苗字は「五色」固定です。
カカシ夢(2011.04~2016.09)
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中忍試験の本選までの修業場所は、町から離れた荒地だった。周辺に大きな岩があるのが見えるがその程度で他には何も見当たらない。
飯や寝床にありつくためには町まで戻らなければならないというのが面倒ではあるが、修業をするための場所と思えば十分だった。
「それで、俺はどうしたらいい?」
「ん? サスケと同じように、ナナも術を習得してもいいよ」
「いや、俺には無理だ」
サスケはカカシ直伝の忍術の習得に勤しんでいる。
刀ありきのナナには、一か月での習得は無理だろう。ナナの視線が刀に落ちると、カカシもそこに目を向けた。
「ずいぶん、大事にしているみたいね」
「五色の刀だ。誰もが手にできるモノじゃない、貴重だって聞いた」
ナナは鞘から刀を抜いてチャクラを流し込んだ。目が赤に、そして黄色に変わる。
「これは、俺の母親のモノらしい」
ナナが刀を地面に突き刺すと、丁度腰かける高さに地面が盛り上がった。
そこに腰をかけ、ふーっとナナは息を吐く。
「親の刀を使ってるなんて、なんだかんだ……俺も人の子だよな」
「なんだかんだ、って。ナナは人の子でしかないでしょ」
「……あんた、俺のことどこまで聞いてる?」
ナナに関する個人情報は火影から一切聞かされなかった。
故に知っていることは名前だけ。過去に何かあったとは思われるがそれだってカカシの想像にすぎない。
「オレが知っているのは、名前だけだよ」
「そうなんだ」
「教えてくれないの」
「俺だってあんたのこと知らねぇし」
「……確かにね」
過去のことを話す忍なんて普通いない。忍に、笑い話に出来るような過去を持つ者などいないからだ。
「でもまあ、俺を引き取ってくれたあんたになら、話してもいいかもな」
思わぬ言葉にナナを見ると、ナナはカカシを見て微笑んでいた。
あぁ、やっぱり綺麗だ。カカシはナナの顔にかかる前髪を少しどかすと頬に触れた。
「よし、それなら今回のオレの目的二つ目は、ナナを知ることだな」
「それは、楽しみだな」
今度は挑戦的な目を向けてきたナナにカカシのやる気も増したのだった。
・・・
修業が一段落ついたある日、サスケとカカシとナナは3人で町に来ていた。
食事、温泉、寝床、珍しくしっかり休息を取ろうということになったのだ。
「そこのお兄さん、寄って行かないかい?」
「私達、サービスしちゃうよ」
ナナはどこを歩いても目を惹いた。なびく髪も、すらりと細い手足も、整った容姿も、全てが他の人間より秀でている。隣を歩いているカカシにもそれは感じられた。
「ナナ、オレから離れるなよ」
「なんだよそれ、子供じゃあるまいし」
「……子供でしょーよ」
子供、というとナナは不服そうにカカシを睨んだが、それを気にしない様子でカカシはナナの手を握った。
「は!? 何してんだよあんた」
「こうしていれば声かけられないでしょ」
「有り得ない、なぁサスケ」
「オレに振るな」
結局すぐに握られた手は離され、彼らは温泉に向かった。
「カカシ、お前風呂でもマスクしてんのかよ」
そう言いながらカカシの隣に浸かったナナは髪を結い始めた。腕を上に挙げているだけのその動きもまた目を惹くものがある。
「ナナ、結構いい体してんだな」
サスケが純粋な興味で問いかけると、ナナは少し複雑そうに微笑んだ。
「それを言うなら、カカシに言ってやれよ」
「え? オレ?」
「そうだよ。俺なんかに比べて体厚いし…」
そこまで言うとナナは押し黙った。
「ナナ?」
「いや、悪い。ちょっと、やなこと思い出した」
ナナが立ち上がり、お湯が波打つ。うっかりナナの体に目が行きそうになってカカシは目をそらした。
