部屋へ戻った。



「あれ、ナナだけ?」

バッグに詰めた忍具の確認をしていたヤマトが
ナナを見て瞬きを繰り返す。

「すぐにナルトがサクラとサイを呼んで来ますよ」
「…うん、そのことなんだけどね」

はぁ、と大きく息を吐いて、ヤマトが困ったように頭をかいた。言いたいことはなんとなくわかる。ナルトとサイの仲の悪さというか、ナルトの反発だろう。

「今のカカシ班の問題は…チームワークが確実に欠けているってことだよね」
「そうでしょうね」
「そうでしょうねって…他人事じゃないんだから」

ヤマトの正面に胡坐をかいて座ったナナは一度目を瞑って、ゆっくり開いた。

「悪いけど…俺も元々チームワークって苦手なんで」
「え、それじゃ困るよ。カカシさんの認めた君には一応期待してるんだから」
「…いちいちカカシの名前出すの、止めて下さい」

カカシが一番大事にしていたのは何よりチームワークだ。ナナは今までも何度か任務に出たが、言われた通りに動くだけ。カカシの言う通りに動いただけ。チームワークというものを意識したことはあまりなかった。

「…ナルトなら大丈夫ですよ」
「本当に?」
「…恐らく、きっと」
「根拠はないんだね…」

再び大きなため息を吐いて、ヤマトは心底がっかりしたような顔をした。



・・・



目的地を目指し進み続けて、その日も夜になった。ヤマトは木遁の術で宿を造ると、ここで野宿だと言って中に入って行く。それを追ってナナも続いた。

「便利な術ですね」
「なかなかいいだろう?」
「あぁ。木遁は…俺にも使えない」

五色は全ての性質変化を使える体を持っているが、だからと言って使いこなせるかどうかは別だ。
秘術とも言われる木遁は、五色の血を持ってしても不可能な術だった。

「どうして使えるのか、聞かないんだね」
「聞いて欲しいんですか」
「いや、聞かなくていいよ」



全員が中に入ると、ヤマトは今回の任務の作戦を告げた。
今回の任務はターゲットを死傷させてはならない。そんなデリケートな任務であるため、まずヤマトが突入、それから残りのメンバーが支援を行う。
それを行う上で必要なのはチームの連携。ヤマトはまだナルト達の能力を自分の目で見たわけではないので、明日の半日はチームで戦う演習を行うこととした。


「…ずいぶん慎重なんだな」
「そう思うかもしれないけど、ボクに従ってもらうよ」

ナルトとサイ、サクラとヤマトが組み、そしてナナは全体を後方から援護する。
ナナにとってはいつも通りのなんということのないものだったが、やはりナルトはサイを睨んで納得がいかないという顔をしてみせた。

「ナルト、そういう態度ばかり取るなよ」
「でもオレってば、こいつと組むなんて無理だってばよ!」
「…もうガキじゃねぇんだから、さ」

ナルトの頭を掴んでぐしゃぐしゃとかき回す。もう一度ナナが な、と声をかけると不服そうにもナルトは小さく頷いた。


しかしそれでも、ナルトとサイのペアは全く上手くいかないのだった。

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