リクオ夢(2011.10~2015.03)
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今日は何やら酷い一日だった。
と思うのも、体育や調理実習で地味な怪我を体に無数受けてしまったからだ。
といっても妖狐の体、簡単に治癒してしまうのだが、それがまた厄介で。
「狐ノ依、その指の包帯、どうしたの?」
「調理実習とやらでやらかしてしまいました…」
「だ、大丈夫?」
「はい。勿論、心配はいりませんよ」
心配そうに覗き込んでくるリクオに笑いかけ、手を左右に大きく振る。
包帯など巻く必要はなかったのだが、そうでもしないと人間に不審がられてしまうのだ。
包帯を眺めながら帰路を歩く。
自分の体に巻かれるこのものが貴重で。つんとする匂いが案外嫌いではない。
「狐ノ依、楽しそうだね」
「楽しいというか…不思議な感覚で」
ズボンの下に隠された膝にも、実は絆創膏が貼られているのだが、これも同様の理由によるものだ。
その感覚も、狐ノ依にとっては面白いものだった。
「ただいまー」
「ただいま帰りました」
そんなことを考えているうちに家に辿り着き、玄関に上がる。
すると、そこにいつもは無い下駄が置かれていた。
「あれ?誰か来てるの?」
それに気付いたリクオはきょとんと目を丸くして。
一方狐ノ依はぱっと顔を輝かせた。
「鴆様…!」
「え、鴆くん?」
「はい、鴆様です」
きらきらと目を輝かせて、狐ノ依が運動靴を脱ぎ捨てる。
それと同時に耳の生えた妖怪の姿へと切り替わり、しっかり靴を端へ揃えて置いた。
「何の用で来たのかな」
「あ、忙しいのでしょうか…」
「用がねーと来ちゃいけねぇのか?」
リクオと狐ノ依の会話に入り込んだ別の声。
その二人よりも低い声に、リクオも狐ノ依もばっと顔を上げた。
「鴆くん!」
「よう、リクオ。狐ノ依も元気だったか」
「はい!お久しぶりです、鴆様」
頻繁に姿を見せるわけではない鴆に、二人の喜び様は明らかで。
二人の無邪気な笑顔を見た鴆は、満足気にかっかと笑った。
「用があったってのは違いねぇが、もう終わったしな。お前等の顔見ようと思ってたんだぜ」
「鴆様…ボクも、ボクもお会いしたかったです」
「そりゃあ嬉しいねぇ」
たたっと鴆の前に移動して、嬉しそうに目を細めて笑う。
そんな狐ノ依を見たリクオは、先に自室の方へ向かって歩き出していた。
「あ、リクオ様…!」
「いいよ狐ノ依。鴆くん、狐ノ依のことお願いしてもいいかな」
「おう」
廊下の軋む音が遠ざかる。
リクオに気を遣わせてしまった。それが申し訳ないのに、今は鴆と共にいたいという思いも同じくらいあって。
ちら、と上目で鴆を確認する。
「ん?どうした?」
「いえ…」
鴆の顔を見たら、自分の意思の方が勝っていることを自覚せざるを得なくなった。
狐ノ依が鴆の手を取る。それに対して、鴆もぎゅっと握り返してきた。
大きな手が握り返してくれる、それだけで胸がとんっと浮上するような気分になる。
「…客間に案内しますね」
「おう」
狐ノ依は鴆の手を引き、誰も使っていない部屋に移動した。
廊下に二人の足音が響く。それに気付いて、小さな妖怪達が道を開ける。
狐ノ依と鴆の関係は、もはや周知の事実となっていた。
リクオに巡りあわせてくれた恩人。それを知った狐ノ依が鴆に惹かれるのは当然で。
今では、狐ノ依は鴆へ強い思慕を向けていた。
「どうぞ」
「あぁ、ありがとな」