男の裸なんて、見たってなんとも思わないが、ナナだけは何か違って見える。
そんな邪な思いがあったせいだろう。
カカシはその夜、妙な夢を見た。あられもない姿、美しい肢体を晒すナナの体が揺れる。
カカシの体の下で、汗ばみ桃色に染まる裸体。ナナの低い声は、妙に上ずって、掠れていく。
「おい、カカシ起きろ」
「っ!?」
「いい夢でも見てたのか? ずいぶん気持ちよさそうに寝てたみたいだけど」
カカシは茫然と、目の前のナナを見上げた。
まさか、あんな夢を見るなんて。風呂でナナの体を目にしたのが原因だとしても、カカシ自身信じられなかった。
「大丈夫か?」
「あ、あーうん大丈夫大丈夫、気にしないで」
「なら、さっさと起きろ」
あたりを見渡すと既に日は昇りきっていて、サスケも一人修業を始めていた。
申し訳ないことをしたと思い立ち上がろうとすると、股間に違和感。
「……!」
「カカシも立派な男だったんだな。ぬいてやろうか」
「え!?」
「冗談に決まってんだろ」
さっさと顔洗ってこいよ、と促され、カカシは一人その場を離れた。
いい大人が恥ずかしい。いや、それ以上に、夢で見た映像を払いたくて、カカシは頭を抱えていた。
「気持ち悪ぃ。あいつだって、今までの大人と同じだ」
そんなカカシの背に、ナナは冷たく吐き出す。
好きだ、きれいだ、かわいい……馬鹿げた寝言に意味なんてない。
今までの大人と同じに決まっている。そう思うのに、体は妙に火照っていた。
その日以来、ナナは一人でいなくなることが多くなった。
サスケの修業が佳境になったこともある。ナナは時間を持て余し、町へ一人で向かうことが増えた。
そんなある日、夜になってナナが戻ると、ちょうど顔を洗っていたカカシと鉢合わせた。
どちらも何を考えているのか知らないくせに気まずくなって顔をそらす。このところずっとこの感じで、いつも通りにカカシを避けようとしたナナはそこにあった岩につまずいてよろけてしまった。
とっさにカカシがナナを抱き留めると、顔を上げたナナとの距離はほとんどなくなった。
少し顔を近付けたら、もう触れ合うだろう。カカシは無意識に顔を近づけた。
「ナナ、」
「なぁ、カカシ、聞いてくれるか」
「っ、何?」
「俺のこと、知りたいんだろ?」
ナナはカカシから視線をそらすと重たい口を開いた。
ナナには幼い頃から親がいなかった。しばらくは親戚だとかいう人間が面倒を見たが、物心ついた頃には捨てられていた。
あるときから、大人たちがナナを視界に入れるようになった。当時から容姿だけは女の子のように可愛らしかったせいだ。
大人の手に捕まると服を剥がされて体を弄ばれた。それに対抗する力も知恵も気力もなかった。
そんな生活が続いたある日、ナナに手を差し延べた人間がいた。その人は五色ダイチと名乗った。
ナナの母親の友人だった。
ダイチはナナに逆らう力をくれた。ナナの持つ刀も、ダイチが母親から預かっていたものだと手渡してくれた。
「何も言わなかったけど、先生は、俺の母親を愛していたんだと思う。俺の顔は母親譲りだって、綺麗だって、褒めてくれた」
「先生、ね」
「そう、あの人は俺の人生の先生だ。誰よりも誇れる存在」
それからは大人に対抗出来るようになった。襲ってくる奴らは全員切り伏せて、気付けば誰もナナに近付かなくなっていた。
「それで俺は、五色にも捨てられたってわけだ」
「ナナ……」
「カカシ、俺が好きなのか」
「ん、改めて言われると……まあ、好きだよ」
「俺を抱きたい?」
「いや、それは、オレには出来ない」
当然だ。今のタイミングで話したということはナナ自身の拒絶であることは明らかだった。
「ところで、なんでオレの下心わかった?」
「……なんとなく」
寝言を聞いたなんて言えない。
あの日、カカシが零した熱っぽい告白。そのせいで意識してしまったなんて口が裂けても言えなかった。