襖を開けて中へ入ると、鴆はそこにどかっと座った。
ちょいちょいと手が狐ノ依をそこへ招く。
「手、見せな」
「え?」
「怪我したんじゃねーのかい、それ」
鴆が指さすその先を見ると、狐ノ依の指の包帯に辿り着いた。
そう言えば外すのを忘れていた、というより外すのが惜しくてそのままにしていた。
「あいえ、これは…学校で、でももう治ってて」
包帯を解きながら鴆に近付く。
鴆の足と足の隙間にちょこんと座ると、その指を鴆の目の前に晒してみせた。
「ほら、もう大丈夫なんですよ」
「そうか。そりゃいいが…オレの出る幕が無さすぎんだよなぁ」
すすっと鴆の指が狐ノ依の指をなぞる。確かに、微かな切り傷の跡があるように見える、その程度にまで回復していた。
「一度くらい、狐ノ依の役に立ってみてぇよ」
「そ、そんな!鴆様にはもう返せない程の恩をもらっています!」
「…そうだったな」
指を撫でていた手が狐ノ依の頭を撫でる。
リクオとは違う、力強い男の手だ。
「学校は楽しいか?」
「あ、はい。いろいろな経験が出来ますし」
「へぇ。例えば?」
例えば。
狐ノ依はうーんと暫く考えてから、鞄の中を漁り始めた。
「今日は歌を歌いました!」
「へぇ、歌か。一つ歌ってみてくれよ」
「…で、でも、ボク皆に下手って言われてて…」
「下手でもいいじゃねえか。歌は歌うことに意味があんだからよ」
な!といい笑顔で言われてしまって無視は出来ない。
狐ノ依は渋々音楽の教科書を広げた。
小さな口を薄く開いて、声を発する。
見事なまでの音痴だった。
「……ど、どうでしたか?」
「ああ、なんだ…いい声だな」
「皆にもそう言われました」
しゅん、と狐ノ依の耳が垂れ下がる。
鴆は両手を意味もなく空に彷徨わせ、それから何とか言葉を続けた。
「他には、何をしたんだ?」
「他ですか…」
再び鞄の中を漁り出す狐ノ依に、鴆は小さく息を吐いた。
元々ソプラノの良い声だと思っていたが、まさか音痴だったとは。
それが悪いとは言わない、むしろ意外で面白いのだが。
「美術の授業で絵を描きました」
「へぇ、何を描いた?」
「何だと思いますか?」
ぱっと一枚の画用紙がこちらを向く。
鴆は開いていた口をゆっくりと閉じた。
絵具で描かれたのだろう絵。色は混ざり合った色で安定していない。
主に青が多く見えるような気がしなくもない。
目と口があることから、恐らく生き物だ。
「わ、分かりませんよね。下手ですから…」
「いや…犬、か…猫か?」
「惜しいです。狐でした」
「狐か。なかなか可愛いじゃねぇか?」
狐ノ依は絵もなかなか壊滅的だったようだ。
そもそも狐の妖怪だ、何も経験が無かったのだから当然なのだが。それにしても、と言ったところ。
「勉強で数字を並べたり…運動、料理…でも、ボクどれもこれもダメダメで」
狐ノ依も自覚していたのだろう。急にネガティブな発言を続けると、狐ノ依は着物から腕を抜き上半身を露わにした。
そこには、サッカーのボールにぶつかって作られた痣。
「これ、今日ボールにぶつかった痕です。ボクの力、外傷しか治らないみたいで…結構痛くて」
「でも、新しい経験が出来て楽しいだろ」
「それは…はい…」
鴆の手が狐ノ依の青くなった肌に触れた。痛みを飛ばすように、ゆるゆるとその上を撫でる。
そんな風にされると、本当に痛みなんて吹き飛んでしまいそうだった。
「それに…全部、オレが教えてやるから」
まだ顔を下げたままの狐ノ依に鴆の顔が近付く。
「鴆様…」
「な?心強いだろ」
「…はい」
分からないことも全部、教えてもらえばいい。
狐ノ依は自分の痣に触れる鴆の手に、自分の手を重ねた。
「…鴆くん、何してるの?」
その時、すぱーんと襖が開かれた。
そこに立っているのは、何故か赤らめた顔に怒りを映しているリクオ。
「リクオ様、どうかしたのですか?」
「ど、どうかしたじゃないよ…!」
「リクオ?」
リクオは足元の納豆小僧に視線を送った。
その納豆小僧は何やら少し恥ずかしそうにもじもじとしてから口を開いた。
「服を脱いだ狐ノ依殿に、いろいろと教えてあげると鴆殿が…」
「って納豆小僧が言ってるんだけど…!」
「あぁ!?」
まさかの誤解に鴆の方がリクオより真っ赤になった。
そしてそんな意識を持った途端に、狐ノ依の白い肌が魅惑的に見えてきて。
「ち、違う!なぁ、狐ノ依」
「え…?違わないですよね」
「…!!」
リクオと、そしてその周りにいる小さな妖怪達の、鴆を見る目が変わった。
「鴆くん」
「お、おう…」
「暫く出入り禁止」
ぴしゃっと扉が閉まって、鴆だけがぽいっと放り出される。
実際のところ何も悪くないのだが、鴆は何故か申し訳ない気持ちになりかけていた。
「…ピンク、だったな」
目の前にあった狐ノ依の体を思い出して、少し良い気分になっているからだ。
鴆は頬をかいて、意味もなく空を見上げる。
「あ、あの!鴆様!」
しかし再び扉が開いて、狐ノ依が顔を出していた。
「今日、鴆様に会えて、良い一日に変わりました!ボクにいろいろ教えて下さいね、約束ですよ!」
「おう、任せとけ」
勉強とか、絵、音楽、運動。教えることはたくさんある。
ということは狐ノ依に会いに来る機会も格段に増えるわけだ。
決して卑猥な意味ではない、そう言い聞かせながら鴆は立ち去って行った。
と思うのも、体育や調理実習で地味な怪我を体に無数受けてしまったからだ。
といっても妖狐の体、簡単に治癒してしまうのだが、それがまた厄介で。
「狐ノ依、その指の包帯、どうしたの?」
「調理実習とやらでやらかしてしまいました…」
「だ、大丈夫?」
「はい。勿論、心配はいりませんよ」
心配そうに覗き込んでくるリクオに笑いかけ、手を左右に大きく振る。
包帯など巻く必要はなかったのだが、そうでもしないと人間に不審がられてしまうのだ。
包帯を眺めながら帰路を歩く。
自分の体に巻かれるこのものが貴重で。つんとする匂いが案外嫌いではない。
「狐ノ依、楽しそうだね」
「楽しいというか…不思議な感覚で」
ズボンの下に隠された膝にも、実は絆創膏が貼られているのだが、これも同様の理由によるものだ。
その感覚も、狐ノ依にとっては面白いものだった。
「ただいまー」
「ただいま帰りました」
そんなことを考えているうちに家に辿り着き、玄関に上がる。
すると、そこにいつもは無い下駄が置かれていた。
「あれ?誰か来てるの?」
それに気付いたリクオはきょとんと目を丸くして。
一方狐ノ依はぱっと顔を輝かせた。
「鴆様…!」
「え、鴆くん?」
「はい、鴆様です」
きらきらと目を輝かせて、狐ノ依が運動靴を脱ぎ捨てる。
それと同時に耳の生えた妖怪の姿へと切り替わり、しっかり靴を端へ揃えて置いた。
「何の用で来たのかな」
「あ、忙しいのでしょうか…」
「用がねーと来ちゃいけねぇのか?」
リクオと狐ノ依の会話に入り込んだ別の声。
その二人よりも低い声に、リクオも狐ノ依もばっと顔を上げた。