まだカカシを受け入れる気持ちにはなれない。しかし、ナナの心はずいぶん落ち着いている。
たぶんここが、カカシとナナの始まりの第一歩だった。
2022/05/04
飯や寝床にありつくためには町まで戻らなければならないというのが面倒ではあるが、修業をするための場所と思えば十分だった。
「それで、俺はどうしたらいい?」
「ん? サスケと同じように、ナナも術を習得してもいいよ」
「いや、俺には無理だ」
サスケはカカシ直伝の忍術の習得に勤しんでいる。
刀ありきのナナには、一か月での習得は無理だろう。ナナの視線が刀に落ちると、カカシもそこに目を向けた。
「ずいぶん、大事にしているみたいね」
「五色の刀だ。誰もが手にできるモノじゃない、貴重だって聞いた」
ナナは鞘から刀を抜いてチャクラを流し込んだ。目が赤に、そして黄色に変わる。
「これは、俺の母親のモノらしい」
ナナが刀を地面に突き刺すと、丁度腰かける高さに地面が盛り上がった。
そこに腰をかけ、ふーっとナナは息を吐く。
「親の刀を使ってるなんて、なんだかんだ……俺も人の子だよな」
「なんだかんだ、って。ナナは人の子でしかないでしょ」
「……あんた、俺のことどこまで聞いてる?」
ナナに関する個人情報は火影から一切聞かされなかった。
故に知っていることは名前だけ。過去に何かあったとは思われるがそれだってカカシの想像にすぎない。
「オレが知っているのは、名前だけだよ」
「そうなんだ」
「教えてくれないの」
「俺だってあんたのこと知らねぇし」
「……確かにね」
過去のことを話す忍なんて普通いない。忍に、笑い話に出来るような過去を持つ者などいないからだ。
「でもまあ、俺を引き取ってくれたあんたになら、話してもいいかもな」
思わぬ言葉にナナを見ると、ナナはカカシを見て微笑んでいた。
あぁ、やっぱり綺麗だ。カカシはナナの顔にかかる前髪を少しどかすと頬に触れた。
「よし、それなら今回のオレの目的二つ目は、ナナを知ることだな」
「それは、楽しみだな」
今度は挑戦的な目を向けてきたナナにカカシのやる気も増したのだった。
・・・
修業が一段落ついたある日、サスケとカカシとナナは3人で町に来ていた。
食事、温泉、寝床、珍しくしっかり休息を取ろうということになったのだ。
「そこのお兄さん、寄って行かないかい?」
「私達、サービスしちゃうよ」
ナナはどこを歩いても目を惹いた。なびく髪も、すらりと細い手足も、整った容姿も、全てが他の人間より秀でている。隣を歩いているカカシにもそれは感じられた。
「ナナ、オレから離れるなよ」
「なんだよそれ、子供じゃあるまいし」
「……子供でしょーよ」
子供、というとナナは不服そうにカカシを睨んだが、それを気にしない様子でカカシはナナの手を握った。
「は!? 何してんだよあんた」
「こうしていれば声かけられないでしょ」
「有り得ない、なぁサスケ」
「オレに振るな」
結局すぐに握られた手は離され、彼らは温泉に向かった。
「カカシ、お前風呂でもマスクしてんのかよ」
そう言いながらカカシの隣に浸かったナナは髪を結い始めた。腕を上に挙げているだけのその動きもまた目を惹くものがある。
「ナナ、結構いい体してんだな」
サスケが純粋な興味で問いかけると、ナナは少し複雑そうに微笑んだ。
「それを言うなら、カカシに言ってやれよ」
「え? オレ?」
「そうだよ。俺なんかに比べて体厚いし…」
そこまで言うとナナは押し黙った。
「ナナ?」
「いや、悪い。ちょっと、やなこと思い出した」
ナナが立ち上がり、お湯が波打つ。うっかりナナの体に目が行きそうになってカカシは目をそらした。
男の裸なんて、見たってなんとも思わないが、ナナだけは何か違って見える。
そんな邪な思いがあったせいだろう。
カカシはその夜、妙な夢を見た。あられもない姿、美しい肢体を晒すナナの体が揺れる。