「鴆くん!」
「よう、リクオ。狐ノ依も元気だったか」
「はい!お久しぶりです、鴆様」
頻繁に姿を見せるわけではない鴆に、二人の喜び様は明らかで。
二人の無邪気な笑顔を見た鴆は、満足気にかっかと笑った。
「用があったってのは違いねぇが、もう終わったしな。お前等の顔見ようと思ってたんだぜ」
「鴆様…ボクも、ボクもお会いしたかったです」
「そりゃあ嬉しいねぇ」
たたっと鴆の前に移動して、嬉しそうに目を細めて笑う。
そんな狐ノ依を見たリクオは、先に自室の方へ向かって歩き出していた。
「あ、リクオ様…!」
「いいよ狐ノ依。鴆くん、狐ノ依のことお願いしてもいいかな」
「おう」
廊下の軋む音が遠ざかる。
リクオに気を遣わせてしまった。それが申し訳ないのに、今は鴆と共にいたいという思いも同じくらいあって。
ちら、と上目で鴆を確認する。
「ん?どうした?」
「いえ…」
鴆の顔を見たら、自分の意思の方が勝っていることを自覚せざるを得なくなった。
狐ノ依が鴆の手を取る。それに対して、鴆もぎゅっと握り返してきた。
大きな手が握り返してくれる、それだけで胸がとんっと浮上するような気分になる。
「…客間に案内しますね」
「おう」
狐ノ依は鴆の手を引き、誰も使っていない部屋に移動した。
廊下に二人の足音が響く。それに気付いて、小さな妖怪達が道を開ける。
狐ノ依と鴆の関係は、もはや周知の事実となっていた。
リクオに巡りあわせてくれた恩人。それを知った狐ノ依が鴆に惹かれるのは当然で。
今では、狐ノ依は鴆へ強い思慕を向けていた。
「どうぞ」
「あぁ、ありがとな」
襖を開けて中へ入ると、鴆はそこにどかっと座った。
ちょいちょいと手が狐ノ依をそこへ招く。
「手、見せな」
「え?」
「怪我したんじゃねーのかい、それ」
鴆が指さすその先を見ると、狐ノ依の指の包帯に辿り着いた。
そう言えば外すのを忘れていた、というより外すのが惜しくてそのままにしていた。
「あいえ、これは…学校で、でももう治ってて」
包帯を解きながら鴆に近付く。
鴆の足と足の隙間にちょこんと座ると、その指を鴆の目の前に晒してみせた。
「ほら、もう大丈夫なんですよ」
「そうか。そりゃいいが…オレの出る幕が無さすぎんだよなぁ」
すすっと鴆の指が狐ノ依の指をなぞる。確かに、微かな切り傷の跡があるように見える、その程度にまで回復していた。
「一度くらい、狐ノ依の役に立ってみてぇよ」
「そ、そんな!鴆様にはもう返せない程の恩をもらっています!」
「…そうだったな」
指を撫でていた手が狐ノ依の頭を撫でる。
リクオとは違う、力強い男の手だ。
「学校は楽しいか?」
「あ、はい。いろいろな経験が出来ますし」
「へぇ。例えば?」
例えば。
狐ノ依はうーんと暫く考えてから、鞄の中を漁り始めた。
「今日は歌を歌いました!」
「へぇ、歌か。一つ歌ってみてくれよ」
「…で、でも、ボク皆に下手って言われてて…」
「下手でもいいじゃねえか。歌は歌うことに意味があんだからよ」
な!といい笑顔で言われてしまって無視は出来ない。
狐ノ依は渋々音楽の教科書を広げた。
小さな口を薄く開いて、声を発する。
見事なまでの音痴だった。
「……ど、どうでしたか?」
「ああ、なんだ…いい声だな」
「皆にもそう言われました」
しゅん、と狐ノ依の耳が垂れ下がる。
鴆は両手を意味もなく空に彷徨わせ、それから何とか言葉を続けた。
「他には、何をしたんだ?」
「他ですか…」
再び鞄の中を漁り出す狐ノ依に、鴆は小さく息を吐いた。
元々ソプラノの良い声だと思っていたが、まさか音痴だったとは。
それが悪いとは言わない、むしろ意外で面白いのだが。
「美術の授業で絵を描きました」
「へぇ、何を描いた?」
「何だと思いますか?」
ぱっと一枚の画用紙がこちらを向く。
鴆は開いていた口をゆっくりと閉じた。
絵具で描かれたのだろう絵。色は混ざり合った色で安定していない。
主に青が多く見えるような気がしなくもない。
目と口があることから、恐らく生き物だ。
「わ、分かりませんよね。下手ですから…」
「いや…犬、か…猫か?」
「惜しいです。狐でした」
「狐か。なかなか可愛いじゃねぇか?」
狐ノ依は絵もなかなか壊滅的だったようだ。
そもそも狐の妖怪だ、何も経験が無かったのだから当然なのだが。それにしても、と言ったところ。
「勉強で数字を並べたり…運動、料理…でも、ボクどれもこれもダメダメで」
狐ノ依も自覚していたのだろう。急にネガティブな発言を続けると、狐ノ依は着物から腕を抜き上半身を露わにした。
そこには、サッカーのボールにぶつかって作られた痣。
「これ、今日ボールにぶつかった痕です。ボクの力、外傷しか治らないみたいで…結構痛くて」
「でも、新しい経験が出来て楽しいだろ」
「それは…はい…」
鴆の手が狐ノ依の青くなった肌に触れた。痛みを飛ばすように、ゆるゆるとその上を撫でる。
そんな風にされると、本当に痛みなんて吹き飛んでしまいそうだった。
「それに…全部、オレが教えてやるから」
まだ顔を下げたままの狐ノ依に鴆の顔が近付く。
「鴆様…」
「な?心強いだろ」
「…はい」
分からないことも全部、教えてもらえばいい。
狐ノ依は自分の痣に触れる鴆の手に、自分の手を重ねた。
「…鴆くん、何してるの?」
その時、すぱーんと襖が開かれた。
そこに立っているのは、何故か赤らめた顔に怒りを映しているリクオ。
「リクオ様、どうかしたのですか?」
「ど、どうかしたじゃないよ…!」
「リクオ?」
リクオは足元の納豆小僧に視線を送った。
その納豆小僧は何やら少し恥ずかしそうにもじもじとしてから口を開いた。
「服を脱いだ狐ノ依殿に、いろいろと教えてあげると鴆殿が…」
「って納豆小僧が言ってるんだけど…!」
「あぁ!?」
まさかの誤解に鴆の方がリクオより真っ赤になった。
そしてそんな意識を持った途端に、狐ノ依の白い肌が魅惑的に見えてきて。
「ち、違う!なぁ、狐ノ依」
「え…?違わないですよね」
「…!!」
リクオと、そしてその周りにいる小さな妖怪達の、鴆を見る目が変わった。
「鴆くん」
「お、おう…」
「暫く出入り禁止」
ぴしゃっと扉が閉まって、鴆だけがぽいっと放り出される。
実際のところ何も悪くないのだが、鴆は何故か申し訳ない気持ちになりかけていた。
「…ピンク、だったな」
目の前にあった狐ノ依の体を思い出して、少し良い気分になっているからだ。
鴆は頬をかいて、意味もなく空を見上げる。
「あ、あの!鴆様!」
しかし再び扉が開いて、狐ノ依が顔を出していた。
「今日、鴆様に会えて、良い一日に変わりました!ボクにいろいろ教えて下さいね、約束ですよ!」
「おう、任せとけ」
勉強とか、絵、音楽、運動。教えることはたくさんある。
ということは狐ノ依に会いに来る機会も格段に増えるわけだ。
決して卑猥な意味ではない、そう言い聞かせながら鴆は立ち去って行った。