カカシの体の下で、汗ばみ桃色に染まる裸体。ナナの低い声は、妙に上ずって、掠れていく。
「おい、カカシ起きろ」
「っ!?」
「いい夢でも見てたのか? ずいぶん気持ちよさそうに寝てたみたいだけど」
カカシは茫然と、目の前のナナを見上げた。
まさか、あんな夢を見るなんて。風呂でナナの体を目にしたのが原因だとしても、カカシ自身信じられなかった。
「大丈夫か?」
「あ、あーうん大丈夫大丈夫、気にしないで」
「なら、さっさと起きろ」
あたりを見渡すと既に日は昇りきっていて、サスケも一人修業を始めていた。
申し訳ないことをしたと思い立ち上がろうとすると、股間に違和感。
「……!」
「カカシも立派な男だったんだな。ぬいてやろうか」
「え!?」
「冗談に決まってんだろ」
さっさと顔洗ってこいよ、と促され、カカシは一人その場を離れた。
いい大人が恥ずかしい。いや、それ以上に、夢で見た映像を払いたくて、カカシは頭を抱えていた。
「気持ち悪ぃ。あいつだって、今までの大人と同じだ」
そんなカカシの背に、ナナは冷たく吐き出す。
好きだ、きれいだ、かわいい……馬鹿げた寝言に意味なんてない。
今までの大人と同じに決まっている。そう思うのに、体は妙に火照っていた。
その日以来、ナナは一人でいなくなることが多くなった。
サスケの修業が佳境になったこともある。ナナは時間を持て余し、町へ一人で向かうことが増えた。
そんなある日、夜になってナナが戻ると、ちょうど顔を洗っていたカカシと鉢合わせた。
どちらも何を考えているのか知らないくせに気まずくなって顔をそらす。このところずっとこの感じで、いつも通りにカカシを避けようとしたナナはそこにあった岩につまずいてよろけてしまった。
とっさにカカシがナナを抱き留めると、顔を上げたナナとの距離はほとんどなくなった。
少し顔を近付けたら、もう触れ合うだろう。カカシは無意識に顔を近づけた。
「ナナ、」
「なぁ、カカシ、聞いてくれるか」
「っ、何?」
「俺のこと、知りたいんだろ?」
ナナはカカシから視線をそらすと重たい口を開いた。
ナナには幼い頃から親がいなかった。しばらくは親戚だとかいう人間が面倒を見たが、物心ついた頃には捨てられていた。
あるときから、大人たちがナナを視界に入れるようになった。当時から容姿だけは女の子のように可愛らしかったせいだ。
大人の手に捕まると服を剥がされて体を弄ばれた。それに対抗する力も知恵も気力もなかった。
そんな生活が続いたある日、ナナに手を差し延べた人間がいた。その人は五色ダイチと名乗った。
ナナの母親の友人だった。
ダイチはナナに逆らう力をくれた。ナナの持つ刀も、ダイチが母親から預かっていたものだと手渡してくれた。
「何も言わなかったけど、先生は、俺の母親を愛していたんだと思う。俺の顔は母親譲りだって、綺麗だって、褒めてくれた」
「先生、ね」
「そう、あの人は俺の人生の先生だ。誰よりも誇れる存在」
それからは大人に対抗出来るようになった。襲ってくる奴らは全員切り伏せて、気付けば誰もナナに近付かなくなっていた。
「それで俺は、五色にも捨てられたってわけだ」
「ナナ……」
「カカシ、俺が好きなのか」
「ん、改めて言われると……まあ、好きだよ」
「俺を抱きたい?」
「いや、それは、オレには出来ない」
当然だ。今のタイミングで話したということはナナ自身の拒絶であることは明らかだった。
「ところで、なんでオレの下心わかった?」
「……なんとなく」
寝言を聞いたなんて言えない。
あの日、カカシが零した熱っぽい告白。そのせいで意識してしまったなんて口が裂けても言えなかった。
まだカカシを受け入れる気持ちにはなれない。しかし、ナナの心はずいぶん落ち着いている。
たぶんここが、カカシとナナの始まりの第一歩だった。
2022/05/04